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112回-参議院-商工委員会-09号 1988/04/26
昭和六十三年四月二十六日(火曜日) 午前十時三分開会
出席者は左のとおり。
委員長 大木 浩君
理 事
下条進一郎君
前田 勲男君
福間 知之君
市川 正一君
委 員
小島 静馬君
佐藤栄佐久君
中曽根弘文君
平井 卓志君
降矢 敬義君
松浦 孝治君
松尾 官平君
向山 一人君
青木 薪次君
鈴木 和美君
高杉 廸忠君
伏見 康治君
矢原 秀男君
井上 計君
木本平八郎君
国務大臣
通商産業大臣 田村 元君
国 務 大 臣(経済企画庁長官) 中尾 栄一君
政府委員
公正取引委員会事務局取引部長 土原 陽美君
経済企画庁国民生活局長 海野 恒男君
通商産業大臣官房総務審議官 山本 幸助君
通商産業大臣官房審議官 末木凰太郎君
通商産業大臣官房審議官 安藤 勝良君
通商産業省通商政策局次長 吉田 文毅君
通商産業省貿易局長 畠山 襄君
通商産業省産業政策局長 杉山 弘君
通商産業省立地公害局長 安楽 隆二君
工業技術院長 飯塚 幸三君
事務局側
常任委員会専門員 野村 静二君
説明員
警察庁刑事局保安部生活経済課長 泉 幸伸君
経済企画庁国民生活局消費者行政第一課長 植苗 竹司君
経済企画庁国民生活局消費者行政第二課長 吉田 博君
大蔵省主税局調査課長 長野 厖士君
文部省初等中等教育局中学校課長 辻村 哲夫君
厚生省薬務局監視指導課長 舩橋 光俊君
自治大臣官房企画室長 小島 重喜君
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本日の会議に付した案件
○訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
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○委員長(大木浩君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
昨二十五日、梶原敬義君が委員を辞任され、その補欠として鈴木和美君が選任されました。
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○委員長(大木浩君) 訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。田村通商産業大臣。
○国務大臣(田村元君) 訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
近年、小売販売の方法が多様化する中で、訪問販売等が急速に成長しているところでありますが、一方で、訪問販売、通信販売及び連鎖販売取引をめぐり消費者トラブルが多発し、また、その手口も多様化、複雑化しております。
このような状況にかんがみ、訪問販売等の取引の公正及び購入者等の利益の保護をさらに図るため、本法律案を提案した次第であります。
次に、法律案の内容を御説明申し上げます。
第一に、訪問販売及び通信販売に係る取引並びに連鎖販売取引について規制の範囲を拡大することとしております。
すなわち、訪問販売、通信販売及び連鎖販売取引に係る規制対象に、これまでの商品に加えて、新たに、役務の提供等を追加することとしております。また、営業所等において行われる取引であっても、営業所等以外の場所において呼びとめて営業所等に同行させて行うもの等政令で定めるものについては、訪問販売として規制の対象とすることとしております。
さらに、連鎖販売取引については、物品の販売事業で再販売をする者と取引をするものという従来の連鎖販売業の定義のほか、新たに、物品の販売事業で受託販売または販売のあっせんをする者と取引をするもの、役務の提供事業で役務の提供のあっせんをする者と取引をするもの等を追加しております。
第二に、訪問販売において、一定の期間内は無条件で契約の解除等を行い得る、いわゆるクーリングオフ制度を拡充することとしております。
すなわち、クーリングオフに関する事項を書面により告知しなければならないこととしております。また、これまでクーリングオフができないこととされていたいわゆる現金一括取引についてもクーリングオフができることとしております。
第三に、訪問販売業者が契約の締結について勧誘をするに際しまたは契約の解除等を妨げるため、重要な事項につき不実のことを告げてはならないこと、訪問販売業者及び連鎖販売取引に係る統括者等が契約を締結させまたは契約の解除等を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならないこと、さらに、通信販売業者が広告をするに際し、著しく事実に相違する表示をしてはならないこと等訪問販売業者、通信販売業者及び連鎖販売取引に係る統括者等が行ってはならない行為を定めることとしております。
第四に、主務大臣は、訪問販売業者、通信販売業者または連鎖販売取引に係る統括者等が本法の規定に違反した場合には、これらの者に対し必要な措置をとるべきことの指示、業務停止命令等をすることができることとしております。
第五に、訪問販売業者及び通信販売業者の取引の適正化に関する自主的努力を一層促すため、これらの業者により組織する協会についての規定を設け、その苦情処理に関する責務について規定することとしております。
第六に、販売業者が売買契約に基づかないで一方的に商品を送付する商法、いわゆるネガティブオプションにより送付された商品について、販売業者がその返還を請求することができないこととなる期間を、原則として三月から十四日に、また送付を受けた者がその商品の引き取りを請求した場合には一月から七日に、それぞれ短縮することとしております。
その他、権限委任、罰則等所要の規定を整備することとしております。
また、衆議院において、訪問販売及び割賦販売におけるクーリングオフの期間を七日から八日に延長する旨の修正がなされておりますので、申し添えます。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(大木浩君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後刻行うことといたします。
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中略
午後零時六分休憩
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午後一時十二分開会
○委員長(大木浩君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対する趣旨説明は先ほど聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
○福間知之君 訪問販売等に関する法律の審議に入るわけですが、近年のこの訪問販売によるところの消費者の被害の増加ということについては社会的な問題としても看過できない状況になっております。東京都の消費者センターが昭和六十一年度に受け付けた訪販トラブルというものは約七千七百件に上っておりまして、七年前のざっと約四倍に増加をしております。
この被害者の層につきまして見ますと、高齢者あるいは主婦、若者といったいわゆる社会的な弱者と言われる層が中心になっているようであります。このような被害者の層が偏っておる点については、昨年の当商工委員会におきましても特定商品等の預託等取引契約に関する法律の審議の際におきまして、いわゆる豊田商事問題での被害者に高齢者、主婦等が多いという指摘がなされました。以来、実態は少しも変わっていないように思われるわけでございます。
現状のこの消費者トラブルにつきまして通産省はどう認識をされ、その原因なり背景はどこにあると分析をされておりますか。さらにこうした理由に対しまして行政府の対応といたしましてはどういう処置をとっておられるのか。私はお年寄りなどをねらうこの悪徳商法、これからもこれは増加すると思われますので、地域社会あるいは地方自治体といった行政庁の対応におきましても今後適切に対処してもらわなければならないと感ずるわけであります。
以上申しました総論的な一つの被害についての状況認識でございますが、通産省、経企庁、自治省、警察庁それぞれの立場で見解をお聞きをしたいと思います。
○政府委員(末木凰太郎君) まず全般的なことを、通産省でございますがお答えいたします。
通産省の消費者相談室、これは本省と各地の通産局にございますが、ここで受け付けました訪問販売に関する相談件数、これを時系列で見ますと、五十三年度には五百九十件でございましたが、六十一年度には千七百一件、約三倍この間増加しております。相談件数に占める比率も一割程度にすぎなかったものが六十一年度には二割を占めるに至っております。
それから、これはまた経企庁の方からお答えがあるかもしれませんけれども、国民生活センターそれから消費者生活センター等のものは、これは大変大きな数字でございまして、六十一年度十一万件で全体の三四%と承知しております。
中身につきましては、かつては品物の性能とか規格とか品質とかそういった物に着眼したものが多かったんでございますが、最近は契約の仕方とか契約条件等に重点が移り、また品物以外の役務が増加してきております。
さらにまた、その態様といたしましては、典型的な家庭の住居の訪問以外に、路上でお客さんに呼びかけるキャッチセールスとか、あるいは電話でいろいろ申し向けて呼び出して契約させるようにしむけるいわゆるアポイントメントセールスとか、こういう場所的な態様も変わってきております。それから、セールスマンの具体的な活動のあり方につきましても巧妙化、多様化、複雑化してきておりまして、例えば誤解を与えるようなセールストークに基づいてそうでなければ契約しなかったであろうものを契約してしまうとか、あるいはまた、強引な勧誘によって心ならずも契約してしまうとか、あるいはまた、法律で保証されておりますクーリングオフ、無条件解約権の行使をいろんな手口で妨げてその権利を行使させないとか、そういった態様がふえてきております。
さらにもう一、二これを砕いて例を申し上げますと、例えば誤解を招くようなセールストークとしましては、法令によって設置義務があるとか言って例えば消火器を売りつけるとか、あるいはそのセールスマンが、あるいはセールスマンの所属する会社が官公庁の許可認可を得ているというように誤解をさせるように申し向けまして相手方に信用をさせるとか、その他いろいろの手口がございます。
私どもは、こういった消費者トラブルの実態に対応いたしまして、一昨年の末以来、訪問販売等問題研究会という研究会の場で実態分析から始まりまして対応のあり方について勉強してまいりました。そして、その成果を踏まえましてさらに産業構造審議会にもお諮りをいたしました結果、答申をいただきまして、次の三つの柱によってこの状態に対処していくという考えでございます。
と申しますのは、一つは法規制の強化でございます。やはり正すべきものは法律によりましてきちんと正す、一罰百戒の効果を上げるということでございます。第二に、業界による自主規制の強化でございます。非常に数の多い現象でございますので、政府は全力を尽くしますけれども、業界の中でも相互監視といいますか、良貨が悪貨を駆逐するような仕組みを大いに活用していこうということでございます。第三が消費者啓発でございまして、最後は消費者自身が自分を守るという意識をはっきり持ってそれなりに努めていただく必要があると思います。この三つの柱に沿って今後の対策を講じていきたい。
その柱の一つとして法規制の強化でございますが、これにつきまして今回御提案申し上げておりますのがこの改正案でございます。そのほか、消費者啓発等につきましても所要の助成措置を講じていく考えでございますし、業界の自主規制についても必要な指導を行っていく考えでございます。
以上、概括的に申し上げました。
○国務大臣(中尾栄一君) まず、状況については先に事務方から説明させて、私の考え方を後に述べたいと思います。
○説明員(吉田博君) 国民生活センターあるいは消費生活センターに寄せられております消費者の苦情は、六十一年度で見ますと約三十九万件となっております。
その特徴でございますが、今通産省からも御答弁ございましたように、商品からサービスへ重点が移っているということ、それから販売方法であるとか契約方法の比重が非常にふえておるということがございます。しかも非常に悪質化をしておるという状況にございます。現状といたしましてはそういうことでございます。
○国務大臣(中尾栄一君) 福間委員にお答えさせていただきたいと思います。
いわゆる悪徳商法というものに対しましては、従来から消費者保護基本法の趣旨に基づきまして、消費者被害の防止のために、関係省庁、地方公共団体と連絡をとりながらその対応に遺漏なきを期すという形でやっておるわけでございます。
今からの問題といたしましては、何としても消費者の啓発の推進というものが一番被害の発生防止につながるのではなかろうか、このように感ずるわけでございまして、先ほど委員御指摘がございました、比較的に若者、婦人、老人というのに多いということにかんがみましても、まず若者に対しては学校教育などの、幼児教育とは申しませんけれども、少なくともプライマリースクール、小学校の段階のころからは、そのような啓発に関する教育事項で徹底をさせていくべきであろうなというように感じます。
同時にまた、婦人並びに老人というものに対しましては、これは社会的な啓発を徹底して行わなければなりませんので、小学生あるいは中学生の場合はこれは文部省関係とも相談をいたしますが、同時にまた、関係各省庁といいますると、時に総務庁にも関係がございましょうし、もちろん通産は言うに及びませんけれども、厚生省等とも話し合いまして、この老人や婦人に対しても適切なる宣伝、適切なるこれに対する知識の普及というものに努めなければなるまい、このように考えておるわけでございます。
そのような意味で、これはある意味においては、被害者、加害者と、こう言いますけれども、時に私の目から見ましても、単なる被害者だけで主張でき得るのかと。ある意味においては加害者にもな
り得るかもしれないという声もあるほど、ある意味においてはチャンスをねらっては自分自身ももうかったときには黙っておる、損をしたときには文句を言い出すというような面もないわけではございませんから、そういうことも含めまして、もう少しこういう点は徹底して教育普及の面が大事かなと、このように考えておる次第でございまして、関係省庁ともそのような形で対応していきたいと考えておる次第でございます。
○説明員(小島重喜君) 消費者トラブルの未然防止につきましては、今も大臣からもお答えがございましたけれども、私どもも、何と申しましても賢い消費者をつくる、未然に防止をするということが最も肝要ではないかと思うわけでございます。
ただ最近、今お話ございましたように、いろいろ消費者のトラブルが起こっておることも、これはまた事実でございますので、こういうものに対して地方行政として一生懸命取り組むということは重要な課題であると私ども考えておりまして、現在それぞれの地域におきまして例えば消費者保護条例をつくる等々によりまして、各地方団体の実情に即して適切に対処しなきゃならないというように考えております。
自治省といたしましては、そういう中でやはり地方に対する財政措置というようなことも重要かと思いまして、所要額につきましても毎年度の地方交付税の基準財政需要額の算定に当たりまして所要額を計上しているというところでございます。
○説明員(泉幸伸君) 悪質商法につきましては、高齢者の方を初め一般消費者が多大の被害にかかっている現状にかんがみまして、警察といたしましても悪質商法による被害の未然防止、拡大防止を最重点に、悪質業者の検挙と消費者に対する広報啓発活動を推進してきたところでございます。
ちなみに、昭和六十二年中に全国の警察で検挙いたしました訪問販売等をめぐる主要事件に関連して、警察庁が把握した状況を申し上げますと、被害者総数約十二万人、被害総額は約百三十五億円というような数字に上っております。
警察では先ほど申しましたように、悪質商法の被害者とならないように悪質業者に対する監視と徹底した取り締まりを行うことはもとより、効果的な広報啓発活動を推進することが重要であるとの認識のもとに、これまでもテレビ、新聞等のマスコミを通じての広報のほか、パンフレットの配布やひとり暮らしのお年寄り宅に警察官が立ち寄るなどして、悪質商法の手口や撃退方法をお知らせしたり、あるいは防犯座談会を開催するなど、その被害防止に努めているところであります。
今後ともきめ細かな広報啓発活動を行うとともに、悪質事犯に対する徹底した取り締まりを行っていく所存でございます。
○福間知之君 今、通産、経企庁、自治省、警察庁、それぞれの立場で見解を述べていただきました。これはあえて私は四省庁に御足労を煩わした意味は、これほどこの訪問販売なり通信販売なりという今日の営業の態様がかなり広く社会的に拡散をし、またそこからトラブルが発生をしているということをお互いが認識をせなきゃならぬと、こういう意味であえて見解を求めたわけです。もちろん、この法律の主たる所管は通産省でございまするから、通産省として現在のこの改正案を提案されている立場ではあるけれども、なお問題がたくさん内在をしているような気がするわけでございまして、以下諸般にわたってお聞きをしたいと思います。
