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112回-衆議院-商工委員会-07号 1988/04/13
昭和六十三年四月十三日(水曜日) 午前十時開議
出席委員
委員長 渡辺 秀央君
理事 甘利 明君 理事 尾身 幸次君
理事 奥田 幹生君 理事 田原 隆君
理事 与謝野 馨君 理事 奥野 一雄君
理事 二見 伸明君 理事 青山 丘君
麻生 太郎君 井出 正一君
石渡 照久君 小川 元君
海部 俊樹君 佐藤 信二君
島村 宣伸君 玉生 孝久君
中川 秀直君 中山 太郎君
額賀福志郎君 福島 譲二君
前田 武志君 牧野 隆守君
宮里 松正君 宮下 創平君
森 清君 山崎 拓君
綿貫 民輔君 井上 泉君
小澤 克介君 緒方 克陽君
上坂 昇君 城地 豊司君
早川 勝君 水田 稔君
石田幸四郎君 森本 晃司君
薮仲 義彦君 工藤 晃君
藤原ひろ子君
出席国務大臣
通商産業大臣 田村 元君
出席政府委員
通商産業大臣官房長 棚橋 祐治君
通商産業大臣官房総務審議官 山本 幸助君
通商産業大臣官房審議官 末木凰太郎君
通商産業大臣官房審議官 安藤 勝良君
通商産業省通商政策局次長 吉田 文毅君
通商産業省産業政策局長 杉山 弘君
通商産業省立地公害局長 安楽 隆二君
通商産業省機械情報産業局長 児玉 幸治君
工業技術院長 飯塚 幸三君
資源エネルギー庁長官 浜岡 平一君
特許庁長官 小川 邦夫君
中小企業庁計画部長 田辺 俊彦君
委員外の出席者
議 員 上坂 昇君
総務庁統計局統計調査部労働力統計課長 伊達木瀧之助君
経済企画庁総合計画局計画官 新保 生二君
経済企画庁経済研究所次長 石井 武君
国土庁土地局土地利用調整課長 鈴木 克之君
郵政省電気通信局電気通信事業部業務課長 濱田 弘二君
建設省建設経済局事業調整官 和里田義雄君
商工委員会調査室長 倉田 雅広君
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四月十三日
悪質商法規制に関する陳情書外三件(福岡県大牟田市有明町二の三大牟田市議会内矢野太刀男外三名)(第二九号)
中小・零細企業対策の充実に関する陳情書外三件(福岡県大牟田市有明町二の三大牟田市議会内矢野太刀男外十二名)(第三〇号)
フロンガスの早期規制に関する陳情書外三件(金沢市広坂二の一の一石川県議会内金原博外三名)(第三一号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律案(内閣提出第三〇号)
訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)
訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案(上坂昇君外三名提出、衆法第六号)
────◇─────
略
○渡辺委員長 次に、内閣提出、訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案及び上坂昇君外三名提出、訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。甘利明君。
○甘利委員 今回提案をされております訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案について質問を行うわけでございますけれども、今回は政府案と、上坂先生御苦労されております社会党案と提案をされております。私は政府案を中心に、そして社会党案にも一、二御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。
〔委員長退席、尾身委員長代理着席〕
近年、小売販売の方法がいろいろと多様化してまいりまして、そういう中で訪問販売や通信販売等が急速に発展と申しましょうか成長をしてきたわけでありまして、その一方で、これらをめぐって消費者のトラブルが絶えない、そしてその手口も多様化をしてきているし複雑化をしてきているわけであります。
訪問販売の伸びを数字で追ってみますと、五十五年には一兆二千億円であったわけでありますけれども、六十年になりますと二兆一千五百億円、この五年間で実に一・八倍、約二倍の伸びを示しているわけであります。そして、小売業の売上高に占める割合も二%を超してきた。通信販売を例にとっても、ほぼ同じような伸びを示しているわけであります。五年間で二倍になってきたということは、売る側が一生懸命必死で売っている、セールストークもなかなかうまいということも当然ありましょうけれども、買う方の側にとっても多少なりともメリットがある、だからこれだけに伸びてきたという点もあろうと思うわけでございます。消費者にとっては、この訪問販売というのはわざわざ店舗に出向くという必要がないわけであります。買い物に行く手間が省けるわけでありますし、セールスマンと相対の商売でありますから、ゆっくり時間をかけて商品についてじっくりと知ることができるわけであります。最近はパートタイマーの進出も大変に多くなってきておりますから、家庭の主婦に対して就業の機会を与えるとか、収入の機会を提供するといったメリットも当然考えられているわけであります。
こういった規制法をつくる、あるいは規制を強化していくというときに大事な点といいますのは、いろいろ出てくる弊害、悪い点、悪い芽を摘もうとするために規制を各種強化をしていく。しかし、当然いい点もあるからこう伸びてくるわけでありますから、悪い芽を摘もうとしているその行為でいい点、いい芽もどんどん摘んでしまったということがないようにしなければいかぬと思うのです。訪問販売や通信販売が本当に悪いことだけで、消費者にとっても全くいい点がないということであれば、これはもうとっくに見捨てられているはずでありますし、どんなに巧妙な手口を使っても、そうそう五年間で二倍近くに伸びてくるはずはないのでございますから、そういう点は、規制を強化をしていく、規制を新たに設けるといった点では、我々が非常に注意をしなければならない点であるというふうに私は考えるわけでございます。
政府当局でもいろいろと御苦労されたと思うのでありますけれども、今回訪販法を改正するに至った理由とか経緯というものについて、お話しをいただければ幸いかと思います。
○末木政府委員 訪問販売、通信販売の最近の発展状況につきましては、先生今数字を挙げておっしゃったとおりでございます。小売売り上げに対しましてそれぞれ二%と一%ということでございますから、一つの業態として立派に確立された業態だと思っております。
しかし、それに伴いまして消費者との間にいろいろなトラブルが発生しておりますし、特に最近はそのトラブルの態様が多様化してきております。例えば、かつては消費者との間のトラブルの主要なものは、商品の販売をめぐるものが主流をなしておりましたけれども、最近は商品の販売に伴うもののウエートがだんだん下がりまして、かわって役務、サービスにかかわるものがふえてくるとか、取引の場所も消費者の住居におけるものから街頭でお客をつかまえて契約をさせる、俗にキャッチセールスと呼んでおりますものとか、電話で呼び出して契約をさせるというような形もふえてまいりました。消費者に迷惑をかけるような行為の態様としても多様化してきております。
このような点については、かねて国会でも御議論のあったところでございまして、私どもはそれに対しまして一昨年の十二月以降、省内に研究会を設けまして実態の分析及びこれに対してとるべき対策の勉強を重ねてまいりました。研究会は、延べ十六回にわたっていろいろな御検討をいただきました。さらにそれを踏まえまして、昨年十二月から産構審、産業構造審議会のもとで流通部会、消費経済部会の御審議をいただきました。その結果、本年の一月二十九日に産構審から答申をいただいておりますが、この答申を踏まえまして、先ほど申しましたような実態に対応する内容を盛り込んだ訪問販売法改正案を今回提出させていただいた次第でございます。
なお、これにつきましては、一方において消費者の保護に遺憾なきを期すると同時に、先生も言及されましたように、これが正しいビジネスを行っていけば消費者に認知された一つの立派な業態であるという認識も同時に持っておりまして、不当にビジネスを抑圧することのないようにも配慮をしつつ立案した次第でございます。
○甘利委員 訪問販売の取引の適正化については各方面で大変御心配をいただいているところでありますし、ただいまの答弁の中にもございましたとおり、産構審の答申においても重要な項目が新たに提言をされているわけであります。
その中で大きなものとしては、規制の強化あるいは消費者の啓発、そして業界の自主規制、この三項目が大変重要であるというふうに述べられているわけでありますけれども、産構審答申のこれらの方策を、政府としてはどういうふうにとらえて受けとめて、どういうふうに総合的に講じていくというお考えでありますか。
○末木政府委員 産構審答申にあります三本の柱でございますが、私どもはこの三本の柱、三本の矢でございましょうか、これが適切なバランスをとった形で行われるべきものだと思っております。
一つ目の規制の強化につきましては、これは今回御審議をいただいている法律に盛り込んだつもりでございます。
二つ目の柱としまして、消費者啓発でございます。これはどんなに立派な法律をつくりましても、結局消費者が自分で自分を守るという意欲を持っていただき、努力をそれなりにしていただきませんと法律も生きません。ただ、何しろ数の多い話でございますから、意識の高い消費者もいらっしゃいますれば、心ならずも何かそういう勉強ができない方もいらっしゃることもこれまた事実でございます。特にお年寄りの方とか、いわゆる弱者と言ってはなんでしょうがそういう方もいらっしゃいますが、私どもは消費者啓発につきましては、いろいろな方法でできるだけ消費者に情報を提供し、あるいはこの法律の仕組みを初めとしまして、どうやって自分を守ったらいいかということを知っていただくつもりでございます。具体的に、例えば今年度から全国に約三百名の訪問販売モニターをお願いしましてトラブル情報を収集いたしまして、そういった生のまた生きた情報に基づいて集めた情報を、消費者トラブル連絡協議会という連絡会を消費者関係の十一団体で組織しておりますが、そういったところを通じて今度は逆に消費者にリターンするというようなこともや
っておりますし、今後とも一層努めてまいるわけでございます。
第三の柱といたしまして業界の自主規制でございますが、数多い企業がいるわけですけれども、大多数は一生懸命やっておる企業だと思います。そういったまじめな企業に、悪徳商法について仲間の中で目を光らせてもらいまして、悪貨が良貨を駆逐するのではなくて、良貨が悪貨を駆逐するように持っていくことも有効な手段だと思います。そこで、この法律でも業界団体の任務をうたう規定を置いております。この三つの柱をバランスをとって進めていきたいと思っております。
○甘利委員 先ほども申し上げましたとおり、訪販というのは消費者にとってもいい部分があるからこうやって伸びてきたのだという話をしたわけであります。ただ、訪問販売や通信販売を逆手にとってと申しましょうか、悪用して悪い芽が出てくる、それをきちっと摘み取っていくのが政府の責任であるわけでございますけれども、私は、訪問販売や通信販売というのは国民にとって非常に有益な部分があるというふうに考えておるわけであります。政府の御答弁からもそうだというニュアンスは出ておりますけれども、もう一度確認をさせていただきます。
そして、もし有益な販売方法の一つであるというふうにお考えになりますと、今回の法改正、規制を強化していくということが、その部分で少し張り切り過ぎて健全な業界の方を少し萎縮させてしまうおそれはないか、健全な業者、業界の発展を阻害するようなことがないだろうかという懸念を少し持っておるわけでございますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
○末木政府委員 関係者の方の中には、訪問販売は害だけあって益がない、このような商売は禁止すべきではないかという方も、一部だと思いますがいらっしゃるわけでございます。私どもはそのようには考えません。悪徳商法は断固として規制しなければいけませんけれども、きちっとルールを守ってビジネスを行う限りにおいては、消費者の需要があれば需要に応じて伸びていくものだと思います。どの程度の伸びをするかというのは、まさに決められたルールのもとで、マーケットを通じて需要という形で消費者が決めていくことでございますし、魅力がないあるいは価値がないということであれば、売り上げが伸びない、減っていくということだと思います。したがいまして、政府といたしましてこれを抑圧するとかいうことはもちろん論外でございますが、かといって積極的に養成をするというわけでもございません。ルールをきちんとさせて、しかもそのルールというのは、先生おっしゃいましたようにいたずらに業界を萎縮させてしまうことのないように、適切なルールでやっていくことだと思います。
○甘利委員 ルールを持って規制をしていくというお話、大変結構でございます。今回の法改正を見ますと、消費者を保護していくという観点からしますと非常に評価をできる改正案であると思います。
ただ、一方では、お話の中にもありましたとおり、消費者啓発をしていくということも忘れてはならないことでございまして、先ほどの答弁の中の産構審答申の消費者啓発の項目もございました。その内容でございますけれども、消費者が商法の悪性の有無について確かな判断を行えるようになることが大事である。また、政府は、そのために問題のある商法についての情報提供その他の消費者啓発活動をより有効に行うよう努めるべきだ。つまり、消費者自身も判断能力を養っていく必要があるのだということであろうと思います。
法律で消費者をしっかりと抱えて守ってやるということは大事なことでありますし、私は決してそれを否定しているわけではありませんけれども、余り二重、三重にガードして、全く消費者は何もしないでもいいということになると、そういう悪徳商法に対する免疫性、免疫性というのは適切な言葉ではないかもしれませんが、対抗力というかそういうものまでも全部はぎ取ってしまう。つまり、軟弱な消費者をつくってしまうということになりはしないかということを心配するわけでありますけれども、その点はいかがでありましょうか。
○末木政府委員 ちょっと言葉の使い方が難しいと思いますけれども、もちろん軟弱な消費者というのは好ましくないと思いますし、自立できるというか自衛できる消費者であってほしいと思います。そういう基本的な考え方のもとに、何でもかんでも政府が面倒を見る、すべて警察や通産省がお世話するということではもちろんございません。ある程度合理的な範囲内で消費者にも努力していただく、自衛のための努力をしていただくということを当然考えつつ、しかし必要な消費者保護はやる、そして関係者の利害も合理的な調整を図るということで考えております。
○甘利委員 今回の法改正に関しましてはいろいろな議論がなされたというふうに聞いておりまして、訪問販売業者についても登録制を導入したらどうかというような議論もあったと聞いております。後で御質問を申し上げますけれども、現に社会党案では届け出制というのが法律案の中に規定をされているわけでありますけれども、政府案の方を見ますと、これが規定をしておらないわけでありますけれども、これはどういった理由でございましょうか。
○末木政府委員 許可制とか登録制とか届け出制とか、いろいろな方法があるかと思いますけれども、訪問販売の事業を始めるときにその入り口のところで何かスクリーンをすべきではないかという意味の開業規制について、研究会あるいは産構審等でいろいろ議論がございました。開業規制をするかしないかという点は、今回の改正法案をつくる作業における大きな、重要な論点の一つだったと思います。結論といたしましては、今回御審議いただいておる改正案には開業規制の規定は盛り込んでおりません。
その理由は、まず第一に、この開業規制といいますのは営業の自由に対します重大な制約でございます。もちろん開業規制のやり方によって、その程度、影響も変わることは当然でございますけれども、原則として営業の自由に対する制限になるというものでございますから、その必要性あるいは具体的な方法、手段の妥当性あるいはその効果等について、慎重に検討しなければならないことは当然のことでございます。特にこの業界は、非常に大勢の多種多様の企業といいますか販売業者といいますかがおります。今、企業と申し上げましたけれども、企業形態をとらない個人営業のものが数としては非常に多うございます。パートで家庭の主婦が行う訪問販売もありますし、あるいは小規模の小売業者が行う場合もあります。なおかつ、大部分の業者は一生懸命まじめにやっているものだと思います。そこで、こういった極めて多数の、そしてまた零細な販売業者について、一部の悪徳な悪質業者を排除するために広く規制の網をかけるということは、今の段階においていかがなものか、やはりなお慎重に検討をする必要がある問題だろうと思うのが第一点でございます。
それから第二に、業者の数が非常に多いものですから、これに伴います行政庁の事務が膨大なものになると思われます。セールスマンは百万以上もいると言われておりますが、これについて仮に一番緩い措置として届け出制をとったといたしましても、その届け出された書類、いわば台帳でございますが、台帳をきちんと整備するだけでも相当大変な作業量になります。私ども実は限られた人数で一生懸命やっておりますが、今度そういった事務が加わりました場合には、これを的確にこなしていくことについては率直に言って自信がございません。行革の時代でございまして、人員をふやすということは現実的には難しいわけでございますし、都道府県の関係者の数も、仮に都道府県に頼んでも限られております。そこで、現時点におきましては、行政負担の点から大変難点があると言わざるを得ません。さらに、業者の数を絞るような何か工夫ができないかということもいろいろ考えてみたのですが、そういう工夫をいたし
ますと、どうしても今度は脱法ができるようになってしまうということで、現時点におきましては、開業規制ではなくて、むしろいろいろなところに情報網を張りめぐらせまして、悪質な商売を行う者に関する情報を的確に早くキャッチいたしましてこれを重点的に追っかける、重点的に規制していくあるいは指導していくということで効果を上げるべきだと考えまして、いわゆる広義の開業規制を盛り込まなかった次第でございます。
○甘利委員 ここで、社会党案に対して質問をさせていただきたいと思います。
訪販法の問題に関して、消費者保護という立場から本当に熱心に御研究をいただいている上坂先生には、本当に心から敬意を表する次第でございます。
社会党案と政府案を比べてみますと、大体大まかなところでは一致をしている。ある何点かの部分について、社会党案がそれに加えたような形になっているわけであります。その加えたような形になっているところを私も勉強させていただいておるわけでございますけれども、中には果たしてこれで実情に沿っているのだろうかというふうに、疑問に思う点が幾つかございます。
ただいま政府に、届け出制というのをなぜ採用しなかったかという質問をしました。その答弁の中にもいろいろございました。訪販の業者というのは、定期に行っているものだけでも何千社かある。パートタイマーが進出してきている部分が非常に多うございまして、そういうところまで入れると、届け出を義務づけられる業者というのは一体何千、何万あるいは何十万あるのだろうか。そういったものを届け出をして、きちっと悪徳業者の監督をするために行政の方で管理をしていかなければいけない。これは膨大な行政コストがかかるのじゃないだろうか。しかも、それで完全に悪徳業者が排除をされて、いいのだけきちっと見分けがつくということであればまだしも、届けてある、届け出業者であるということを逆に悪徳業者が利用をして、我が社ではお墨つきをもらっていますからということで、そういう悪徳業者がはびこる余地を与えてしまうというような心配もあるのではないかと考えるわけでございますけれども、この点についてはいかがお考えでありましょうか。
○上坂議員 甘利先生の質問にお答えをさせていただきます。
私どもも、この訪問販売法というのは、いたずらにいろいろな業界を規制をする、そういうものにするつもりはございません。しかし、今まで豊田商法と言われるような、そうした悪質商法が後を絶たないで続出してきているという現状は、これは何から起こってくるかということになりますと、これが大体においていわゆる訪問の取引形態において起こってきているのが実情であります。したがって、これに対してある程度の規制を加えていかない限り、消費者の立場を守ることができない。
この訪問販売法の目的は、御承知のように第一条で、訪問販売、通販あるいは連鎖販売取引、これを公正にする、そして同時に、購入者等が受けることのある損害の防止を図っていわゆる消費者の利益を保護する、こういうことによって流通業界の正常な発展を図る、こういうことになっておるわけでありますから、業界の立場ばかりではなくて、やはり何といっても消費者を保護するという立場が堅持をされていかなければなりません。これをやはり非常に大きなファクターとして考えていくことが必要だろうと私は思います。
そういう意味で、今まで政府からもお答えがありましたけれども、聞いておりまして、入り口の開業規制という形でいわゆる登録制はとらない、届け出制もそれに似たような形であって営業の自由の制限につながるものである、こういうふうに言われております。また同時に、業種が多種多様であるために、これは販売形態が多様である。もう一つ重要なことは、届け出制をいたしましても、台帳やそういうものを整備をし、それを預かる官庁としては人員が足りないし非常に困る、こういうことをおっしゃっているわけでありますが、私は、こういうのはまさに仕事を放棄する立場ではないかというふうに考えざるを得ないのであります。一番最後の台帳整備の問題にいたしましても、特許庁などというのは、あれだけの人数で何十万件という届け出、これは登録からいわゆる特許の申請を処理をしているのであります。そのくらいのことができなくて、とても悪徳商法を駆逐するなどということはできないだろう、こういうふうに私は思わざるを得ません。
それからもう一つは、どうも政府といろいろ討論をしておりますと、訪問販売の形態というのが、どこをもってとらえているのかということが実に不明であります。というのは、パートタイマーがたくさんいるから届け出制ができないと言う。それではパートタイマーを雇用形態としてとらえるならば、それは業者が届ければ完全に雇用者をつかまえることができるであろう。したがって、雇用形態として一体とらえることができないのかどうかというところにむしろ問題があるのでありまして、そういうことを抜きにして、パートタイマーを一つのまあ企業者であるというか、あるいは訪問販売者であるとかというふうに考えること自体が、私は過ちであるというふうに思わざるを得ないのであります。もし企業形態であるならば、販売業者だと思っていて品物を渡している業者は、これは販売業者ではありません。卸売業者になるのであります。そういうところがこの訪問販売法では明確ではないし、政府のとらえ方は誤っているというふうに私は考えざるを得ないのであります。
したがいまして、私は、訪問販売というのは、先生が先ほどお話しになりましたが非常に伸びているところでありまして、私どもも決して、提案にも申し上げましたように、これを抑えつけるとかどうとかということではなくて、健全な育成をしなければならない。時代の要請によって訪問販売というものは生まれてきたものである。しかし、店舗販売との共存共栄を図っていかなければならない。そして、豊田商事等において失墜してまいりましたこの訪問販売業の信頼というものを回復をしていかなければならない。もう一つは、先ほど申し上げました消費者保護とそれから悪徳業者の排除を通じて、その実態把握をするということが目的でなければならないという形で、実態把握ということに届け出制は非常に大きな効果を持つものであるということでこれを提起したわけであります。
○甘利委員 実はもっともっと社会党案には質問をしたいことがたくさんございまして、肝心なのが控えておったわけでありますけれども、大変に御丁寧な御答弁をいただきまして時間が終わってしまいました。またの機会に譲るといたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
大臣には決意のほどをお伺いしたかったのでありますけれども、それもまた次の機会に譲らせていただきたいと思います。
〔尾身委員長代理退席、奥田(幹)委員長代理着席〕
○奥田(幹)委員長代理 次に、小澤克介君。
○小澤(克)委員 訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。
まず最初に、訪問販売及び通信販売について規制する法律が、まあ現行法があるわけでございますが、この法律成立後、特に近年、訪販あるいは通販の実態について行政庁通産省としてはどのように把握しておられるでしょうか。例えば、売上高あるいは従業者数がどの程度であるのか。それから、特にいろいろなトラブルが伴う、被害がある、そのことからまた今回の規制を強化する案が出たわけでございますけれども、そのトラブル等の実態について一体ふえる傾向にあるのか減る傾向にあるのか、また類型的にはどんなものがあるのか、その辺についての実情把握といいますか、御認識をまず伺いたいと思います。
○末木政府委員 訪問販売及び通信販売の実態でございますが、まず売上高でございます。訪問販売は、現在の訪問販売法が制定されました昭和五
十一年の売上高約六千八百億円でございましたが、五年後の五十六年には一兆三千八百億円、それからさらに五年たちました六十一年には二兆二千七百億円、こういう著しい伸びをしております。小売業全体に占めるウエートは二・一%程度でございます。しかし、最近は主婦の在宅率、家にいる時間が減っている等の影響によりまして、売上高はやや伸び悩みの傾向にございます。
〔奥田(幹)委員長代理退席、尾身委員長代理着席〕
それから、通信販売の売上高は、同じく五十一年が二千八百億円でございましたが、五十六年には五千五百億円、六十一年には九千七百億円、小売全体について約〇・九%のウエートでございます。通信販売の方は大幅な伸びを現在続けております。
それから従業者数でございますが、訪問販売に従事する者の数というのは非常に膨大で、正確にこれを把握するのは困難でございますけれども、おおむね百四十万人ほどと認識しておりまして、このうちで第一線でセールスをしているセールスマン、セールスウーマンも含めてでございますが、百三十五万人ぐらいでございます。このほかに、不定期的に訪問販売を行っているような者もあるかと思いますが、これはなかなか推計困難でございます。それから、日本訪問販売協会がセールスマンの教育登録制度というのを自主的な活動として行ってきておりますが、この訪問販売協会に登録されているセールスマンはこのうち九十一万人ほどでございます。次に、通信販売につきましては、業界全体の従事者数は二万三千人程度と思われます。
その次に、トラブルの実態でございますが、これはいろいろなデータがございまして、通産省本省あるいは通産局の消費者相談室というところで受け付けた件数をまず申し上げますと、五十三年度は訪問販売が約五百九十件でございまして、消費者の相談件数の約一割を占めておりましたが、六十一年度には千七百一件、三倍にふえまして、相談件数全体に占める割合も二割にアップしております。そのほか、各地に国民生活センターとかあるいは消費生活センターというのがございますが、こちらの方で受け付けたものは、最近の数字でございますが、昭和六十一年度三十二万七千二百件でございます。これは相談全体が三十二万でございまして、うち訪問販売が十一万、通産省の場合には全体の二割が訪問販売でございましたが、この場合は三四%でございます。
それから、相談の中身でございますけれども、最近少し変化してきておりまして、通産省の消費者相談室で受け付けたもののうちで、役務関係が二三%ということで最近伸びてきておりますし、それから道路上でつかまえて喫茶店等に呼び込んで契約をさせるようなものとか、電話で呼び出してどこかで契約するようなアポイントメントセールスとかキャッチセールスとか、こういったものもふえてきております。
通信販売の相談件数でございますけれども、五十三年度には通産省で受け付けたものは九十四件にすぎませんでしたが、六十一年度には二百二十五件とふえております。国民生活センター、消費生活センターの方を見ますと、六十一年度の受け付けは、通信販売は二万四百件、全相談件数の六%でございます。したがいまして、大きな方の数字を消費生活センターの方で見ますと、訪問販売が三四%、通信販売が六%、こういうような実態になっております。
○小澤(克)委員 今実態についての御認識あるいは把握の御説明があったわけでございますけれども、一口に言いますと、訪販あるいは通販も含めまして近年売上高等がどんどん大きくなっている。と同時に、トラブルの方も非常にふえている。今幾つかの数字が御紹介ありましたけれども、これはあくまで相談等があったケースでございまして、泣き寝入り等の暗数が恐らくこの十倍、二十倍とあるのではないかということまで考慮いたしますと、相当大きな被害があるのではないか。もちろん、世上いろいろマスコミ等をにぎわした事件が頻発していることも御承知のとおりだろうと思います。今の数字の中でも、消費者センター等に相談が寄せられた中で、実に三四%が訪販にかかわるものである。こういうことを見ますと、そもそも基本的な考え方として、通販も含めまして訪販にどう対処すべきなのかという、基本的なスタンスについて御開陳願いたいと思うわけです。
諸外国では、例えば北欧のデンマークそれからルクセンブルクなどでは、訪問販売という取引形態全体をほぼ全面的に禁止しているようでございます。それから、ルクセンブルクを除くところのいわゆるべネルックス、ベルギー、オランダですか、この辺もかなり強い規制をして、例外的にのみ認めるというようなケースもあるようでございます。類型的には、今御紹介したような北欧の諸国などのように、訪問販売はその不意打ち性あるいは非常に攻撃的であるというようなことから、原則的に禁圧するという非常に否定的な価値判断に基づく対処が一つの類型であろうと思いますし、それからいま一つの類型は、訪販あるいは通販といえどもいわゆる営業の自由を一応享受すべき範疇に属する取引形態であるから、一般的に禁圧するということにはならない、ただこれについては弊害があればこれを除去していく、どちらかというと禁圧もしないし推奨もしない、かつ中立的なといいますかそういう政策。それからもう一つは、これは実際にあるかどうか知りませんけれども、考え方としては、この訪販あるいは通販の機能に着目してむしろこれを助成していこう。類型的にはそのぐらいが考えられるわけでございますけれども、一体基本的なスタンスはどういうことなのか、これを御開陳願いたい。
○末木政府委員 訪問販売も通信販売も、当然のことながらそれぞれ小売業の業態の一つのタイプでございます。小売業というのは、当然のことながら自由な営業でございます。したがいまして、小売業の一つのタイプとしての訪問販売、通信販売も自由な営業が原則でございます。しかし、一般に比べて訪問販売あるいは通信販売は消費者とのトラブルが多いではないかというところから、一体こういう業態をどう評価するんだというような問題が提起されまして、そこで先生お尋ねだろうと思うわけです。
私どもは、最近の小売業を見ておりますと、小売業と一言で言いましてもその態様が非常に多様化してきております。これは、その背景にあるのはいろいろな事情がありますけれども、一つには、まず商品が大変多様化してきておりますから、多様化した商品の売り方というのも多様化してきているという面が一つございます。もう一つは、消費者の生活のタイプがいろいろ変わってきておりますので、それに応じてまたいろいろな売り方が出てきております。これは単に訪問販売、通信販売だけではなくて、例えば昔の戦前でいえば百貨店と専門店と近所の商店というぐらいの感じ、もちろん訪問販売も通信販売も若干ございましたが、それに対しまして戦後は、御承知のように大型のスーパーマーケットですとか、コンビニエンスストアですとか、最近は郊外の車で買い物に行くような大型専門店とかディスカウントハウスですとか、最近例えばNICSショップスですとか、いろいろなものが出てきております。
こういった業種、業態は、きちっとルールを守って営業する限りにおいては、消費者のニーズに応じて発展するなり、ニーズがなくなれば衰退するものだと私どもは思っております。そういう基本的観点に立ちますと、訪問販売も通信販売も、そういった形での買い物ニーズに対応するという意味におきまして、消費者の利便の増進に役立っております。また、一つの競争機能でございますね。化粧品なんかの業界を想定していただくとわかりやすいと思うのですけれども、やはり企業間の競争を活発にする機能もございますし、さらには働く人に働く場所を提供するという面もございまして、この点は評価すべきものだと思います。
ただ私どもは、そうは言いましても、こういう特定の業界に特に振興策を講ずるとか、そういうことを申し上げているわけではございません。ち
ょっと例を引かせていただいて大変恐縮でございますけれども、ある学識経験者の方から、通産省は、円高で海外に物が売れなくなった、売りにくくなった、その品物を国内にさばくために訪問販売に助成をしているのではないかという御質問をいただいたことがありまして、大変驚いたことがございます。そういうことまでして応援をしているのではなかろうかというような疑念をもしお持ちの方からすると、通産省の取り締まりなり規制はどうもなまぬるいのではないかと見られるのかなと思ってびっくりしたことがございますが、そういう意味の助成はいたしておりません。消費者保護のために、主な団体としまして日本訪問販売協会等に消費者保護の観点からの助成は若干いたしておりますけれども、あとはきちんとしたルールを整備し、その中で自由企業としてやっていただくということでございます。
いま一つ、新しい職場といいますか、事業の場を提供するという面につきましても、実は産業構造審議会の席上でそういうお話が出ました。ある委員さんが、このように土地が高くなってくると商売でひとつ小売業をやってみようという若い人でも店を持つことが大変難しい、しかし一生懸命努力をし知恵を出す若者が訪問販売あるいは通信販売の世界で一生懸命やっているというものを私どもは見ております、こういった人たちはやはりそれなりにやっているので評価してあげないといけないと思いますという発言をされましたときに、実は満場シーンとなりまして、確かにそうだという雰囲気でございました。そういう意味におきまして職場、ビジネスの場の提供という面もございます。そこで私どもは、不当あるいは過剰な規制にならないように、しかし消費者のために規制すべきは断固として規制をするということでございます。
○小澤(克)委員 基本的なスタンスについてはさように伺っておくわけでございますが、そこで今回、いろいろトラブルが続出しているということから改正案の提出ということになったと理解するわけでございます。
実は今回の政府案の中にも、現金取引への適用拡大、それから役務取引への適用拡大等があるわけでございますが、これらについては実はいろいろな方から従来から、こういう法改正をぜひ早くやってくれという要請が当然通産省にも寄せられていたはずでございます。例を挙げますと、昭和五十七年には東京都知事それから関東地方知事会から通産大臣等に要望書が送られているはずでございます。それから昭和五十八年には、総理の諮問機関である国民生活審議会で同様の指摘、すなわち現金取引それから役務取引にも適用を拡大すべきであるという指摘がなされております。さらに地方自治体から、これまでたびたび同様の要請が出ていると聞いているわけでございます。その意味で、今回の法改正案の提出はいかにも遅きに失したという感を免れないわけでございます。どうしてこのような時間がかかったのか、あるいは地方からの声にどのようにこれまで対処しておられたのか、それについてこの間の事情をお尋ねしたいと思います。
それから、最初にトラブルの類型、傾向についてもお尋ねしたと思いますけれども、それについては具体的なお答えがなかったように思いますので、その点についてもお答えを願いたいと思います。
○末木政府委員 現金取引あるいは役務に関する手当てがおくれたではないかという御指摘でございますが、現金取引につきましては、現行法では、品物の引き渡しが済み、支払いも済む、双務契約の両方の当事者の履行が全部済んでしまったものについてまで特別な定めをするかどうかというようなことにつきましては、法的安定性の尊重という方に重点を置いた結果でございますが、例えばクーリングオフができないとかいうことになっているわけでございます。それから役務につきましても、この法律が制定されました当時の主たるトラブルが商品の販売に伴うものであったことを踏まえて、その後今日まで役務が対象になっていないわけでございます。
これについて、現金取引も例えばクーリングオフを認めろとか、あるいは役務を対象にすべきではないかという御議論が当委員会でもございましたことはそのとおりでございますし、近くは六十一年の預託法の御審議を当委員会でいただいたときにも、そういう問題が提起されておりました。私どもは、その六十一年の預託法のときの議論を踏まえまして、一昨年の暮れから研究会で実は勉強を重ねてまいりました。できるだけ早く対策を確立しようと思ってやってきたのでございますけれども、これは業界の振興を図るいわゆる振興法と違いまして、民法、刑法の特則を定めるという性質の法律論がございますし、それからトラブルなり業界の実態も相当多様で複雑だったものでございますから、現状を正確に分析し、これに対する評価を加え、そうして法律論の検討を経て、ようやく今日こういうふうに御審議をいただくことになったわけでございます。それにつきましては、少し遅いではないかというおしかりを受けるかもしれませんが、おしかりは私どももしかと受けとめますが、精いっぱいやったつもりでございます。もちろん、これだけの時間がかかったのは当然であると言うつもりはございません。そんなことを申し上げるつもりはございませんし、今後ともこの種の問題につきましては機を失しないように対処しなければいけないという心構えで受けとめさせていただきますが、経緯はそういうことでございます。
それから、先ほど失礼申し上げましたけれども、トラブルの態様でございますけれども、どんなものがあるかということでございますが、先ほど申し上げましたように、最近品物についてのものからその売り方、どういう売り方をするかという方にトラブルの重点が移ってまいりまして、品物の欠陥によるトラブルということではなくて、例えば消防署の方から来ましたと言って消火器を売りつけるとか、NTTが民営化されたことに伴って黒い電話は使えなくなりますとか、そういう一種の詐術、詐欺すれすれのものを使うとか、もちろん詐欺であれば取り締まれるわけでございますけれども、そういう言葉巧みに売りつけるような態様がふえてくる。あるいはまた役務の関係では、新しいものとしましていろいろな資格取得でありますとか、これは通産省で扱うものかどうかちょっと判断に迷いますけれども結婚情報サービスとか、そういう世の中の新しい動きに応じたものがふえてきているという動きがございます。
ただ、訪問販売全体といたしますと、主要な品目というのは比較的限られておりまして、化粧品とか教材とかあるいは家庭用品、寝具、ミシン等々でございます。このうちで英語教材等は、最近は品物とサービスを結びつけたセールスということで相談件数がふえているものでございます。
○小澤(克)委員 そこで、法案の中身についておいおい伺っていきたいと思うわけでございますが、開業規制を採用しなかったことについて伺おうと思うのですが、ちょっと大臣の御都合等があるとお聞きしましたので、順序を変えまして、今回の法案では現行法と同様に指定商品制をそのまま維持をしておられます。役務等に対象は拡大しておりますけれども、通産大臣によって指定された商品、役務にのみ本法を適用するという制度はそのまま維持されているわけでございます。これは、実は私自身が提出者になっております社会党案も同様維持しておりますので、やや自問自答にもなりかねませんけれども、その点はさておきまして、政府案提出者としてはどういう理由から指定商品制を維持したのか。既に先ほどの甘利委員からも御質問ありましたけれども、もう一度簡単に御紹介願いたいと思います。
○末木政府委員 指定商品制でいくか、それとも指定制を外して原則すべての商品を対象にしてしまって、しかしどうしても除かなければならないものを除く、いわば除外商品制にするかという点につきましては、先ほどの開業規制と並びまして、今回の準備の作業の中の主要論点の一つだったと思います。
しかしながら、結論としては、私どもは指定商品制を維持させていただいたわけでございますが、その理由といたしましては、法制定のときと基本的に変わりませんけれども、規制は一方において必要最小限であるべきだという基本的な考え方がございます。他方において、消費者保護のために必要なことは断固やるべきだという考えがございます。この二つの折衷といたしまして、トラブルが起きる、またはトラブルが起きる蓋然性が大きい、かつそれが特殊なものではなくて一般的な現象としてそういう見通しがあるものを指定していくという考えでございまして、これは法制定当時の考え方を今日も変えないでおくことが適切だということでございます。
ただ、五十一年、五十二年にわたりまして政令で四十三の品目群を現在指定をしております。そこで、現実問題としまして、問題が多発しているのにもかかわらず通産省が政令指定の追加をしないものがあるのかどうかということでございますが、実はそのようなものとしてほとんどないわけでございます。正確に申しますと、実は現在の法律では政令指定するための要件が限られておりまして「主として日常生活の用に供される物品のうち、定型的な条件で販売するのに適する物品」、この中で政令指定するということになっております。
問題は金でございまして、金は現行法では指定したくても指定できないわけでございます。「主として日常生活の用に供される」という要件に該当しないわけでございます。金についてはしかし、日常生活には使わないけれども、いわば財形的な観点で消費者が訪問販売で買うという実態が最近ございますので、今回の改正案ではこの政令指定の制度は維持いたしましたけれども、指定し得る範囲を拡大いたしまして「日常生活の用に供される」という条件を外しておりまして、日常生活にかかわる取引において販売されるものであれば、日常生活で使わなくても指定できるようになっておりますし、「定型的な条件で販売するのに適した物品」という条件も撤廃しておりますので、金は法案成立後に改めて検討して決めることでございますけれども指定し得るものになっておりますし、今そういうことになる可能性が大きいものでございます。
それ以外の一般の商品では、若干の事例があって指定されていないものとしてはごく特殊なものがございまして、墓石でございますとか二、三の例がございますが、私どもは大体必要なものは指定してきたつもりでございます。今後ともそういう方針で臨むつもりでございます。
○小澤(克)委員 この指定商品制については、一つは、この訪販というのは対象となる商品あるいは役務によって特徴づけられるのではなくて、訪販という取引形態によって特徴づけられるものであるから、したがって、これを法的に規制する場合に商品、役務の種類によって取り扱いを異にするのは合理性がないという理論的な批判と、それからもう一つは、実際には指定されていないものを扱おうというふうに常に業者は、特に悪質な業者は抜け道、抜け道を考え出していく、したがって、それを追加指定していってもある程度被害が出てからという、どうしても後追いになるという実際的な批判があるわけでございます。
それで、私ども社会党案を作成する際にも、この点については実はかなり検討したわけでございますが、一つには、今回届け出制を社会党案で採用したこととの絡みで、すべての商品、役務について、しかも訪販である限りすべて届け出をさせるということはやや無理かなという考え方から、涙をのんで社会党案としては見送りまして、指定商品制を維持したという経過が実はあったわけでございますけれども、政府提出案は、届け出制等の開業規制を今回一切見送っているわけでございます。そういたしますと、なおかつ指定制を維持したというのはどうも私としては納得できないわけでございます。これについては引き続き検討するということのようでございますので、ぜひ期待をしているわけでございます。
そこで大臣、何かお時間がないということなんで、ちょっとここでお伺いしておきたいのですが、この指定商品制を維持する限り、非常に機動的な、適切な指定が行われることがこの法をして実効あらしめるための絶対的な条件ではないかと思うわけでございます。それから、私ども社会党の案も、実はそこに期待をして指定制は維持したわけでございますけれども、それからさらに今回の政府案でもいろいろな行政庁による指示、それから公表、業務停止命令等の行政処分が新たにつけ加わっているわけでございますので、これらについても適切、機動的な処分がなされることが肝要であろうかと思うわけでございます。この点につきましての、担当大臣としての決意のほどをお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
○田村国務大臣 この法律案が成立しました暁には、まずその内容の消費者、関係業界、地方公共団体等への周知徹底を図らねばなりません。また、悪質業者の取り締まりに当たりましては、警察庁など関係省庁との緊密な連携のもとに、法の厳正な運用に努めることは当然であります。と同時に、また消費者自体の勇気というものが何よりも基本であるということも言えるかと思います。そういう点で、広報活動等もあらゆる機会にやっていくべきであろうというふうに思っております。
特に、主務大臣による訪問販売業者などに対する業務改善のための指示、業務の停止命令などの処分のほか、本法の規制対象となる商品、権利及び役務の政令指定に当たりましては、訪問販売等の取引の公正及び購入者などの利益の保護をさらに図るべく、適切かつ機動的に対処してまいる所存でございます。
○小澤(克)委員 そこで、今次政府案では開業規制について、これまたいろんな議論があったにもかかわらず取り入れなかったわけでございます。これについてはどういうことから取り入れなかったのか。少なくとも届け出制は採用すべきであったのではないかというふうに思うわけでございますが、この点についてはいかがでしょうか。
○末木政府委員 届け出制につきましては、広義の開業規制の形の一つとして私どももいろいろと検討いたしました。しかし、非常に数の多いこの業界の大多数がまじめに正当なビジネスをやっているときに、一部の悪質業者対策のために全部に届け出義務を課する、そういう手段が目的に対してバランスがとれているかどうか。これにつきましては、自由な事業活動、自由な営業に対する規制は必要最小限であるべきだというもう一つの価値判断もございまして、それとの関係でいろいろ勉強いたしましたけれども、現段階におきましては、届け出制を全部の業者に課すのはいかがかという結論に落ちついたわけでございます。これが基本的な問題点でございます。
その次に行政負担の問題がございまして、私どもも、仮に届け出制が導入されますと、届け出られた事項について最小限のチェックはしなければなりません。したがいまして、届け出られたとおりのところに届け出られたとおりの業者が存在するかどうかということは最小限チェックをしなければいけませんし、その変更等も適宜フォローしていかなければなりません。これは一方において、今どの程度の行政体制があるかという点との絡みでございまして、ちなみにこういったことをやるとすれば恐らく都道府県に協力をお願いすることになると思うのですが、仮に都道府県に事務委任をしてやったとした場合に、どのくらいの体制が今あるか。
一例を申しますと、例えば訪問販売、通信販売に携わっている職員は、北海道のケースでは課長を含めて七名でございます。あの広い北海道で七名でございます。それから、東北のある県は一名でございます。大体の都道府県が数名程度の単位でやっております。したがいまして、百万を超える、百数十万の届け出を受理いたしますと、なかなか事務的には大変でございます。私どもは大変だからやらないということでは必ずしもございません。大変でもやらなければならない場合にはや
らなければならぬと思いますけれども、現在の限りある行政上のパワーをどこに重点的に使うかということを考えましたときに、悪質業者は百万ではなくて一部なんだということであれば、その悪質業者の情報をしっかり管理をして、これをよくウオッチをするということが効率的な行政のやり方ではないだろうかと思います。
その情報は、じゃどうやって手に入れるかということでございますけれども、現行法あるいは今度改正で強化をされます書面交付の規定がございまして、その交付される書面には業者の所在とか名称とか書かれるわけでございまして、これは届け出制を採用したときに届け出られる事項は、今の書面で実はカバーされるわけでございます。それで、トラブルがあれば、その書面に書かれた情報が消費者から苦情なり相談なりという形で行政庁に参りますので、そういった情報を中心に特に問題のあるもの、これは必ず違法かどうかは別としまして、話題になったもの、相談の対象になったもの、こういったものを重点的に情報管理をしていくということが効率的ではないかと思うわけでございます。
そのほか、今回の改正で報告徴収、立入検査の規定を設けさせていただくことになっておりますが、こういったものも当然悪質業者の情報源として活用できる手段でございますし、また予算措置といたしまして消費者モニターの活用がございます。こういういろいろなソースから重点的に使える情報を集め、これを有効に活用していくことによりまして、届け出制の御主張をなさるお立場でねらっておいでの効果をできるだけ上げるように努めてまいりたいと思う所存でございます。
○小澤(克)委員 先ほど私、ちょっと勘違いしまして、甘利委員からの御質問があったのはこの開業規制の点であったので、私の質問がこの点で今重複したかと思うのですけれども、その点ちょっと勘違いだったことを申し上げておきまして、今の御説明で納得しかねるところが多々あるわけでございます。
開業規制、文字どおり開業規制ですね。登録をもって開業の要件とする、登録しない者が開業すれば、そのこと自体をもって処罰をされるというようなやり方が果たしてどこまで実効的か、事務負担との兼ね合いにおいてどこまで実効的かということについては、いろいろ議論があろうかと思うわけでございますが、実質的に見れば、つまり事務負担が非常に多い中で開業規制をいたしましても、形式的な要件が整っていればすべてこの登録を認めざるを得ない、そういうふうに登録の要件が外形的になってしまって、悪質業者を効果的に排除できるかどうかについては疑問があるというのが、納得できる理由があるとすれば唯一の実質的な理由だろうと思うわけでございます。
したがって、むしろ開業規制そのものよりも、開業後の行政監督を効果的に行う方が効果的だということかなと思うわけでございますが、そうであるとすれば、行政庁として実態把握のまずイロハのイといたしまして、既に業として訪販を行う者については速やかにこれを届け出をさせるということが絶対に必要な条件ではなかろうかと思うわけでございます。このような実態把握があって初めて適切な指導監督等、あるいは業務停止まで含めた行政上の諸措置が可能になるわけでございます。今のお話では、書面交付をさせることになっているから、それを消費者から提供を受ければ実態把握には事欠かないのだという御説明がありましたけれども、業者が法を守ったことを前提とするわけでございまして、書面交付をしないような悪徳業者については全く無力になるわけでございます。ですから、ここのところはどうしても納得がいかないわけであります。
しかも、届け出制であれば営業の自由等との難しい問題も全く生じないわけでございますし、その意味で少なくとも届け出制は採用すべきではなかろうかと思うわけでございまして、実は私どもの社会党案にはこの届け出制をつけたわけでございます。実態把握のイロハのイであると同時に、これが純粋に行政目的に資するために届け出をさせるということが実態把握の主たる目的でございますが、副次的には、消費者の側で取引の相手がどうも特定できない、書面交付されなかったとか交付された書面を紛失してしまったとか、一たん交付しておいて引き上げてしまったとか、一体だれを相手に取引したのか取引主体がよくわからないというような場合には、行政庁に問い合わせればそこにあるファイルの中から相手を特定することができるという効果も期待できます。それから、悪徳業者が届け出をしないままに不当な訪販を展開している場合に、この届け出をしていないというそのことだけをもって、もちろん刑罰が伴うわけでございますから捜査の対象とすることができる、刑事的な処分が可能であるという副次的な効果もあるわけでございますので、これはぜひ採用すべきではないだろうか、こう思うわけでございますが、いかがでしょうか。
〔尾身委員長代理退席、委員長着席〕
○末木政府委員 いろいろな制度の中で届け出制は、確かに規制は最小限にするという観点と消費者保護に遺憾なきを期すという観点を、できるだけ両方生かすという立場から工夫をされた発想だと思います。また、取り締まりのイロハとして、どこにどういう業者がいるかということをまず把握するのが第一歩であろうという御指摘も、それはそうだと思います。したがいまして、私どもも、届け出制をおっしゃるお立場の方が、先生を含めまして届け出制によって何を目指しているかというその目標といいますか、その方向につきましては決して別の意見を持っているわけじゃございませんで、実態をできるだけ的確に把握をするということがまず必要だという点についてはそのとおりだと思うわけでございます。
しかし、今例をお挙げになりましたのであえて私の方の一つの見方を申し上げさせていただきますと、例えば書面交付でも、これをしなかったらどうするんだということでございますけれども、確かに書面交付をしないケースがあるだろうと思います。あるいは、きちんと正確に書かないケースもないとは申せません。しかし、そういうことを意図的に、書面交付の義務を免れようとしたりごまかそうとしたりする業者は、届け出のときも恐らくまじめな届け出をしないのではないかと思うわけでございます。すべてそういうものが有効に働かないと言ってしまうと、これは何をかいわんや、身もふたもない話になってしまうわけでございますから、もちろん制度をつくる以上は大方守られるという前提で議論しなければいけませんし、そういうふうに私ども考えておりますが、書面交付とのバランスでいいますとそういうことになるのではないか。書面交付ににせの住所を書く人は、届け出書面にもにせの住所を書くおそれがあると思わなければならない。
そこで、いずれにしましても、届け出られたものの真偽なり変更の有無なりのチェックがある程度必要になってくるということは、先ほど申し上げたわけでございます。同じことは書面についても言えます。そういう前提の上で、御指摘の方向はよくわかるのでございますけれども、あえて現在の限られたエネルギーを有効に使うという観点から先ほどのようなお答えを申し上げたわけで、届け出制を採用しなかったわけでございます。届け出制によって目指すべきところについては、届け出制がなくても精いっぱいの努力を私どもはするつもりでございます。
○小澤(克)委員 私は、何らかの開業規制といいますか、開業規制という言葉が適当かどうかはともかくといたしまして、入り口のところでのチェックは必要であろう、こう確信をしているわけでございます。それは、現在の被害の実態等からする実感でもあるわけでございます。
それで、それにもかかわらず、我が社会党案が登録制といいますか、登録をもって開業の要件とするという強い立場をとらなかった理由の一つに、登録をもって訪販の要件とするとした場合に、登録をしない悪質業者について、そういう業者が行った法律行為の私法上の効果をどう考えるのかというのが立法技術的にかなり難しいわけで
すね。登録していない者の取引行為については全部無効とするというのも、ちょっと公法と私法との混交の問題がございまして、やや難しいかな。かといって、一方で登録をもって訪販のおよその最初の要件としながら、登録しない者の法律行為についていろいろなクーリングオフとかなんとかの法を適用するというのも、ちょっと技術的に難しいかなというふうな観点から、これも涙をのんで届け出制にとどめたという経過があるわけでございます。
それからまた、行政上の事務負担についても、これは届け出でございますので、訪販業者が全部記載した書類を受け付けて、それを順にとじていけばいいわけですから、いわばロッカー一つ備えれば済むことではないか。そして日ごろは、その届け出の用紙がロッカーに眠っていても構わないと私は思うのですね。何かあったときにそれをあけて見れば、規制の基本的なデータがまずそこにある。少なくともこの程度は必要ではないかと思うわけでございますが、どうですか。事務負担の観点からは、これは自治体、都道府県等に機関委任することになろうかと思いますけれども、可能なんじゃないでしょうかね、いかがでしょうか。
○末木政府委員 二つのことをたしか御質問だったと思うのですが、登録制とかあるいは届け出制でも同じような問題があるかもしれませんが、違反をしたときに、その届け出をしてないあるいは登録をしてない業者が行った行為について、何らかの法律的な効果が生ずるようなことであるとこれは一つの意味があるといいますか、いい悪いとか賛否は別として意味があるわけですが、先生御指摘のように、必ずしもそういう法律効果は生まれないようでございます。例えば、食肉の売買契約をした者が食品衛生法による営業許可を受けていなかった場合に、その取引の私法上の効果に影響が及ぶかということについて、判例では取り締まり法規違反が即取引の効力には影響を及ぼさないという判例があったり、大体そういうことでございます。
そういたしますと、届け出制のねらいというのは、やはり先生おっしゃるように実態の把握ということだと思うわけです。私どもも、実態の把握が大事だということは御指摘のとおりでございますけれども、問題は、何か悪いことをしてやろう、ずるいことをしてやろうという業者を把握していなければ効果はないわけでございますし、恐らくまじめな人は、住所を変えるあるいは代表者がかわるという場合に変更届けをきちっと出すでしょうが、そうでない、初めから何かずるいことを考えている業者の場合には、事によると初めからにせものを出してくるかもしれませんし、あるいは初めは正しくても変わったときに出さないかもしれない。実は、よくトラブルがありまして相談窓口に見えたときに、これを呼び出そうとすると、どこかへ消えてしまっていないというケースが確かにあるわけでございまして、これは届け出さしても恐らく同じだろう。そうしますと、実は問題を起こさないまじめな業者の資料だけがきちっと整備をされてロッカーにおさまっているということになりかねないのではないだろうか。
そこで、重ねて繰り返しで恐縮でございますけれども、もうちょっと同じ目的を達するためにうまい方法はないだろうかというので、先ほど来、重点的に問題のあったもの、名前が挙がったもの、問い合わせがあったもの、こういったものをできるだけフォローしましておっしゃるような効果を上げたいというふうにお答えを申し上げておるわけでございます。
○小澤(克)委員 せっかくのお答えでございますが、私としては同意できない、全く腑に落ちないわけでございます。最初からうその届け出をする者あるいは届け出ない者については結局無力ではないかということでございますが、そういう悪質な業者は届け出をしていないというそのことだけをとらまえて刑事的な捜査の対象にし得る、これだけでも悪質な業者に対抗する非常に大きな武器を持つことになると思うわけでございます。この点については、これ以上議論しても仕方がないかなという感じがいたしております。ちなみに社会党案は、後で触れるかと思いますが、この届け出というのを純粋に行政目的による届け出ということに純化いたしまして、違法行為があった場合の消費者による解除権等にもこの届け出の有無ということはかからしめていないわけでございまして、非常にモデレートといいますかマイルドな立法だというふうに思っているわけでございまして、少なくともこの程度のものはぜひ政府案に入れていただきたかったと思うわけでございますが、これ以上この点について議論はしないことにいたしましょう。
そこで、今ちょっと触れましたが、訪販業者にこの訪販法に違反する行為があった場合に、ただ単に刑罰の対象とするあるいは行政処分の対象とするだけでなく、民事的な効果からも制約をする、すなわち消費者側からの契約解除権を認めるべきだという意見が、特にこういうトラブルについて第一線に立って頑張っておられる弁護士さんであるとかあるいは消費者センター等の方々の体験から強く寄せられておりまして、今回の政府案では、この消費者による解除権が検討の対象とされながらも結局採用されなかった、これはいかにも残念なわけでございます。なぜこれは採用しなかったのか、お答えを願いたいと思います。
○末木政府委員 消費者取り消し権と俗に関係者が呼んでおります制度も、御指摘のとおり大きな論点の一つだったと思います。訪問販売等問題研究会それから産業構造審議会、いずれの場におきましても大変熱心な御議論をいただきました。消費者保護の観点から、もちろんこういった制度についてはそれなりに大きな評価ができる面がございますけれども、しかし他面、やはり法律論的にいろいろ大きな問題がございます。
御承知のとおり、まず民法におきましては、詐欺または脅迫によって結ばれた契約につきましては九十六条で、そのだまされた人、おどされた人は取り消しができることになっております。現行法のもとにおきましても、詐欺、強迫によって訪間販売業者から物を売りつけられた場合には、この制度によって契約を取り消すことができるわけでございます。さらに訪問販売には、そのような契約に瑕疵がなくても、一切の事由を問わずにクーリングオフの制度が認められております。そういう意味で、通常の店舗における売買に比べて手厚く制度ができているわけでございます。さらにこれに加えて何をやるかということになりますと、いろいろな問題が出てまいります。すなわち取り締まり法規の違反、これはいろいろな取り締まり法規が日本にございますけれども、取り締まり法規違反が私法上の契約にどういう影響を及ぼすものとして制度をつくるかということについては、なかなか難しい議論がございます。
例えば、よく私どもが申しますケースで独禁法違反の契約がある。独禁法違反だったら私法上の契約は無効かといいますと、直ちに無効にはならない。その独禁法に違反することが民法九十条、公序良俗違反に該当すれば九十条違反として無効だ、そういうことになっているようでございますし、先ほど例に挙げました例えば食肉の取り扱いについて、食品衛生法の許可を受けていなくても売買は有効であるとか。これらは、消費者というよりも業者の問題ではないかとおっしゃるかもしれませんが、いずれにいたしましても取り締まり法規あるいは強行法規と私法上との関係については、先生御承知のとおり大変精緻で複雑な理論がございます。いろいろな取り締まり法規について私法上の効果を並べて議論した場合に、訪問販売については特別に取り消し権というような形で私法上の効果を生ませるべきではないかという議論には、なかなかそう簡単には政府部内のコンセンサスもできないというのが実態でございます。
そういうようなことで、今回非常に大事なテーマとして慎重に時間もかけて学識経験者の御議論もいただいたわけでございますが、この問題については消費者取り消し権というものが全く不適切だということではございませんけれども、なおまだ研究を要するということで、今回は見送らさせ
ていただいたわけでございます。
○小澤(克)委員 この点は、消費者保護についての通産省の熱意を疑わざるを得ないわけです。どうして消費者による解除権を認めなかったのか。今のお話では、公法上の規制に違反した場合の私法上の効果についていろいろ議論があるということでございましたが、これについては理論的には契約締結上の債務不履行といいますか、信義則違反というような理論構成が、これは我が国でもそれからドイツなどでも既に学説等によって十分用意されておりまして、理論的には何らちゅうちょする理由はなかろうかと思うわけでございます。
それから今、詐欺、強迫があればというお話がありましたが、それは詐欺、強迫があればそれによる取り消しが可能なことは民法上明らかなわけでございますけれども、それでは足りないということから今回でも行為規制を強化したわけでしょう。そういたしますと、このような不当なあるいは行政取り締まり法上違法な形態によって契約を結んだ場合には、私法上もそれはまさに契約締結上の債務不履行なんだから、その契約関係から離脱できる地位を消費者に与えるべきだ。そのことが何よりも消費者保護になりますし、それからもう一つは、訪販業者による違法行為をさせないという何よりの強い担保になろうかと思うわけですね。
実態的には、なかなか機動的に刑罰権が行使されるということもそれほどは期待できませんし、仮に刑罰権が行使されても、罰金を払えばそれっきりだというような悪徳業者にとっては全く痛くもかゆくもない。行政庁による営業取り消し等があっても、また名前をかえて実質的な当事者が営業を継続するというような脱法行為は幾らでも可能なわけでございますので、これらを禁圧する最も効果的な担保は、民事上の効果も認めないといいますか、最初から認めない必要はないと思いますけれども、消費者側からの解除権を認める、これしかないというふうに思いますし、それから先ほどもお話ししましたように、実際に第一線に立って消費者の救済に当たっておられます弁護士あるいは消費者センター等の担当者が、異口同音に消費者からの解除権を認めてほしいと言っているわけでございますので、今の御説明は余りにも消極的で到底納得できるものではございません。これについてはお考え直しをいただくことはできませんかね、どうでしょう。
○末木政府委員 悪徳商法の撲滅ということは、私どもそれが目的でこういう改正案を準備させていただいたわけでございますから、有効な手段があればもちろん進んでこれを採用すべきだと思いますが、しかし一方におきまして、従来からの法体系との整合性の問題もございます。悪徳業者に対する制裁、それに伴う悪徳商法の抑圧につきましては、別の手段を今回いろいろ用意したわけでございます。こういうことはやってはいけないというような規定、従来なかった行為規制を入れましたとか、あるいは行政的な改善をさせるための指示の制度を入れたとか、あるいは業務停止命令、立入検査、報告徴収等々、直接的な規制の手段を幾つか盛り込んだわけでございます。まずはその悪徳商法の撲滅につきましては、このような直接的な規制の手段を今回お認めいただきますれば、最大限有効に使って抑圧していくべきだと思っております。
加えて、私法上の効果の否定という形を通じてもさらに悪徳商法の抑制を図れるだろうという御指摘は、それは業者にとって解約が痛いということももちろんあると思いますけれども、現在のところは、悪徳商法に対する制裁としては我が国の主たる法体系としては罰則で臨む、あるいは場合によっては公表という制度もここに入っておりますけれども、ということであって、私法上のルートを通じた一つの迂回作戦といいますか、そういったもので悪を抑圧するというのは、原則としてほかの法律でもまだないわけでございます。
したがいまして、この問題につきましては研究会、審議会でも、それはおかしいという議論ではなくて、いわば継続審議といいますか、通産省もう少し引き続き勉強しなさいという御意見をいただいているわけでございます。そういう意味で、なお私ども勉強したいと思っておりますが、例えば違法行為があった場合につきましても、すべての法律のあらゆる違反について私法上の効果を否定して取り消しできることにするのか、民法の原則からいえば詐欺、強迫でございますから、その次にくるものをどれとどれとを選んで考えるのかということを一つとりましても、なかなか線の引き方が難しゅうございます。この点は、なお引き続き勉強させていただきたいと思っているわけでございます。
○小澤(克)委員 到底納得できるものではございません。消費者保護について非常に消極的だという評価をせざるを得ないと同時に、今のお話を聞いていますと、引き続き勉強するとは言うのですが、石橋をたたきながら結局渡らないような感じでございまして、全く消極的な姿勢ではなかろうかと思うわけでございます。
独禁法違反の場合に直ちに私法上の効果云々というお話がありましたけれども、独禁法に違反の場合には、非常に優越的な地位に基づいて契約を結ぶわけですから、その契約内容自体が公序良俗違反という評価を受けて私法上の効果も否定されるということがあり得ると思うのですけれども、訪販法の場合は、取引における契約締結に至る過程で非常に違法、不当なことが行われていても、契約それ自体としては消火器の販売であったりして、特に高価であったりすればそれはおかしいわけですけれども、契約内容それ自体が公序良俗違反というのにはちょっと結びつかないような点もあろうかと思うわけでございまして、実際に救済に当たる弁護士の先生方としては大変苦慮しておられるところなのです。詐欺、強迫がはっきりあればいいのですけれども、そこに至らないような巧妙なやり方で売りつけている。そういたしますと、せっかく今回行為規制を拡大したわけでございますので、それから理論的にも契約締結上の債務不履行という理論構成は確立しているかと思うわけでございますので、問題はなかろうかと思うわけでございます。ぜひこれについては再考していただきたいということを言っておきたいし、それから我が社会党案では、目玉的に消費者による解除権を認めているわけでございますので、他の委員諸公、この社会党案にぜひ賛成していただきたいと思うわけでございますが、これは議論になりますのでこの程度にとどめまして、クーリングオフの問題について入りたいと思います。
今、消費者解除権を認めなくてもクーリングオフの制度等その他いろいろあるという御指摘ありましたけれども、クーリングオフがまた、実際に消費者救済に当たっている方々からのお話を伺ってみますと、機能していない場合が非常に多いわけでございます。一つには、期間が余りにも短過ぎる。これはかつての四日から七日に一たん延びたわけでございますけれども、この七日というのが余りにも短いわけですね。
それから、もう一つの重要な問題点は起算点なんです。起算点が書面交付時から七日というふうに起算されている。ところが、現実に実態からいたしますと、お年寄りが一人で留守番しているときに訪販業者が訪れて何か売りつけた、あるいは役務提供契約を結んだ。屋根を修繕するとかシロアリ駆除とか、いろいろあろうかと思いますけれども、上がり込んでやいやい言うもので、お年寄りがもう仕方ないからその勢いに押されて契約をしてしまった。何も言わないわけですよ。ある日こんにちはと言って屋根修繕に伺いましたとかシロアリ駆除に伺いましたとか、あるいは商品の布団とかなんとかを持ち込んだ。そのときになって周りの者が気づいて、これは大変だ、おじいちゃん何したの、おばあちゃん何したの、いや実は余りうるさく言うものだから判こ押しちゃったんだよ。それで、それじゃクーリングオフ、解除しようと思ったときにはもう七日過ぎている。業者の方は七日過ぎるまでじいつとしておって、過ぎてからやってくる、これが実態なんですね。そこでこの起算点を、期間の問題もありますけれども、
起算点を物品の交付があったときあるいは役務提供についての開始があったときから起算するというのが、このクーリングオフを実効あらしめる要点ではないかと思うわけでございます。
社会党案も実はそのようにしているわけでございますけれども、この二点。七日というのがいかにも短過ぎやしないか、今回これを維持したのはなぜか。それから、起算点について書面交付時としていること、これも現行法を維持したわけでございますけれども、これは問題ないのか、どういう御認識なのか、御見解を賜りたいと思います。
○末木政府委員 クーリングオフ制度について、これがうまくワークしないではないかという声を整理いたしてみますと、実はクーリングオフの制度を消費者の方が知らなかった、そもそも制度を知らなかったというものがかなりのウエートを占めております。それから次に、クーリングオフの制度を適切に使わせることを業者の方が積極的に知らせないとか、あるいはもっとひどい場合には、うまいことを言ってそのクーリングオフができないように思い込ませるとか、そういうことである種の妨害があるようなケース、これがかなりのウエートを占めております。もちろんクーリングオフできる期間は、長ければ長いほど消費者にとっては制度が使いやすくなることは当然でございますけれども、幾日にするかという点については、一方において法的安定性ということも考えなければなりません。
クーリングオフは、一切の理由を問わずに解約できるわけでございます。そういう意味でかなり思い切った制度でございますから、法的安定性とのバランスも考えなければなりません。他方、うまく使われないケースを分類すると、今のように知らなかったとか使いにくくされていたということがございます。そこで、クーリングオフの制度の有効な活用について今大事なことは、消費者の方にこの制度をよく知っていただく、そしてよく活用していただく、これが今一番大事なことであろうと思います。これらは、私ども訪問販売の実態をいろいろ調べている過程でそういうことに気がついたわけでございます。なお、海外の立法例を見ましても、クーリングオフ期間は三日というものも幾つかございます。三日とか七日とかいうものが多いようでございます。そういったことを総合勘案しまして、今回七日間を現行維持としたわけでございます。これが第一点でございます。
それから第二点の起算点でございますけれども、これもクーリングオフの基本的な性格にかかわる問題かと思うのですけれども、訪問販売の場合には消費者の方が能動的に物を買うという立場で意思形成が行われるのではなくて、話を持ち込まれて受動的な形で意思形成が行われるというところに特質があるわけでございますので、結局その意思形成のところに問題点がある。そこで、その点に着眼いたしまして、購入者が意思形成を行ったところから物事を考えるのが論理の筋道ではないだろうか。そういうことでございますと、つまり契約をしたときからということになります。事実上契約をしたときというのを外形上はっきりわかりやすくすれば、これはクーリングオフができることを知った日、今回の改正案の中ではこれを交付書面の中に書かせるようにしておりますので今回はそうなりますが、結局現行法でいえば契約をしたときにクーリングオフができることを知らせなければならないというようになっておりますから、その意思形成の時点からカウントするというのが理論といいますか考え方の筋道であろう、こういうことで第二点についてはお答えさせていただく次第でございます。
○小澤(克)委員 まさに訪販の実態を知らない机上の空論だろうと思うわけですね。日数については、これは結局のところ訪販業者と消費者との利益衡量ですからどこかで決めざるを得ないわけでございますので、長いとか短いとかいろいろな評価があろうかと思いますけれども、この起算点については、余りにも実態からかけ離れた議論ではなかろうかと思うわけです。つまりクーリングオフというのは、うっかり不要なものを買わされた、訪販形態における攻撃性あるいは不意打ちに遭って不必要なものを買わされた、頭を冷やす期間を認めようということでございますけれども、したがってその起算点を理論的に、頭を冷やすのだから意思形成から開始すべきだとか、あるいはクーリングオフできるという書面交付があってクーリングオフの制度を知ってから開始すべきだとか、どうでなければならぬという理論的な必然性というのはないんであって、つまり不要なものを買わされたということを確定的に認識し、ぜひこの契約の拘束から免れたいということを現実に受けとめてから期間を開始するというのが実態に合ったものだろうと思うのです。契約からの解放、解除を願い得る状況というのは、非常に抽象的なレベルからだんだん具体的に、これはたまらぬということを確定的に意図するまでいろいろな段階があるわけでございまして、先ほど言いましたとおりの取り引きの実態からすると、本人は黙っている場合が多いのですね、若い方の場合あるいはお年寄りの場合。周りが気がついて、何でこんな要りもしない契約をしたんだというときには既に遅い。この実態からしますと、今の御説明は全く納得できないわけでございます。
特に指摘しておきたいのは、第六条で今回その対象に役務提供が入ったわけですけれども、第六条の三項の五号ですか、役務提供事業者が役務提供後といえどもクーリングオフがあれば既に役務を提供したことに対する対価等を請求することができない、不当利得があってもそれを返還請求できないという規定があるわけでございまして、これはこれで非常にドラスチックな、ここまでよく思い切った法案を出されたなというふうに思うわけでございますけれども、これは一見非常に消費者を保護しているようで実際の機能としては、こういう規定があると、役務提供型の訪販業者はこのクーリングオフの期間は役務提供に着手しないでじいっとしていて、その期間経過後に着手するという形がもう原則になってしまうと思うのですね。それはそうですよ、それはだれだって危険を負担したくないですから。そうしますと、これは一見消費者保護のように表面は見えても、実際にはクーリングオフをかいくぐることをむしろ誘発しかねない、そんな印象も受けるわけでございまして、この点については、起算点について、より実態に適した法改正が必要でないかと強く痛感するわけでございます。
それからもう一つ、このクーリングオフについてなのですけれども、クーリングオフについては七日間というふうになっているわけですけれども、七日目にクーリングオフをしようと思って電話等をかけたら営業所がその日は休日であった、それで連絡がつかないままにクーリングオフを徒過してしまうというようなことも大いにあるわけでございます。したがって、そのクーリングオフ期間の最終日が営業所が開いていないような場合には次の営業の最初の日まで延長すべきである、かように考えますし、社会党案もそのようになっているわけでございますが、この点についてはいかがでしょうか。
○末木政府委員 恐縮でございますけれども、先生最初におっしゃいました方をまずちょっと御説明させていただきたいのです。六条の五項でございます。これにつきましては、新しく役務を指定対象に加えまして、その役務についてクーリングオフが行われた場合には、もし役務提供が済んでいても対価の請求ができないという規定を設けたわけでございまして、これがかえってクーリングオフ制度を何かくぐり抜けるようなことになりはしないかという点については、私どもは全く逆に思っておりまして、先生最初によく思い切ってとおっしゃったので、初めてお褒めをいただいたのかと思ったわけでございますけれども、確かに思い切ったわけでございます。
これは、シロアリの駆除をやりませんかといって駆除しちゃった、しちゃったけれども何もその程度のことでやってもらうことはなかったのだというのでクーリングオフをした、クーリングオフはしたのだけれどもサービスはしちゃったのだか
ら、したという効果は残ったからそれを不当利得という形で、代金相当額を不当利得でいただきますと言われたのではクーリングオフの意味がございませんので、この規定を思い切って入れたわけでございまして、何が起きるかというと、おっしゃるようにクーリングオフ期間が終了するまではシロアリ駆除をしないであろう、恐らくそういうことになると思います。もちろん消費者が急ぐ場合には、それは消費者が具体的に自分の方の発意で訪問販売にならないようにシロアリ業者に注文をなされば、それはもちろんすぐできるわけでございまして、そういう意味では、これはクーリングオフ制度を実効あらしめようと思ってできるだけのことは考えたつもりでございます。お尋ねのないのに申し上げさせていただいて、大変失礼しました。
もう一つの方の、七日目が休日に当たった場合でございます。あるいはこれは誤解をなさっていらっしゃるのではないかと思うのですけれども、クーリングオフは発信主義をとっておりまして、文書で発信をしたときに有効でございますので、具体的には発信というのは郵便の消印になります。ですから、七日目の日付の消印があれば有効でございます。問題は、それでは七日目が日曜日であった場合に消印が押されるかどうかということでございますけれども、これも郵政省に当たって調べてみたのですが、全国に郵便ポストが約十五万ございますけれども、もうほとんど一〇〇%に近く休日も集配がございます。休日集配がないものが約百だそうでございまして、これは非常に特殊なケースだと思いますので、原則として休日も集配がある。それに間に合うように投函していただけば、休日であってもクーリングオフは有効に成立いたしますので、最終日の問題は、これは最終便が何時であろうとも、郵便ポストに入れる限りはその最終便の集配に間に合わなければならないというのでは同じでございまして、もちろんあいている郵便局へいらっしