内容証明郵便の受領拒絶・不受領

 ◆ 相手方が内容証明郵便の受取を拒む場合
 ◆ 不在期間の経過により差出人に返送される場合
 ◆ 内容証明郵便を捨てたから読んでいないと主張する場合
 ◆ 受け取ったが紛失した、読んでいないと主張する場合


 内容証明郵便を差出した場合に、相手方が受け取りをしない場合があります。「内容証明郵便の受領拒絶」「不在による内容証明郵便の不受領」の問題です。

 差し出した時点で効力を生ずる(発信主義)クーリングオフなどの場合、受領拒否の問題は生じませんが、わが国においては意思表示の到達について民法97条により到達主義を採用しています。すなわち意思表示が相手方に到達しなければ効力を生じない事となり、意思表示の到達の有無は重要な問題と言えます。

「到達」とは、意思表示を記載した書面が相手方によって直接受領され、又は了知されることまでを必要とするものではなく、相手方の勢力範囲・支配圏内に入り、社会通念上了知可能な状態におかれれば到達したものと解されます。たとえば郵便受けに投函されれば支配圏内に入ったと評価でき、同居の親族等により受領された場合も支配圏内に入った、すなわち到達したと言えるでしょう。

さて、郵便規則90条(郵便物の還付)において、受取人不在のため配達することができなかった郵便物で、最初の配達の日から七日以内に配達することも交付することもできないものは、その期間経過後に差出人に還付すると規定されています。
 書留郵便物は不在の場合、郵便受けに投函される訳ではなく、郵便受箱、郵便差入口その他適宜の箇所に不在票等を差し入れ、受取人は再配送の依頼・窓口受取をしなければなりません。必然的にそのまま留置期限を徒過し返送される可能性も大きくなります。


内容証明郵便の受領を相手方が拒絶した場合、判例では内容証明郵便に記載された意思表示・意思の通知は到達したものと看做されるとの判断がなされています。

(大審院昭和11年2月14日判決・民集15-158)


 一方、不在により返送された場合は判例の分かれるところではありますが、不在配達通知書の記載その他の事情から、相手方が通常その内容を知りうる場合には受領拒絶と推測し、内容証明郵便は到達したものとする判例があります。

(最高裁判決平成10年6月11日民集52巻4号1034頁)

 逆に、不在配達通知からはその内容を推認することが困難であることなどを理由に、他に特段の事情のない限り、これにより意思表示の到達があったと解するのは相当でないとする判例もあります。

(大阪高裁昭和52年3月9日判決 判時857-86)

不在による不受領の場合、消極的に受領拒絶している場合も考えられますので、再度内容証明郵便を差出すとよいかも知れません。二度、三度と不在により返送された場合、相手方の受領拒絶の意図を立証し易くなる効果が考えられます。


相手方が内容証明郵便を捨てたから読んでいないと主張する場合、受け取ったが紛失した、読んでいないと主張する場合については、前述の如く、意思表示は社会通念上相手方が了知可能な状態に置かれれば到達したものと解されますので、相手方が受領した時点で意思表示は到達しています。読まなかった事やその後の紛失については、単に相手方の問題となります。



最 高 裁 判 所 判 例 集 判 決


 H10.06.11 第一小法廷・判決 平成9(オ)685
 遺留分減殺、土地建物所有権確認

遺留分減殺の意思表示が記載された内容証明郵便が留置期間の経過により差出人に還付された場合において、受取人が、不在配達通知書の記載その他の事情から、その内容が遺留分減殺の意思表示又は少なくともこれを含む遺産分割協議の申入れであることを十分に推知することができ、また、受取人に受領の意思があれば、郵便物の受取方法を指定することによって、さしたる労力、困難を伴うことなく右内容証明郵便を受領することができたなど判示の事情の下においては、右遺留分減殺の意思表示は、社会通念上、受取人の了知可能な状態に置かれ、遅くとも留置期間が満了した時点で受取人に到達したものと認められる。




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