先ほど経企庁も申されましたけれども、長官も申されました消費者教育を考える研究会ですか、こういうのも経企庁にあります。あるいは文部省と連携をして消費者教育に当たろうと、こういうこともやっておられることは承知をしております。この消費者教育なりあるいはまた若者に対する学校教育なりという点については後ほど触れたいと思っていますので、ここでは触れません。
そこで、豊田商事が破産したときのことを思い浮かべてみましても、通産省のそのときの対応というのは、消費者に対して言うならば十分気をつけなさいよというPRはかなり行われたようだけれども、消費者だけじゃなくて、業者に対してどこまで消費者保護という観点でチェックをされ、あるいは勧告なり要請なりをなされたのかということが多少疑問であります。
しかも、この種の問題は間々後追いになっているということですね。やはり時期を失してしまっているということにおいて、責任者がとんずらを決め込んでしまうというふうな場合が間々あるわけでありまして、そういうことを考えると、先ほど審議官申されたわけですが、一つは法制的な対応、あるいは二つは業界の自主的な努力によって相互監視のシステムも整えてもらわなければならぬとか、あるいはまた、消費者に対する啓発活動、三つ挙げられましたけれども、まさにこの三つが同時並行で、あるいはまた今の場合は本当に重点的に力を入れて、特に二つの問題ですね、業界に対する指導監督、消費者啓発というのは、法律上の整備ということとあわせて、特に能動的にやらなきゃならぬ私は事態ではないか、こういうふうに思っておるわけであります。
以下、幾つか具体的にお聞きをしたいと思いますが、まず訪問販売法のあり方についてでございますけれども、現行の法律は、五十一年に制定されまして、五十九年にクーリングオフ期間を四日から七日という変更がなされ今日に至っているんですけれども、その当時の国民生活なり消費経済構造というものと今日とはかなりさま変わりをしていると思います。
先ほども触れましたように、消費者トラブルの被害が拡大をしているということを考慮しますと、従来のいわば私的な対等当事者関係、対等当事者の間における契約締結あるいはまたその契約を履行すべきだというふうな観点をめぐってのトラブルとは質的に異なったトラブルが今は発生しているんじゃないだろうか。現に裁判にまで発展している例が多々あるわけでありまして、その場合往々にして消費者の方が被告になるという例が昨今はふえているんです。業者が被告になるんじゃないんです。消費者が被告になるという例がふえている。業者の方は裁判に備えまして十分に準備をいたしまして、対等平等な個人同士の行為を前提とする市民法の考え方では今やこの種のトラブルを防止するということは不可能になっている状況だと思います。
この法律の改正案制定当時の趣旨と、その後実効性がどこまで上がったかということを踏まえまして、通産省はどういうふうな御認識をしておられますか、お伺いをします。
○政府委員(末木凰太郎君) 先生おっしゃいますように、五十一年にこの法律を制定いたしましたときには、市民法体系、対等な当事者としての市民法体系の法律である民法に対しまして、いわば最小限と申しましょうか、若干の修正を含んだ法律として制定していただいたわけでございます。
具体的に申しますと、売り手と買い手の間の契約関係が不明確なことによるトラブルが多いということに着眼いたしまして、その契約内容を明らかにする書面を交付する義務を課するとかあるいは意思形成において消費者側に十分な自発性、自主性がないまま契約をしてしまうというところに着眼をいたしまして、無条件解約権を消費者に与えるというような形の法律だったわけでございます。ですから、そこには行政庁が積極的に割って入るというような条文がなかったわけでございます。
それに対しまして、御指摘のとおり、紛争が数もふえ内容的にも多様化し、また態様としても非常に悪質なものもふえてきたという事態に対処いたしまして、今回の改正案では、そういう当事者間の関係の明確化ということもさらに一歩前進させるようには考えておりますけれども、質的にさらに立ち入りまして行政庁が一定の場合には行政行為をもって介入していって直すべきを直させる、業務改善とかあるいは必要な措置を講ずることを命ずるとか、それでも聞かない場合には業務
の停止という形で制裁を加えるとか、そういう条文を今回は加えておりますし、また業者が行ってはならない行為を列挙いたしまして、あるいはまた省令で追加し得ることにいたしまして、具体的な行為の規制を行っております。そしてまた、これらの規制を実効あらしめるために報告徴収とか立入検査とかの規定を設け、罰則の整備等を行っている。
こういうような形で今回の法律は、先生のお言葉によりますと市民法体系からの距離をさらに一歩進めたという考え方で御提案申し上げている次第でございます。
○福間知之君 ところで、この今の御答弁も要するに通産省当局として種々検討した結果のお考えと承知をいたしますが、検討された訪問販売等問題研究会、これについてお伺いしますけれども、約一年間かけて訪販業界などの取引適正化に各界の代表者によるところの議論が行われてきたと、こういうことでございますが、その委員構成はどうなっておりますか。
○政府委員(末木凰太郎君) 訪問販売等問題研究会は座長が名古屋大学の森嶌教授でございまして、座長以下合計二十四名の委員の方で構成しております。内訳は学界とかマスコミ等、いわば中立のお立場の方が七名、それから消費者とか弁護士の方が五名、それから訪問販売、通信販売業界及び今回は非常に対象が広くなっておりますので、種々のサービス業の関係とかあるいはクレジット関係の業界等からも御参加をいただきまして、そういった関係業界を含めますと、業界が十二名、合計二十四名で構成しておりました。
○福間知之君 今の御説明でも弁護士と消費者団体で五名とおっしゃいましたね。その中で弁護士は二人じゃないですか。消費者団体は三名じゃないですか。弁護士と消費者まとめて五名とおっしゃったけれども、消費者は二十四分の三じゃないですか。これは私はいかにも少ない。あるいは弁護士は二じゃないですか。ジャーナリストは中立などとおっしゃったけれども、一概にそうも言えない。委員の構成ではそういうふうに少し問題があると思うんです。
また、討論スケジュールにつきましても、月一回か二回で、一年間十六回やられたと承知していますけれども、この種の会議ではいささか少ないんじゃないかと、こういうふうに思います。この改正案が提出されるまでのいろんな前提になる状況を考えまして、私は多少疑問を持つわけであります。
今後、この種の研究会につきましてはぜひ消費者サイドにもう少し力点もかけて人員構成も願いたいし、あるいは運営もしたがってできるようにしてもらわなければ困ると思いますけれども、今後の運営についてこの構成を再考慮するお考えはありませんか。
○政府委員(末木凰太郎君) 消費者の数を何とか少なくしようという意図でこういう構成になったわけでは全くございませんが、先生御指摘のことはよく心にとどめておきまして、今後類似の場を設ける場合によく検討させていただきます。
○福間知之君 次は、日本訪問販売協会及び日本通信販売協会に関しましてお伺いします。
悪質な業者を締め出すためには、先ほどもお話がありましたように、業界の自助努力、あるいはまた相互監視の体制が必要だということは言うまでもありませんが、この日本訪問販売協会にしからば加盟していないいわゆるアウトサイダーがかなり多いと聞いていますが、同協会の会員数なり、あるいはインサイダーあるいはアウトサイダーの比率というもの、通信販売協会をも含めてお聞かせくださいませんか。
○政府委員(末木凰太郎君) 日本訪問販売協会の会員数は、現在のところ企業会員百六十五社、それから団体として加入しているものが十九団体、この十九団体の下部にはさらに企業があるわけでございまして、これらを合計いたしました企業会員は約千五百社でございます。アウトサイダーがどのくらいかということについては、正確にはわかりませんが、大体同数程度でございます。したがいまして、企業数で数えますと、インサイダー比率は約半分ということになります。また、協会の推計によります売上高でこれを見ますと、インサイダーは企業の頭数では五割でございますけれども、売上高では約八割がインサイダーでございます。
それから通信販売協会の方は、同じく、会員数三百五十一社でございまして、こちらの方は推定インサイダー比率は一二、三%と見ております。しかし売上高で見ますと、通信販売の場合には非常に大手の有名企業がやっております関係もありまして、八割。企業数では一二、三%でございますが、売り上げではやはり八割がインサイダーと推定しております。
○福間知之君 昨年の七月に、通信販売の現状と将来を展望する通販フォーラム87イン東京、何かこういう名前のフォーラムが赤坂プリンスで開かれたと承知しています。この会議で北畠課長は、通販業界に対しまして、クレームの増加を指摘するとともに、その対策として誤配遅配の防止、あるいは返品特約の拡充、苦情処理体制の整備などの強化を訴えたと承知していますが、現状を見る限り、通販に関する苦情について見ると依然としてふえ続けておると思います。通販よお前もかと言われるような状況が生まれているわけですけれども、こういうことの防止のためのポイントというものはどのようにお考えですか。
○政府委員(末木凰太郎君) 通販は訪問販売に比べますとトラブルは相対的には少ないと思いますが、しかしふえておるのは御指摘のとおりでございます。
この背景としては、やはり通販が現在いろいろな形態の小売業の中で抜きん出て成長率が高いということが背景にまずあると思うのでございます。これは、生活パターンの変化と商品の多様化によるものだと思います。特に家庭の主婦、女性の外出時間が長くなったということから、買い物は通販が便利だ、夜うちで家族で相談をして買い物ができるというようなメリットもあるんではないかと思いますが、そういったことを背景にふえておりますし、またトラブルも多様化しつつあると思います。
その態様といたしまして、主要なものは、いろいろございますけれども、表示広告の不適切というのが多い。それから、決められたあるいは広告にうたわれていた期限に品物が届かない。そのほかに、品物に欠陥があるというものもございます。概括的に申しますと通信販売の問題点はそういうところにあろうかと思います。
○福間知之君 それはまたもうちょっと後ほど触れたいと思いますが、厚生省に来ていただいていますので、ちょっと先に触れたいと思うんです。
医薬品の通信販売に関する質問でございますけれども、最近医薬品のカタログ販売というのがかなりふえつつあるような気配でございます。お隣の神奈川における生協におきましては五年ほど前から実施をしておるようですが、最近このかながわ生協とかなりタイアップしながら、共同でカタログつくったりしてやっている静岡の生協がやはり医薬品のカタログ販売をやろうとしたわけですが、その場合に、神奈川県側から薬事法違反ではないけれども好ましいことではないというふうな県側からの話があった。もちろんこれは県は厚生省と相談をした上で厚生省の意見を伝えたわけでございます。その結果、これは中止することになった。静岡で生協でやろうとしたのが、静岡は中止することになった。厚生省からお聞きすると、これは中止じゃない、延期だとおっしゃっていますが、事実上中止にせざるを得ないだろうというふうに当事者は言っております。これは、三月三十一日に厚生省は医薬品のカタログ販売についての通達を出しましたね。その中身が余りにも細か過ぎるということが一つの理由のようであります。こういう事態についてはどういうふうに認識をされておりますか。
○説明員(舩橋光俊君) 医薬品のカタログ販売の問題でございます。
医薬品はその性格上国民の生命に直接かかわる商品でありまして、薬事法によりその販売は許可を得た店舗による販売が原則とされております。厚生省といたしましては、医薬品の販売につきまして従来より対面販売の方式、つまり一般消費者に対し薬剤師等が直接効能効果、副作用あるいは使用取り扱い上の注意事項などを告げて販売する方式を指導してきたところでございます。
しかしながら、御指摘のように医薬品のいわゆるカタログ販売につきまして、近年いろいろな事例が見られるようになりましたところから、今般通知の形で厚生省のこの問題についての考え方を明確化したところでございます。
その内容といたしましては、まず医薬品の望ましい販売のあり方は対面販売の方法であることを基本にしております。その上でカタログ販売の形態に関しましては安全性を確保するという観点から、最低限守るべき条件を示しております。すなわち、第一に、販売店舗の名称、販売する医薬品の名称や効能効果、使用に当たっての注意などをカタログに記載すること。第二に、医薬品の使用に関する問い合わせに応ずる能勢を整えること。第三に、販売できる医薬品は副作用のおそれが少ないものに限定することなどであります。
厚生省といたしましては、今後このような考え方に基づきまして関係者を指導することとしております。
○福間知之君 今の御説明を聞きますと、医薬品は対面販売が原則的に望ましいと、こういうことですね。要するに、薬局へ我々が行って薬局のおじさんと話をしながら買う。これは常識ですな。だけども、現に通販というルートでもって医薬品が販売され出してきた。これはとめようがないという一応認識に立っておるんですかね。対面販売がいいんだと、対面販売がいいんだとすれば対面販売ということで割り切ったらいいんじゃないですか、指定商品から外せばいいんじゃないですか、とも考えられるわけです。
ところが、厚生省はそうじゃない、胃腸薬はいいけれども、風邪薬は副作用が多いからだめよと、言うならば、安全性を確保するというこういう考えで通達を出しているわけですね。しかも、そういうふうにどんどんと通販がふえてくると、みだりに社会的に問題を惹起してもいけないからルールをひとつつくらなきゃならぬ。厚生省という役所の立場ではそういう発想も無理からぬと思うんですけれども、これはどうなんですか、通産省も商品というものを考えた場合に、医薬品がそうなってくるというようなことはとても考えられなかったんじゃないかと思うんですけれども、そういう事態が起きているんですね。これは厚生省も今ちょっと困っておられるんですかな、この扱いについては。恐らく薬品メーカーはどんな姿でもいいや、売れれば結構だというに違いないんですから、ここらあたりの本音はいかがなんでしょうか。
○説明員(舩橋光俊君) 大体において委員御指摘のとおりでございます。原則的に医薬品は対面販売、薬局等で買っていただきたいというところでございます。ただ、最近の社会経済情勢の変化から、通販に対する需要みたいなものも一部であることは事実でございます。しかし、そうはいってもやはり原則がございますので、原則の範囲内で認められる安全性の高いものだけはカタログによる販売というものを認めようということにしたものでございます。ただし、その内容については、カタログでかなりいろいろな医薬品に関する注意等は詳しく書いていただくということを示しております。
○福間知之君 厚生省、だんだんとそういう販路が拡大をしてまいりますと、静岡の一件で、静岡県医薬品小売商業組合が厚生大臣あてに陳情書を出しているわけですね。これは一口で言えば、今おっしゃった対面販売でやられると薬局が困るという立場からの陳情だろうと思うわけなんですよ。行く行くは薬局業としては、そういうことが拡大していってしまうんであれば、事実上一件か二件かの免許を持った薬剤師の名前を借りてやるわけですから、薬事法の改正をすべきであるというふうなところに帰結するわけなんですが、そういうお考えはあるんですか。
○説明員(舩橋光俊君) 御指摘の要望書については私ども承知しておりまして、そのことも踏まえましていろいろな情勢を検討した結果、去る三月三十一日に通知という形で出したというものでございます。この通知は、薬事法の三十七条の店舗による販売というものはどうあるべきかということの解釈として出したものでございまして、当面このルールによって指導していきたいというふうに考えております。薬事法を今直ちに改正するというような考えはございません。
○福間知之君 医薬品の問題はきょうはその程度にとどめたいと思いますが、かなり問題が後を引きそうな気配を感じております。通産の方でもせっかく配慮をひとつお願いしたいと思います。
次に、訪問販売業界の今後の見通しに関しましてお伺いをしたいと思いますが、この訪販の中で今日不振が目立つ業界の一つに化粧品の分野がありますね。無店舗販売ランキングトップのP化粧品、御承知のとおりでございますね。P化粧品のマイナス成長に代表される今日の状況なんですが、その理由といたしまして一つは主婦の社会的な進出による在宅率が低下をしていること、二つ目には市場が飽和状態にあるなどの要因が挙げられておりますが、最近に至りまして化粧品のほかにミシンや寝具などにつきましても訪販の停滞が始まっておるようでありますが、今後の見通し、さらには逆に伸びる分野というようなものはどうなのか。落ちる分野と反対に伸びる分野というものはどういうふうに見通しておられますか。
○政府委員(末木凰太郎君) 訪問販売で売られている品物の類別の増減の状況を見ますと、確かにこのところちょっと様子が変わってきております。もちろん全体も伸び悩みでございますが、なかんずく化粧品が六十一年には前年比約一〇%ほど落ち込んでおります。そのほか書籍、教材も九%の減、健康食品はたまたま前年四割増という大きな増加をした後で、その反動かと思いますが、四九%減というようなことで、従来訪販の主力をなしていたものの幾つかが様子が変わってきていることは事実でございます。しかし他方、家庭用品のカテゴリーが前年比四二%の増でございまして、これは今申し上げているのは六十一年でございますが、前年の六十年にも一四%伸びておりましたから、家庭用品は二年続いて大幅な伸びでございます。
