|
112回-衆議院-商工委員会-09号 1988/04/19
昭和六十三年四月十九日(火曜日) 午前十時一分開議
出席委員
委員長 渡辺 秀央君
理事 甘利 明君 理事 尾身 幸次君
理事 奥田 幹生君 理事 田原 隆君
理事 与謝野 馨君 理事 奥野 一雄君
理事 二見 伸明君 理事 青山 丘君
麻生 太郎君 石渡 照久君
小川 元君 古賀 正浩君
佐藤 信二君 島村 宜伸君
玉生 孝久君 中川 秀直君
中山 太郎君 額賀福志郎君
福島 譲二君 穂積 良行君
牧野 隆守君 粟山 明君
森 清君 井上 泉君
小澤 克介君 緒方 克陽君
城地 豊司君 関山 信之君
水田 稔君 権藤 恒夫君
中村 巖君 森本 晃司君
薮仲 義彦君 工藤 晃君
藤原ひろ子君
出席国務大臣
通商産業大臣 田村 元君
出席政府委員
環境庁大気保全局長 長谷川慧重君
通商産業大臣官房総務審議官 山本 幸助君
通商産業大臣官房審議官 末木凰太郎君
通商産業大臣官房審議官 野口 昌吾君
通商産業省通商政策局次長 吉田 文毅君
通商産業省産業政策局長 杉山 弘君
通商産業省基礎産業局長 鈴木 直道君
通商産業省機械情報産業局長 児玉 幸治君
委員外の出席者
警察庁刑事局保安部生活経済課長 泉 幸伸君
経済企画庁国民生活局消費者行政第二課長 吉田 博君
労働省労働基準局監督課長 松原 東樹君
労働省婦人局婦人労働課長 粟野 賢一君
商工委員会調査室長 倉田 雅広君
─────────────
本日の会議に付した案件
訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)
訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案(上坂昇君外三名提出、衆法第六号)
特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律案(内閣提出第五八号)
────◇─────
○渡辺委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案及び上坂昇君外三名提出、訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。
○井上(泉)委員 訪問販売というのを、この法案を審議するに当たって私も若干勉強させていただいたわけですが、三兆円に近い取扱額、それから百万人を超えるこれに関与する人たち、そういうようなものを見た場合に、訪問販売業あるいは通信販売業というものが我が国の流通経済の中で、これは将来ますます伸びる方向にあるのか、もう現在が飽和点であるのか、あるいはこういう傾向というものは好ましいことであるのかないのか、その点、まず大臣の見解を承っておきたいと思います。
○田村国務大臣 訪問販売は、最近の消費者ニーズというものが非常に多様化してまいりまして、これに対応した販売手段の一つでありまして、消費者の利便の増進や流通近代化などの観点から見ても、積極的に評価し得るものと私も思います。そういう面も多いと思います。
しかしながら、現状におきましては、訪問販売によって消費者が不当に不利益をこうむることも少なくございません。これらの取引の適正化によりまして、購入者等の利益の保護を図るとともに、訪問販売業の健全な発展を図ることが当面の課題であると考えております。訪問販売というのは、非常にいい面を持っておる反面、非常にまたあくどい不当行為というものもあって、消費者が大変困っておる、多大の迷惑を受けておるという点もございます。でございますから、そういうものをなくさなければなりませんから、いい面だけ伸ばしていかなければならぬということで、消費者の保護を図ろうというものでございます。
そういうことでございますので、どうかよろしくお願い申し上げますが、これからの消費者のニーズということを考えますと、法によって適正な線を守ってあげるということにして育成すれば、私は訪問販売はこれから相当伸びていくんじゃないかというふうに思っております。
○井上(泉)委員 訪問販売業者あるいは通信販売業者、これらのごく最近の資料によるおよその取扱金額がどれくらいあるのか、そしておよそこれに関連をする働く人たちはどれくらいあるのか。そのことを、これは通産省の方から御答弁願いたいと思います。
○末木政府委員 訪問販売の最近の売上高あるいは従業員の規模というお尋ねでございます。
まず、小売全体の売り上げが今大体商業センサスで百兆強でございますが、その中で訪問販売の売上高は最近二%程度に達しておりますが、この推移を見ますと、五十五年の売上高が一兆二千億円でございました。それが、年々その後、五十六、五十七、五十八、五十九、六十と、五十年代後半におきましてはほぼ二けたの成長を遂げまして、六十一年には二兆二千七百億円に達しております。ただ、六十一年の伸び率は、それまでほぼ二けたの伸びを維持しておりましたのが、前年比五%の伸びということで増勢はやや鈍化してきておりますが、小売全体に占めるウエートとしては二%強に達しました。これは、全体として小売の中でどのくらいの地位を占めているか、ほかのものとの比較を申し上げますと、例えば百貨店は小売全体の売り上げの中で七%強くらいでございますし、いわゆる大型スーパーというものが一〇%くらいでございますが、最近しばしば話題になります家電、家庭電化製品の量販店、大量販売店等が、これは正確な把握はなかなか難しゅうございますけれども、おおむね一%くらいでございます
し、それから中小企業との摩擦問題で話題になります生協が一・三%くらいでございますから、二%のシェアを持っている一つの小売の形態というのはかなり有力な形態だと思います。
それから、ここで働いている従業員につきましては、独立営業主という形をとっている家庭の主婦が、いわば内職といいますか、古い言葉で内職と言いますが、一日何時間か訪販をするというのが数が多うございますが、こういったものを含めますと百数十万人と言われております。
○井上(泉)委員 その中で最も訪問販売が多いと思われる化粧品界、つまりポーラとかノエビアとか、化粧品の訪問販売の率というものは非常に高いと思うわけですが、それについて調査されたことがあるのかどうか、お尋ねいたします。
○末木政府委員 特に化粧品について立ち入った調査をしたということはございませんけれども、おっしゃいますように訪問販売で売られる商品を品物別に見ますと化粧品が第一位でございまして、全体の三割くらいを占めていると見られております。ちなみに二位が教材、三位が家庭用品でございます。
なお、化粧品につきましては、御承知のようにマスコミの広告によってマーケティングを行う方式を中心とする、古くからあります既成の大手企業がございますが、これに対しまして戦後、そういったマスコミ広告によらないでマン・ツー・マン、一人一人の訪販員が一人一人のお客様に、本当に対面販売の極致と申しますか、そういった格好で商品を売り込む訪問販売が非常に伸びて、業界の競争の活発化に寄与しているのではないかと思っております。
○井上(泉)委員 この訪問販売法の改正に伴う全条文を見ましても、つまり二兆円産業、三兆円産業と言われるものを支えておるのは、これはやっぱり末端の訪問販売員ではないか、こう思う。販売員の販売努力があって、それで初めてそれぞれの企業の商品が多く売られておる。
それにもかかわらず、この販売員の位置づけというものが全く確立されていない。会社からの訪問販売員から消費者と直結するものがあるし、また、別に営業所をつくって、その営業所の所長が何人かの販売員を使って営業所としての販売行為をしておる。ところが、その一番先兵である販売員というものが業界では全く法のらち外に置かれておる。つまり労働関係の諸法規のらら外に置かれておるということを見て私は非常に遺憾に思うわけなので、その点について、労働省からきょうおいでを願っておるわけですが、労働省の方ではこの訪問販売の販売員というものをどういうふうに位置づけておられるのか、お伺いしたいと思います。
○松原説明員 訪問販売員の就業形態はいろいろございまして、一概に労働基準法等の労働保護法規が適用になる労働者であるかどうか判断することはできないというふうに考えております。訪問販売員のうちで、業務の内容及び業務の遂行の方法につきまして、使用者の具体的な指揮監督を受けて、勤務の場所あるいは勤務時間等につきまして指示管理されて業務に従事している者につきましては、労働基準法上の労働者になるというふうに考えております。
一方、その他の委託契約に基づきまして、業務の内容及び遂行の方法につきまして具体的な指揮監督は受けず、また勤務の場所、勤務の時間等につきまして厳格な指示管理を受けずに業務に従事し、その実績に応じて報酬を受け取るというような形の者につきましては、労働基準法上の労働者には当たらないというふうに考えているところでございます。
○井上(泉)委員 それで、労働省の方では、この訪問販売員の動向というか形態というものを調査をされたことはありますか。
○松原説明員 訪問販売員全体につきましての調査、実態の把握をいたしたことはございません。
○井上(泉)委員 調査をされたことはないというわけですけれども、やはりそこに百万人もの人が働いているというその実態ぐらい調査をするのが労働省としての、私は労働者の地位を守り労働者の条件等の行政指導していく立場にある者としては当然なすべき任務だ、こう思うわけですけれども、そういうふうに任務を自覚しないですか。
○松原説明員 私ども、労働基準法等の労働者に当たる者につきましての労働条件の確保、向上等に努めてまいる義務を負っているところでございますが、具体的ケースに応じましてそれぞれ事案が生じてまいりますれば、その都度具体的に判断をした上、労働基準法上の労働者は当たる者につきましては、問題があればそれぞれ指導監督をいたしておるところでございます。
○井上(泉)委員 それは後追い行政ということになりはせぬでしょうか。やはりそういう働く者がおれば、そこのところの企業の実態はどうだろう、そこの販売員はどういう形態でやっておるのか、そういうことは、やはりこれは問題があればそれを調査するというのでなしに、現実にこの社会の中で二兆円産業、三兆円産業と呼ばれ、百万人もの販売員がおるわけですから、いろいろ形態は違うと思う。そうすれば、その実態はどうかというのを調査されるのが労働省として当然なすべきことではないかと私は思うのですけれども、そんなことをしようにも人がいない、こういうことでしてないのかどうか。
○松原説明員 労働基準法上の労働者に該当しない訪問販売員は、いわば独立自営業種に当たるものかと思います。いろいろな契約形態の中で経営あるいは就業が行われているわけでございまして、労働者に該当しない者について逐一把握ということもなかなか難しいというふうに考えております。
○井上(泉)委員 あなた、労働者に該当するかしないかということを一遍も調査もせずに、外から眺めておってわかりますか。それほど洞察力を持ったお役人でしょうか。やはりそういうところに働いている者が二百万もおる。そしてその営業所には三十人、多いところでは五十人も販売員がおる。その人たちがどういう労働条件の中で販売行為をしておるのか、これはやはり労働基準法の中にこれを入れて検討する必要があるかないか、労働省というのはそういう調査をするところじゃないですか。現象があって初めて出向く、調査をする、そういう役所ですか。
○松原説明員 先ほど申しましたように、あくまでもその使用従属関係にある者につきましては、調査するしないにかかわらず労働基準法等が適用になるわけでございまして、その上でなおかつ何らかの問題が生ずれば、その具体的事案に応じて適切に対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○井上(泉)委員 そういう該当するかしないか、それは表面は該当しないような形でやっておるけれども実際は該当するんだというようなことは、やはり労働基準局としても労働省としても調査をすべきだと思うのですけれども、そういう必要がない、結果があらわれて問題が生じたときには調査をするけれどもそれまでは調査をしない、こういうことは一貫したあなたの姿勢ですか、労働省の姿勢ですか。
○松原説明員 大方の状況といたしまして、この問題をめぐりまして監督署等に労働基準法上の問題等につきましてそう頻繁に提起されているところではございませんし、私ども当面、全体の調査といいますか実態を把握するという必要まではないのではないかというふうに考えておるところでございます。
○井上(泉)委員 事業所の調査なんか労働省がやっておるでしょう。そういう場合には、営業所というものは事業所にも該当せぬわけですか。それから、その事業所に該当するのかどうかということを、やはり労働省としては一遍ぐらい調査したらどうでしょうね。例えば労働災害の問題でも、労働災害が発生をしないように、例えば白ろう病患者が出ないようにチェーンソーの操作時間を何時間にするとか、何時間やれば何時間休むとかというように労働者を保護している、労働者の健康を保護する。そういうようなことは、そこに白ろう病患者が出てからやるのではなしに、出ない状態の中で出さぬようにするという、つまり予防するという、そういう意味からも私は労働省がもっと熱心であってしかるべきだと思うわけですけれども、そのあなたの考えは変わりませんか。
○松原説明員 労働者を使用しております事業所につきましては、おっしゃるように必ずしも事後的というばかりではなくて、事前の予防を含めまして指導監督をいたしておるところでございます。
○井上(泉)委員 あなたと押し問答しても全く官僚的な答弁で腹が立つわけですけれども、それが労働者であるのかどうか、労働者的な要素があるとすれば、その的な要素に対応する道を考えなければいかぬ。
そこで、同じ労働省で婦人労働課長がおいでになっていただいておるわけですが、これはもう大多数が婦人ですが、この婦人労働者佐対して目を向けた行政行為をされておるのかどうか、承りたいと思います。
○粟野説明員 多分、訪問販売員ということになりますと労働者はどうかという問題もございますが、労働者だということにしますとパートタイム労働者ということになるのかもしれませんが、そういった方につきましては、五十九年に。ハートタイム対策要綱というものを策定いたしまして、その中で労働条件の改善等取り組んでおるところでございます。
○井上(泉)委員 そんな通り一遍な答弁、納得ができぬわけですが、多くの販売員が女性である、婦人の職場である、その職場の実態を調査することは、これは国民に対する行政のサービス精神じゃないでしょうかね。奉仕精神じゃないでしょうかね、どうですか。
○粟野説明員 調査等につきましては、先ほど監督課長がおっしゃったとおりだろうと思います。
○井上(泉)委員 監督課長が言いよったからと、あなたより監督課長は上席で上には従う、そういう考え方であなた業務をなさっておるのですか。国家公務員法で、国家公務員というものはどうでなければならぬと法規で書いてあるのか、一遍、国家公務員としての任務を位置づけた条文を読んでみてください。あなたたちは国家公務員ですから、国家公務員としての任務はどう書いてあるのか、それくらいのことはそらで覚えておらなければ国家公務員としての資格はないでしょう。あなたたちは優秀な方だと思うわけなので、私はあえてそのことをお尋ねしたわけですが、どうでしょう。
○粟野説明員 私ども、婦人行政という立場からそういう女性の労働条件の改善等々に取り組んでおるわけでございまして、先ほど申しましたように、訪問販売等につきましても労働者であるということになりますとパートという形の方が多いのではないか、そういう中でパート対策については取り組んでおるところでございます。
○井上(泉)委員 多いのではなかろうかではなしに、多いかどうかということをやはり調査をする必要があるじゃないですか。こういうパンフレットをつくっておるが、それなら販売員は一体どうだろう、その実態を聞くだけでなしに、業者から聞くかどうかは知りませんけれども、問題が提起される以前に、そういう多数の、百万人というのはほとんど婦人ですよ。その婦人の方の労働の実態がパートタイマーとしての要綱に該当するのか、該当するけれどもそのまま放置されておるのか、あるいはこれはこうこうだから該当しないのか、そこらの見きわめと、国家公務員の任務を言ってみなさいよ。
○粟野説明員 私どもは、婦人労働行政を取り扱っている者としまして、婦人労働者全体の労働条件の改善等々に取り組んでおるということでございます。訪問販売につきましても、その中には婦人の方々が大変多いというわけでございますので、全体の中で取り組んでおるということでございます。
○井上(泉)委員 全体の中でと言われるけれども、一遍も調査をしてないんじゃないですか。訪問販売のところがどういう状態であるかということを調査しておるんですか。
○粟野説明員 訪問販売員ということで調査はしておりません。(井上(泉)委員「しておりますかおりませんか、語尾がよくわからぬ」と呼ぶ)しておりません。
○井上(泉)委員 そのことでは反省しないですか。おりませんで、そのまま逃げますか。
○粟野説明員 婦人労働全体として私ども取り組んでおるわけでございまして、これまでのところ、訪問販売員だけの調査ということでは調査をしていないわけでございます。
○井上(泉)委員 だから、今後においても調査をしないのか。全体として把握しておる――全体として把握するためには、部分部分の調査をして、それが集積されて初めて全体になるでしょう。そこをもうちょっとまじめに考えてもらえないかと思うわけですけれども、逃げるということじゃなしに、問題へ飛び込んでいくという積極的な精神が公務員の諸君にはあってしかるべきだと思うわけですが、ひとつ話を聞かせてもらいたい。
○田村国務大臣 婦人労働課長も、立場が立場ですから、まだ自分で自信を持って責任ある答弁ができないのでございましょう。実は私は、労働省では政務次官も大臣もやったものですから、昔のことですけれども、通産省のことよりは労働省のことの方があるいはよく知っておるかもしれません。
こういうことは本来調査すべきものだと私は思いますけれども、労働大臣に、少なくとも婦人が働いておる実態あるいは職場等いろいろな面で、婦人に関する労働という点ではなるべく調査をした方がいいのじゃないかなというようなことで、OBとして、友人として私から申しておきます。これはこれ以上言っても、恐らくもうよう答えぬと思うのです。発音も私にしっかり聞こえないくらいですから、私が申しますので、そこのところ、しかるべくよろしくどうぞお願いをいたします。
○井上(泉)委員 これは説明員ですから、あなた方が局長になり、あるいは政治の場に出て大臣になられたりした場合にはまたおのずと考え方も違うと思うし、今は一つの枠の中から外へ出たら局長に怒られるか大臣に怒られるかという気持ちが強く動いておるわけですが、通産大臣の助言を私は了として、労働省に対する質問は終わりますので、どうぞお引き取りください。
そこで、私は今、そんなに労働省にしつこく言うのもと思われるような問い方をしたのですが、実際に私は、こういう化粧品の販売員にずっと当たってきたのです。当たってみると、みんな異口同音に言うのは、私たちは仕事をしてもよし、月に三千円の化粧品しか売らなくてもよしというようななにだ、販売に行っておって途中でひっくり返ってけがをしても私らには労災の何もない、一体私らはこういう機構の中で何でしょう、こう疑問を投げかけられて、私もその返答に困ったわけです。今度国会の中で訪問販売法というものが改正をされて、消費者も保護するし、そして健全な訪問販売業を育成することのできるような数々の条項というものが改正案として出されておるわけですから、その中でそれはお伺いをしてみましょう、私自身がまことに不勉強で恐縮です、こう言って私は、一カ所ではいかぬと思って次々と回ったのです。その人たちにおわびをして、話をしてきたわけです。
この大事な訪問販売業、これは日本の経済の中でなくすることのできない現実の形態ですから、そこで一番働いておるのは販売員だから、その販売員の身分的な安定なりあるいは問題のある点等について、通産省の方も一遍当たってみる必要があるのではないか、こういうように思うわけです。きのう、審議官や担当の課長にいろいろとお伺いもしたわけで、御苦労なさっておることは私も了とするわけでありますし、その通産省の取り組みについては期待をしておるものでありますが、私と担当者との話だけではいかぬからやはり委員会で、直接業務を執行する側にある通産省の産業政策局長なり官房審議官なりのこういう訪問販売員に対する考え方、そして今後における位置づけ、そういうものについて御意見を承りたいと思います。
○末木政府委員 先ほど来、先生御指摘の、第一線の訪問販売員は一体どういう位置づけにあるのであろうかということにつきましては、私どもも若干の勉強はしたわけでございますが、先ほど来の御質疑で明らかなように、大方はその商品の製造販売元といいますか、その会社と雇用関係ではなく、法律的には独立の事業主だというふうに位置づけられております。しかし、そこのところも実態がそうではなくて、本当は雇用に近いのだけれどもそうでないと言っているというような仮装であればおかしいと思いますので、なかなか実態は複雑でありますし、その形態も多様でありますし、また人数も大変多いのですけれども、主要なもの、主として化粧品等を中心に契約関係は調査してみました。
その結果は、おおむねの形はセールスマン、女性が多いですからセールスウーマンと会社との契約条項の中には、例えばこういう規定がございます。ディストリビューターは独立の事業主であります。「その地位は独立したものであって、」当社、当社というのはその製品の製造販売の元をやっている会社ですが、当社の「従業員または代理人となるものではありません。」という条項があったり、あるいは、セールスウーマン、ディストリビューター、販売員、いろいろな名前を使っておりますが、それらは当社から品物を「仕入れます。」という言葉を使ってあったりしております。また、ほかの契約ではさらに、販売員は当社の「従業員でも、代理人または外交員でもありません。」そういうような形。あるいはまた別の表現では、雇い人あるいは共同経営者ではなく「独立した商人」でありますというような契約書が交わされております。しかし、非常に数多いものの中には、あるいは実質は雇用形態ではないかというものが絶対ないかどうかは、これは私どもも断定的に申し上げることはできませんし、今後、先ほど来通産大臣から御答弁ありましたように、労働省においてもしかるべく対処されると思います。
さて、私どもは通産省の分野でどうするかということでございますが、これは今申し上げましたように、一応契約上は独立の事業者、独立の商人というふうに契約関係では位置づけられておりますが、その独立の商人というのが、法律的には独立の商人でございますけれども、経済的に本当に契約相手先と対等といいますか、十分渡り合えるだけのものかというと、これは当然のことながら大方非常に零細な個人の事業主でございますから、これをどうするかという問題が残ります。これにつきましては、今回の法律改正は御指摘のように消費者保護という観点から取り組んだわけでございますので、直接法律の中でそういった関係の条文を御提案申し上げているわけではございませんけれども、一応次のような考え方を持っております。
まず第一に、業界全体の地位の向上が個々の販売員、セールスマン、セールスウーマンの地位の安定、向上につながるだろうという認識でございます。今、訪問販売業界は悪徳商法が多いということで世間の非難を受けているわけでございますが、こういうことを放置しておけば、まじめにセールスをやっている家庭の主婦なんかも全部同じように見られるおそれがあります。したがいまして、今回の法改正を機に、規制すべきは規制し、正すものは正すことによって業界そのものの信用を向上させ、それによって個々の事業主としての販売員の社会的地位の向上を図るというのが、迂遠ではございますけれども基本に第一にございます。
その次に、第二といたしまして、商品の製造販売元である大きな企業と個別の販売員との間の取引関係、契約条件等が、もし強いものが弱いものに不当な扱いを強いているというようなことが仮にございますれば、これは例えば独禁法上の不公正な取引方法に該当することもあり得るわけでございますし、そういった観点から、不当な契約条項がないかどうかという点については通産省としても今後目を光らせていき、もしあればできるだけの手段を講じて是正すべきだと思います。基本的にはそういう考え方で臨んでいきたいと思っております。
○井上(泉)委員 これは訪問販売業が複雑で、法的にどう規制されておるのかわからないわけですけれども、製造会社があって、その大方の製造会社は販売会社をつくっておる。その販売会社が一括して、BならBに売る。Bは営業所長なりそこの事務所の所長なりという肩書であるけれども、本社の社員ではない。つまり販売員を取りまとめておる支部長といいますか営業所の所長ですが、ところが、営業所の所長の権限でおまえは何%、おまえは何%とできないように本社の方で、この場合には営業所の売り上げに対しては何ぼのマージンだよ、それから個人の売り上げに対してはこういうようになるよということになっておるわけで、本当に資本のあくどさ、あくどさという言葉は表現が悪いかもしれないけれども、資本がいかに自分の企業の利潤を図るかということで考え出した知恵であると思うわけですけれども、その知恵の犠牲に訪問販売員がならぬように、やはり訪問販売員が誇りを持って、例えば田村商店の品物を私は売りますよ、私は誇りを持って井上商店の品物を訪問販売しますよ、こういう気持ちになるように訪問販売員というものもやはり大事にしなきゃいかぬのじゃないか。これは私ども社会党も案を出しておりますけれども、社会党の案の中にもこの販売員を販売業の中でどう位置づけるかということについては、きょうは中小企業庁がおらぬので質問ができないわけですけれども、何かその点が不備じゃないかと、これは自分自身が社会党の議員として反省をしておるわけです。
そこで、今度の法改正で貴金属も扱うことができるようになっておるわけですが、そうすると勢い、貴金属を扱う場合というのはこれは豊田商法のようなことが起こり得る可能性があるわけなので、そこで販売員の質というものが問われるのではないか、私はこういうふうに思うわけです。現品を持っていって取引をする場合と、現品を持っていかずに取引する場合と出てくるでしょうけれども、それにしても販売員の質というものがよくなければなかなか大変なことだと思う。その質を向上さすためにも、やはり企業が販売員の位置づけをしなければいかぬのじゃないか。そしてまた行政も、せっかくこういう法律をつくる以上は、やはりその中で関係をする者についての一定の評価をして取り扱いをしてやらねば励みがないではないか、こういうふうに思うわけであります。
その点、きのう審議官から説明を聞く中でも、私は訪問販売員でございます、右の者は、井上泉は当訪問販売協会に登録された、あるいは販売協会の指定した訪問販売員であるという何か証明書のようなものを検討されておるということを聞いたわけですが、やはりそういうものを一つもらうと人間というものはおかしなもので、これは私が営業をする場合でも、井上泉はそこの会社の販売員でございますよといってその会社が認知をしたものか、あるいは販売協会が認知をしたものか、そういうものを提示をすることによって信用というものを消費者に与えることができるわけで、そうすれば勢い訪問販売協会もそのことについては厳選をするだろうし、そういうことを強く考えるわけでありますので、訪問販売協会に加盟をしておる訪問販売員については、一定の身分証明的なものを出してやるとかいうようなことを指導されたらどうかと思うわけですが、どうでしょう。
○末木政府委員 先生、金のことに言及されたわけですが、考えてみますと、坂売員が一番虐げられるといいますか被害をこうむるのは、まさにマルチ形態でうまいこと言われて、あなたこの販売組織に入れば非常にいいことがあるというようなことを言われて、搾り取られるというのが被害の最たるものでございますが、これは既に規制を強化しまして、かなり効果を上げてきているわけでございます。
〔委員長退席、奥田(幹)委員長代理着席〕
さてそこで、おっしゃるようにセールスマンに誇りを持たせるような何らかの仕組みを考えたらどうかということでございます。これにつきましては、社団法人日本訪問販売協会がかねてより訪問販売員教育登録制度というのを実施しております。この制度によりまして、協会がっくりましたカリキュラムに従って訪問販売員の教育を行いまして、そして一定のレベルに達した者に対しまして訪問販売員教育登録証というのを交付しております。この資格を取得しました者が六十三年三月現在で九十一万余ございまして、これは訪問販売協会に名前が登録されております。
ところで、この訪問販売協会がこういった制度に関連しまして、五十七年のことでございますけれども、会員に対してアンケート調査を行いまして、こういった制度についてどう評価されているかを調べたことがございますが、これによりますと、結論から申しますと非常に高く評価されておりまして、訪問販売員の資質の向上に役立つという回答、それから社会的な地位の向上に役立つという回答、あるいは消費者とのトラブルがこれによって減るであろうという回答、そのほか流通業界での位置づけが上がる等々、いろいろな観点から大変高く評価されております。
私どもはこの制度を一層強化充実することが必要かつ適切であるとかねてから思って、協会にその旨慫慂してきておりますけれども、今回の法政正におきまして、日本訪問販売協会が法律上役割を与えられることになるような御提案を申し上げているわけでございますから、法律上社会的な役割を与えられた協会においてその行う教育を受け、その資格を認められて登録された人、そういう人に対しては身分証明書等、これは現在持ってもらっているわけでございますが、持ってもらいまして、一方において消費者には、そういうセールスマンから買えば安心であるというPRをすると同時に、セールスマンの方々自身にも誇りと自信を持って仕事をしていただくという方向を、さらに一層進めてまいりたいと思っております。
〔奥田(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
○井上(泉)委員 今、末木審議官が言われたことについても私は同感ですが、この委員会の審議の中でそういうふうに言われたということで、またこれがこのまま追いおくりになるというようなことのないような、これは一定の期間も要るでありましょうし――今の訪問販売協会は公益法人ではないのですか、任意組合ですか。
○末木政府委員 昭和五十五年に民法上の公益法人、社団法人になっておりますが、社団法人であることに加えて、訪問販売法の中に社団法人日本訪問販売協会というものを引っ張ってまいりまして、名前を引いてまいりまして、この団体に消費者保護のための任務をうたうということが、今回さらに加わるわけでございます。
○井上(泉)委員 訪問販売業者というか、その中に外資関係というか外国の商品というものもかなり日本の国内へ入ってきて、これはどこそこの国のものですから立派ですよというような形で、横文字の入った商品というものがかなり出回っておるわけですが、外資系ではなしに外国の資本で、そして外国で製造されるものがそのまま売られておる、こういうものも訪問販売協会の会員として受け入れるような仕組みになっておるのか、あるいはそういうものは除いておるのか、これは非常に幼稚な質問ですけれども、承っておきたいと思います。
○末木政府委員 資本系統が外資であるかそれとも純粋国内資本であるかということで加盟に差別はございませんし、また取り扱う商品が国産品か輸入品かということでも差別はございません。現に、外資系の企業あるいは輸入品を取り扱う訪問販売企業がメンバーに入っております。
○井上(泉)委員 この訪問販売業、最初は化粧品、こういっても次は台所用品、次は身の回り品、装飾品、次は貴金属類、こういうふうにだんだん取り扱い品目が、それぞれの訪問販売業者がふえてきておるわけですが、こういうことについては、訪問販売をするものはこれとこれとかというような届け出の義務とか何か、そういうものは今度の法では別段規制はないですか。
○末木政府委員 訪問販売を行うについては、こういうものについては訪問販売をやってよろしい、こういうものについては訪問販売やってはいけないというのは、原則としてございません。もちろん他省庁の法律で、持ち歩いて売ってはならないものがなくはないと思います。薬品関係なんかで、例えば訪問で売ってならないものがあるかもしれませんが、原則としてそれは商売自由でございます。
ただ、この法律の適用を受ける品物については、御承知のように指定商品制をとっておりますので、四十三商品群ということで法律の対象になる品物は限定されておりますが、これは実際には、現に訪問販売で売られている品物はほとんど全部訪問販売法でカバーしているというふうに認識しております。
○井上(泉)委員 現実に貴金属を扱っておることについても、これは別段異議はないということになるわけでしょうが、貴金属になるといわゆる豊田商法まがいの、表面だけ金に見せていこう、あるいは装身具にしても、コピーの装身具を本物のような形でやる。それは刑事事件も構成するかもしれませんけれども、そういうものについての規制といいますか監督というものは、協会員であろうとなかろうとやっておることについては、そういう行為、中身がいい悪いは別として、そういうことをすることは自由ということに理解をされるわけですが、そうでしょうか。
○末木政府委員 豊田商事のような悪徳商法については別の法律、いわゆる預託法で規制をしておりますが、通常の形で、そういう悪徳商法ではなくて訪問販売で金とか貴金属を売ることについては現在自由でございますが、今回の訪問販売法の改正によりまして、金その他の貴金属も政令指定によりまして訪問販売法の対象商品、訪問販売法による規制を受ける商品に追加する道が開かれたわけでございます。
金を指定するかどうかは、この法律成立後に審議会に諮って決めることになりますけれども、この法律の対象に加えられれば、化粧品とか家庭用品とか等々従来指定されている品物と同様に、例えば消費者はその気はないのについうっかり買ってしまったけれども取り消したいという場合のいわゆるクーリングオフの対象になるとか、あるいは今度新たに規制を強化しておりますので、欺瞞的な方法、セールストークあるいは威迫等によって金を売りつけた場合に、業者に対する規制措置等がほかの商品と同様に適用されることになります。
○井上(泉)委員 訪問販売の中で、これは昭和六十年三月八日の予算委員会の分科会で、新聞も訪問販売の協会の中でこれを位置づけたらどうか、指定商品とするべきではないかという意見が出されたわけですが、そのときの村田通産大臣の答弁としては、別段今どうということもないし、業界自体が自粛をしておるからということで、その委員会の質疑は終わっておるわけです。しかし、それは引き続いて検討する条件の中にある、慎重に見守っていく必要がある、そういう発言もなされておるわけですが、今訪販法の中に新聞販売を入れるということについてはまだその時期にあらず、こういうお考えにあるのかどうか、御説明願いたいと思います。
○末木政府委員 昭和六十年三月八日の分科会における新聞にかかわる御質疑は、私も承知しております。