さて、これ全体の動向をどう判断するかでございますが、まずトータルにつきまして、今までずっと前年比二けたの増加を示してきておりましたのが、六十一年に至って五%増ということで落ち込んだのでございますが、これの評価でございますが、六十一年は小売全体の売り上げが前年比一%という低い伸びでございましたから、これと比較すれば五%というのは高い伸びではありますが、そのとき通信販売の方は一七%伸びておりますので、訪販、通販といいますけれども、通販と比較いたしますと、非常に頭打ちの傾向が見られるわけでございます。
どうしてそういうことになったかということでございまして、これはまだここ一、二年の傾向ですから断定的なことは申し上げにくいのですけれども、御指摘の主婦の在宅率の低下というのが大きく響いているのであろうということは関係者の大方言っているところでございます。そのほか、ここ数年訪問販売にかかわる消費者トラブルが非常に多発いたしまして、社会的に大きな話題になったということもかなり響いているのではないだろうかと思われます。
今後につきましては、そういうわけでなかなか予測は難しゅうございますけれども、ここの趨勢を見れば、製品の多様化等を背景に従来比較的まだ浸透していなかった家庭用品の分野はなおしばらく伸びるのではないかと見る人が多いようでございます。
○福間知之君 まあいいでしょう。ここで我々国会がどの分野は伸びて伸びないというようなことをあえて社会に公表するようなことは余り望ましくないと思いますので、その程度でいいです。
ところで、公正取引委員会にお聞きをしたいんですが、P化粧品に対する個別指導の問題についてであります。公取委はP化粧品に対しまして、再販維持の問題とか、本社と販売者間における商品取り扱いは果たして買い取りなのかどうなのか、あるいは三つ目には決済方法あるいは本社の優越的な地位の乱用、五つ目には不公正取引、六つ目には返品及び景品問題などなどについて個別指導したことがありますか。あればその内容について明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(土原陽美君) 公正取引委員会では昭和五十八年から五十九年にかけまして訪問販売化粧品業界の取引の実態等について調査をしたところでございます。その結果、訪販化粧品メーカーとその営業所との取引が形式上は委託販売になっているけれども、実質的には売買であって再販売価格の拘束となっていないかと見られるような状況あるいはまた営業部員の募集に際しまして、事前に適切な情報が開示されていないといった状況等が一部に見られたわけでございます。そういうことでございましたので、昭和五十九年の十一月に、今先生御指摘の企業を含めまして個別に契約等の指導を行いますとともに訪販化粧品工業協会に対しまして会員企業の取引の改善を推進されたい旨の要望をしたところでございます。
これを受けまして、訪販化粧品工業協会の方は昭和六十年の十月に自主基準を作成いたしまして、会員企業の取引の改善を図っているというふうに私どもは承知しております。
○福間知之君 第百二国会、衆議院の商工委員会でございますけれども、訪販化粧品業界の問題点が取り上げられました。
公取によりますと、そのときに六つの化粧品会社に対して独禁法上問題にならないように公正取引をするように改善指導をしている、こういうことが明らかにされたんですが、それは今おっしゃられた話ですか、六社と聞いていますが。しかも、まあ私はこのP社あるいはまたS社が入っていると、こう見ておったんですが入っていないようですけれども、それならばどこが対象になったのかということですけれども、それはともかくこの改善命令が十分にその後浸透しておるかどうか、公取としてはどうお考えでございますか。
○政府委員(土原陽美君) 今御説明いたしましたように、工業協会の方も自主基準をつくって努力しておりますし、また個別に契約等是正を要請しました企業はその辺の改善を図っていると思っております。
私どもとしましては、今後ともその自主基準あるいは我々の指導というのを遵守しているかどうか十分見守っていきたいと思っている次第でございまして、これからも独占禁止法上問題となるような具体的な事例等が出てきた場合には厳正に対処してまいりたいと考えております。
○福間知之君 同じように指導をされたS化粧品総合本舗、かなり悪質な販売をやってきたために、これは通産省や東京都の消費者センターなど関係機関が行政指導あるいはまた倫理綱領の遵守等を通達されたようでありますが、実効は上がっておるとお考えでしょうか、あるいは消費者からの苦情はいまだに続いているんじゃないですか。
○政府委員(末木凰太郎君) お尋ねの個別な案件につきましては、ただいま具体的な資料を持ち合わせておりませんので、お許しいただければ調べまして後ほど御報告させていただきたいと思います。
○福間知之君 公取は。
○政府委員(土原陽美君) 今先生御指摘の事案は、私ども十分承知していないところでございます。
○福間知之君 実はその肝心なところで明確な答弁がなされないわけで、要は行政指導とか倫理綱領を守れとか言っても馬耳東風でね、面従腹背で、ある時期までは頭を隠してしり隠さずで行く、こういう傾向がこの種の問題の場合あるわけですね。
私がお聞きしたいのは、なかなかそういう実情だと仮定するならば、やっぱり業務停止という権限発動をあるいはする必要があるんじゃないのかということをお聞きしたいわけです。先ほど一罰百戒ということをおっしゃったでしょう。そうなんですよ。単に机の上でやわらかに話しているだけじゃなかなか実効は上がりにくいという、そういう趣旨でお聞きをしているんですけれども。
○政府委員(末木凰太郎君) 今の個別のケースに限らず一般的にお答えいたしたいと思いますが、これまでは確かに行政庁の関与する仕方というのは限られたものしかなかったわけでございます。限られたものというよりもほとんどなかったわけでございます。今回は、その改善指示とか業務停止とかあるいは立入検査とかございます。随分変わってくると思います。
今までですと、事情を調べるにしてもとにかく役所に来ていただきまして、あくまで協力ベース、納得ベースで、一体どういうことになっているんだと事情を聞いて、それに基づいて改善指導をしているわけでございますから、向こうが事情を隠す気になれば、それをもう徹底的に調べることは正直言えば非常に難しかったわけで、周りから傍証で固めていくしかなかったわけでございますけれども、今度はおかしいと思えば直接事業所へ立ち入って調べることができますし、帳簿書類を点検することもできますので、必要に応じてこの権限を有効に活用し、指導がいいかげんに終わらないようにしたいと思います。
○福間知之君 なかなか調子のええことをおっしゃるけれども、期待していいのかどうかちょっと疑問でございましてね。確かに今回の改正で一歩前進したというふうに私も率直には思いますけれども、なかなかやはり業者の側は業者の側で新たな法律ができればそれをいかに上手に脱法するかということを考えるわけでございまして、イタチごっこみたいな関係が続いているわけであります。
ところで、この訪問販売のトラブルが先ほど来触れていますように多発をしておる中で、今回の改正でも要するに訪販業者の行為に関しまして規制をするということのみでありまして、訪問販売業というその業種に対して、そのものの規制を行うということではないわけです。この点、かつて同じように消費者トラブルが多発しました不動産取引だとか、いわゆるサラ金等については宅建業法やサラ金業法でもって一定の資格を備えた者に対してのみ営業が許されている、こういうことになっています。その結果、この不動産取引やサラ金においては以前に見られるような激しいトラブルは昨今は影を潜めております。
こういうふうに業規制というものを行わない限り、訪販についても今後トラブルが減少することはなかなか期待しにくいんでございます。宅建業法やサラ金業法によってその職を追われたところの悪質な業者というものがかなりこの訪販業の方に侵入、なだれ込みをしてきているんじゃないかとも思われるわけでございますが、訪販業というものについてどうなのか。私は子供の時分から大阪で育ったんですが、富山の薬売りというのがありますね。非常にほのぼのとして、しかも極めて常識的で、業者も信用を第一の売り物にして年に何回か訪問をされてくる、こういうふうな信用のあるやり方をみんなが心がければ、許可制だとかなんとかいうようなことを私はあえて必要だとは言わないんですけれども、どうも世の中は必ずしもそうじゃないようでございますので、訪販業については業規制というものがやっぱり必要じゃないかなというように感ずるんですが、いかがですか。
○政府委員(末木凰太郎君) 業規制の必要性についてはそういう御意見も各方面にございました。そこで、先ほど来申し上げました研究会、それから産業構造審議会におきましても大きな議論の柱の一つとしてこの開業規制問題が検討されたわけでございます。
結論といたしましては、お諮りしております法案ではこの開業規制を取り入れなかったのでございますけれども、そういう結論に到達いたしました理由といたしましては幾つかございますが、ま
ず第一に、これは教科書的で恐縮でございますけれども、何らかの開業規制をかけるということは、それなりに営業の自由の原則に対する例外でございますので、これはなかなか慎重に検討する必要があるということで、そのほかの方法でどうしても目的を達することができないんだろうかという点の詰めがなお必要ということでございます。
特に、この訪販につきましては関係する企業の数が非常に多いわけでございます。先ほど御質問に対しまして協会のインサイダー千五百社、アウトサイダーも約同数と申し上げましたが、これはいわば会社形態をとっている企業だけ申し上げたわけでございますが、そのほかに個人営業の形で訪問販売をやっている人がたくさんいます。これは家庭の主婦が何とかレディーという形で化粧品を売っているのがたくさんあることは御承知かと思います。この大半は会社の従業員ではございません。会社との関係では独立の営業主という契約を結んでおりまして、個人営業、個人商人という形で営業しておりますので、法律的にはこれも開業規制をすれば規制を受ける義務者になってまいります。
そのほかに、小売店というのは百六十万ございますけれども、百六十万の小売店のかなりのものが定期的または不定期的に訪問販売をやっているものがございます。したがいまして、これも規制の対象に入ってまいります。そういうわけで、数十万あるいは百万にも及ぶ零細な営業主にこの開業規制の網をかけるということになりますが、そこまで今やる必要があり、またそれが適切、効果的であろうかという点はなお問題があるように思われます。
次に、それでは悪質なものはごく一部なので何とかそれをより分けて、そこだけ網をかぶせるような工夫ができないだろうかということも検討いたしたのでございますけれども、なかなかいい方法がない。無理にそういった線を引けば、それを利用して悪質なものほど脱法で逃げてしまうんではないか、こういったいろいろな問題点がございました。
他方、仮にこの百万を超える対象に網をかけるといたしますと行政庁としての事務も相当膨大なものになります。非常に簡素な開業規制にいたしましても、それでも膨大な数のものについての届け出書類あるいは登録書類の真偽のほどを確かめるということは最小限必要ですし、その変更の後それをトレースしていくこともどうしても必要になります。そこで、限られた行政体制のもとで現在最も有効に対処するためにはどうしたらいいかということを考えた場合に、開業規制という形でそこにエネルギーを投入といいますか、分散投入になるわけでございますけれども、それよりもその悪質な業者に関する情報をいろいろな手段でできるだけ漏れなく集めましてこれをフォローする、そしてそこに重点的に監督、取り締まりの目を向けるということが、今この段階においては一番適切、効果的なんではないだろうかというふうに考えたわけでございます。
そういう観点から、開業規制という形を導入いたしませんでしたけれども、できるだけ工夫をいたしまして、悪質な業者の所在なり動向なりについては把握をしてまいりたい。
たまたま本日の新聞に報ぜられておりますけれども、昨日から日本消費者協会を中心といたします関連十一団体の間で、当省の指導によりまして消費者トラブルの情報交換のネットワークが、コンピューターを使うものが稼働を開始いたしました。当面はこれはテストランでございますので、今いわば実験的にまず動かしてみるわけでございますが、こういったものも活用いたしまして、各地のトラブルがありますと、どこで何という業者がどういうことをやったというものを入れまして、これがお互いに共有情報になる。そういたしますと、おっしゃるようにある業界から悪質な業者が当訪販業界に流れてきた場合に、一体どこでどういうことをたくらんでいるのかというのが非常に明らかになる。これはまだ始めたばかりでございますから断言できませんけれども、かなりこれを追及しやすくなるんではないか、もちろん従来型の情報交換網によるものも併用いたしまして、こういったことで全力を挙げてまいりたいと思っているわけでございます。
○福間知之君 詳しく説明がありましたので質問を省略いたしますけれども、訪問販売を自由に認めるということが消費者にとって果たしてどうなのかという観点が一つ大事だと思うんです。
総理府の調査によりますと、これはどれだけの質問を発したのか知りませんが、回答者の八四%が訪問販売は必要ない。さらに回答者の六四%が被害に遭ったことがあるという調査結果が総理府の調査で出ているようでありますが、そうであるとするならば、その限りにおきまして訪問販売を自由に認めることのメリットはほとんどない。むしろこれを業として規制する必要の方が当を得ている、今の被害の状況から見ても、また、これからの見通しを考えても、かなり厄介ですから業としての規制をする方が当を得ている。
それで、今御説明にあったように、正当に商売をしている業者は、むしろ業として規制してちゃんとやってもらった方が、悪貨が良貨を駆逐するのじゃなくて、良貨が悪貨を駆逐することに通じて消費者保護にもつながる。こういう観点だろうと思うんです。確かにこれは非常に難しいです。私も業として規制するためには大変な手数がかかるということはあるんですけれども、その前に、今申したように果たしてそういう訪問販売などが必要なのかどうかということです。これも一遍原点に返って考えてみるべきです。
もちろん諸外国においてもそういうものが否定されていないというようなこともこれは承知をしておりますが、日本の場合は非常にその点事情は種々ふくそうしておりますね。先ほどの御答弁の中でも、また私も申し上げましたけれども、主婦が不在であるというケースが多い。その不在の主婦は他の訪問販売で仕事をされているということも考えられるわけですね。あるいはまたどこかへパートで働きに行っておられるというような、そういうように非常に複雑に社会の勤務形態というものが錯綜しておりましてね。そういう中での事柄ですから、一概にこの業規制が必要だと、こういうふうに私も断定はしかねるのですが、かなりそういう気持ちに近いものを最近は感ぜずにはおれないというふうに思います。
警察庁から先ほど被害状況の御説明がありましたのでお聞きしませんけれども、そういう被害状況というものは氷山の一角なんですね。大体弁護士会によれば、一%であると、実際はそれの百倍以上被害が出ているんだと、こういう見方をする向きもあるんです。だから、数字でごまかされちゃならないというふうに思います。
次に、そういう被害がふえておるという中で、これは業者が手をかえ品をかえ広範多岐にわたって商品を扱っておるわけですから、規制を厳しくしてもなかなか効果につながらないという面があります。もともと詐欺を目的とするグループが一部に存在するわけですから、そういう集団が善玉を装いまして法規制の網をくぐって訪問販売を展開していると、こういう姿があるわけです。したがって、摘発を受けたらすぐ倒産してしまって夜逃げ同然に責任追及ができないような、そういう事態も発生をしております。
そこで、一つの考え方として、今回の法改正のキーポイントとされた届け出制や指定商品制の廃止を採用しなかった代償といたしまして、消費者以外に関して国の責任で救済措置を考えるべきではなかったかなという考えも一つするわけですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(末木凰太郎君) 大変難しい御質問でございまして、国の責任の範囲というのはどこからどこまでというふうに考えるか、または救済のあり方というのもいろいろな考え方があろうかと思うんでございます。
私どもはまずやはり被害の発生をできるだけ防止するということでこの法律改正をお諮りしておりますし、また消費者啓発等についてもそういった趣旨で幾つかの措置を講じつつあります。業界にもそういう意味の努力を要請しております。
中心はそういう制度面の整備であろうかと思いますが、現実に何か事故が発生した場合、消費者の救済をどう考えるかということでございますが、これはどうも今のところは、いわば制度として何か考えるというのはいかがかと思うわけでございまして、個々のケースに応じまして消費者が相手の業者の責任を追及しやすくするような仕組みを考えていくということではないかと思います。あるいはまた個々のケースで、消費者が危ないと思ったときに解約できるということでクーリングオフの制度を使いやすくするというようなことではないかと思うわけでございます。
しかし御指摘でございますので、そういう問題意識につきましては今後とも実態を見つつ勉強を続けていきたいと思います。
○福間知之君 次に、今回の改正に当たりまして、指定商品にプラスして指定役務というものを対象にされたことは一定の評価をしているところでございます。しかし先ほども触れましたように、指定商品であれ指定役務であれ、被害が発生した後で対策をせざるを得ない、こういう傾向があるわけです。したがって、翻ってこの指定商品、指定役務制度を維持している限り悪質な訪販業者はなくならない。指定されていない商品を一生懸命に探したりして新たなサービス業を行おうとする。
この点、制度の合理性という面から考えまして、指定商品制などをとるよりも、一般的に訪販取引を規制した上で、日用品や食料品などの生活必需品等に限って訪販法の規制を行わないところの除外方式というものをとる方がいいのじゃないか、実態に即しているんじゃないかと思われるんですが、そういう除外方式をとらない理由はいかがなものですか。
○政府委員(末木凰太郎君) 指定商品制がいいか除外商品制がいいかというのも論議としては大きな論点でございます。この点も研究会、産業構造審議会で十分御議論をいただいたわけでございますが、やはり現行法の指定制を維持することが適当であるという結論になったわけでございます。
その理由は、一方におきまして、御指摘のように、あらゆる商品が適用になるということであればそれは消費者保護という観点から非常に評価できることでございますけれども、一方法制度といたしましては、規制は必要最小限の法規制にとどめるべきだという考え方もございまして、いわばその折衷といたしまして指定制になっているということでございます。
さて、考え方としては指定制と除外制とは大きく違うんですけれども、現在指定商品制で指定ができないために大変問題になっているものはどんなものがあるだろうかということで具体的に考えてみますと、実は商品に関しましてはほとんど指定をしてしまって大きな問題はないというのが実情でございます。ただ現行法では、日常生活の用に供するものであって定型的な条件で販売に適するものを指定するということになっておりますので、現行法のもとでは指定したくても政令指定ができないものというのが幾つかございまして、これは問題が残っていると思います。
典型的には金地金でございまして、このようないわば財形的な動機で購入されるものは日常生活の用に供するものと言えないものですから、これは今指定できないわけでございます。今回の改正案では、この日常生活の用に供するものという要件を外すことにしておりますので、指定制を維持しましても今度はこれは指定し得ることになります。
金は改正法施行後に指定する有力候補として検討されることになると思いますが、金とか、あるいは日常生活かなということで疑問があってちゅうちょしていたものとして墓石なんかもございます。その程度、幾つか、二、三のものがいわば懸案でございますけれども、これは今回解決できることになります。したがって、実務的には指定制でも除外制でもそう大きな差が実はございません。役務の方につきましては、これは非常に千差万別でございますし、新しい役務がいろいろ出てまいりますので、それに伴う問題が一体どこにあるのかというのをチェックいたしまして、やはり当面指定役務制ということで法を適用していくのが適当だろう、こういう結論になったわけでございます。要はしかし、ぐずぐずして行政が怠慢なために問題を大きくするということのないように機敏に対応をしていく必要は痛感しております。
○福間知之君 次に、中途解約権についてお伺いをしたいと思います。
役務取引も規制の対象になったわけですから、役務取引というものの多くは継続的にサービスを提供させるという取引形態でありますし、商品提供についてもまた継続的に引き渡しが行われるものが多くなっております。これらの継続的な供給契約において、消費者が契約継続中に商品や役務をもう必要としないということになった場合、契約を継続させることの合理性はもうその時点でないわけであります。
消費者の利益のために将来に向かって契約の中途解約をする権利、これを認めるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。これは一部方法については私も別途の考えはありますけれども、考え方としてこの中途解約権ですね、これについてはいかがでしょうか。
○政府委員(末木凰太郎君) 中途解約権が実は法律論としては研究会の議論でも最も難しかったものではないかと思うわけですが、継続的契約というものについてなかなか法律学者の間でも議論がいろいろあるようでございます。それと実態の方も、消費者の方が一般的に継続的契約だとおっしゃっているものの中に、実は整理してみますと法律的には非常にいろんなものがございまして、ただいま先生御指摘のような役務の提供、これが典型的な継続的契約じゃないかと思いますが、例えば物の賃貸借とか何かのレッスンとか、こういったものを継続的にやっていてもうやめたくなったというようなケースでございますが、そのほかに例えば文学全集とかレコード、CDを毎月何枚ずつ買うとかいうようなもので、全体が一括して契約されていて物の引き渡しが何回かなされるようなもので、これは狭義の継続的契約ではないのじゃないかと思いますが、そういう実態も実は複雑でございます。
そこで、これを法律上解除権、解約権を仮に規定いたすとなりますと、いろいろ同時に解決しなければならない問題がありまして、この場合には何か瑕疵があって解約されるわけではなくて、状況の変化によってもうこれ以上は要らないからという解約でございますので、当然供給者、相手方に対して一定の補償はしなければならない。それは個々のケースでやるということであれば、現在でも民法で一定のことができる。したがって特別法でやるとすれば、そこを非常にやりやすくするために定型化した何かパターンをつくっていく必要があるわけでございますが、これは千差万別な役務については大変難しい問題でございます。そういったこともありまして研究会ではいわば継続審議ということで、私どもなお勉強せいということでお預かりしたわけでございます。
法律に入っていないわけでございますが、個々のカテゴリーごとにどういう合理的な条件ならば認めるのかということは、これは検討し議論し得るものでございまして、役務一般について制度化が難しいからということにこだわらずに、典型的なものにつきましては、勉強をいたしまして、当面法制上は改正法に盛り込んでおりませんけれども、業界に対する指導によりましてできるところから、そういったことが自主的に行われれば好ましいことだと思いますので、必要な指導はやってまいりたいと思います。
○福間知之君 研究課題として残されているということですか、今のお話では。具体的なやり方としてはいろいろ問題がある、困難性があるということで恐らくそうなっているんじゃないかと思うんですけれども、やっぱり消費者の立場に立って何らかの解約権というものについての手段を考えていくべきじゃないかということを申し上げておきたいと思います。
次に、訪販業者の禁止行為についてお伺いをしたいと思いますが、長時間にわたる勧誘や執拗な勧誘、あるいは刑法上の詐欺に該当しないけれども甘言を用いてなす勧誘、こういうものは規制の対象になっておりませんが、どういうふうに考えておられますか。
○政府委員(末木凰太郎君) 長時間にわたる勧誘とか執拗な勧誘、これらは法律で言っております「威迫して困惑させてはならない。」とか、そのほか重要事項の不実告知とかの関係でございますが、おっしゃいましたような個々のセールスマンの不当な行為の類型の、どれが今度新しい法律の禁止行為に該当するかというのは一概にはなかなか言いにくいことだと思います。例えば、ただ長時間勧誘していたとか、しつこく勧誘していたというだけで今度の法律に該当するかというと、それはなかなか難しいんですけれども、しかし状況によっては長時間居座って、またしつこく、あるいは何人かで取り囲むようにしてというようないろんな状況が重なった場合にそれが威迫ということにつながっていくのかもしれません。したがいまして、五条の二の禁止行為に該当するかどうかというのはあり得るとは思いますが、ケースによるのだろうと思います。
一方また、五条の三で省令で定める不当行為というのがございまして、これにつきましては今おっしゃったような行為が横行していることは事実でございますので、そういった事実を踏まえて、どういったものを五条の三の、つまり改善指示の対象とすべき不当行為として定めるかは今後詰めてまいりたいと思います。
○福間知之君 そこが少し私はまだ疑問があるんですが、威迫というような言葉がなかなか一般には理解ができない、脅迫ならわかるんですけれども、それは脅迫に当たるんだというふうに理解してもいいのかどうか。
それから、こういう威迫によって契約を結ばされたその契約の効力なんですけれども、いわゆる詐欺や強迫と違うとするならば保護されないということになるんですけれども、その点は、刑法、民法上どういうふうになるのかということであります。
○政府委員(末木凰太郎君) 五条の二の威迫の方は刑法で言う脅迫に至らない程度で、しかし人に不安を生ぜしめるような言動をいうものでございます。ですから、刑法の脅迫に当たれば当然これは刑法で取り締まられるわけでございますけれども、なかなか脅迫の認定までというのは難しいという実態に即しまして、それよりも程度の弱いものをこの法律で規制をするということでございます。
それから、そういった威迫されて締結した契約の効力、これを取り消し得るようにすべきかどうかという点もいろいろ議論のあるところでございますけれども、なかなか取り締まり法規違反とそれから私法上の契約の効力との関係というのは、これは訪販法だけではございませんで、いろんな取り締まり法規と私法上の契約との問題全般に響く問題でありまして、大変難しいものであります。
そこで、民法九十六条によりますと、強迫されて結んだ契約は取り消すことができることになっておりまして、こちらの方をさらに特則を設けるということは今回見送ったわけでございますが、それはいろいろ難しい議論もありますので、そこのところは、要は消費者をどうやって救うかという現実的な観点に立ちましたときに、取り締まり法規違反があった、あるいは威迫されたというようなことで取り消した場合に、業者の方が争っているとなかなか効果が上がりません。
そこで、そういったことも考えてクーリングオフの制度がこの法律ではあるわけでございまして、現状ではクーリングオフがまだ必ずしも十分使われているとは言えないものですから、威迫されて結んじゃったんだということを感じた消費者はぜひクーリングオフ期間中にこの権利を行使していただきたい。そうすれば業者が、いや私は威迫しなかったと言っても関係ないわけで、取り消すと言えばそれで有効に取り消されますので、私どもはまずはこの制度を十分に活用していただくようにPRに努めたいと思っております。
○福間知之君 それも一つの考えでございますが、私はさらにまた消費者の取り消し権あるいはまた解除権というようなものを、法律上は難しいにしても約款の上で認めさせるというふうな指導をしていただくことが大変望ましいと思います。
それから、今クーリングオフの問題が出されましたけれども、端的に言って、商品を実際に受け取ってから内容が違うのであれば慌てて解約を求める、あるいは商品が届く間にクーリングオフが過ぎてしまう、せっかくの制度が利用できないなどというふうな問題がなきにしもあらずでありまして、今回七日が八日に衆議院で修正されたんですけれども、商品を受け取った日を起算日にしてはどうか。これは当局も調べられて、スウェーデンの戸別訪問販売なんかでも消費者が物品を検査できる日、それを起算日としておるようでございますが、そういう点について今回は改正されなかったんですが、その点はいかがですか。
○政府委員(末木凰太郎君) 物を見てから、こんな物だったのかという消費者がいらっしゃるであろうことは否定できないんでございますけれども、理屈っぽくて恐縮でございますが、クーリングオフの制度は物に着眼した制度ではなくて、その契約を結ぶかどうかという意思形成のときに十分自主的な、自発的な意思形成が行われたかどうかという状況に着眼した制度でございます。
したがいまして、こんな物を買うんじゃなかったということでございますと、店に行ってカタログで物を買った場合でも同じような問題が起きてしまいまして、住居で契約した場合だけ特別扱いするのはバランスを失するという法律論がございますし、それからまた物を渡さないとクーリングオフの期間が進行しないということになりますと、例えば衣料品とかじゅうたんとかカーテンとか、寸法をとって多少の加工を加えて消費者に引き渡すような品物の場合には非常に不都合が生じまして、業者の方に一方的に負担が寄ります。寸法をとって供給してみて、それから何日かたったらクーリングオフされてしまった。品物は引き取ってお金は返す、損害賠償の請求、違約金の請求は法律で禁止されているということになりますので、ちょっと今度はバランスが逆に偏り過ぎるというような実務上の問題もございます。
現実にその方がいいという声もございますが、大方はクーリングオフの制度についてそもそも知らないとか、クーリングオフの権利の行使を妨げられたとかいうようなところが数は圧倒的に多いわけでございますので、今回はその起算点の変更は見送った次第でございます。
○福間知之君 時間が迫りましたのでまとめて質問して終わりたいと思いますが、一つはキャッチセールスの規制につきまして、改正案には従来から問題であると指摘されてまいりましたキャッチセールス及びアポイントメントセールスを訪販法の規制の対象にしたわけでございます。
消費者の権利を重視したものとして評価し得ると思いますが、その新設条文二条一項二号を見ますと、「営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者」という気になる規定の仕方があります。こうした規定を裏から見ますと、例の警察官職務執行法でいう職務質問の姿を思い出すのであります。キャッチセールス等の行為類型の定義の必要性は認められるわけで、これは規制しなければならないから認められるわけであります。しかし、呼びとめて同行させるという権利がキャッチセールス等をする者にあるかのような誤解を与えるのではないかと思うわけであります。逆に悪用されることになりはしないか。この点、当局のお考えを聞きます。これはキャッチセールスとアポイントメントセールスに関してであります。
最後の二つ目は、冒頭申し上げました消費者教育でありますが、特に文部省は先ほどの御説明にもありました経企庁の研究会あるいはまた産業構造審議会の答申等におけるトラブル防止のための消費者教育の必要性について、その考え方の上に
立って対応をされつつあると伺いますが、動向をひとつお聞かせを願いたいと思うのであります。
アメリカにおけるリソースセンターの動きなども参考にしておられますか、いかがでございますか。また、学校教育としても中学校程度からの啓発教育というものを必要とするんじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
○政府委員(末木凰太郎君) 第一点お答え申し上げますが、キャッチセールス、アポイントメントセールス、これらは消費者にアプローチする態様として最近特に問題になっているものでございますが、従来は訪問販売というカテゴリーに入らなかったわけでございますので、そもそもこの法律からは野放しだったわけでございます。そこで、これをとにかくこの法律の規制対象に取り込むことがまず必要であるということで、キャッチセールスの方は法律の二条に書いておりますし、アポイントメントセールスはそれを受けた政令で書く予定にしております。これを受けて、何か同行させる権利があるというようなことにとられるということは全くとんでもないことでございますけれども、確かに悪質業者からすれば、先生がおっしゃるような使い方をしないといって済ましているわけにもいかないと思います。悪用されないように十分これは制度のPRについては気をつけてやらなきゃいけないと思います。
また、五条の三の省令で定める不当行為の書き方のところでも、このアポイントメントセールスとかキャッチセールスについて、おっしゃるようなことにならないように、これはむしろ非常に悪いものであることが多いんだということをよく頭に置いた上で、五条の三の書き方も工夫を凝らす等によりまして悪用されないように十分気をつけてまいりたいと思います。
○説明員(辻村哲夫君) 消費者教育の問題は、学校教育の中でも重要な課題というふうに考えております。初等中等教育の段階におきましても、消費者としての必要な態度、知識を生徒の発達段階に応じて身につけさせていくということは極めて重要な課題だと考えておりまして、具体的には現在でも社会科とかあるいは家庭科というような教科の中で、小中高それぞれの学校種別に応じまして学習をさせているところでございます
ただ、近年の例えば取引の多様化というような変化に対応した面での対応ということでは、これからなおその面での充実を図っていかなければならないというふうに考えております。そういう意味で、消費者教育を考える研究会の御報告はそうした視点に立っての御提言でございまして、これからの教育課程の改訂を考えていく際に参考にさせていただきたいというふうに考えております。
それからまた、リソースセンター等についての御指摘もございましたけれども、何分にもこの問題が非常に専門性の高い問題であるということを考えますと、単に教育界だけでの対応では不十分な面もございます。そういう意味で教員の支援体制その他を含めまして、そうしたものにつきましても十分これから考えていかなきゃならない課題であるというふうに考えております。
○福間知之君 ぜひひとつ、時間がないのではしょりましたけれども、関係省庁で十分緊密に連携をとっていただいて、現代に生きる社会人としての一つの常識というか、心構えというものをやはり中学生時代ぐらいから徐々に認識をしていただくような取り組みはやっぱり必要だと思うんです。アメリカなんかではやっているようでございますので、日本では今まで我々は家庭でそういうことを身につけてきたわけですが、それだけじゃ不十分だという意味で申し上げました。
特に、複雑な訪問販売などの手口について具体的にいろいろ教育するということは困難にしても、またキャッチセールスあるいはアポイントメントセールスなど教育としてはなかなか難しいかもしれませんが、やはり実例を挙げてすればみんながわかってもらえると思う。同僚委員からアポイントメントセールスのテープを後ほど皆さんにお聞きいただくような準備をしておりますけれども、我々も勉強しなきゃならぬということを申し上げて、終わります。
○矢原秀男君 まず、豊田商事被害国家賠償請求訴訟に関する質問をいたしたいと思います。
四月二十三日土曜日の各新聞報道の夕刊によれば、「豊田商事被害 国家賠償を請求 詐欺商法規制怠る 大阪地裁へ提訴 九百五十六人、総額十七億円」の請求をいたした訴訟でございます。これらを見てまいりますと、悪徳商法を放置したという理由で国に対する責任、消費者行政の見直しというものを非常に厳しく要求をいたしております。結論からいえば国は無策ではないのかと、こういうふうなことで憤りの訴訟になっているようでございます。数点この点につきまして質問をしたいと思います。
先ほど申し上げましたように、二十三日に豊田商事事件の被害者九百五十六人が、十九都道府県で総額十七億円の損害賠償を国に求める訴訟を大阪地裁に起こしたものでございます。これまでに既に小グループによります国家賠償訴訟が二件起こされておりますけれども、約千人にも上る集団訴訟は初めてのようでございます。行政の責任を司法の判断に求めるものとしては、公害訴訟以来のまたまた大きな裁判であろうかと思います。
まず、これらを守るためには法案の一部改正も関係いたしますけれども、消費者保護基本法という議員立法で昭和四十三年五月三十日に立法化されたものが消費者を守る憲法として残っているわけでございます
この第一章の「総則」、第一条の「目的」にも、「この法律は、消費者の利益の擁護及び増進に関し、国、地方公共団体及び事業者の果たすべき責務並びに消費者の果たすべき役割を明らかにするとともにその施策の基本となる事項を定めることにより、消費者の利益の擁護及び増進に関する対策の総合的推進を図り、もって国民の消費生活の安定及び向上を確保することを目的とする。」。第二条の「国の責務」については、「国は、経済社会の発展に即応して、消費者の保護に関する総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」。「法制上の措置等」につきましても、第六条では、「国は、この法律の目的を達成するため、必要な関係法令の制定又は改正を行なわなければならない。」とあります。
また、第二章の「消費者の保護に関する施策等」の中の「危害の防止」についても、第七条、「国は、国民の消費生活において商品及び役務が国民の生命、身体及び財産に対して及ぼす危害を防止するため、商品及び役務について、必要な危害防止の基準を整備し、その確保を図る等必要な施策を講ずるものとする。」。今読み上げましたけれども、現時点に来るまでこの被害者の方々が国に責任ありというわけで訴訟に踏み切っておられるようでございます。
そこで、質問の第一でございますけれども、この今回の大規模な集団訴訟に至った経過に対して、行政当局、我々の当該委員会では通産省、経済企画庁、公正取引委員会が多くの省の中の中軸にあるわけでございますけれども、これらに対してどういう見解を持っていらっしゃいますか。まず、事務当局の代表の方にそれぞれ見解をお願いしたいと思います。
○政府委員(末木凰太郎君) 豊田商事事件につきましては、六十年六月の神戸地裁への提訴、それから六十一年三月東京地裁への提訴、その後もう一つ取り下げられました京都地裁の事案というのがございますが、これらは比較的小人数の訴訟でございましたが、今回大変大きな訴訟が提起されました。
私ども豊田商事問題につきましては、先生御指摘のような消費者保護基本法等も踏まえましてできるだけのことをしてきたつもりでございますが、しかしこのような訴訟を提起されましたということにつきましては、私ども被告でございますので、真剣に受けとめております。ただ、具体的なコメントにつきましてはまだ新聞に報道されたことしか承知しておりません。具体的な訴状はまだ入手しておりません。そういう被告という立場でございますので、具体的なコメントにつきまして
はこの場では差し控えさしていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても訴状等の送達を受け次第、関係省庁と十分に相談をして対処していくつもりでございます。
○政府委員(海野恒男君) 具体的な訴状内容につきまして、まだ明らかにされておりませんので、それにつきましてはコメントを差し控えたいという末木審議官の御発言と全く同じでございますが、先生は消費者保護基本法について政府の責務についても御引用されましたけれども、あの基本法の中には消費者の責務ということも同時に触れておりますので、その辺の兼ね合いをどう解釈したらいいのか、私どもは消費者保護基本法の中の消費者の責務ということの中に、非常に経済社会の変化に対応して常に研さんする必要があるということをこの基本法では述べておるわけでございますので、今後私どもとしては消費者ができるだけ賢明な消費者になっていただくようないろんな措置を講ずる必要があろうかと思っております。
○政府委員(土原陽美君) 通産省、経済企画庁からお答えがございましたように、私どもも本件訴訟が提起されたことは承知しておりますけれども、まだ訴状を入手していない段階でございますし、コメントを差し控えさしていただきたいと思います。今後、訴状を入手したところで法務省など関係省庁と相談した上で対応してまいりたいと思っております。
○矢原秀男君 そこで通産大臣にこの件について伺いたいと思いますけれども、当局もまだその内容の確たるものをつかんでおられないという御答弁でございますけれども、一読いたしておりますと、国の規制、そういうふうな問題等を中心として消費者保護基本法に基づく規制の権限というものを当時の国はどこまで行使すべきであったか、そういうところが大きな焦点になろうかと思います。
今も御答弁いただいておりますと、消費者の責務の問題もある、研さんをすべきではないか、また賢明な消費者になってほしいというふうな御注文もついているようでございます。しかしながら、やはり国の大きな行政の立場から見て、消費者といえば、早く言えば大きくつかんで国民生活、国民の皆さんと置きかえた方が私はいいと思うんでございますけれども、こういう多様化する生活の中で、今同僚委員のいろいろのこの法案に対する審議がございますけれども、その要求構造というものが非常に変わってきている。そういう非常に複雑多岐な中で、年々変わってきているその中で、国がいかに対応すべきであるかということは、これはまた国の一つの仕事であろうかと思います、国民に対して、消費者というよりも国民に対してですね。
そういう意味で、国家賠償請求訴訟に関係の方が踏み切っていらっしゃる、これは今後の問題は裁判の推移を見なければわかりませんけれども、現時点における通産大臣として、現況の分析判断、そうして今後の対応というもの、きょう発言できないもの等もあるかと思いますけれども、きょう現在御答弁をいただける範囲内で結構でございますので、そういう面を明確に答えていただきたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 実は、私自身がこれについて今発言をすることはいかがなものだろうかという気持ちがございます。
二十三日に大阪で御指摘のような訴訟が提起されたことは事実でございますし、これは十分承知をしておりますけれども、まだ訴状などの資料を入手しておりませんのでコメントのしようがないというところでございます。そういう資料等十分一度目を通して、また事情も聞いて、関係省庁とも協議をして対応しなければというふうに存じます。
○矢原秀男君 この問題につきましては、単なる豊田商事だけに関係する問題だけではなしに今審議が続いておりますこの訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案に大きく連動してくる、ひいては国民生活、消費活動における国としてやはりこの実態というものを教訓として、やはり国民生活を守っていかなければいけない、そういう国の本来の姿に大きく連動するものでございますので、その対処の方法というものを今質問をしたわけでございます。
続きまして、訪問販売等に関する法律案の審議に移らしていただきますが、多くが重複をいたしております。極力避けてまいりたいと思いますけれども、重複している面につきましては省略をして結構でございます。
まず、質問の第一は、訪問販売トラブルに対するこれまでの通産省の取り組みについて質問をしたいと思います。
近年、訪問販売等の無店舗販売の普及に伴い消費者トラブルが増加をしております。悪徳商法と言われる違法な訪問販売も多発をしておりますが、その経過でございますけれども、これらの現状に対して行政の対応が常に後手である、この批判というものが多く出ております。通産省としてもさまざまな取り組みをしていらっしゃるようでございますけれども、今日までの取り組みの経緯についてまず簡単に述べていただきたいと思います。
○政府委員(末木凰太郎君) 主として消費者トラブルに関する御質問でございますが、まず第一に、消費者に対する情報提供といいますか、警戒をしていただくという意味で、訪問販売のトラブル情報提供制度というのを実施してきております。これは、目立つようなといいますか、典型的なといいますか、一般に波及しそうな消費者トラブルを幾つかのカテゴリーとして拾い上げまして、こういった手口が最近出てきているので御注意くださいということで、被害が拡散するのを未然に防止しようという趣旨でございまして、六十年の五月以降やっております。これは、過去に三回発表いたしておりますが、要するに一言で申しますと手口の公表でございます。六十年の十一月と六十一年の十二月と六十二年の十二月でございますが、三回手口の公表をいたしております。
いろいろ時間もあるので一つ一つの手口を申し上げるのもどうかと思いますが、一、二の例を申し上げますと、例えばやせたくありませんかというような甘い言葉で女性に呼びかけて健康食品を買わせるとか、お肌の診断をしますということで化粧品を売りつけるとか、消防署員のような姿、形を装って、そういったせりふを使いまして消火器を売りつけるとかいろんな手口があるわけでございますが、こういった手口の公表を行いました。そして、もちろんこれにつきましては関係企業に対して是正の指導を行ったわけでございますが、大方は私ども指導をいたしますと従うのでございますけれども、どうしても従わなかった企業につきましては従わないということを確かめた上で企業名の公表も過去に一社行ったことがございます。
次に、もう一つ消費者トラブル連絡協議会というものを設けております。これも趣旨は同様でございまして、六十一年九月に設置したわけでございますけれども、通産省が幹事役になりまして、こういった問題に関係の深い十一団体の連絡協議会をつくっております。実は昨日第二十回の会合を開いておりますが、ここでは最近の消費者トラブルについての情報交換を行いまして、それぞれ他の機関がキャッチした情報を持ち帰って、それぞれのルートで流す、そして被害の未然防止に努めるということでございます。特にこの十一団体の中には直接物を売るという仕事の団体だけではなくて、これに関連する団体、例えばクレジットを供与をするクレジット企業の団体も入っていただいているとか、あるいは広告の審査をする、新聞広告を出すための事前審査をする団体にも入っていただいているとか、このように信用供与、広告関連等、訪問販売以外の関連団体も加わっていただくことによりまして、一層強力な仕組みになっていると思います。私どもはこれを早期警戒システムというふうに内部では呼んでおりますが、これについても従来活用してきたところでございます。
特に最近はまた、訪問販売等問題研究会等から三つの柱で御提言をいただき、同じことを産構審からも御答申いただいておりますが、それはこのような消費者に対する情報提供、啓蒙と、それから業界における自主規制と、さらに法規制の強化と、この三つについて御提言いただいておりますので、その三つの柱でやっておりますが、冒頭申し上げました消費者情報関係につきましては、さらにこれを進めまして、今の早期警戒システムをコンピューター化するということも実は昨日から始めておりまして、なお一層これの有効活用を図っていきたいと思っております。
○矢原秀男君 確かに被害について、消費者の啓蒙については努力をされている一面は評価もできるわけでございますが、私も手元の資料を見ておりますと、今お話があった六十年五月に訪問販売トラブル情報提供制度、六十一年の九月には消費者トラブル連絡協議会、六十一年の十二月には産業政策局内における訪問販売等問題研究会、それから六十二年の十一月に同研究会の報告、六十二年の十二月は通産大臣からの訪問販売等の取引適正化のための方策のあり方、こういうふうに非常に努力はされていらっしゃるのでございますが、果たしてそれが国民の家庭の中に実際に本当におりていくような、そういう徹底の仕方であるかどうかということになりますと、やはりこれはちょっとまだ問題があるなと私も感じているわけでございます。
そこで、訪問販売のトラブル情報提供の実績でございますけれども、通産省からこの制度に基づいて実際の情報提供の文書をいただきました。毎年ほぼ年末に出しておられるようでございますが、毎回同じような手口のものが紹介されておられる。また、消費者に対して注意を喚起するという点では評価はいたしますけれども、それがやはり根強くは周知、徹底はできない、こういうふうに私は受け取るわけでございます。また、当局から注意を受けた企業では、解散もしくは訪問販売の業務停止をある程度は行って効果的と評価をされているようでございます。
こういう中で、ちょっとトラブルの多い訪問販売の一覧等を見ておりますと、やっぱり一番多いのが利殖商法であって、海外の先物取引、国内私設市場先物取引、国内公設市場先物取引、こういう中でセールスマンとのやりとりというのが、「今買えば必ずもうかる」、「今なら損はさせない」と投機的な危険を告げずに、高収益を保証し、「短時間でよいから」、「一口でよいから」と巧みに取引に誘い、次第に取引を増加させる。
二番目に多いのがアポイントメントセールスで、英会話教材、ビデオ教材、レジャー会員権、印鑑、音響映像製品。これらの会話を見ておりますと、電話やはがきによって、「選ばれました」、「当選しました」、「よい話がある」と販売目的を隠して喫茶店や営業所に呼び出し、断りにくい状況で契約に導く。
三番目に挙げられておりますのが教育サービス商法でございますけれども、中学高校生用学習教材、英会話教材、幼児用教材。塾、教室、家庭教師、電話相談など教育サービスつきがセールスポイントだが、その契約内容があいまいである。
四番目がキャッチセールスで、健康食品、化粧品、美容サロン、モデル講座、ショッピング会員券。これらの会話のやりとりは、駅前や繁華街で、「アンケートに答えてほしい」、「美容に関心はないか」などと目的を隠して近づき、路上であるいは営業所へ誘って販売商品を強く勧める。
五番目が健康、美容商法で、健康食品、健康機器、羽毛布団、美容機器、美容サービス。これらの対話は、「体質改善」、「宿便をとる」、「万病に効く」、「特定の病気によい」、「やせます」、「美しくなる」などと客観的に認められていない、また証明しにくい効能効果というものをうたって誘っている。
六番目に多いのは見本工事、モニター商法で、外壁材料取りつけ工事やベランダ、サンルーム、太陽熱温水器。これらの会話は、「見本工事として割り引く」、「モニター料金で」、「キャンペーン期間だから」などと割引料金を示すが通常価格であったり、さらに料金が割高な場合、品質、施工が悪い場合と、こういうふうなことになってまいっているようでございます。
その次が開運商法、まあ新聞にも出ておりますけれども、霊感商法で、印鑑、つぼ、数珠、塔、高麗ニンジン製品など。これらのやりとりは、「手相を見てあげる」、「姓名判断をする」と近づき、「不幸になる」、「病気になる」、「先祖のたたりがある」などと心理的な不安に陥れ、先祖の供養のため、開運のためにとして商品を買わせている。
その次がホームパーティー商法で、なべ類、電気掃除機、洋装下着、化粧品。「料理講習会を開きませんか」、「ホームパーティーを開きませんか」と販売目的を隠して人を集めてその会場を販売の場とする。
こういうふうに非常に複雑多岐な商勧誘というものが行われて、これが消費者が賢明である場合にはいろいろとまた防止等バランスがとれると思うのでございます。先ほどからも被害金額等々の集計のやりとりがございましたけれども、本当に、国の該当の省が数多くございますけれども、私は消費者のために、国民の皆さんの家庭生活を守るために、国、そして国が動けば地方行政が動きますけれども、そういう行政が本当に国民生活を守るために周知徹底の運動とか、そうして相互的な意見の交換とかというものが連携をされているのかということを考えますときに、私は国の努力は足りないと、こういうふうに思います。これは通産省だけと言えば申しわけないですけれども、多くの関連する省庁のそういうふうな努力が私は足りない。
国民生活を守る、本当の命をかけた闘いというものを行政の中でやっていらっしゃるのか。それは大金持ちの方は別ですけれども、まじめに働いているサラリーマンの人たち、福祉を受けていらっしゃる、生活保護を受けている人、年金で高値安定の物価の中で生活にやりくりをされていらっしゃる方々がふとしたときにだまされてしまう。そういうときに、国や地方行政が本当にもう少し力を入れておればそれらの被害を受けられた家庭を守っていけたんではないか。
そういう点から見ると、一生懸命通産大臣も努力されていることは私も評価しますけれども、これは事務当局に答弁を求めるよりも通産大臣に御答弁いただきたいんですけれども、ちょうどこの訪問販売等の審議をしているわけですし、国民の皆さんや消費者の皆さんが喜んでいただけるような対応がこの法案が通過すればほぼできるんではないかなと思います。きょうまで私は国の立場で消費者の皆さん、すなわち国民の皆さんを守るための本当の力いっぱいの行政努力がされたのかということになりますと、私はもっともっと努力をすべきであったな、足りなかったな、こういうふうに非常に私自身も責任を感じるわけでございますが、行政だけではなしに、与党、野党の我々政治家全部がやっぱり国民の皆さんの立場に立ったときに、我々も力が足りなかったなと思います。今私が個々の問題を申し上げましたけれども、私の質問に対しまして通産大臣としてどういうふうな見解なのか伺いたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 私がお答えをいたしますだけに、よきにつけあしきにつけ過去を論ずることはちょっとはばかりたいと思います。いずれにいたしましても、この法案が現行法に比べまして相当大幅な規制強化が導入されておることは事実でございますし、政府といたしましては本法案が現時点では最善なものという確信を抱いておるところでございます。
こういう種類の法律というものはなかなか難しい面がございまして、厳しくし過ぎれば自由経済に対する弾圧になりますし、さりとて甘くすれば悪者をのさばらせるということがございますので、今お出ししておる法案が現時点では最善のものというふうに私どもは確信をいたしておるところでございます。ただ、問題はこの法律案が法律として成立した暁のことでございます。成立しました暁には、機動的な運用によりまして消費者トラブルの解消に努めるべきでございますし、また、
訪問販売や通信販売などをめぐる今後の推移というものを十分見極めながらもこの法律の目的が十分に達成されますように消費者保護に万遺憾なきを期したいと思います。同時に、先ほど来いろいろと言われておりますように、消費者の自覚もまた求めなければなりませんし、そのための広報活動の徹底ということもやらなければならぬのでありましょう。
いずれにしても我々は、消費者というよりむしろ、私は庶民ということをこの前も衆議院では使いましたが、庶民を守る義務がございます。そういう点で今後とも最善を尽くしてまいる所存でございますので、与党、野党を問わずどうか御協力のほどをお願い申し上げる次第でございます。
○矢原秀男君 今まで訪問販売トラブルの情報提供の実績も、通産省がキャッチをしたときに企業を指導して非常に成果を上げているというふうな評価も私たちも聞いていることも事実でございます。
〔委員長退席、理事下条進一郎君着席〕
しかし、いかんせん日本じゅうでございますので非常に大変だと思いますけれども、一つ私が今質問いたしますのは、今後関係省庁の迅速な連携と対応について質問したいと思うんです。
悪質な訪問販売等については、法律の改正があってもさらに法の抜け穴を探して新しい手口によるものの登場が予期されます。これは日本だけでなしに世界じゅうの国々でそういうふうな事例をよく見るわけでございます。もう我々がこう審議している間に悪質な手口というものを既にそのグループは資料を取り寄せていろいろと検討しているかもわかりませんけれども、まず被害防止の観点から、行政の速やかな連携と対応が必要であることは言うまでもないと思います。常に行政の対応は後手である、こういうような批判もありますけれども、今後関係省庁の迅速かつ緊密な連携と対応、これを私もお願いしたいと思っているわけでございますけれども、これらの点についてどういう決意を持っていらっしゃるのか、この点について伺いたいと思います。
○政府委員(末木凰太郎君) 先ほど御答弁申し上げました消費者トラブル連絡協議会、早期警戒システムなどで関係十一団体の連携を図ってということを御説明申し上げたわけでございますけれども、考えてみますれば政府部内の関係省庁との連携はそれ以前の確かにイロハでありABCであると思います。関係省庁たくさんになるわけでございますけれども、日ごろ接触の多いところとして、このトラブル関係の情報交換を主として経済企画庁と、それから取り締まり関係では何といいましても警察それから公正取引委員会、さらに今回権限委任を地方公共団体に行いますのでそういった自治体と密接な協力関係を組んでいかないといけないと思いますが、自治省及び地方団体、そのほかいろいろな団体がございますけれども、私どもこの法律の主管官庁でございますので、積極的に各省庁にお願いをいたしまして、それぞれ持ち場持ち場がございますので、緊密な連絡をとり、御指摘のような線で最大の努力をしたいと思っております。
具体的にやらなければ意味のないことでございますので、物の考え方だけ申し上げて終わってしまってはいけないわけでございます。具体的にどういうふうにしたらいいかということをこの法律施行までの間に詰めましてやっていきたいと思いますが、先ほど先生がお挙げになりました例で申しますと、一番最初に、一番目のカテゴリーでおっしゃいました海外の先物取引、今買えばもうかりますというような海外先物につきましては、実はごく最近の数字は非常にトラブルが減ってきておりますけれども、これなんかも、何と申しましても警察庁で相当きつい取り締まりをしていただきまして、検挙していただいたケースなんかもあります。私どもも、農水省と共同いたしまして悪質業者の処分も昨年行いました。
〔理事下条進一郎君退席、委員長着席〕
こういったことがかなり効いていると思いますので、それぞれ悪徳商法のカテゴリーによって対応の仕方も変わるかと思いますが、漏れのないように全力を挙げてまいります。
○矢原秀男君 先ほども質疑がございまして、ちょっと重複しますけれども勘弁していただきたいんでございますが、開業規制を見送った事情ですね、ちょっと私、出たり入ったりしておりまして聞き漏らしたわけでございますが、今回の訪問販売法の改正に際して、消費者側から、開業規制に踏み込まなかった点、また対象商品をすべての商品、サービスに拡大して例外だけを指定する方式にしなかった点等について論議があるようでございますけれども、これらの点を今回の改正に際して見送ったのはどのような判断に基づいたものなのかということでございます。
○政府委員(末木凰太郎君) 開業規制でございます。
これは、開業規制が必要だと御主張なさる方々の論拠は、開業規制をして業者の所在をまず押さえておくことが最小限必要ではないか、その次にもちろん、悪質な業者の参入を防ぐということがある。しかし、私どもは、研究会、審議会でいろいろ御検討いただきましたけれども、この業界の業者の数が余りにも多い。これは、個人営業のものも含めますと百万以上になる。企業の形を持っているものが約三千でございますが、個人営業を含めると百万というオーダーになりますので……
○矢原秀男君 ちょっと待って。その数字もう一回。
○政府委員(末木凰太郎君) 企業の形をとっておりますものが、協会に加盟しておるものが千五百社、アウトサイダーがほぼ同数、合わせて三千社でございまして、三千という数も大変な数でございますが、三千だけであれば行政の対象として全く議論にならない数字ではございませんが、このほかに個人としてセールスをしている人が大勢います。主として女性、家庭の主婦がやっているわけでございますが、これは会社の社員ではなくて個人営業のいう形で、○○化粧品会社から商品を仕入れて売り主として売って歩くという形をとっているものが大半でございますので、これも全部開業規制の対象になってしまいます。そういたしますと非常に膨大な数の登録なり届け出なりを処理しなければならなくなる。
これは二つの面で問題でございまして、一つは、一部の悪徳業者のためにこれだけ大勢の方々が法規制の網をかぶされるということ。もう一方におきまして、行政庁においてもこれを処理するのには相当の人手を要します。人手を要するからやらないというのはおかしいので、もちろん必要があれば人手をかけなきゃいけませんけれども、今どういう人手のかけ方が最も適切かというふうに考えてみますと、一部の悪徳業者に重点的に人手を投入してその行方なり行動を追ってこれを把握することに努めるのがいいんではないだろうか。そのためにどういう工夫を凝らしたらいいかということをいろいろ考えまして、一つとして、先ほど来申し上げましたコンピューターを使った情報のデータベースをつくり、全国どこでも、一体どこで今どういうトラブルが起きているかというのが把握できるようにしようという仕組みも考えて、昨日からテストランを始めたわけでございますが、まあそういったことが主たる理由でございまして、開業規制を見送ったわけでございます。しかし、開業規制を主張される方がおっしゃるような悪徳業者についての所在なり動向なりの把握のための努力は最大限行ってまいりたいと思います。
第二の、商品を指定商品でいくのか、それとも原則全部対象として除くものだけ指定する除外商品制でいくのかということでございますが、現実問題といたしまして現在既に政令指定をしたものが四十三商品群がございまして、大方問題のあるものは指定を実はしてしまったわけでございます。消費者の方々等に御意見を伺いましても、今未指定で問題になっているものは金地金等の貴金属とか、庭石、墓石等限られたものでございまして、これらは現行法の指定要件であります日常生活の用に供するものという条件に合わないのではないか。金の場合には明らかに合わないと思いますが、そういったことで指定されていなかったわけでございます。今回はその指定要件を緩和いたしまして、日常生活の用に供するものでなくても指定できるように改正案を提案しておりますので、指定制を維持しましてもこれらは改正後に指定の方向で検討をする予定でございます。したがいまして、現実問題としては指定制でも除外制でも商品に関しては大きな差がないところまで来ていると思います。
それから、役務及び権利につきましては、これは非常に種類が多い、千差万別の取引態様でございますので、これを一気にあらゆる役務、あらゆる権利ということはいろいろ法律上問題もございますので、現在どういうところがトラブルになっているのかというトラブルの実態を踏まえまして、例えばほかの法律でもっと適切に対処できる、あるいはすべきものがあればそれはその方法でいかなければいけませんし、訪販法で対処すべきものは拾い上げていくということで当面対処することが適切であろう、こういうふうに考えまして指定制を維持したわけでございます。
○矢原秀男君 次の質問は、商取引適正化の専門職についてでございますが、通産省では商取引の適正化専門職を設けて専門的に業界の指導や現物まがい商法に関する情報の収集を行っているとのことでございますが、これらについての説明をいただきたいわけでございます。
現行の定員や体制で十分なのかどうかという問題でございますが、データによりますと、これは通産省からいただいたデータですが、訪問販売に対する苦情、商品別の内訳を見ておりますと、相談件数が昭和五十九年で九千四百九十六件ですか、これは倍加していると思いますね。そういうふうな中で、この現行の定員や体制というのはどういう形なのか伺います。
○政府委員(末木凰太郎君) 御質問の指導官につきましては、六十一年十月以来設置しております。所掌事務といたしましては、悪質商法の実態把握、事業者に対する指導、あるいは問い合わせ、照会に対する回答、関係行政機関との連絡調整でございますが、こういった総括的な仕事につきましては、この職を新しく設けたからといって任せきりということではなく、担当の課長、あるいは私自身も適宜できるだけその現場に出る。例えば先ほど来話が出ております早期警戒システム、消費者トラブル連絡協議会、毎月一回開催しておりますけれども、私も特別なことがない限り必ず出席するように努めております。
そういう体制でございますが、具体的な事務を担当しております人員といたしましては、本省の消費経済課と商政課二つの課にまたがりまして総数で三十四名ございます。消費者関係の法律たくさんございますし、流通合理化等のほかの仕事もございますので、この全員が常にこの仕事をやるわけではございませんけれども、必要とあれば、何か集中的にやる必要があればできるだけ動員をするという体制でございます。全国の通産局は八通産局及び沖縄総合事務局、合計九カ所で四十八名の職員がおります。これが消費者行政担当でございます。そのほかに相談員が十五名でございまして、合計六十三名の体制でございます。数は多ければ多いほどいいわけでございますが、行革の時代でございますので、限られた人数でございますけれども、最も効率的な仕事のやり方と、それから関係行政機関、地方自治体との連携を上手にとって効率的な仕事をしたいと思っております。
○矢原秀男君 じゃ警察庁にちょっと伺いますが、法改正と警察の今後の取り組みについてでございます。
今回の訪問販売法の改正によりまして規制対象が拡大された場合、警察としても健全な市民生活を守る立場から被害に対して対処をしていただくことになるわけでございますけれども、今後の取り組み方針、また広報、啓発活動、こういうふうな観点から独自の取り組みが悪質の訪問販売等に対してのいろいろの対応になろうかと思いますけれども、そういうふうな点についての対策、対応を伺いたいと思います。
○説明員(泉幸伸君) 警察といたしましては、悪質な訪問販売事犯につきまして、従前から消費者を保護する立場で被害の未然防止や拡大防止を最重点とした取り締まりを積極的に推進してきたところでございます。
今回の法改正につきましても、改正法が施行になりました暁にはその趣旨を踏まえ、この改正法に盛られております罰則規定を初め各種法令を適用して厳正な取り締まりを行うとともに、関係機関、団体との緊密な連携を図り効果的に進めていきたいと考えております。
なお、取り締まりにあわせまして、従前から悪質商法に関する市民の啓発活動として警察が独自に取り組んできたものもございます。例えて申しますと、昨年四月に全国都道府県警察に悪質商法一一〇番という電話を設置いたしまして、個々具体的なケースについてのアドバイスを行いまして。また警察庁におきましては、悪質商法の手口とその撃退方法を紹介したパンフレットを作成し、全国の消費者に二十三万部ぐらい配布いたしましたし、また各地域、各職域に行われております防犯懇談会などあらゆる機会をとらえて悪質商法に対する啓発活動を警察として実施してきたところでございます。今後これらの活動を一層充実いたしまして、所期の目的を上げるよう努力してまいりたいと考えております。
○矢原秀男君 時間が参りましたので、最後の質問、通産大臣にお願いしたいと思いますが、これちょっと通告いたしておりませんのですが、申し上げます。
消費者を守っていく憲法、先ほど申し上げた消費者保護基本法でございますが、この第四章の「消費者保護会議等」という中で、この消費者保護会議の十八条には、総理府に、附属機関として消費者保護会議を置くというわけで、四十三年から置いてあるのが事実なんです。今時間ないから聞きませんけれども、必要なとき、大きな問題が起きるとき、懸念があるときは国が当然動くわけでございますが、十九条に「会議は、会長及び委員をもって組織する。」とあるんですが、その第二項に「会長は、内閣総理大臣をもって充てる。」、こういうふうになっているわけですね。委員は総理大臣が任命する。これ大きな事件が今までに起きたり、そうしてまた今回やはり国民の皆さんが非常に注目していると思うんですね。薬害であるとか、全国で非常に大きな問題が起きました。最近はこれに関連する問題も起きております。一体何回ぐらい開かれたのか。それで、通産省はその中心になると思いますので、通産大臣はもちろん委員には任命されておられると思いますけれども、何回ぐらい開かれてどういうものがその内容の中で討議をされたのかということを最後に伺って質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 大変申しわけございませんが、これは幹事が経済企画庁でございますので私からお答えしてもいいんですが、これはやはり企画庁から正確にお聞きいただいた方がいいんじゃないでしょうか。
○説明員(植苗竹司君) お答えいたします。
現在まで二十回開催されております。内容につきましては、各省庁の消費者行政関係全部網羅した形で決定をいたし、御承知いただいているかと思いますが、約三百項目にわたって毎年ほぼ同じ数の消費者行政内容を決定いたしております。
○国務大臣(田村元君) 正確に申しますと、消費者保護基本法の第四章「消費者保護会議等」というところで第十九条の第七項目に「会議の庶務は、経済企画庁において処理する」というふうに書いてあることをちょっと付言しておきます。
○市川正一君
中略
本論の質問に入らせていただきたいと思います。
まず、訪問販売問題で私は本委員会で従来から、例えば昭和五十七年七月六日には海外先物取引について、昭和六十年六月二十一日には豊田問題について、昭和六十一年五月十五日には預託法問題などの際にたびたび取り上げてまいりました。その中で、訪問販売法の規制対象になる商品や役務について政令指定制では後追い行政になり、消費者保護に欠けることを繰り返し指摘してまいりました。しかし今回の改正でもなお指定制をとっております。これに対して、日弁連や消費者相談の現場で苦労なさっている相談員の方々からも、政令指定では結局指定外の商品などを使って新しい被害が発生することから指定制を外すべきだという意見や要望が出され、そして私のところへも各地からのはがきの要請でそのことが訴えられております、これは一部ですが。今回の法改正になぜ取り入れなかったのか、まずそこからお伺いしたいと思います。
○政府委員(末木凰太郎君) 指定制についていろいろな議論があったことは御指摘のとおりでございます。指定制を廃止しましてあらゆる商品を対象にいたしますれば、消費者保護の観点からは指
定制よりもよろしいかと思いますが、この法律は申すまでもなく民法の基本原則に対する例外を定めているものでございまして、そういう意味では必要最小限の特例法という考え方に立って制定されているものと理解しております。
今回の改正に当たりましても、その必要最小限の規制を行うという基本的な考え方と、消費者保護をできるだけ充実させるという二つの要請をどうやって調和させるかということが要するにポイントでございましたけれども、そういった二つの柱を踏まえて御議論をいただきました結果、大方の御意見が現在の制度を維持しつつ、しかし指定に遺憾なきを期す、おくれないように機動的に指定をしていくという方向で今回の法律もいこうではないか、こういう多数の方の御意見だったわけでございます。
現実問題といたしましては、実は指定制と非指定制といいますか、除外制でございますけれども、距離というのは、物の考え方としては離れているんですが、現実問題は実は非常に近寄っております。といいますのは、かなりのものを既に指定しておりますので、指定すべきであるにもかかわらず指定していないものとして何があるかということを関係者の方に伺いますと、例えば消費生活コンサルタントの方なども挙げるものはごくわずかでございます。金地金が指定されていないではないか、これは過去に国会でもいろいろ御議論があったわけでございますが、これは私どもが政令指定をしなかったのではなくて、現行法ではそのような財産形成的なものは指定できないことになっていたものですから指定しなかったわけでございますし、今回の改正案では日常生活の用に供するもの以外のもの、つまり金地金のようなものも指定し得ることにいたしておりますので、幾つか残っておりますものは、今回の改正によって指定し得ることになりますし、私どももその方向で政令を立案したいと思っておりますので、現実問題として大きな支障はないと思います。
ただ、そうは言っても、今度は役務の問題がございますので、役務をどうするかということが残ります。役務は商品以上に多様でございまして、役務の内容そのものも多様でございますし、役務取引に伴うトラブルの態様もまた多様でございます。したがいまして、これにどう対処するかというのは、主として訪問販売法で対処をするわけでございますけれども、それ以外にもいろいろ検討するべきことがあると思います。
訪問販売法で断固対処していくべきものはちゅうちょすることなく指定していかなければいけないと思いますが、その基本姿勢を維持しつつ、しかもなお仕組みといたしまして、これは研究会等でも御提案があったわけでございますけれども、通産省が怠けるとかいうわけではないけれども、通産省を助けてあげるのだから、ひとつ私たち消費者とかいろいろな学識経験者とか、いろいろな人で勉強の組織をつくって、その場で、あれを指定すべきではなかろうかとか、あれはなぜ指定しないのですかという議論ができるような、そういう場を通産省が設けたらどうかという御提案もございましたし、私どももごもっともだと思いますので、そういったことも含めて指定制度をうまく運用していきたいと思っております。
○市川正一君 いろいろ御説明があったんですが、産構審の答申、ここで述べていることがおよそその根拠にもなっていると思うので、今茫漠とおっしゃったことでなしに、この文書になっているものに即して伺いたいんですが、この商品等の指定制について産構審の答申は、大部分の商品が既に指定されている。先ほどもあなたは、既に四十三商品群があって網羅されている、こういうふうにおっしゃっているわけですが、だから変更する必要はないという記述があるんです。これはページ数でいくと八ページですが、しかし未指定の部分で次々と被害が、あるいはトラブルが発生しているのが実態です。それはお認めになると思うんです。
また答申は、未指定商品でトラブルが発生しているのは少ない、こう言っているけれども、一体世の中に無数といっていいほどあるすべての商品からすれば、絶対的にも相対的にも数として少ないのは、これは当たり前です。どの商品でもみんなトラブルが発生したらそれこそ大変です。問題は、指定商品でもトラブルがあるのに、指定商品以外のところで救済できない消費者被害が発生しているというこの事実なんです。これにどう対応するかというのがそもそも今度の法改正の動機でもあるんです。それは豊田商事の例を引くまでもなく、結局事件が起こってからの後追い行政が悲惨な被害を生み続けていることは、これはもう歴史的事実だと思うんですが、この指定制をどうして固執するのか、先ほどの繰り返しでなしに、今申し上げた論点に即して見解を承りたい。
○政府委員(末木凰太郎君) 先生茫漠としたとおっしゃったんですけれども、やはり私どもは法制でございますので、基本的な考え方というのは抽象論であっても踏まえざるを得ません。
そこで、重ねて申し上げますけれども、一方において消費者の保護をできるだけ図るということと、もう一方において規制は必要最小限というこの二つの原則をどうやって調和させるかということでございます。
もう一方の方というのが問題なんでございます、規制の最小限ということでございますが。最小限とはどういうことかということになるかと思います。ここは実は、これは御説明申し上げると、それではできるだけ指定をしたくないのかというふうにおとりいただきますと真意ではないんですけれども、あえてお尋ねですから、まあ理屈を申し上げますと、トラブルがあった場合にそのトラブルがいわばこの法律が想定している平均的な消費者を念頭に置きまして一般的な形のトラブルであるかどうかということの判断だと思うわけです。
非常に例外的、偶発的なトラブルが仮にあれば、それは一般的な法制、日本国の法制の変化ということで対応すべきものではないこともあり得るわけでございまして、平均的な消費者というのも難しゅうございますし、お年寄りと若い人と違うという問題もございますが、この法律が想定する平均的な消費者を考えまして一般化する、これが蔓延する、そういう蓋然性があれば、仮に現実に出てきたトラブル件数が非常に小さい数字であろうとも機動的に指定をすべきだと思いますが、考え方としてはそういう検討を経て指定していくというのが今までとってきた考え方でございまして、これは現時点においても維持することが適当ではないかと思うわけでございます。
ただ、そういった哲学がいたずらに対応のおくれに使われてしまうようなことがあってはいけないとおっしゃる方がいらっしゃいますし、私どもそういうわけではございませんので、その辺のところはガラス張りといいますか、オープンに議論をする場をつくりまして、決してそういう後ろ向きになりたいがための論理ではないということで現実にはできるだけ対処をしていくという考え方でございます。
○市川正一君 それで、指定を最小限にしたいというふうに今おっしゃった。そのことと、この産構審答申にもう一遍戻りますが、同様のことはこの三行目で「過剰規制とならないよう」というふうに述べております。しかし、問題の原点に立ち戻って考えてみた場合に、もし訪問販売業者が本当に消費者のニーズにこたえた販売方法をとっておればもともとトラブルは発生しないものでしょう。ところがそうではないんです、歴史的現実は。業界にとって、仮に書面交付などがあるいは若干負担になるかもしれないけれども、それは協会の定款の第三条の目的を達成するために、また協会の倫理綱領の立場を貫くためにも必要なことであり、決して大きな負担というふうにはならないと思うんですが、実際担当なすっている当事者の皆さん方の御見解はどうですか。
○政府委員(末木凰太郎君) 過剰規制というのは、まあいわば相対的な概念かと思うわけです。絶対レベルとしては大変な義務を課したとしても、それだけの義務を課すべき実態があり、必要があれ
ばそれはやってもらわなければなりませんし、そうでなければ、逆に絶対値としてはそう大きな規制でなくても相対的には過剰規制という考え方になるんだろうと思います。
ここのところは非常に理屈っぽい話で恐縮でございますが、産構審ではそういう物の考え方を抽象的にうたわれた答申だと思いますし、この過剰規制という言葉を産構審からちょうだいしたから、これで具体的な指定がすぐ、ほぼへジテートするというものではございません。物の考え方を言ったまででございまして、私の先ほどの御説明申し上げたのもそういうことでございます。
○市川正一君 ところで、この指定制と関連して通産省は指定商品の運用について内部通達を出していらっしゃると思うんですが、これまで何回ぐらい出しておられるのか、また、その内容を私ども資料を提出していただくように要求しているんですが、これはいただけるんですか。
○政府委員(末木凰太郎君) 何回かその通達の回数を正確に今お答えできなくて恐縮でございますけれども、要するにこの問題は、恐らくお尋ねの趣旨は、指定商品制をとっているために何が指定商品であるか否かわからないことがあって照会があるだろうというのがお尋ねの本旨だと思います。
○市川正一君 そこが矛盾ですよ。
○政府委員(末木凰太郎君) これは私自身も消費者の方から聞いたことがございまして、率直に申し上げまして指定商品制に伴う問題点は、一つは指定が不当におくれるおそれはないかということと、もう一つは、指定があるために、何が対象であり何が対象でないかが不明確になりはしないかというこの二つの問題が実はあるわけでございます。先生はこの第二点の問題を今おっしゃったわけでございまして、確かにこれについての照会はございます。
ただ、その照会は、正確には後ほど調べて御報告いたしますけれども、非常に頻発しているということではないようでございます。と申しますのは、私どももそれなりの努力をしておりまして、マニュアルをつくりまして四十三の商品群についてはどういうものが入るのかということを解説を重ねてきておりますのと、それから現実問題として、訪問販売で取り扱われている品物はほとんど大方指定をしたと申し上げたものですから、そういう関係もありまして、そう多くはないんだと思います。
それにしても問題が残るという御指摘はあり得るんでございますが、実はこれは言いわけがましいんですけれども、仮に指定商品制を廃止いたしますと、今度は例外品目というものをどうしても考えざるを得ません。これは何らかの理由で除外品目ということになると思います。その境界線のところはいずれにしても除外品目にいたしますと、今度は除外品目に入っているのかいないかという問題が残るわけでございまして、全くきれいになってしまうわけではありません。しかし、これは言いわけめくのでこれ以上は申し上げません。私どもは、その指定商品制に伴いまして境界線が不明確になることがないように、できるだけこれが明確になるようなマニュアルを今後とも改善していきたいと思っております。
○市川正一君 まるで大型間接税でどれが非課税品目かというようなことみたいに、そういうことを私は聞いているんじゃなくて、よろしいか、あなた方自身が何が対象かどうかという通達を出さざるを得ぬこと自身が自己矛盾じゃないですか。そうじゃなしに、そういう指定商品はないんだということにすればすかっとするんですよ。
そこでお聞きしているのは、その通達なるものはいただけるんですか。
○政府委員(末木凰太郎君) 内部通達でございまして、通達そのものをお出しすることはどうも役所の慣習上御遠慮さしていただいているようでございますけれども、一つここで具体例を申し上げますと、例えばどういう照会があるかということでございますが……
○市川正一君 違う、違うがね。もらえるのかどうかと言うている。あかんのか、ええのか。
○政府委員(末木凰太郎君) 通達そのものは御容赦いただきたいと思いますけれども……
○市川正一君 それはおかしいな。
○政府委員(末木凰太郎君) よく検討いたしまして、要するに中身がわかるようなものをお届けいたします。
○市川正一君 じゃ、後でまたそれは詰めるとして、何ぼ言うても出していただけぬので。
そこで、ここに持ってきたのは、最近出版された「消費者紛争ハンドブック」という本ですねん。この中に一例として、一九七七年十二月に消費経済課長から各通産局、沖縄総合事務局あてに出された「テラス等の設置 販売について」という通達、これを私俎上に上げて指定制問題を別の角度から検討してみたいと思うんです。この内容は、当該事例がテラスなどの、バルコニーのあれですね、設置の請負なのか製品の販売なのかを判断する基準を示すとともに、指定商品のどれに該当するかを示した通達であります。
こうした通達が必要になるように、消費者相談の現場では相談の対象になっている商品が指定商品であるかどうか判断に大いに迷うわけです。また、今回の改正で役務も対象になったので、これも指定役務かどうか判断に迷うことが生じてくると思います。つまり、それは指定商品であるかどうかによって対応の仕方も変わってきますし、指定制が後追い行政になるというだけでなしに、日々の相談業務の遂行にも支障を来すというのが現実です。そして、私産構審をたびたび引き合いに出しますが、産構審の答申の中にも指定制の廃止について「理解できる側面がある」と、こう言うているわけですね。したがって、私はもう一度この際、商品、役務の指定制を廃止することについて我が党は修正案を提出いたしますけれども、ぜひ再検討をお願いしたいと思いますが、余地なしですか。
○政府委員(末木凰太郎君) その前に先生がおっしゃったテラスに関する照会でございますが、これはポイントはテラスの販売が商品の販売なのか請負契約なのかということでございまして、これは確かに今までの法律では非常に微妙なところでございました。商品そのものが入るか入らないかという、この政令に書いてある商品にこのものは入るか入らないかという照会は、実は過去になくはございませんけれども、件数は極めて少ないと承知しております。そういうわけで繰り返しで恐縮でございますが、現行法がよって立っております基本原則に照らし、また現実に指定制はかなり広範に指定をしてきたという実績、そしてさらに今後も遺憾なきを期す体制をつくっていきたいという方針でおりますので、それを踏まえまして私どもはこれが現在最善のものとして御提案申し上げているという次第でございます。
○市川正一君 私は指定制が必ず新しい矛盾と破綻を生むであろうということを確信を持ってここで指摘しておきます。
次に、私は昭和五十九年の五月十日の割賦販売法の際にも、役務も規制対象にすることを強く主張いたしました。今と同じようにあなた方はそれを認めませんでした。しかし、今回の改正でようやくこの役務も規制対象になるわけでありますが、ではどんな役務が対象になるのか。例えば、商品の販売とセットになったもの、あるいはクレジットつきのものなどおよそ役務の提供が有償で実施されるものはすべて含まれると理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(末木凰太郎君) 役務を今度法律の対象に加え得ることにする改正案を御審議いただいているわけでございますが、役務につきましても商品と同じく政令による指定制をとっております。その趣旨は、基本的考え方は商品と同じでございますし、さらに加えまして役務は商品以上に多種多様でございます。また生じておりますトラブルもまた商品以上に複雑でございます。
率直な話、私どもは五十九年の割賦販売法の改正のとき以来あるいは六十一年の預託法のときにも御議論あったかもしれませんが、鋭意勉強してきたわけでございますが本当に複雑でございまして、トラブルがまた非常に多様でございます。ですから、そのトラブルのポイントがそもそも訪問販売で売られるがために起きている問題であるのか、そういうものもございましょう。それからあるいは支払い形態が割賦販売であるがゆえに、一回払いじゃなくて分割払いであるがゆえに起きている問題なのか、そういう問題もそれはないとは言えないと思います。そのほかそもそもその業界のもっと別の基本的なところに問題があるのか、これを明確にいたしませんと、どの法律でどういうふうに対処したらいいのか、めくらでとにかく入れてしまうというわけにもまいりません。
これは具体的な名前を挙げるとあるいはこれが一番指定の候補みたいに私が申し上げるというふうにおとりいただくと困るのでございまして、これはこれからの検討でございますけれども、わかりやすい例を申し上げますと、例えばゴルフの会員権というのは何がしばしばトラブルで問題になっているかといいますと、消費者トラブルに聞きますと、あるクラブの権利を買ったけれどもどうもそのときはよくわからなかったけれども会員が一万人も募集されるらしいと、そんな大勢いるんだったらおれはもうとてもプレーできないからやめたいというような例えば相談があったり、それから預託金の据置期間が過ぎたけれども一方的に預託期間を延長されてしまった、これはひどいではないかとか、あるいはそもそもいつになったらオープンするのかわからないとか、こういうような例えばトラブルが多いわけでございます。
こういうトラブルを念頭に置きますと、これは支払い方法とか訪問か店頭かとかいうことではなくて、そもそももしそういう商売があればその根っこの方にもっと問題があるわけでございますからこれは直さなければいけないということで、これはこういったことについての業界の自主規制を今やってもらっておりますけれども、これは一つの例でございますが、そのほかいろんな役務あるいは権利に即しましてそれぞれ性格が多様でございます。私どもはそういったものを洗いまして、訪問販売であるがゆえにというところに問題のあるものを洗い出しまして、そして割賦販売審議会等の御検討をいただいた上で政令指定するというふうに進んでまいる考えでございます。
結論といたしましては、そういうプロセスを経て指定役務ということでこの法律の対象にしていく考えでございます。
○市川正一君 今わかりやすい例ということで、例えばゴルフ会員権をめぐる問題などを紹介されたので、私もわかりやすい例として具体的にお聞きします。
例えばリゾートやスポーツ施設などの利用権、それからエステティックサロンというやせるための全身美容ですね、あるいは結婚情報サービス、それから原野商法の二次被害、説明なしでおわかりだと思いますが、それから公団住宅申し込みの代行、それからキャッチセールスで女子大生をねらってモデルにならぬかというて声をかけて、事務所に連れ込んで入会金名目で金を取ったり、講習料やテキスト代などというて数万円を取る例が最近横行しているんですが、こういうのはすべて指定役務として本法の規制の対象になるのか、わかりやすい例をおっしゃったのでひとつ教えていただけませんか。
○政府委員(末木凰太郎君) 私が手元に持っております、役務に関するあるいは会員権とか権利に関する消費者トラブルの資料を手元に持っておりますが、先生今お挙げになりましたものの相当部分が私の方の資料にもございます。ここに持っておりますということは、私どもはこの被害の実態からスタートをして指定役務を考えていくわけでございますから、最終的に指定になるかどうかは非常に慎重な答弁のように聞こえて恐縮でございますけれども、今後の検討でございますけれども、まず議論の素材として持っているということでございます。
ただ、幾つか念のために申し上げますと、今お挙げになりました中で、例えば原野商法につきましては私どもも関心は持っておりますし、現に通産省に消費者相談窓口に相談があれば、それはこういうところに御相談いただいた方がいいと思いますというふうに紹介をいたしておりますけれども、不動産に関しましては通産省としては知識もございませんし非常に特殊な分野でございますので、また法律の言っております物品という概念にも当たらないかと思いますので、土地につきましては対象として考えておりません。これは一例でございますが、かなりのものが私どもの脳裏にあることは事実でございます。
○市川正一君 私は原野商法の二次被害と申しまして、原野商法そのものじゃなくて、その後値段が上がっているからということで測量や整地、区画整理をいたしましょうという、いわばアフターサービスみたいな形で、これは土地そのものじゃないんで、ひとつそこはよく御研究願いたいんですが、基本的には対象として検討しているというふうに理解をして議論を進めさせていただきたいと思います。
そこで、今度は行為規制についてただしたいんでありますが、先ほど同僚委員から予告がございましたが、まず委員長にテープをここで紹介することをお許し願いたいと思うんですが、よろしゅうございますか。
○委員長(大木浩君) はい。
○市川正一君 ありがとうございます。これは電話による勧誘をたまたま録音をしたという経緯のものでありますが、まずはお聞き取り願いたいと思います。
〔録音聴取〕
○市川正一君 失礼いたしました。ちょっと聞きにくいんですけれども、要するにすさまじい勢いで有無を言わさずに追い込んでいくこの迫力はすごいものでありますが、あなたはめでたくも今度選ばれた、十年間の入会金、保証金は免除される、レジャークラブの全国共通のゴールデンカードを差し上げる、全国のペンションや温泉旅館が半額ないし三分の一になると言うてずっといって、運転免許証か証明書を持ってこいと。高崎ですから、中曽根さんあるいは御存じかもしれませんが、駅前の喫茶店の名前まで出てくるんです。そして、そこで会うて契約という運びになるわけですね。それで本人が断れるんですかといって聞くと、そこをちょろちょろとごまかしてしまうんですね。
こういう非常に生々しいものでありますが、この中に訪問販売にかかわるいろんなもろもろの問題、要素、その手口というものがここにあると思うんです。
そこで私お聞きしたいのは、この法案の五条の二第一項です。「不実のことを告げる行為」、つまりうそを言ってはいけない、こうなっておるんですが、本当のことを言わないこと、故意に事実を告げないことも規制すべきではないのかということをこのテープを聞きながら私痛感するんであります。
例えば、先ほどのエステティックサロン、やせるための全身美容でありますが、○○コース、例えば桜コースとかあるいはバラコースとかいう表示だけで、抽象的な効果をうたうだけで役務の内容が具体的に明示されていないもの、あるいは利用権や会員権などの契約で、施設の内容、サービスの内容、利用条件、費用などが明示されていないものなどもその対象にすべきではないのかと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○政府委員(末木凰太郎君) ただいまのケースは典型的なものではございます。あなたは特に選ばれた、特に当たったからというところで、それならば普通では契約しないんだけれども、特に選ばれたんならチャンスに違いないと思わせる。これは典型的な虚偽のセールストークでございますし、それから身分証明書を持ってきなさいなんというのもいかにもだれにでもばらまくわけじゃないんだということを補強しているわけでございます。これは一般化して申しますと、特に選ばれた人ではないのに特に選ばれた人なんだということを言って相手を錯誤に陥らせているわけですから、虚偽のセールストークで不実のことを言っているわけでございます。これは恐らく、これが重要なものになるかどうかでございますけれども、五条の二の「重要なものにつき」になると思います。恐らくこのケースはなるんじゃないかと思いますが、そういう例としてはまことにぴたりの例だと思います。
ところが、今度は積極的に何かを告げなければならないのに告げなかったということについて五条の二はないではないか、不告知について何も書いていない、これはどうするんだということにつきましては、今のケースで言いますと、不告知はいかぬと書く以上は、何か告知しろということを逆に今法が命ずるわけでございますから、個々の場合についてぴったりわからなくても、ぴったりというのは、最後に裁判になったときにどうなるかということは別にしても、一応通常の人がこの場合には何を言えと言われているのかということがある程度明確にならないといけないわけでございます。
ところが、これは訪問販売の場合につきましては、個々のケースについて何は絶対言わなきゃいけないかというのを法律で抜き出して書くことが大変難しいわけでございますし、書かなければわからないわけでございます。例えば物を売るときに、これはあなた買いませんかといって値段を言わない。言わないで、買うといって契約しちゃう。値段は実はこうですと相手に見せる。これはどう考えたっておかしいので、どんな売買でも値段というのはこれは言わなきゃいけないでしょう、知らせなきゃいけないでしょう。
そういう意味で、絶対どんな場合でも言わなきゃならない最小限の事項を絞っていきますと、実は四条、五条の書面交付の義務がございますが、その交付する書面に書くべき事項として数項目ございますが、これは確かに絶対告げなければならない事項でございまして、それが一号に価格でございますし、二号に代金の支払いの時期でございます。三号に商品の引き渡し時期、これらのものはどんな場合でも告げなければならないものでございますし、それから四号にちょっと別のものがございますが、こういったものにさらに加えて共通項があるかというと実はないのではないかということで、逆に言えば、大事なものは書面に書かせているということでございます。
したがいまして、ここでは積極的な告知の方は触れなかったわけでございますが、それじゃどんな場合でも全く問題ないのかということでございますが、これはケースによりましてはある事項を告げないで黙っているというその不作為自体、何にもしない、黙っているということ自身が詐欺的な行為ということになりまして、不作為による詐欺というのは刑法上あり得るわけでございますので、ケースによって、相手が明らかに錯誤に陥っているのにしめしめということで黙っているということは、これは刑法上詐欺を構成することはあり得ます。しかし、この法律で定型化して義務を課するということを告知義務についてはしなかったのはそういう実態を判断したからでございます。
○市川正一君 時間が迫ってまいりましたので前へ進めますが、同じく第二項でありますが、「人を威迫して困惑させてはならない。」と、こう規定してございます。これでもって多岐にわたる各種の不当な行為を規制できるのかどうかという懸念があるんです。
例えば、現行の貸金業法では、その二十一条の一項で、「私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」と、こう規定しておりますが、こうしたことも含まれるというふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(末木凰太郎君) 貸金業法の二十一条は、貸したお金の取り立て行為の規制でございます。したがいまして、これは比較的私生活の平穏を害するようなやり方の暴力的な取り立てがしばしばあり得る話でこういう表現になっていると思います。一方訪販の方は、どちらかといいますと、おどしよりも最近の手口というのは言葉巧みにだましてという方が主流でございまして、おどすというものもないわけではございませんので、この威迫してはならないという規定を置いたわけでございますけれども、表現については貸金業法とは違います。違いますけれども、威迫の態様の結果、威迫に当たる行為の結果、私生活の平穏が害されることは大いにあり得ることだと思いますので、法律が違うので表現も違いますけれども、似たような状況を想定しているものだと思います。
○市川正一君 じゃ似たようなという意味でこれは含れていると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(末木凰太郎君) 含まれているといいますか、交差する概念ではないかと思います。
○市川正一君 そうすると、この後、私はクリーニングオフの問題まで入りたかったんですが、時間がまいりましたのでもう一項目だけ、今の一連の問題の続きだけできようは終えたいと思うんです。
実は埼玉県消費者保護条例では、不当な取引方法として十一項目を指定しております。また、日弁連の消費者問題対策委員会もことし三月に、訪問販売法改正についての行為規制のあり方の中で、二十三項目の禁止行為を挙げております。いずれも非常に身近なケースを列挙しております。これらの指摘されている行為は、今回の法改正ですべて禁止の対象になるのかどうか。実は事前にリストをお渡ししておりますので、時間の関係でこれはセーフ、これはアウトというふうにやると時間がかかりますので、対象にならない項目があればひとつ拾い出していただきたいと思います。
○政府委員(末木凰太郎君) たくさんの項目でございますので、せっかくの御指摘でございますが、結論だけ、これとこれが入る、入らないと申し上げるのは非常に誤解を招くと思います。一つ一つが非常に重要な問題でございますので、入りそうなものもあれば難しそうなものもあります。私どもは、しかし何とか理屈をつけてこういうふうに御提案されているものを取り上げないで済ませたいという心ではございませんので、ただ構成要件が明確でなければいけないとか、不当性の程度が命令とか罰則で禁圧すべき程度の悪性がなきゃいけないとか、理屈がございますので、よく検討さしていただきたいと思います。
○市川正一君 ぜひ今までの経験や実態から出されたものであるので、広く禁止行為として読めるように御研究賜りたいと思います。
時間が参りましたので、私最後にこの項の結びとして強調させていただきたいのは、産構審の答申の九ページのところに、「セールスマンによる不当行為の態様は多岐にわたっていること、これらの不当行為が年々多様化していることにもかんがみ、これらの不当行為を弾力的に抑止し得るよう適切な法的措置を講ずる必要がある。」、こういうふうに述べておりますので、ぜひこの精神を体してきょうの論議を生かしていただきたい。あさってまた相まみえることを楽しみにして、きょうはこれで終わらせていただきます。
○木本平八郎君 大分時間も遅いので簡単にやりたいと思いますが、それで、まず結論的にお伺いしたいのですけれども、この法律案が通ったとして、今後こういう訪販法におけるトラブルがどの程度減るというふうに見込んでおられますか。
○政府委員(末木凰太郎君) 絶滅ゼロと申し上げたいところでございますけれども、これは相手もあることでございます。私どもは一生懸命やりますけれども、とにかく悪質業者の方はそうすればまた裏をかくことをいろいろ考えるということでございますので、絶対とか絶滅とかいう思い上がった答弁は控えさせていただきますけれども、それなりに私ども検討いたしまして、多くの方の御意見をちょうだいして現時点における一番適切な対策と考えて御提案しているわけでございますから、この法律の施行及び業界の自主規制、さらに消費者の自衛の御努力をあわせまして、最大限の効果を上げるように全力を尽くしてまいります。
○木本平八郎君 いや、具体的にどういうイメージでどのくらい減るだろうということですね。具体的に何%ということまで要求しませんけれども、どのくらい減るだろうということはどうですか。
○政府委員(末木凰太郎君) 要するに数字で申し上げることは困難でございます。しかし、例えば過去に私自身も携わってきましたいわば規制行政を振り返ってみますと、悪質な業者にとりまして行政指導も煩わしいでしょうけれども、刑罰を課せられるというのは大変なことでございます。
この法律には、これまでは刑罰がかかる規定が全然なかったわけではございませんが、書面の交付をしないというような、いわば形式犯的なものしかなかったわけでございます。今度は具体的な行為規制がございまして、行政命令あるいは刑罰がかかりますので、そういう意味で、思い切ってこれは法律の施行をやっていけば、同類型のものはきちっとした処置をした後は非常に大幅に減るものでございます。そうこうしてまた少しいたすとまたごそごそ出てくるわけでございますが、そこでまたきちっと処分をすればうんと減る。
先ほど警察庁の御協力によりまして会社規模関係が大いに減っていると申し上げましたけれども、これも警察及び行政処分の成果でございます。そういう意味で、数字は控えさせていただきますけれども、大幅に減るようにこの法律を使っていきたいと思います。
○木本平八郎君 一応ここに今までのような類型のものは減るだろうということですね。それはそうだと思うんです。しかし、今末木さんおっしゃったようにまた新たなものが出てくるということで、それでちょっとお聞きしたいのですけれども、手口がどんどんどんどん巧妙になっていると思うんですが、その辺はどういうふうに受けとめておられますか。
○政府委員(末木凰太郎君) 確かに手口は巧妙になっております。しかし、私どもは悪徳業者が新しい手口を考えた場合には、またそれで手を打たなければいかぬと思いますし、切りがないではないかという御指摘もあるんですけれども、先ほど来たびたび出ておりますように、このトラブルの背景にありますのは人間の本性に根差すといいますか、もっとお金がもうかる話なら乗ってみたいとか、もっと美しくなるんならそうなりたいとか、もっと賢くなるんなら、じゃ勉強してみたいとか、人間の本性に即した欲望につけ込んでくる商法でございますから、こういった本性がある限り、それにつけ込む人がゼロになるということは、これは実際はなかなかないだろうと思います。
したがって、私どもは根気よく対応していく、悪質業者に負けないような意欲と知恵を出していくということだと思います。
○木本平八郎君 もう一度お聞きしますけれども、今大体八十何件ですか、八十六件、それで十一万五千二百人、それから百三十五億三千二百八十万円の被害があったということなんですね。
この数字が的確かどうかは別にして、じゃ結論的にお聞きしますけれども、この被害額、これはこの法案が
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