ところで、最近の新聞の訪問販売をめぐる消費者トラブルの推移でございますが、通産省の消費者相談室で受け付けた件数を申し上げますと、六十年度が九件、六十一年度が十八件、六十二年度は十二月末までの九カ月間の集計ですが六件ということになっておりまして、通産省で受け付ける消費者相談の全体に占める割合は〇・一%ないし〇・二%程度の数字でございます。これは、非常に少なくて実態に合わないのではないかという御指摘もあるいはあろうかと思いますが、この新聞の問題は、実は二つの側面がございます。
一つは、新聞の販売店がお客さんを奪い合う、お互いに過大な景品を配ることによってお客さんのとりっこをするという問題があります。これは、お客さんの場合にはたまたま景品をもらうというだけのことになるわけでありますが、競争秩序という観点から見れば、不当な手段による顧客の奪取といいますか、そういう独禁法的な観点から問題があります。したがって、これにつきましては独禁法あるいは景品表示法による規制が行われておりまして、公取が監視しておるところであることは先生御承知かと思いますが、こういった面と、それから、要らない新間を無理やりとらされるという消費者との関係における問題点と、二面あるわけでございます。
しばしばクレームとして大きな数字が出てまいりますのは、前者の方がどうも出てくるようでございまして、もちろん私どもは後者の問題がないとは申しませんし、前者のお客さんの取り合いの問題がひいては消費者のためにならないという点もよくわかっているつもりでございますが、現実の問題として、通産省に寄せられている純粋なといいますか、はっきり消費者から出てくる件数が、今のところの数字がこのくらいで落ちついているわけでございます。それにつきましては、いろいろ過去に業界の自主規制の努力も促してきた効果も出ているのではないかと思います。六十一年二月二十日に、日本新聞協会と新聞販売店の団体でございます日本新聞販売協会の間で新聞の訪問販売に関する自主規制の規約が作成されまして、行き過ぎたことをやらないように自主規制が行われてきております。そういったこともこれあり、あるいは世論の批判もありまして、やや数字が落ちついていると思います。したがいまして、このような状況でございますので、当面のところは自主規制の努力を引き続き注意深く見守っていくということにいたしたいと思っております。
○井上(泉)委員 もう私の与えられた時間がなくなりましたので、この訪問販売法という法律は、別にイデオロギーが加味されて中に入ってつくられた法律でもない、これは純粋な経済関係の、消費者あるいは業界を指導するためにつくられた法案であろうと思うわけで、この法案を実際運用するのもやはり業者であるし、そして、法律は基づいて行為をする業者と実際その業者を支える販売員というふうな関係があって、そこで初めて販売業というものが社会的に存在価値を認められる。
田村通産大臣もこの企業の必要性、存続性というものを指摘されたのでありますが、この法ができて施行されるに当たっても、私がきょう、これを支えておる、企業は人なり、あらゆることでも人なり、これを指導する役人が悪かったら、これはとてもじゃないがいいかげんなことになって問題を起こす。問題を起こしたときにはもうその役人は役所におらぬ。こういうことが往々の例ですから、やはりそういう法を守って、法が生かされていくような行政指導というもの、そして今申し上げましたような、これに従事する人たちがもっと誇りを持って業に専念のできるような要綱というものを、今審議官も答弁なされたわけですが、そういう点を大臣として篤と推移を見守って適切な指導をして、この法が立派に成果をおさめるようにしてもらいたい。ましてや今度の法の改正の中では貴金属も扱うことができるような仕組みになっておるわけなので、まさに日本の家庭商品というか、全部の商品を訪問販売で扱うことができるような仕組みにもなっておるので、そうなっておるということから考えますと、やはりそれに従事する人を大切にするという思想がなければこれは健全な発展にはならぬと思うので、その点を大臣にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
○田村国務大臣 今、井上委員のおっしゃったことはごもっともでありまして、私は、訪問販売というもの自体を、そういうなりわい自体を悪なりと断定し、あるいは否定するということは好ましくない。訪問販売が健全に繁栄するということが大切なのである。ですからそういう点では、この法律が成立をいたしました暁におきましては、消費者と申しますよりはもっとざっくばらんな言葉を使えば庶民ですね、庶民に十分周知徹底するように広報活動もしなければならぬ、PRもしなければならぬと思います。
と同時に、今すぐに革命的とも言えるような訪問販売に対する手かせ足かせということも萎縮させることにもなりましょうから、まずここでこの法律が成立しまして、その経緯を見て、それは人間のやることでございますから試行錯誤は当然あるわけで、ああもしとけばよかった、こうもしとけばよかった、ではこれはちょっと行き過ぎだったかなとか、いろいろなことがあると思います。それは、今我々はこれを最善のものと思っておりますけれども、後世の人が見ればそういうことはあると思う。今私どもが昭和二十年代、三十年代の政治や行政を振り返ってみて、何とあの当時あんなばかなことをしたのかなと思うこともあれば、よくあの当時、炯眼すばらしいものだということもあるわけでございますから、これはおっしゃるように今後も健全な育成ということに重点を置いて進まなければならない。
また、当然それは従事する人、特にパートの婦人たちという存在に対して、私は冷たい仕打ちであってはいけないと思うのです。おいおいと、こういう人々の労働条件あるいは労働的な立場というものが明確にされていくということが必要であろう。今おっしゃったように、人を大切にする、従事する人を大切にすることが何よりも大切ということは、私はそのとおりだと思います。もちろん、通産省一省でできるものじゃありませんけれども、労働省その他とこれから十分相談をして万遺憾なきを期するように、部下に対して私から改めて指示をいたしておきます。
○井上(泉)委員 どうもありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、森本晃司君。
○森本委員 今、井上先生の質問に対しまして、大臣から今度の訪問販売法改正について、その施行の仕方についていろいろと決意を述べていただき、あるいはまた先般来の質問で、今度の改正に対する被害の実態や問題点がいろいろと浮き彫りにされている点もあるかと思いますが、私の方から改めてその被害の実態を踏まえまして、いかに消費者、あるいは今大臣がおっしゃった言葉をおかりいたしますと庶民を守るのかという点について、質問をさせていただきたいと思うところでございます。
訪問販売は、五十一年に法律が制定されましたが、この十年間、実際売上高等々で見てみますと、訪問販売は五十一年に六千八百億円であったものが、六十一年に二兆二千七百億円という大きな伸びを示しています。この伸びを示しているということは、私は必ずしもそれは悪いことであると思っているわけではありませんし、訪問販売業界の皆さんも一生懸命努力をされ、また、国民生活の必要性の上からもこの訪問販売法というのは大きく伸びてきたんではないだろうかとも思うところがあります。また、通信販売についても、五十一年に二千八百億円であったものが九千七百億円と、これも大きく伸びています。
しかし一方、その象徴的なものが豊田商事であるように、消費者、特に弱い立場の高齢者の皆さんを巻き込んだトラブルが非常に多く発生しています。業界団体に加入しておられる皆さん方の場合には、いろいろとそれぞれ自主規制をやったり、あるいはいろんな教育をされているわけでございますけれども、ともすればアウトサイダーあるいは少人数でいろんなことを考える悪徳業者がある。こういった意味で、健全な業者も大変迷惑を受けておられるということもあります。しかし、現実にトラブルが発生した件数、通産省の相談室で調べた発生件数は、五十三年が五百九十件、それから六十年が千八百件、訪問販売だけで三倍になっているわけであります。しかし、私はこの通産省の資料を見ましたときに、表面的な統計処理でありまして、必ずしも真の被害実態に立ち入ったものではない。相談室に寄せられた内容だけでこれだけですが、実際にいろいろな被害に遭った人あるいはそういったことに潜在的に不満を持っている人等々を調べてみますと、これは相当な数になるんではないだろうか。いろんなところの消費者団体等々の調査によりますと、あるいは推測によりますと、その被害はこれらの十倍にも達しているというふうに言われている場合もあるわけでございます。
私は、今回の法改正で、健全な訪問販売が行われること、また、健全な業者がその商取引の業をなしていくことについて評価されていくことが一つは大事なことであると思うと同時に、もう一つは、庶民がこの訪問販売業から受けるいろいろな被害からどれだけ守られていくのかということが大事であると思います。そういう意味で大臣に、今回の法改正、趣旨説明はいただきましたが、法改正をしてどれほど消費者を守っていくのか、またどんな決意でいらっしゃるのかということをまずお伺いしたいと思います。
○田村国務大臣 この法律におきまして消費者保護を図っていくには、法の趣旨、内容等の周知徹底を図ること及び法の厳正で機動的な運用をしていくことが肝要であろうと思っております。
このために、この改正案が成立いたしました暁には、消費者、関係業界などに対しまして法の趣旨、内容の周知徹底を図りたいと考えております。と同時に、この規制対象となる商品、権利及び役務の政令指定、それから業者に対する指示や停止命令の発動、悪質業者の取り締まり等に当たりまして、関係省庁や地方公共団体との緊密な連絡を通じて法の厳正かつ機動的な運用に努めてまいる所存でございます。実は、私どもの家も訪問販売、とりわけダイレクトメールなんか大変楽しませていただいております。私は、テレビのコマーシャルでひょっと出てくるのを見るとすぐ電話で申し込むくせがありまして、もう二社ほどの電話番号を覚えておりますが、訪問販売そのものは私は大いに伸ばしたらいいと思うのです。
ただ問題は、訪問販売と不動産というのは悪質な業者が多いというのでなかなか悪名も高いのですけれども、それを政府の手で守ること、つまり規制すること、と同時に、今度は消費者、つまり庶民の側においても理論武装をしてもらわなければならない。そのためには、政府あるいは地方公共団体があらゆる機会に十分の周知徹底を図るためのPR活動をしていくということが必要であろうというような趣旨で、今申し上げた次第でございます。
○森本委員 実態をいろいろ見てみますと、よくぞこれほどうまく従来の法すれすれのところでやっている、あるいはこれほどうまくごまかしながらやっているなというほど新手が次から次へと出てきて、私も、これはそういうことを考える人間の悪知恵をどうやってとめていけばいいのかということで時々苦慮するわけでございますが、現行の政令指定要件を今度は大きく緩和するということになりました。緩和することになったということは、現行の指定要件では十分ではないということであります。それは最近起きているいろいろなトラブルの例を見ても十分わかります。
ここで改めてお伺いしたいわけですが、現行の指定要件では一体何が問題になったのか、だからその幅を今度はどう緩和しようとしているのかということ。それから、同時にあわせて、この指定要件を緩和したことによってどのようなものを今度追加認定するのか、そういった具体例がないとなかなか我々にはぴんとこない。この場で、どういったものが追加されていくのか、基本的なもの、例示等々を挙げて御答弁いただきたいと思います。
○末木政府委員 現行法の対象は、法律の二条三項におきまして指定商品を対象とする。「「指定商品」とは、主として日常生活の用に供される物品のうち、定型的な条件で販売するのは適する物品で政令で定める」、こういうことになっております。「日常生活の用に供される」ということ、「定型的な条件で販売するのは適する」ということ、それから「物品」であるということ、この枠の中で政令で指定をすることになっております。
ところが、最近の消費者トラブルを見ますと、まず日常生活の用に供されるものとは言いがたいものでトラブルが出てまいりました。これは典型が金その他の貴金属でございます。
〔委員長退席、尾身委員長代理着席〕
それから、定型的な条件で販売するのに適しているかどうか。こちらの方は解釈の幅がもうちょっとございます。しかしこれについても、こういうふうにきちっと枠をはめておくと機動的な発動がしにくいのではないかというケースが時々あります。それから、物品ということに限っておりますけれども、生活の多様化によりまして新しいいろいろなサービス提供業がふえておりますので、役務の提供を訪問販売という形で行うものがふえている、これに伴う紛争あるいはトラブル相談件数がふえております。
したがいまして、今度の法改正におきましては、まずこの物品に限っているというところを、物品だけではなくて権利または役務、私どもは簡単に、時には役務あるいはサービスを追加いたしますと申し上げておりますが、といいますのは、権利というのは、結局ここでは何らかの施設を利用したりあるいは何らかのサービスの提供を受ける権利、施設を利用する権利またはサービスの提供を受ける権利でございますから、結果は役務を受け取るということになりますのでそう言っておりますが、正確には権利と役務を商品のほかに追加する。さらに、この商品、権利、役務につきましても、日常生活の用に供されるとか、定型的な条件云々という制約を外しまして、国民の日常生活に係る取引において販売されるものあるいは提供されるもの全般に及び得るということにいたしました。したがいまして、日常生活の用に供さなくても日常生活の場で取引される、つまり消費者としての資格といいますか、そういう生活態様において取引されるものは政令指定の対象になることになります。
具体的にはどういうものがあるかといいますと、その結果、改正をお認めいただきました暁には、物品につきましては典型的には金その他貴金属が候補に挙がってまいります。それから権利、役務につきましては、これは今申し上げましたように消費者から見れば同じようなものでございますけれども、非常に多様なものがございますが、最近のトラブルの発生状況を踏まえまして、本法の対象に早急にする必要がある緊急性とか、一般にこれが広がる波及性とか、消費者の被害の程度とか、他法令との関係とか、いろいろなことを検討する必要がございますけれども、早急にそういったことを検討いたしまして、割賦販売審議会に諮った上で政令で定めるつもりでございます。
それではどんなものが現にトラブルが起きているのかといいますと、トラブルの多いものといたしましては、害虫の駆除でございますとか、あるいはこれはたまたまNTTが民営化されたころからでございますけれども、電話機のリースとか、トイレファンの取りつけ工事等が典型的な相談の例として多うございます。これはもちろん例でございますから、例えば害虫といいましても一番多いのはシロアリの駆除でございますけれども、シロアリの駆除は問題だけれどもゴキブリの駆除は問題じゃないのかというふうに、必ずしも物事を狭く限定して私ども考えておるわけではございませんし、適当なカテゴリーで区切って考えるべきだと思います。一例を挙げますと、こういったようなものが現に問題が提起されておりますので、提起されておる問題につきまして、今のような手順を踏んで勉強した上で、指定の手続を踏んでまいりたいと思っております。
○森本委員 今、最近のトラブルの例、シロアリ駆除等々の話をされましたが、私も具体例でもう少し伺ってみたいと思うのです。
シロアリの場合は害虫駆除という大きな範囲で、したがって今後それは類似したものも全部入ってくるわけですね。シロアリだけじゃなしに全部入ってくる、そういうふうに今私は解釈をさしていただいたわけでございます。
電話機のリースはトラブルが多いというふうに御回答がありましたが、電話機はこれからいろいろな訪問販売によるリースが行われてくると思います。最近一番よく聞くのはやはり電話機だと思うのですが、トラブルが多いという審議官の今のお答えだけで、これは今回の規制の対象に入りますか入らないですか、その辺はいかがですか。これはいろいろ審議会等々でもかなり問題になったように私は伺っていますが。
○末木政府委員 電話機のリースは最近非常に目立つトラブルの事例でございますので、対象の有力というような言葉はよくないかもしれませんが、重点的に対象として検討すべき候補だと思っております。
○森本委員 検討すべき候補ということは、もう明らかに対象にしようと考えていらっしゃるわけですね。
あと二、三聞きたいのです。ほかによくあることで、例えば水道の蛇口を取りかえますよと言って入ってきます。今までは蛇口ですね。これとシャワーとの違い、こういった点をついて彼らはやってくると思うのです。それからほかに多いのは、最近の新興地では、すばらしい家ができましたね、この家にはこんな庭石が非常によく合うと思いますがちょっと置いてみましょうなんて置かれて、その後どけてもくれない、代金を請求されるという例がある。この庭石の問題。
あるいはまた、私のところへも、あるいはいらっしゃる各代議士の先生方のところへも非常に多いわけですけれども、紳士録にあなたの名前を掲載させてあげます、データを下さいというふうにやってくる。これは、データを載せてもらうことに対する代金なのか本の代金なのかはっきりわからないけれども、この紳士録を買わざるを得なくなってくる。私が議員になりました年に早速お見えいただきまして、これはその業者がいいとか悪いとかは別にしまして、私、まだ何にも知らないものですから、ああ国会議員になったらこういう調査に答えなければならないんだなと思って答えておりましたら、すぐに代金の請求が来た。ああこれも議員になったあれかな、これを払わなければどうなるんだろうかなんて思いながら、紳士録については私は実際に代金を払いました。これは、名簿に掲載したことによる代金なのか本の代金なのか、役務、サービスと書籍代金とが一緒になっているようなことも考えられますし、今まではこれがなかった、今度役務が入るということは大いなる前進だと私は思うのです。
具体的に考えてみまして、これらの点についてはどのように考えておられるか、お答えいただきたいと思います。
○末木政府委員 初めの物品の方からまず申し上げますと、庭石の例をお挙げになりました。現在、政令指定されていないがゆえに消費者被害の救済ができないではないかという御指摘が世間からあるものの数は、実は非常に少ないわけでございまして、金は政令指定のしようが今までなかったわけで、今度は指定し得ることになります。そのほかに、通常の物品としては、実は庭石それから墓石でございます。これが時々問題になります。したがいまして、これは従来、今の法律では手の打ちようがなかったわけではございませんけれども、この機会にもう一遍篤とよく検討をして、必要があれば、別に逡巡する必要はございませんから追加を考えたいと思います。
次に役務、工事の関係でございますが、先生おっしゃいました例えば水道の蛇口とかいうものも、私、今手元にあるのはたまたまトイレファンの取りつけ工事というのがありますけれども、トイレの換気扇は問題が起きるけれどもふろ場の換気扇は問題が起きないとか、ふろ場の蛇口についてはトラブルがないということは通常ないと思います。トイレの換気扇で問題が起きるなら恐らく風呂場の換気扇でも問題が起きると考えなければいけませんし、蛇口で問題があればシャワーの蛇口の方も問題が起こり得ると思います。したがいまして、私先ほどシロアリの例で申し上げましたように、こういったものを指定する場合には、その取引の態様とか物の形態とか金額の程度とかそういったものを見まして、同類と思われるものはやはりまとめてやるのが通常だろうと思いますので、千差万別なかなか難しい中ではございますけれども、工夫を凝らして指定をするときにアンバランスになったり取り残しがないようにしなければいけないと思います。
それから、具体的に御指摘がございました紳士録の掲載でございます。これは確かに解釈によって微妙なところでございまして、あなたの名前を載せます、ついては載せた紳士録をお買い下さいという、本を売っているのか、それとも載せてあげますから幾ら払ってください、ちなみに本は一冊差し上げましょうということなのか、これは契約書の書き方で微妙に分かれると思いますが、従来の私どもの紳士録問題についての対応は、原則としてこれは書籍を売っているのではないかと見ておりました。それは、もし掲載するという役務の問題だということになりますと訪販法の対象にならないものですから、訪販法の解釈ぎりぎりでできる範囲で精いっぱいの指導をしようという観点から、原則として、つまり反証を挙げない限り本を売っているということで指導に当たるということでございまして、既に五十年代にそういう趣旨の通達を発して、関係行政機関等にそういうふうに対処してもらいたいということを言いますと同時に、主要な紳士録の発行者に対して、そういう法解釈で臨むからその旨対応してほしいという通達も出しておるわけでございます。
したがいまして、一応そういうことでやってきてはおりますけれども、しかしこれは解釈のできる限りの範囲を精いっぱいやってきたわけでございますから、今回役務が法律の対象になりました暁には、もう一遍契約の態様などもよく調べまして、役務の提供ということで正面切って堂々と扱った方が効果が上がるという実態であれば、従来のものと別にダブって矛盾ということは決してございませんので、重ねてこれも指定対象として考えてみたいと思っております。
○森本委員 今時間もありませんのでわずかの具体例しか質問することはできませんけれども、この法が改正になりました場合にどれを役務とみなすのか、どれを指定商品としてみなすのかということがこれから検討されると思いますが、今日までの事例だけではなしに今後起こり得る可能性のある分野も含めて、そういったものを決してトラブルの後追いだけにならないように先取りしながらやっていただきたいし、またそれをある意味で法律で、政令で定めていくというのはあるいは非常に難しいことかもわかりませんけれども、言葉一つにしてもすぐそれを拡大して適用できるような書き方を、指定の仕方をぜひやっていただきたいと思うところでございます。
さらにまた、五十一年に法律がつくられて十年たって、この十年間何ら改正がされなかった。いよいよ今改正されることになり、その中で特に役務が入ったことは、これで消費者を少しでも守ることができるのではないだろうかと私は思っているところでございまして、この法が改正された場合、施行までの猶予期間は六カ月ということでありますけれども、私は、一日も早くこの法律を施行するよう、六カ月と言わずに早くやらないと、この間にまた多大の被害が生じてくるのではないだろうかと思うところです。
さらにまた同時に、こういった何を指定するとかいう形に持っていく場合に、必ずしも通産省の範囲でない場合もあります。きょうは他省庁の人を一人一人お呼びするわけにいきませんし、むしろこれから通産省の皆さんでやってもらわなければならないわけでございますが、例えば衛生用品では厚生省にかかわる問題であるとか、あるいは農林省にかかわる問題がある。その辺の各省庁間の調整がいつまでも手間取っているということのないようにぜひともお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
○末木政府委員 六カ月の施行期間の問題でございますが、通常要するPRの周知徹底の期間あるいは政省令の準備期間、審議会の諮問の期間等を考えてそうさせていただきましたが、六カ月ぎりぎりゆっくりやろうという気持ちでももちろんございません。できるだけ早急にやりたいと思います。
それから、他省庁との関係につきましても、この改正法案作成の過程でもいろいろ相談をいたしました。これは共管になる部分が幾つかございますので、今後とも協力をしてやってまいりたいと思います。
○森本委員 今度はキャッチセールスあるいはまたアポイントメントセールスに対する規制が加わりまして、これもまた前進だと見ることができるのですけれども、こういうものをいっそ全部禁止してしまってはどうかという考え方も、その被害に遭った人たちから見ますとそういう声も当然上がってくるわけであります。通産省がいろいろ審議されている中に、キャッチセールスにはよいキャッチセールスと悪いキャッチセールスがあるとか云々ということがあったようにも、私は事実は確めておりませんが、そんなことも聞いております。キャッチセールスに果たしてよいセールスと悪いセールスがあるのかなというふうに、私もその辺の解釈に困るわけでございますが、今回のこの規制、全部禁止すべきであるという考え方がありますが、いかがでしょうか。
それから、これも私の体験で、どうも私はこういうことにはだまされやすい善良なる男かもわかりませんけれども、国会議員になりまして初めてこの国会周辺をバッジをつけて歩いておりましたら、あるとき車が横にすっととまりまして、先生、先生と呼ばれる。私は生まれて初めて先生になったものですから、ひょっとしたら自分のことではないのだろうかと振り向きましたら、このライターと万年筆とバンドを先生に差し上げます、今お見かけしたらどうも新しくなられた先生のようでいろいろと必要でありましょう、どうぞお受け取りくださいなんてこられまして、田舎者ですから、東京というのはこんなにただでくれるところなのかなと思ったりしながらじっと商品を見ておりましたら、我々素人ではなかなか判断がつかぬいいように見える商品です。何で私にくれるのですか、あなたは私を知っているのですかといろいろ話をしているうちに、どうもそうではない、これはやばいなと思ったのです。そうすると、本当にもらってよろしいのですかと聞いたら、その人は、先生、これは差し上げますが、ただし三人で商品を卸してきましたので三人にちょっとずつと言って、言われた額が三人で来て一人当たり五千円の一万五千円支払ってくれ、こういうことを言われて、これは私はそんな金を持っていなかったので、金がないということで商品をお返しして危うく逃れましたけれども、東京ではこういうものが非常に横行しているというふうに後で伺いました。こういったキャッチセールスがあります。これは路上のものなので取り締まりは非常に難しいと思いますけれども、無理につかまえて営業所へ連れていくというキャッチセールス等々があって、その営業所の中で換金してしまうというキャッチセールスが非常に多くて被害も多い、この辺も禁止すべきだという意見については、通産省としてどのように考えておられますか。
○末木政府委員 極端なケース、身体の自由を奪って強引に拉致していってということになれば、これは現在の刑法のもとでも強要とか逮捕、監禁とかいろいろな規定に触れると思うのですけれども、通常そこまではいかないですれすれのところで業者の方もやるのだろうと思いますが、その態様はいろいろございます。それにつきまして、およそ路上でつかまえてどこかへ連れていくという、こういう商法は禁止すべきだという議論は確かにございます。私どももそれについては内部でも検討いたしましたし、研究会等でも話題になりました。しかし、これは程度が非常に社会的に非難すべきである、あるいは違法性が強いというようなものとは言えない程度のものから、違法性の程度の強いものに至るまでいろいろございます。
例えば、通常の商店でも店先で呼び込みはやっておりますし、これについてはもうそういうものだと思っている。たまには非常にきょうはしつこい人につかまってしまって参ったというようなこともありますけれども、その程度は恐らく社会的に許容されているのだろうと思いますが、そこで、これも一律禁止ということになりますと非常に要件を書きにくいわけでございます。どうしても書けということになると、恐らく刑法と似たり寄ったりのような書き方になってしまうのではないか、うまくは書けないわけでございます。そこで、いきなり禁止ということではなかなか難しいものでございますから、これをもうちょっと広い目にふわっと書いて、すぐそれに違反したから罰則がかかるということではないけれども、訪問販売の一形態として広い意味の本法の規制の対象にするという形で取り込んでおいて規制を加えていこうというのが、今回の考え方でございます。
ただ、その中に一律に書こうとするとそういうことになるわけでございますけれども、ある悪質な企業が例えば具体的にマニュアルをつくりまして、従業員にこういうふうに路上でつかまえてこういうふうに喫茶店に連れていって、あるいはこういうふうに営業所に連れていってというようなことで組織的、計画的に何かやっているような場合が仮にあったといたします。その形態に着眼してこのタイプはひどいではないか、一般的には書きにくいにしても、これは明らかにおかしいじゃないかということがあれば、これは今回御提案申し上げています指示の制度がございます。業務に対して必要な改善措置を命ずる指示の制度がございますが、例えばそういったところでそれを規制していくとか、結局最終的に違反は刑罰で担保されることになりますが、そういう意味でこの法律のいろいろな手段を使って規制できることと思います。直罰で禁止しなかったのは、そういった考え方に基づくものでございます。
○森本委員 次はアポイントメントセールスですが、この定義は一体どういう定義になっているのか。それから今回の改正法の中で第二条第一項の中で「その他政令で定める方法により誘引した者」、この「政令で定める方法により誘引した者」とは一体どういうことを言うのか。それから小売業の皆さんあるいはデパート等から我が家の家庭に、こういう商品が入りましたのでお越しくださいという正常なる案内が来る。これは奥さん、お買いになるとお得ですよという案内をいただく。暮れになりますとそういうことが非常に多いわけですけれども、これまで規制されてしまうと、私はまた健全なる小売業者の皆さんの営業活動が停止されていくというふうにも思ったりするわけですが、アポイントメントセールスの定義はどのように考えておられるのか。
それから、電話の呼び込みだけではなしに、最近非常に多いのが、はがきで来る場合があるのです。アンケート調査に答えた、そうするとそのアンケートに対してあなたが当たりました、重要なことをお伝えしたいので何月何日どこの営業所へお見えくださいというふうに、電話ではなくはがきで来る場合がある。電話で来る場合は、最近もううるさいのとそれから消費者の皆さんも相当自衛手段がついてきたのか警戒をするということがありますが、意外と新たな方法で、はがきで来るあるいは文面で来るということに対しては弱い部分もあるんじゃないかなと思うわけですが、その辺については、このアポイントメントセールスの定義のとり方はどのように考えておられるのか。
○末木政府委員 実は、このキャッチセールスとアポイントメントセールスの二つは、大体二つ並べてどうするんだというふうに問題提起をされる勧誘形態でございます。
キャッチセールスの方は、法案作成の過程で比較的どういうものであるかというのが話が詰まりやすいと感じたんでございますが、アポイントメントセールスの方は、さらに一層定義と申しますか構成要件、どう書いたらいいのかというのが難しい問題でございます。そこで現在、これはおっしゃいますように政令で書くように譲られておりまして、法律の中に直接出てまいりません。その点をとらえまして、通産省は事によるとアポイントメントセールスの規制はやめちゃったんじゃないかというような御懸念の向きもあるようでございますが、決してあきらめたわけではございませんで、工夫をして政令で書くつもりでございますが、今のところはどういうふうに書いたらいいか、まだ具体的な成案に至っておりません。
ただ、どういうタイプのものが今あるかといいますと、勧誘方法といたしましては、御指摘のように電話、郵便、あるいは郵便でない書状をポストに投げ込んでいく等ございます。それから、どうやって呼び出すか、その気にさせるかということにつきましても、典型的な例で言いますと、先生おっしゃいましたような、お話ししたいことがありますとか説明したいことがありますということもあります。そのほか、預かり物をしておりますからとか、あるいはあなたは特に抽せんによって何万人の中から一人ということで選ばれましたので、ついてはいい話があるからおいでくださいとか、あるいはまた無償であなたに会員権を差し上げることにいたしましたのでお越しくださいとか、非常に千差万別でございます。しかし、こういったものをよく分析をいたしますれば、ある程度のタイプにくくれるのではないかと思っておりますので、要するに欺瞞的な方法によって、本当はそういうふうに誤解をしなければ出向かなかったであろう人を無理に出向かせてしまうようなものをできるだけとらえなければいけないと思っておりますが、そういう点に着眼いたしまして、工夫をして政令でできるだけ書きたいと思います。
それから、はがきで勧誘した場合につきましても、基本的には電話で勧誘した場合と似たり寄ったりでございますけれども、これも電話よりもはがきの方が、受け取った方からすれば冷静に見る機会があるということもまた一面事実でございます。もっともらしく見えるという面もありますけれども、冷静に判断できるという面も両方ございますので、その点よく検討させていただきたいと思っております。
○森本委員 それから、住居以外の場所における現金取引の場合にも書面を交付をするということがございますが、住居以外の場所の現金取引の場合に書面を出すとなりますと、これは私は、そういうことがされることは望ましいという考え方でありますけれども、一方、住居以外の場所となりますと、屋台あるいは露店商、そういう人たちの場合も書面を一々交付しなければならないのか。こうなりますと、そういった人たちの営業もまた非常に困難なものになってくる。今日まで、神代の昔とまではいかないけれども、伝統的に日本の中にある営業方法もそれは規制されていくとなってくると、私は実態的に非常に混乱が生じるんではないかと思いますが、その辺についてはどう考えたらいいでしょうか。
○末木政府委員 現金取引を今回書面を交付すべき場合の対象とすることにいたしましたのは、従来現金取引につきましては規制が及ばないために、本来現金取引でなくてもいいものを現金取引にしてしまうとか、あるいは現金をセールスマンが立てかえて会社に払っておきましたからあなたとの関係では現金取引になっていますとか、そういう弊害が出てきたことに着眼して今回改正しようというものでございますから、したがいまして、露店とか屋台とか伝統的にある商売の形態につきましてはそういう問題もございません。結論を申し上げますと、このようなものについては適用除外を定めるつもりでございます。
○森本委員 次は、禁止行為のところでございますが、第五条の二の禁止行為、これを今回創設されたその趣旨は、一体どういう趣旨で創設されたのか。これも私は、その禁止行為については創設した方がいいという考え方に立った上でございますが、もう一度その創設した基本的な考え方を伺いたいと思うのです。
それからこの中に、顧客等の「判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、」とあります。顧客等の判断に影響を及ぼすことになる重要なものとは一体どんなものなのか、ちょっと私、抽象的でわかりません。長時間居座った、これは顧客の判断を狂わすということになる。しかし、時間の長さというのはその人によっていろいろで、急用があるというときに訪問販売者が来てだあっと座れば非常に長く感じますし、自分一人でいるとき、暇であるときにはそんなに感じないかもわからない。それも一定の限度を超えると、もう大変判断に狂いを生ずること等もありますし、そのほかどんな影響があるのか。
それからもう一つ、「不実のことを告げる行為をしてはならない。」とあります。これはマルチでは、不実を告げる、それから第二番目に大事なことをあえて言わないというふうにありますけれども、ここは「不実のことを告げる行為をしてはならない。」それは例えばどういうことであるのかという点について、お伺いしたいと思います。
○末木政府委員 第一点の、禁止行為の規定を導入した考え方でございます。現行法は昭和五十一年のことでございますから、当時の訪問販売のトラブルに対応して必要最小限な法規制を導入したものと理解しておりますけれども、当時の訪問販売におきまして、いわば不意打ち的に契約の締結をしてしまうといったところから、一体どういうふうに契約をしたのか、契約の中身は何であったのかよくわからない、後でもって、いやそんなつもりではなかったとか、そんな約束はしていないとか、そんなにたくさん買った覚えはないとか、こういったことがありましたので、契約の中身についての明確性あるいは透明性の担保のための措置が必要であろう。あるいはまた、その気がなかったのに契約をしてしまった場合には撤回ができる、あるいは解約ができるようにするということで、訪問したときには氏名等を名のらなければいけないとか、あるいは書面で契約の中身を明確にしておかなければいけないとか、あるいはまたクーリングオフができるとか、こういった、いわば当事者間の関係の適正化の規定にとどまったわけでございます。
〔尾身委員長代理退席、委員長着席〕
ところが、その後のトラブルの実態が非常に変化してまいりまして、量的にも件数としてもふえ、また内容的にも、詐欺的、欺瞞的な方法を用いたりあるいはおどしに近い方法を用いたりになってまいりましたので、今回はそういった行為の悪質化に対応いたしまして、従来は売り手と買い手の間の当事者間の主として民事関係を中心にした明確化等でできていた法律でございますが、行政庁がこれに積極的に今度は関与いたしまして、悪い行為があれば、当事者間の問題だけでなく、行政庁として是正のために必要な措置を指示するとか業務停止を命ずるとかあるいは罰則を適用するとかいう形で、行政庁あるいは刑罰という形で介入するということが必要になったというのが、今回の改正の基本的な柱でございます。
それから次の、顧客の判断は影響を及ぼす重要なもの云々のところでございますが、これは結局、そういったことがなければ買うという意思表示、契約をするという意思形成をしなかったであろう、そのことによって顧客が契約をする気になったという、その分かれ目を支配したような事項でございまして、最近のトラブル例から具体的な例を挙げますと、例えば法律上の設置義務がないのは設置義務があるようなことを言った、これは不実のことを告げたわけでございます。それで顧客の方は、そういうことであればということになってしまうケースとか、あるいは、この品物あるいはこの資格は公的機関のこういう証明がありますというような権威づけ等、典型的にはこういった例があるかと思います。
ただこれは、いずれにいたしましても「判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」というのは、絞って絞り切れるものではございません。非常に形態は多様でございますので、これとこれとこれに限るということを申し上げるわけにはまいりませんけれども、法制後段階におきましては、できるだけその中身がわかりやすくなるように、例示を通牒で挙げるような形で趣旨の徹底を図っていきたいと思っております。
○森本委員 もう少し聞きたいのですが、ちょっと時間がありませんので、次に移らせてもらいます。
クーリングオフについてでございますが、クーリングオフの書面上の表示の仕方、これをよほど明確に、商品を売ると同じぐらいの、極端に言うと文字の大きさもそういうぐあいにしていかなければ、そういう制度があるというのはなかなか一般の皆さんにわからない。それからもう一つは、クーリングオフとは一体何なのかという、このクーリングオフの意味も一般の人にはわからないと思います。私、先般地元へ帰りまして、ちょうど高齢の皆さんにお集まりいただいている会合がございましたので、皆さん、このクーリングオフというのは何か知っていますかと、まあ百人の人に聞きましたというわけじゃないけれども聞きますと、大半、クーリングオフとは一体何なのかということがわからなかった。このクーリングオフとは何なのかということも、消費者にきちっとわかるような書面の表示の仕方をしていただきたいと思うのです。これが一番大事な問題ではないか。
この間も、通信販売のある雑誌を見まして、まあ通信販売は自主規制されているわけですが、クーリングオフのことが書いてある。二ページにわたる通信販売の商品説明の中の一番後ろに、小さな字でクーリングオフの意味のことが書いてあったのですよ。これは私は全然わからなくて、それで大変恐縮だったのですが、課長さんにこれは書いてないぞと言ったら、課長さんじっと見ていただいて、一番最後にありましたねと、これはあったのです。普通見ていると、大抵そういうのを見逃してしまう。このクーリングオフの意味をわかりやすく、そして、クーリングオフはこうあるんだよということをわかりやすく表示するように、通産省としては指導していく必要があるのではないだろうか。
また、クーリングオフにすそ切りを考える場合、金額はどの程度を考えておられるのか。
それから、七日間という期間でございますが、先般社会党の先生の質問のときに、最終営業日を一日延ばすという話のときに、審議官は、それが休業日でありましても、全国を調べてみますと百カ所ぐらいを除いて日曜日も郵便がありますのでそれでいけますというお答えをされていたと思います。
確かに、クーリングオフはその発信主義でいいと私は思うのですけれども、日曜祭日の場合、審議官の家の周りのポストは一日に何回あって何時か、一度調べてもらいたいと思うのです。私の家のすぐ横は一日一回でございまして、朝の十時十五分に来ます。そうすると、例えば月曜日に訪問販売に来られて、月火水木金土日、最後の日曜日です。大抵判断に迷ってできないのは、平日に来られて主婦が聞く、主人は帰りが遅い、もしそういったことを協議する場が最大に考えられるとすると、日曜日ではないかと私は思うのです。間に日曜日があればいいですけれども、月曜日から始まった場合は日曜日で終わりだ。朝起きて、家族でおばあちゃん何したんやとなって、行こうと思っても郵便の回収の時間は、私の家の近所では十時十五分で終わってしまいますから、その日急に決心がつかない。日曜日の場合あるいは国で決められた祭日の場合には、消印はその翌日でもいいというふうにした方が実効性があるのではないかと私は思いますが、どうでしょう。
○末木政府委員 第一点の、クーリングオフに関する記載がわかりにくくて小さい字ではだめじゃないかということでございます。現行法のもとでも四条、五条で、交付する書面につきましては、例えば活字の大きさを日本工業規格の八ポイント、これは官報で使用する活字の大きさでございますから、まだ小さいという御指摘もあるかもしれませんが、数字の大きさも規制しておりますし、赤枠で囲って大事なことはわかりやすくするようにしておりますけれども、この改正の機会に、どういうふうにしたらなお一層消費者にわかりやすく読んでいただけるか、理解していただけるかということを考えたいと思います。
なお、クーリングオフという言葉はつきましても、わかりにくいという御指摘がいろいろございます。もともとはこれはクーラーのクールでございますから、頭を冷やして考え直すという意味でございまして、比較的わかりやすいかなということで関係者は使っていたわけでございますけれども、今にして思えば無条件解約権というような日本語の方がよかったのではないかという御意見もありまして、せっかく使ってきた言葉ですからこれを全部やめてしまうのもどうかと思いますが、要は、いろいろな言い方でわかりやすいように工夫を凝らしていくことが必要だと思っております。
それから第二の、現金取引に今度クーリングオフを適用することにいたしたにつきましては、余り少額なものについてはすそ切りの適用除外をする考えでございますけれども、この金額はよく検討して決めたいと思いますが、諸外国等でも、この程度ならという、日常比較的簡単に買い物をして決済も済ませてしまうような現金取引で、かつ少額なものはすそ切りをしておりまして、国によってまちまちでございますけれども、諸外国の例も参考にし、それから最近の我が国の実態も踏まえまして、今強いて申し上げれば五千円ないし一万円の範囲内ぐらいで適当な線を探したいと思っております。
最後の第三点で、クーリングオフができる期間の最終日、つまり七日目が日曜祭日の場合でございます。大方のところが日曜祭日でも集配をしておりますが、御指摘のように集配の回数、最終集配時間が違うことは事実でございます。私の近所のポストももちろん見ておりますが、日曜祝日は平日よりも早く終わってしまいます。しかしその差というのは、地域によって違いますけれども、御指摘のように、もし朝十時にしかなければほぼ一日に近いぐらいの差が確かに生じますが、もしお昼であれば半日の差でございます。いずれにしても、若干の差といいますか目減りが生ずることは確かにあります。
しかし一方において、これは無条件に、理由を問わず解約を認める制度でございますから、取引の安定という観点からの配慮もしなければなりません。長ければ長いほど消費者にとってはいいし、それから長ければ長いほど取引の安定については問題があるわけでございますので、そういった点も配慮して現在七日と決められているわけでございますし、最終日が全然使えないわけではないので、先日のような御答弁を申し上げたわけでございます。なおかつ、蛇足でございますけれども、集配が終わった後も、あいている郵便局まで行って消印を押してもらえばもちろんできるわけでございますが、御指摘のような事実は確かにあると思います。
○森本委員 期間については、長ければ長いほどいいと私は言っているわけじゃなしに、内容のあるものにしてもらいたいということでございますので、よく検討していただきたいと思います。
それで、あともう少しいろいろとお伺いしたかったのですが、最後に二点だけ私の方から申し上げまして、答弁の方は時間がございませんので結構でございます。
問題は、こういう法律をつくったからといって、やはり人間の心の弱さあるいは強欲さというのがございますから、必ずしもそれは全部守られていく、なくなるということは、私は今回の法改正でもあり得ないというぐらいに思っております。そこで大事なことは、消費者が自分たちで自衛する手段を持つということであります。これが非常に大事で、先ほど大臣も、庶民が理論武装することが必要であるというお答えを井上先生のときにされておりましたが、これに対する啓発運動に、この法改正を機会に通産省あるいは総理府、全面的に各省庁は取り組んでいただきたいと思うのです。通産省から出す通達は難しくて、これは消費者にはわかりません。私でももちろんわかりません。一々解釈していると何となく頭が痛くなる。わかりやすい方法で、しかも高齢者がそんな文章を見なくても、例えば家でテレビを見ている
ときに通産省あるいは総理府からコマーシャルが流れる。訪問販売の場合には、あなたも一週間お考えになって解約することができますよとか、何かそういう簡単な、誇大広告に対するコマーシャルがありますが、そういう啓蒙啓発運動をどんどんやってもらいたいし、そのために通産省も大いに予算を使っていただきたい。これは大臣にぜひ聞いておいていただいて、お願いを申し上げたいと思います。
最後に、これでなくなるわけではございません。今後、この商工委員会で我々もこの実態については絶えず掌握をしていかなければならないし、新たな点について絶えず監視をしていかなければならないと思っています。法改正をしてもその後よく状況を調べていただきまして、この場で報告をしていただき、また我々のいろいろな質問に答えてもらい、後追いだけではなしに、絶えず消費者を守るため、また健全な業者を守るための取り締まりをやっていただきたいということをお願い申し上げまして、同僚の中村さんに質問を譲ります。ありがとうございました。
○渡辺委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。中村巖君。
○中村(巖)委員 最初に、具体的事例から聞いていきたいと思うのであります。
こういう事例があります。原野商法によって売りつけられた原野がありまして、そういう原野を持っている人に対して、これを売却してやる、ついては測量費を払ってもらいたい、測量費を出してもらえば測量の上にそれを他へ売却いたしますよ、こういうことを戸別に家庭を訪問しながら言って歩いた、そして金を取った、こういうことがあるわけでございます。こういう事例について、まず、警察もこれを取り締まっているということが新聞に報ぜられておりますけれども、警察庁の方からこの事例の実態について、あるいは捜査状況についてお答えをいただきます。
○泉説明員 お尋ねのような事案で警察庁に報告があったものにつきまして検討しますと、北海道警察で本年検挙した事案がございます。
その事案の概要と捜査経過を簡単に申し上げますと、札幌市内の不動産業者が北海道の石狩郡内の原野の所有者を訪問いたしまして、土地を売ってやる、そのためには土地を測量しなければならないなどと申し向けまして、昭和六十一年六月から昭和六十二年十一月までの間に測量費名下に、北海道などの被害者約一千百人おられますが、その人たちから金銭をだまし取っておったという事案でございます。これに対しまして、北海道警察本部がその不動産会社の社長ら五名を一月二十九日に詐欺罪で逮捕する等の捜査を行った事例がございます。
○中村(巖)委員 今、北海道警察の事例を挙げられましたけれども、こういうことは東京でも頻発しておりまして、原野商法でもともとだまされている上に、そういう測量費名下にさらに金を取られるということで、泥棒に追い銭というような状況になっているわけでございまして、具体的に東京都内であったという事例も私のところへ相談に来ております。
次に、経済企画庁の国民生活センター関係で、こういうような事例の苦情あるいは相談というものがありますかどうか、それをお尋ねをいたします。
○吉田説明員 第二次被害を伴います原野商法の苦情、国民生活センターにも寄せられております。
事例を申し上げますと、四、五年前に購入した北海道の土地を高く売ってやるということで三百万円、これは営業費あるいは測量費ということで支払ったわけでございますが、現在その業者と連絡がとれないというような事例であるとか、十年前だまされて購入した北海道の原野を営業費五十万円で売却すると勧誘されているけれども応じていいか、こういう相談も入っております。そういうことで、六十一年度国民生活センターの分だけで二十九件、六十二年度二十二件、そのうち新原野商法につきましては六十一年度が十七件、六十二年度が十一件、こういうふうになっております。
○中村(巖)委員 次に、別の事例について伺うわけですけれども、ジュースとかの清涼飲料水の自動販売機を置かしてもらいたいということで、一般の家庭、通りに面している家庭でしょうけれども、そういう家庭を訪問してやって来る。そして、あなたのところはこの販売機をあなたの家の前に置けば必ずもうかるんだ、大変ないい副業になるんだ、こう称して置かしてもらうということで自動販売機のリース契約なるものを締結をする。しかし実際は、それを置きましてもさっぱりもうからない、こういうことでかなりの苦情がいろんなところに寄せられているように聞いておりますけれども、通産省ではこういうことの実態について把握いたしておりますでしょうか。
○末木政府委員 おたくの軒先に自動販売機を置いたらどうですか、それでジュースが売れるといい内職になりますよというケースだと思うのでありますけれども、これはかつて昭和五十四年ごろだと思いますが、かなりそういったケースが頻発しまして、しかし思ったようにはもうからない、うまく口車に乗せられてしまったというような話がございました。そのときには、販売形態としては割賦販売の形で自動販売機を売りつけるというのが多かったようでございまして、そういった点の対策を講じたことがございますが、御指摘の最近のリースの関係を見ますと、今のところ件数は非常に少のうございまして、ここ三年ほどは毎年あるかないかの件数でございます。これは、件数と申しますのは通産省の相談室に相談に見えた件数でございます。非常に鎮静化していると思いますが、これは六十二年、昨年の六月に関係の業界団体、これはリース事業協会とかクレジット産業協会とか、そのほかの関係団体が消費者向けのリースをどうやって適正化していくかという勉強会を設けまして、それに基づいて自主規制の努力をしていただいております。こういったことも効果があったかと思います。そういうわけで、最近では非常に件数は少ないということでございます。
○中村(巖)委員 今お聞きをした清涼飲料水の自動販売機のケース、少ないということで大変結構でございますけれども、今私が挙げましたような事例につきましては、これはいずれも大変悪質なものでございまして、これはまず少なくとも現行の訪販法では適用対象にならないのじゃないかというふうに思いますがいかがでしょうか。
○末木政府委員 御指摘のとおりでございまして、これはリースですと役務の提供でございますから、現行法では対象になりません。改正法によりまして、こういったものを指定し得る状態になるわけでございます。
○中村(巖)委員 先ほどの原野商法の測量費云々についてはいかがですか。
○末木政府委員 原野商法につきましては、現行の訪販法におきましても改正後の訪問販売法におきましても商品と役務、それから権利はサービスの提供を受ける権利でございますので、不動産は対象になりません。もちろん、私どもはこういった消費者関係の苦情相談とかトラブルの相談を受け付けておりますから、そういったところでもし消費者から原野商法に関する御相談があれば、それは関係の方面に連絡をとるお世話をいたしますけれども、私どもの所管としてこの法律の対象になるということはございません。
○中村(巖)委員 いや、今原野商法そのものを聞いているのじゃなくて、測量費ということになれば役務の問題で、測量というサービスの問題でございますから、それは今までは適用対象でなかったのではないかということで、それから今後どうなるんだ、こういうことを伺いたいわけです。
○末木政府委員 失礼いたしました。測量サービスというものの販売であれば、これは法律の対象になり得ると思います。ただ、私ども不勉強で、原野商法に関連した測量サービスの提供の実態を今詳細承知しておりませんので、もしそういう悪徳商法がございました場合に、これとどういうふうに対処していったらいいかということにつきまして、仮に不動産売買と非常にリンクしたような形であるのか、それとも全くそういうものと無関係な原野の売買を話にのせるだけで測量そのものが独立している商法なのか、それによってもどういうふうに対処したら一番効果的なのか違うと思いますし、純粋理論的には法律の対象になり得ると申し上げましたけれども、具体的にどう扱うべきかについては、よく検討してみた上でないと何とも申し上げられない状況であります。
○中村(巖)委員 そこで、今回の改正についてもなお指定商品制を維持している、あるいはまた権利についても指定権利制であるという、こういうことが問題になってくるわけでございまして、指定商品制なり指定権利制というようなものを維持する限りは、次から次へ新しい商法というかそういうものが出てくるわけですから、問題が出てくれば指定をいたしますといっても、常に後追いにならざるを得ない、こういうことになるのでございます。今、指定商品について四十三品目ですかあるわけですけれども、今度法が改正されればその商品の指定さらには権利の指定についてかなり広範におやりになる、そういうおつもりでしょうか。
○末木政府委員 指定商品につきましては、現在の日常生活の用に供するという条件等を外すことによりまして、新たに指定し得るものに何かあるかといいますと、金その他の貴金属が主要なものでございまして、そうたくさんあるとは思っておりません。したがいまして、かなりの確率で――確率といいますかカバー度と申しますか、商品については今度の改正後追加指定をいたしますれば、指定制ではあるけれどもおおむねカバーしているという状態になると思っております。
それから役務につきましては、御指摘のように大変広範にわたりますものですから、そしてまた、従来物品ということでやってきました経験しか持っておりませんものですから、役務については千差万別な供給形態あるいは契約形態がございますので、指定をした場合にどの条項がどういうふうに働くかということをよく見きわめて指定していくことになると思いますが、心といたしましては、法の趣旨でございますから、できるだけこの法律を最大限に活用するというのが基本姿勢だと思います。
ただ、今も測量のお話でありましたように、訪販法で取り扱うべき問題なのか、それとも、訪問販売という形で行われているけれども、中身は訪問販売でなくて営業所で契約をしてもそもそも問題である、そこにポイントがある役務提供の問題なのか、非常に重要な点はそこでございまして、訪問という形によるから問題が起きているのだというものであれば本法でも極力取り組んでいくべきでございますし、もし販売の態様が店舗販売であろうと訪問販売であろうと、共通の問題としてこういう問題があるということであれば、本質的な問題はそちらにあるわけでございますから、そういったものはその本質を見逃さないように一つ一つ対処していかなければならないだろうと思います。そういった点を踏まえて政令指定に臨みたいと思っております。
○中村(巖)委員 したがいまして、常に後追いになるようなやり方では困るので、初めから指定商品、指定役務ということでなくて、全部の商品、全部の役務に一応網をかけておいて、その中からこういうものとこういうもの、例えば新聞は外すという形で除外商品制あるいは除外役務制というか、そういうふうなやり方をやった方がいいのじゃないか。だから、逆に言えば全部網をかけておいて、これは綱をかけてはぐあいが悪いというものをどんどん外していけばいいのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、そういうふうにおやりにならないのはなぜでしょうか。
○末木政府委員 実は、指定商品制につきましての御指摘のような問題点ないし御批判ほかねてからあるわけでございますけれども、先日の当委員会における参考人の意見陳述のときにも出たと思いますけれども、実は従来の経験から見ますと、指定されないために大きな被害が生じたというようなケースは余りなかったのではないかということを参考人の先生もおっしゃっておりました。それから、同じ参考人で消費者関係の仕事をしていらっしゃる方のお話でも、商品については、庭石の例をお挙げになったと思いますが、一、二の例しかお挙げにならなかった。したがいまして、従来やってきました商品に関しましては、私どもは、物の考え方としては指定商品制と除外商品制というのは確かに大きな差でございますけれども、現実四十三の商品群を指定しております今日から見ますと、実際の問題としてはもうほとんどカバーしてきている。今度、日常生活の用に供する云々を外せばその部分が新しいものとして入りますが、そこはそう広い分野ではないというふうに考えております。
〔委員長退席、尾身委員長代理着席〕
そうすると問題は役務でございますけれども、役務につきましては、繰り返しで恐縮でございますけれども、商品以上にいろいろ検討すべき問題がございますので、うまく適用除外制というふうな法案をつくることができるだろうか、非常に難しいのではないかと思います。したがいまして、まずその典型的に問題のあるところについて、できるだけ積極的な姿勢で取り組んで指定をしていくということでやらせていただきたいと思います。
○中村(巖)委員 指定商品が網羅的であるようなことをおっしゃいますけれども、日常生活の用に供する云々というのがかぶってはおりますからあれですけれども、古い法律ではそうですけれども、金なんか典型的に指定商品に含まれなかった、こういう経緯があるわけでございまして、今後ともそういうものが発生をしないとは限らないわけでありますから、やはりその辺は今後の課題としてお考えいただきたいと思います。
次に、訪問販売の際の氏名明示義務、三条にございますけれども、これについても、かねてから氏名明示義務に違反したような場合については、刑事罰等の制裁を科することが必要じゃないかというふうに言われております。今回の改正でも、少なくとも刑事罰は科さないというふうになっております。しかしいろいろ被害者に聞いてみますと、名前を名のったような名のらないような、したがって、じゃどういう者が売ったんだ、あるいはどういう会社が売ったんだ、その所在地はどこなんだということになるとさっぱりわからない、こういうことがあるわけで、この第三条をきちっと守らせるというために刑事罰の担保も必要なんじゃないかという気がしますが、いかがでしょうか。
○末木政府委員 そういう議論が確かにございます。しかし、典型的な契約の流れを申し上げますと、まず消費者の家を訪ねて話を始めて、そして消費者がそれじゃこれを申し込みましょうとおっしゃいますと、その申し込むと言われたときに、あなたの申し込み内容はこうでありましたという書面の交付をする義務がかかってまいります。契約をすれば、また五条で書面の交付の義務がかかってまいります。そういうわけで、すぐ後の段階で氏名とか名称とかを含んだ書面を交付する義務が課されておりまして、これは不交付は当然罰則がかかるわけでございます。
したがいまして、その前の段階で、ガラっとあげた段階で直ちに氏名、名称等を名のらないときにすぐ罰則で担保するかどうかという点については、罰則で担保して別に問題ないじゃないかという御意見もあろうかとは思いますが、そこまで刑罰で強制するのが現在の日本の法意識といいますか、その中でバランスがとれているのだろうか。すぐ後で不交付があれば罰則がかかるということなので、これは罰則では担保しないということにしたのでございますけれども、ただ、そこのところはいろいろな御意見が多方面にございますので、たまたまそのときに名のり方が不明確であったとかいうものはさておき、計画的になるべく名を名のらないで、それから目的も隠して話し込めというようなことを組織的、計画的にやるのが問題でございますから、こういうものにつきましては、今回その三条の違反に対しまして非常に悪質のものであれば五条の三で通産大臣、主務大臣が必要な改善措置を命じることにしております。そういう意識的、計画的に名を名のらないでうまく入り込んで引きずり込むような商法はいけない、ここをこういうふうに直せという指示を出せるような条文を整備しておりますし、これに反すれば業務停止もできますし、あるいは罰則もかかります。そういった形を置いて対処するのが現実的ではないだろうかと考えた次第でございます。
○中村(巖)委員 次に、開業規制の関係でございますけれども、開業規制については現行法にも別にないし、今回の法改正でもないわけでありますけれども、私はやはり開業規制というものが一番抜本的なのじゃないかなという気がしているわけでございます。各戸別の家庭を訪問して販売を営む、こういう事業にやはり届け出なり登録をするという程度の規制を課することはいいのじゃないか。もちろん営業の自由というのはあるわけですけれども、憲法上の自由でありますけれども、その程度の規制を課するということは、これは憲法の規定にも違反しないし、いろいろな業種におきましてはそれぞれに登録制なり届け出制というものがあるわけで、やはり戸別の家を訪問するという業態に関する限りはその辺の規制は当然あり得ていいんじゃないか、こういうふうに思っているのでございます。
そこで、まずとにかく業務を営むについて登録なり届け出をする、こういう制度をお持ちにならないというのは、何かそういうことをやると、また役所の機構がふえて予算が要る、こういう配慮に基づくのかどうか知りませんが、その辺のことはどういうお考えでやっておられるのでしょうか。
○末木政府委員 開業規制を導入しなかった理由は一つではございません。幾つかのことを考えまして、今回導入を見送ったわけでございます。
一つは、現在訪問販売を行っている事業主体が、一日数時間あるいは週に数日だけ訪問販売に従事する家庭の主婦、独立の営業主という形でやるわけでございますが、こういった人を含めまして非常に多様であり、膨大な数に上る。百万を超える数でございますので、それだけ大勢の人たちに届け出をさせるということは、一部の悪質の人のために大勢の人に負担をかけるというのはいかがなものか。また、行政庁の方といたしましても、そういう膨大な数の屈け出を受けまして、ただそれを積んでおくというだけでは意味がありません。やはり届け出なり登録なりがあればそれなりの審査、少なくとも事実の確認をしなければなりませんし、変更があればその変更のフォローをしなければなりませんので、大変行政負担もふえる。もちろん行政負担がふえるからやるべきことをやらないというのは理屈にならないと思いますけれども、限られた行政能力をどういうふうに使ったらいいかといったときに、効果的な方法であろうかという点に疑問がある。
それから、あえて申し上げますれば、しばしばあることでございますけれども、登録あるいは届け出をいたしますと、悪質な業者は通産大臣登録第何号というような看板をかけたり名刺をつくったりしまして、その事実は間違いないものですから、どうも権威づけに使ったりすることもあり得る。それやこれや考えまして、現時点におきましては、まず悪質なものは限られた範囲だと思いますから、それを重点的に追及していくということにした方が効果的なのではないかということで見送ったわけでございまして、論理的に絶対成り立たないとかいう思い詰めたわけではございません。もっと現実的な感覚で、こういう考え方をとったわけでございます。
○中村(巖)委員 業者登録というのは宅建業法ででもやっているわけです。宅建業者、不動産屋さんというのは数からいっても物すごく多いわけで、それと並行的に考えればやれないわけはないだろうというふうに思っております。それは悪用する向きもないとは言えないかもしれませんけれども、宅建業法なんかでは保証金まで積ましてやっているわけで、そういうことできちっとやればいいかげんな訪問販売業者というものはいなくなる。訪問販売企業というものが、企業というか個人企業も含めて今それだけ数が多いとおっしゃいましても、そういうふうな制度を用いればそれは数そのものも整理できるのではないか、こんな気がするわけでございます。これもまた、将来の問題として御検討いただかなければならない課題ではなかろうかというふうに思っております。
それと同時に、業者を登録すれば、宅建業法における宅地建物取引主任というような形で、そこの中の責任者とかさらには末端の販売員に至るまで届け出をするということが可能になってくるのじゃないか。それをしないと、悪質企業の中では悪質な販売員という、それこそ前科何犯というような、あるいはまた豊田商事でやっていた者が今度は原野商法になって、今度はこれになったというように転々として悪いことをして歩く、そういう販売員、勧誘員が出てくるわけでありますから、その辺のことは業者登録とあわせてお考えをいただかなければならないことではないかというふうに思うわけでございます。
次に、今度新しい法律によって法律上の制度として訪販の協会をつくる、こういうことでありますけれども、この訪販の協会というのが本当に機能するのかどうか。貸金業法なんかにおきましてはきちっと貸金業協会に入らなければならないようにしておりますけれども、これは任意団体というか、アウトサイダーを許す、こういう訪問販売協会ですから、これが本当に機能するのかどうかという点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○末木政府委員 日本訪問販売協会、社団法人としての歴史は五十五年以来ですからまだ八年でございまして、それから団体加入が多い等、まだ団体として完全に成熟した団体でない面も確かにございます。しかし、最近の世論の高まりに対しまして、自分たちで何とかしなければいけないんだという意識は非常に高まってきておりますし、今回の法改正を機に任務を与えられるわけでございますから、大いに頑張っていただいて、協会の内部の体制も整備し、それからできることならばアウトサイダーに対する影響力もできるだけ及ぼしていただいて、消費者保護のために体制と機能を強化してもらいたいと思っているわけでございます。
私どもは、詳しくはまだ存じておりませんけれども、御指摘の貸金業法の例を見ましてもかなり長い業界の自主的団体の歴史がございまして、それを踏まえて今の登録制でございますか、法制度ができたという経緯があるように思っておりますし、そういう意味では訪問販売業界につきましては時間的には少しその後おくれているかと思いますが、今体制整備への途上にあると申しますか、しかも意欲を持って取り組んでいただいているものと思っております。私どもとしましても、若干の消費者保護のための助成を訪問販売協会に対してしておりますが、そのほか精神的な支援も含めまして、これを後押ししてまいりたいと思っております。
○中村(巖)委員 将来へ向かっては、やはりアウトサイダーは許さないんだ、全部協会に加入しなくちゃならぬのだというようなことにすることが必要だと思います。協会ができればそれなりに協会による自主規制というものは行われるはずでありまして、やはりその辺のこともお考えをいただきたいというふうに思っております。
時間がなくなりましたけれども、最後に行為規制の関係でございますが、業務規制というか行為規制ですけれども、禁止行為というのが五条の二に設けられておりまして、そのほか五条の三におきましては「購入者又は役務の提供を受ける者の利益を害するおそれがあるものとして通商産業省令で定めるもの。」について、そういう行為をした場合に「必要な措置をとるべきことを指示することができる。」こういうことになっているのですが、この通産省令ではどういうような行為を規制するつもりでございましょうか。
○末木政府委員 この不当な行為の類型は非常に多様でございますが、典型的には、例えばこういうのは何とかならないかと言われている例でいいますと、御要望いただいているケースとしては大変著しく長時間にわたる執拗な勧誘とか、深夜早朝の勧誘とか、そういった例が挙げられておりますが、私どもは、そのような各界の御意見あるいは御要望をよく勉強いたしまして、大体幾つかの基本的な考え方に基づいてこの通産省令で定める行為類型を決めていきたいと思っております。
まず一つは、構成要件がある程度明確でなければいけません。したがいまして、ただ長時間ということでいいのだろうか、ここはどう工夫したらいいのだろうかということがございます。
第二に、非難すべき程度、度合いでございます。刑法の教科書を見ましても、夜店で非常に安い値段で金の指輪と言われたときに信ずる人はだれもいないというような例が教科書にはございますが、それは当たり前の話でございますけれども、どの程度欺瞞的であった場合にこれを取り上げるかという、これがチェックの第二点かと思います。
それから、他の法令との関係で均衡がとれた措置になるかどうか等がございます。理屈を申し上げれば、そのほかに、行為の類型によりましては、この省令で定めた禁止行為といいますか規制対象行為で保護すべき法益は一体何なのかという議論も実は生じてくると思います。消費者の経済的利益を保護するのか、それとも静かな家庭環境の維持という静ひつ権といいますかそれなのか、その辺のところも詰めませんと、ほかの制度とのバランスで説明ができないのでは困ると思います。
しかし、そういった点は私どもは慎重に検討いたしますけれども、これはなるべく通産省令で定める行為類型を狭く定めたいということで申し上げているのではありません。消費者保護の観点からできるだけ知恵を絞って、今のような問題点はございますけれども、できるだけ問題が、消費者のトラブルが解消するように省令を定めたいというのが本当のところでございますので、ぜひ勉強いたしてまいる所存でございます。
○中村(巖)委員 五条の二あるいは三、そういうものに違反した取引契約の取り消し権というようなものも本当は考えなければいけないんだろうと思いますけれども、とにかく時間が参りましたのでこれで終わります。
○尾身委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
午後零時三十二分休憩
────◇─────
午後三時四分開議
○渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。青山丘君。
○青山委員 通産大臣、昨日まで四極通商会議、御苦労さまでした。
委員長の御理解をいただきまして、法案に入ります前にちょっとだけ大臣に質問をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○渡辺委員長 どうぞ。
中略
○青山委員 法案の質疑に入らさせていただきます。大臣、ありがとうございました。お疲れのところ、しかも乏しい情報の中で御見解を求めましたので、やむを得ない面も多かろうと思います。
さて、今回訪問販売の規制の強化、内容の充実のための法案が用意されて、国会へ提出されて質疑が始まったわけであります。内容をよく見てまいりますと、一部の消費者の中からはなお規制がなまぬるい、こういうような批判があるようであります。しかし、私はまず一定の前進であろうと評価すべきではないかと考えております。マスコミの報道を見ますと、毎日のように悪徳な商法による消費者の被害が報道されておりまして、ずっと大変心を痛めてきておりました。何となくイタチごっこがずっと続いてきておるけれども、それでもこれは辛抱強く規制をきちっと強化していく、整備していく必要があるなというのが率直な私の考え方であります。
消費者の立場から見てみましても、所得水準は上がってきている、財テクブームでもある、資産形成の機運が相当大きく盛り上がってきているときに、つい安易に手軽に甘い言葉に乗ってしまう、そういうこともあったのかなという点はあります。しかし、消費者の利益を守っていくということと、基本的に経済活動が順調に活発に進んでいく、消費経済活動を健全に育成させていくというのは、考えてみればいずれもかなり矛盾した点を多く持っておりまして、それを同時に満たしていくというのはなかなか困難だ。したがって、つい後追いになってきているということも認めてこざるを得ない一面であろうと私は思います。ただ、一部の悪徳業者が悪知恵をどんどん発展させていく、そして当局はやむを得ず規制を後追いでも仕方がないからやっていかざるを得ない、こういうイタチごっこのような現象がずっと続いてきたと言わざるを得ないでしょう。ところが、私どもの立場からすると、率直に言ってこうした悪徳商法を根本的に退治することはできないものかという疑問を持ちます。その辺の御見解はいかがでしょうか、これが一点。
それから、今回の改正案でいわゆる訪問販売の形態をとる悪徳業者をどの程度規制できると考えておられますか。また、消費者の利益がどれぐらいこれで守られるんだと確信を持っておられるのか、率直な御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○末木政府委員 この種の消費者被害の防止といいますか根絶はなかなか難しいということも率直にお認めいただきまして、その上での御質問でございますので、私も率直にお答えしたいと思いますが、いかなる法規制を強化いたしましても、それだけですべてのこの種の被害を全くゼロにするということは、実際問題として難しかろうと思います。したがいまして私どもは、一方において法規制の強化、それからもう一つは、消費者にみずからの利益、みずからの立場を守っていただくという御努力もお願いをし、そういった自衛能力をつけるためのお手伝いはできるだけさせていただくということを二つ目の柱とし、それから三つ目に、大多数の業者は一生懸命やっているわけでございますから、業界の中で自主規制の形で悪いものを駆逐するような仕組みも工夫をしてもらい、またその仕組みのもとで悪い業者については行政的な規制、取り締まりを行うのにできるだけ力をかしていただく、この三つの柱によりましてできるだけのことをやっていくということだろうと思います。ゼロにできないからといって、それでは必要な努力をしないということはもちろん論外でございます。一番悪いわけでございますから、悪徳業者が知恵を出すのならば、さらにこちらの方はそれを上回る知恵を出さなければいけないという心構えでございますし、本当に悪かった場合には警察当局にもお願いをして、一罰百戒で示しもつけなければいけないと思います。基本的にはそういう姿勢でございます。
さて、そういうことで今回の改正の柱でございますけれども、現行法は主として訪問販売業者と消費者との間の契約関係の明確化、何かトラブルがあったときに、どういう契約関係であったかということについて不明確であると、それだけでトラブルのもとになりますからまず明確化、そしてできるだけそれがフェアな内容になるようにということを中心につくられております。したがいまして、主要な関係条文としましては現行法三条の、訪問した場合の氏名等を明示しなければいけないという規定と、それから消費者から契約の申し込みを受けたときに書面を交付しなければいけないということと、五条で、契約を締結したときに書面を交付しなければならないという規定が中心規定になっております。通信販売法もこれに準じた形になっております。
それに対しまして、今回は訪問販売業者と消費者という甲と乙の関係に、行政庁というものが第三者として登場いたしまして、訪問販売業者の不当な行為がある場合に行政行為をもってこれの抑圧に乗り出すという柱が大きく加わったわけでございまして、具体的には五条の二の新設規定によりまして「禁止行為」と総称しておりますけれども、こういうことはやってはならないという規定を置き、それをあえてする悪質業者に対しましては、五条の三の「指示」の規定の発動あるいは五条の四の「業務の停止等」の処分あるいはその旨の公表、そしてまたこれらに従わないときの罰則等がございますし、さらに五条の三で、具体的な行為は省令で定めるように省令に譲られておりますけれども、その他の不当な行為につきましても省令で定め、これに対して必要に応じてそのような省令で定めた不当な行為を行っている者に対して是正のための指示、それに従わない場合の命令等をかけ得るようにしております。
そういう意味で、従来の私法的な関係を中心にできていたものに対しまして公法的な規制という柱を導入いたしましたもので、もちろん私どもの執行よろしきを得ればということだと思いますけれども、全力を挙げてこれを施行させていただきまして、従来と違った武器、ツールを持ったわけでございますから、これによって相当消費者の利益を守ることができると思っております。
○青山委員 法律案の内容に触れさせていただきたいと思います。
今回の改正案では定義規定が改正をされて、役務の提供などが追加されております。これについても従来どおり指定制がとられているわけでありますが、従来の指定商品に加えて指定権利、指定役務、これらが規制の対象となります。この指定は政令で定められることになりますが、これまで悪質業者による貴金属などの指定外商品の取引による脱法的な規制逃れあるいは新たな手口、そういったものへの対応が必ずしも円滑に行われたとは言えません。
今回の場合、答申でも、規制が後追いとならないように、追加指定については機動的に行うシステムをつくるべきだという趣旨の提言があります。この追加指定についてはどのようなシステムで指定を追加されようとしていかれるのか、その検討の方法や参加されるメンバー等について、お考えをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○末木政府委員 新しく指定していくものにつきましては、商品のカテゴリーではそう多くはないと考えております。今回の改正で、日常生活の用に供するものであることという要件を外すことに伴いまして、日常の生活の場で取引はされるけれども日常の生活の用に供していないものが指定し得ることになるわけでございまして、具体的には金とか貴金属が該当すると思いますが、その他について現在未指定のために問題が残されておるというものは数多くはございません。
もちろん、この機会にもう一遍洗い直しをいたしまして必要なものは追加いたしますが、そのほか今度新たに法律の対象になってまいります指定役務、指定権利等がございます。そういったものを含めて、それからもちろん商品も、今時点においては懸案になっているものはそう多くないと申し上げましたけれども、今後法律の施行をしていく長い将来がございますので、そういったことを考えましたときに、機動的にできるだけ速やかに必要な指定が行われる必要があるということは御指摘のとおりでございまして、審議会等でもそういうお話がございました。
そこで、その点につきましては通産省を信用しないわけではないけれども、いわば通産省に対して手伝いをするからみんなで一生懸命情報を持ち寄って、今どういうところに問題が起きつつあるのかということを、情報を通産省に集めて機動的な指定の仕組みをつくっていく必要があるのではないかという御意見がございまして、これは私どももその御指摘のとおりだと思っております。それで、どういうメンバーでこれを具体的な組織として構成するか。システムといいましても、要するに委員会組織のようなものをつくりまして、その場で情報の交換なりあるいは議論なり方向づけなりを行うということだと思いますが、これはまだ法案も御審議いただいている段階でございますし、具体的にはまだ案ができている段階ではございませんが、最も有効な方法で考えていきたいと思っております。
現にこれまでやってまいりましたことを御参考までに申し上げますと、まず私どもは、省内におきましていろんな部局に消費者トラブルが寄せられます。その中には、消費者の方は訪問販売法だからあるいは何法だからといって必ずしも区分して持ち込むわけでもございませんから、電気用品法に関する苦情もあれば計量法に関する苦情もあれば、訪問販売法も割賦販売法もいろいろございます。したがいまして、そういったものをできるだけ幅広く集めまして、それがどこの担当であるか、だれが責任を持って処置すべきかという体制をきちんとしなければいけないということで、省内的にもそういう体制をとっております。
それから、この消費者トラブルに関連してお手伝いをいただいてしかるべき民間団体が十一ほどございますが、この団体とも定期的な会合を持っておりますので、そういった方々の御協力も今後とも期待いたしますので、そういった過去の経験も踏まえまして、余り大げさな組織になってもかえって動きませんから、効果的でかつ機動的に動けるような勉強の仕組みを考えて、そして適切な指定に役立てていきたいと思っております。
○青山委員 今回、定義規定の改正に伴って指定商品のほかに指定権利、指定役務が追加されてきますが、指定権利、指定役務というのをどんなものと考えておられるのか。
それから、これまでトラブルになってきた事案というのはどんなものがあって、どういうふうに受けとめておられるか、いかがでしょうか。
○末木政府委員 先生、二つに分けてお尋ねでございますけれども、第二としておっしゃいました指定権利とか指定役務に関するトラブルの実態の方からスタートいたしまして、そういう実態を踏まえて法律的な検討も加えた上で指定役務、指定権利の政令指定に資するということになろうかと思います。
今日頻繁に寄せられております相談あるいはトラブル、問い合わせ等は、例えば害虫駆除でございます。これは一例を申しますと、悪質な業者はシロアリを自分で持ってきまして、それを縁の下にまいて退治をする必要があるとかあるいは退治したとかいうような、そういう害虫駆除にかかるもの、これはいかにも訪問販売で消費者に不意打ちをして契約をとるのに適したと言うと言葉が悪いのですけれども、そういう材料かと思います。消費者が気がついたときには、もうまいちゃってあるというようなケースでございます。ですから、これは一つのタイプを暗示しているといいますか、むしろ明示しているものでございますが、こういったカテゴリーが一つございます。
それから、制度の変更に伴いまして消費者の錯覚に陥りやすい状況を利用する例といたしまして電話機のリースがございまして、NTTの民営化によりまして従来の古いタイプの黒い電話機は使えなくなるんだというようなことを明示的あるいは黙示的、暗にそういうことを言って新しい電話機を取りつけた方がいいですよ、今なら安いというようなことで、電話機のリースをするようなケースがかなりございます。あるいはまた、衛生とか安全とか健康とかいうことに対する関心の高まりに乗じまして、トイレとか換気扇、これはぐあいが悪いですよ、こういうことでは危険ですからということで取りつけ工事をしましょうというので、場合によっては消費者が態度をあいまいにしているうちにどんどんやってしまうとか、あるいは最近の国際化に即しまして、英会話の指導のクラブに入りませんかというような勧誘も多く見られるところでございます。
このような、現実に多く見られて相談が寄せられておりますケースを中心に、当面指定を検討してまいりたいと思っております。
○青山委員 指定商品は政令で定めるということになっておりますが、指定の要件が緩和されてきましたその経過というか背景を御説明いただきたいことと、これによって追加指定がなされるかもしれない商品、今見直しをしなければならないという機運の中で追加指定をどのような商品と考えておられるのか、いかがでしょうか。
○末木政府委員 一番大きなものは、現在の法制のもとで要件を緩和しないとどうしようもないのは貴金属だと思います。これは、日常生活の用に供する品物として読むにはちょっと無理だと思います。したがいまして、今回政令を定めるための要件そのものを改正していただきまして、その上でやっと政令指定できることになります。
それから、現在の法律のままでも政令に定めれば法律的には定め得るものとしてどんなものがあるか、かつやっていないものに何があるかということでございますが、実はもう四十三のカテゴリーを指定しておりまして、およそ問題と言われるものは大体指定をいたしましたけれども、なお今残っているものとしては、これはたしか当委員会の参考人の意見陳述のときにも出た話だと思いますが、庭石、墓石というのが最近ちょっと宿題に残っておりまして、これもこの機会に徹底的に勉強して、やる必要があれば指定したいと思っております。
役務については、先ほどお答えしましたような状況を踏まえて対処いたします。
○青山委員 庭石とか墓石とかOA機器であるとか、紳士録の登載みたいなのが話題になっておりましたね。やはり恐らくそのあたりなんでしょう。その点についても御意見があったらお聞かせいただきますが、消費生活の中における消費経済の取引において余り過剰な規制というものが経済活動を大きく圧迫しては何にもならない。さりとて、消費者の利益というのは断々固として守らなければなりませんけれども、そういうなかなか困難な二つの命題を解決していく道筋として、指定制というのはおおむね妥当ではないかなと私は実は考えています。ただ、答申に触れられておりますし、先ほども私触れましたように、トラブルの生じたものについては指定の追加などは機動的に対応していくことが重要であります。したがって、消費者トラブルの状況というものをどのように今把握をしておられるのか、その点はいかがでしょうか。
また、相談の業務に乗っていただいておるそれぞれの機関、そういうところでは結構苦労してその相談に乗っていただいておりますが、そういうところで受け付けられる情報というのは非常にたくさんあるし、多様であろうと思います。しかしそれは非常に重要なものでもありますので、そのあたりをいかに有機的な形で対応できる体制として整理していくことができるのか。このことは、例えばデータベースを構築していく、そういうデータベースを十分活用していって情報の交換をしていくことによって消費者被害を未然に防ぐことができるし、また地域特性の悪質な商法に対して事前に――事前でもないかもしれませんが、適宜適切に対応することもできるわけであります。そういう意味では、相談業務にあずかってきているそれぞれの機関で、入ってきた情報というのがどういう形で整理されていくのか、またそれがどういう形でデータベースとして構築されていくのか、そして構築されたものはそれぞれの地域や機関において情報の相互乗り入れがうまくいって、それぞれの地域でその情報を有効に活用することができるのか。こういう体制をつくらないと、全国的にはなかなか一律にうまく悪徳な商法をきちっと規制していくというのは困難で、消費者の利益を守るということはなかなか難しいのではないかと私は思うのです。その辺はいかがでしょうか。
○末木政府委員 基本的に先生がおっしゃるとおりだと思います。それで、私どもは具体的にそういう点についてどうやっているかということでございますけれども、二つ申し上げたいのでございます。
一つは、先ほどちょっと言及さしていただきましたが、消費者トラブル情報連絡会議というのを省内に設置をして、省内における情報交換をやっているということは申し上げました。もう一つは、消費者トラブル連絡協議会、似たような名前でございますけれども、これは消費者トラブル早期警戒システムと、実はちょっと物々しい名前でございますけれども我々の中では呼んでおりまして、この早期警戒システムの方は通産省及び消費者トラブルに何らかの意味で関係する民間の団体で構成しておりまして、毎月一回定例の会議を開いております。
そこで、この細織を通じまして今後効果的な情報交換をし、情報対策をしていきたいと思っているわけでございますが、使い方が二つございます。その十一団体の代表者から成る定例的な情報連絡会議を開きます。これには私も極力毎月出席しまして生の状況をつかむようにしておりますが、これはいわば参謀本部で、情勢分析をする会でございます。もう一つは、この十一団体が相互にコンピューターを活用しまして消費者トラブル情報を交換し合うあるいは蓄積するという仕組みでございまして、この二本立てで考えております。
十一団体の中には、実はちょっと毛色の変わったものといいますか、ただ物を売るだけではないものも加わりてもらっておりまして、例えばクレジットの供与と訪問販売との結びつきというようなことがよくございますので、例えばクレジットの産業の面からどういう情報をつかんでいるか、これもインプットしていただく、供給していただく。逆に販売業界の方で生じた情報をクレジットの業界の方にももちろん流す。あるいは広告を審査するための機構がございます。新聞広告を出すときに、これが新聞広告に適したものかどうかの審査をするような広告関係の団体にもこのメンバーに入っていただいております。したがいまして、物を売るだけではなくて、信用を供与するとか広告関係、それとももろん日本消費者協会がその中核でございますが、この十一団体の情報を日本消費者協会のデータベースに蓄積するという作業を現在進めているところでございます。まだ蓄積途上でございますが、これを有効に活用し、さらに今後形がだんだん整いましたらば、インプットあるいは情報交換する対象を一層広げていって、御指摘のような機能を持たせていきたいと考えております。
○青山委員 情報も余り豊富過ぎますとなかなか活用できない、さりとて有効で適切な情報をできるだけ簡易に得られるシステムというのをつくっておかないとなかなか対応できない。そのあたりはぜひ、消費者トラブル早期警戒システム、かなり物々しい名前でありますが、こうしたシステムの発足を必要としているのではないかと思います。
それから、指定商品は当然でありますけれども、新たに指定をされます指定権利、指定役務、これらについても消費者の利益をきちっと守っていく、消費者の利益が侵されるようなことがあってはならない。そういう点で、消費者トラブルの防止のために万全を期していくことがやはり必要であります。ただ、こうした指定については、通産省管轄だけではなくて他の省庁の所管する事項も相当あると思いますので、そのあたりの連携の体制といいますか、そういうものも必要になってくると思うのです。しかし、それは通産省が相当主導的な役割を果たしていかなければいけないのではないかと私は思います。そういう意味で、消費者保護の観点から、トラブルを抑えていくシステムといいますか連携体制というものを築き上げていっていただきたい。この辺の方針はいかがでしょうか。
○末木政府委員 御指摘のとおりだと思います。今日まで必ずしも十分でない面があったかもしれません。今後ともなお一層、そういった努力を重ねてまいりたいと思います。
○青山委員 行為規制について少し質問いたします。
今回の改正案によって訪問販売にかかわる不当行為の禁止規定が創設されます。そして、問題のある訪問販売業者に対しては業務改善命令を出す、業務改善の指示を出すあるいは業務停止命令を出す、こういうことで行政処分が規定されていくわけでありますが、第五条の二、禁止行為についての第一項でありますが、契約に関する事項でありまして、顧客等の「判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」というのは、一体どんなことを考えておられるのでしょうか。
○末木政府委員 抽象的に書いてございますけれども、お客さんがそのことを告げられなかったらば、あるいはそういうふうに言われなければ買わなかったかもしれないけれども、そう言われたので買ってしまったというようなことでありまして、契約をするかしないか、買うか買わないかの意思決定にいわば決定的に重要な契機となるような事項ということでございまして、契約そのものといいますか、品物そのものに関する事柄である場合もあるでしょうし、その品物をめぐる環境に関する事柄もあると思います。
それらはいろいろあると思うのですが、具体的な例で申しますと、例えば、こういう消火器を設置する義務があるのですけれどもおたくにはまだ備えつけてありませんね、これはぜひお買いにならなければいけませんというようなことを言われた場合に、法律上そういるものを備えなければいけないということになっているのなら、それはうっかりしていた、それじゃ買いましょうというようなことになる、そして買ってしまう、実は法律上の義務はなかった。これは典型的な例だと思いますし、そのほかに、いかにも公的な機関がその品物とかサービスを支援しているといいますか、アプルーブしているといいますか認定しているといいますか、何か公的な権威があるものだと思わせるようにしむけまして、それが決定的な理由になってお客が買ってしまうとか、そういうようなものを言っているわけでございます。
これが具体的にどのような事項をカバーするかということは、できるだけ具体的な事例に即して、いわば事例集というようなものを積み重ねていくことによって、いわば判例法的にわかりやすい中身ができ上がっていくと思いますけれども、当面におきましても、できるだけ解釈通牒等でわかりやすい、消費者に理解していただけるようは、この内容を周知させていきたいと思います。
○青山委員 審議官、このことは非常に重要なところでありまして、仮に全く不当な商品を不当な金額で訪問販売しようとしておらなくても、セールスに当たる人たちからしますと、つい一生懸命売りたい、違法のものでもない、ないけれども、たまたま消費者がそういう認識がないので、それを巧みに活用して何とか販路を拡大し成績を上げたいというような、これはかなりモラルにも近いところに関係してきますので、今おっしゃられたようによほど業界はおける自主的な適用が実を上げていかないと、非常にデリケートでしかも難しくて、つい消費者が買わなくてもいいものまで買ってしまうというような不利益を受けてしまう。ここは大切なところでありますので、よく業界に徹底をさせていただかないと、今後この種の問題は必ず尾を引くと思います。
そこで、禁止行為の中に取り上げられておりますこうした顧客等の「判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」あるいはまた「不実のことを告げる行為」こういうことをしてはならないということになっていますが、これらと詐欺や偽計との関係というのはなかなか微妙でありますけれども、そのあたりとの関係をどういうふうに整理されるのか、これが一点。
それから「不実のことを告げる行為をしてはならない。」とありますけれども、事実を告知しない場合は問題とならないようでありますが、これは業者の立場に立ってみますと、業者の不利益になるようなことは言いませんから、したがって言わなかった。言わなかったということが禁止行為にならないということになると、事実を告知しなかったということで、これは消費者の権利が時に侵されていくかもしれない、非常に微妙な点であります。事実不告知の行為が禁止行為とならない、そのあたりをどういうふうに整理してこられたのか、いかがでしょうか。
○末木政府委員 第一点の詐欺との関係でございますが、詐欺罪は刑法の二百四十六条でございますが「人ヲ欺罔シテ財物ヲ騙取シタル者ハ十年以下ノ懲役ニ処ス」と、これでございまして、人をだまして、そしてたまされた人がその結果錯誤に陥りまして、その錯誤のゆえに財産的な処分行為をする。相手の悪い人の方は、その結果財物を取得したり、あるいは財産上の不法の利益を得ることによって成立する犯罪でございます。つまり、相手方が財物を取得したり利益を得るということに構成要件がなっている。これに対しまして、今回のこの五条の二の「禁止行為」でございますけれども、今のようにだました人が積極的にといいますか、結果的に財物を取得したりあるいは財産上不法の利得を得るかどうかにかかわらず、このような行為があれば、不実告知があるとかということに基づきまして契約が締結されあるいは代金が支払われたという行為があれば、その結果、今たまたま代金が支払われたと申し上げましたけれども、支払われなくても、契約が締結されただけでも、その行為自体に着眼しまして違反が成立すると思います。
微妙なところでございますけれども、もうちょっと常識的に申し上げますと、刑法上の詐欺の成立を立証するのはなかなか容易ではございません。現実には警察庁が非常に取り締まりをしてくださっておりますけれども、いろいろ具体的な事例に即しますと、なかなかその立証のために、消費者もそれだけの立証の能力が必ずしもない。もっとも、その立証のための材料を収集しておくくらいの消費者であれば、そもそもそういうのに引っかからないわけでございますから、そこはイタチごっこになってしまって、消費者が立証のための協力が十分できないので挙げることができない、検挙できないとまた同じようなことを繰り返すということになるわけでございますが、こちらの方はそれに比べれば、程度の差ではございますけれども、その構成要件の緩やかさといいますか厳しさといいますか、あるいは立証の難しさといいますか、その点が少し緩くなっていると思います。なおかつ、今のような差がございますし、直罰のほかに行政的な処分の対象にもなりますので、そういう意味ではずっと発動しやすい性質のものだと思います。
それから第二点の、今のは不実のことを告げた場合の例でございますけれども、今度は事実を告げない場合についてはどうなのかということでございます。これは、研究会でこの禁止行為の議論をしていただきましたときには、不実のことを告げる行為と事実を告げない不作為と、いずれも問題ではないかという議論がございました。重要なことであればうそをついてはいけないし、重要なことであれば知らせなければいけないんじゃないかということでございます。しかしその後、いろいろ法律的な観点から詰めて検討をしてみますと、重要な事項について不実のことを告げる、積極的にうそをつく方につきましては、これはいろいろあり得る。先ほど例に挙げましたように、法的な設置義務がないのに設置義務があるように言い抜けるとか、大いにあり得るわけでございます。
しかし、重要な事項かもしれないけれどもそれを告げない場合に問題が起きる、そういうものはあるだろうかということになりますと、実は重要なものというのは、これは訪問販売という特性にかんがみてもちろん議論をした場合のことでございますけれども、必ずしも、店舗で売買をする場合と比較をして訪問販売の場合には、これは重要だというものはそうはないんじゃないだろうか。まあ共通の問題としまして、これは店舗の場合でももちろんありますけれども、書面交付の義務を課せられております。その書面の交付の記載事項としての、例えば価格とか支払いの時期、方法とか、それから権利の移転時期とかサービスの提供の時期とか、こういう本当に基本的なことについては実は書面の方に書かせることになっておりますから、それ以外のものについては黙っていることによって可罰性がある、それだけで可罰性がある重要な事項はないのではないだろうか、こういうことで、結局最終的に規定をいたしましたのは、積極的にうそをつくというものを法律に規定した、そういう経緯でございます。
○青山委員 随分苦労がこの経過の中にはあったと私は思う。第五条の二の二項「人を威迫して困惑させてはならない。」ここまで来ると、私は消費者の生活実感の中から、威迫というのは刑法上の脅迫と受けとめるケースがほとんどだろうと思うのです。こうなってくると、私は刑法上の問題が非常に微妙に絡まってくると思うのです。そのあたりは、この訪問販売法の場合どういうふうに整理して理解してこられたのか、消費生活の中できちっとわかりやすく説明ができますか、どうでしょう。
○末木政府委員 「人を威迫して困惑させてはならない。」の威迫と、それから刑法に言います脅迫との関係、ちょうど先ほどの詐欺のところの案件、不実告知の関係と類似の関係でございますけれども、脅迫の方は人を畏怖させるに足りる害悪を加えるぞということを告げることだというふうに言われております。そこで、これとの関係で、今回規定しております威迫でございますけれども、これは人を畏怖させるまでには至らないけれども、不安の念を生じさせる行為をとらえる概念ということでございますので、性質はよく似ておりまして程度の差があるということでございます。したがいまして、これも明確に物差しでここからこちらが脅迫で、ここからこちらが威迫だというふうになかなか線を引きにくい概念でございますけれども、従来おどかされたようなケースにおいて、刑法の脅迫罪で取り締まることができなかったような程度のものを今度はできるだけカバーしようということでございまして、そういう意味で規制の実効性を上げようということでございます。
具体的な例は、そのときのいろいろな状況に即して考えなければなりませんので、口でどう言ったかということだけで決めることはできませんし、口で言う言葉とそのときの例えば態度とか周囲の状況とか総合判断になると思いますが、例えば入れ墨を見せるとか、それから、自分は会社に帰れないことになるんだけれどもそういう立場に私を追い込むつもりかなどと声を荒げるとか、いろいろのケースがございまして、このようないろいろなケースを踏まえまして、いろいろな状況にもよりますけれども、それらが仮に刑法の脅迫に至らなくても、かなりのものをカバーすることができるようにというつもりで威迫という概念を取り上げた次第でございます。
○青山委員 実は、既に新聞報道されました改正原案、あるいはここでもう既に触れられた方があるかもしれませんが、暴行、脅迫、偽計を行った悪質販売員に対して懲役三年以下、罰金三百万円以下というような考え方が既に述べられておりました。それに比べますと、今回の禁止行為違反の罰則、一年以下の懲役、百万円以下の罰金、いささか私は――幾らかの紆余曲折があり、ここまで調整が進んでこられたんだろうと思いますけれども、その経過について少し御説明がいただたきい。
それから、余り時間がありませんので急ぎますが、第五条の四の業務停止命令、第一項の「利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、」というのは一体どのような状況を言っておられるのか、どのような行為を言っておられるのか。
それから、この第二項に公表の義務が設けられておりますけれども、昭和六十年に発足いたしました訪問販売トラブル情報提供制度における公表、これとの関係をどういうふうに整理していかれるのかということです。従来のものは手口の公表というのがどうも中心であったようでありまして、しかし当局が指導してきたにもかかわらずなお改善がされておらないということで個別の業者名が公表されることになっておりますが、調べますと、これまで四十社余りが指導されておる。しかし公表されたのはわずか一社、株式会社エレーヌという会社が公表されたようであります。ところが、これが公表されると直ちに会社の名前を変えてしまっている。商業道徳上、これは消費者の権利を侵そうという意図があったり不当な行為を犯そうというような意図があったりというのが丸丸見えるというような状況の中で、企業名を公表してきた例示が非常に少ない。それはむしろ企業の名前を公表することを少し控えてきた点があるのではないか、それがよくない結果を生んでおるのではないか。率直に申し上げて、私はそんな印象を強く持ちました。そうした及び腰の姿勢というのがやはりこれまではよくなかったのではないかと思うのです。そのあたりはどのように受けとめておられますか。
それから、一挙にたくさん質問して申しわけありませんが、情報提供の制度は現在どのような運用の状況にあるのか、御説明いただきたいと思います。
○末木政府委員 まず第一点の罰則でございますが、私も確かに、新聞に罰則強化という大きな見出しの記事が載ったのを記憶しております。そのときの内容までは正確に覚えておりませんが、たしかおっしゃるような記事だったと思います。それに対して、いざ法案ができてみたときには懲役も三年が一年、罰金は三百万と伝えられたのが百万になっているではないかということでございます。新聞記事のソースはもちろん私存じませんが、罰則とか懲役の何年とか罰金の幾らだというのは、政策的にえいっと決めるような話ではもちろんございませんから、私どもが法制当局と内部で相談いたしましたときに、類似の立法例とのバランスを見つつ決めていくというのがこういったものの決め方でございまして、類似のものとして海外先物取引規制法等いろいろございますが、そういったものを見ながら均衡のとれる刑を定めたわけでございまして、これは値切られたとか一歩後退したとかいう性質のものだとは思っておりません。
また、罰則につきましては、刑罰が加えられるということが大きな問題でございまして、刑罰規定がかかるか、かからないかということが分かれ道でありまして、三年なら考えてしまうけれども一年ならやってしまおうか、そういう人も絶対いないとは申しませんけれども、やはりそうじゃなくて、刑罰がかかるというのは大変な抑止力になるといいますか、効果があるのだろうと思います。これが第一点でございます。
それから第二点の、禁止行為等の違反があった場合に必要な措置を講ずるように指示をすることができるのですが、その場合、ほうっておくと消費者の利益が著
|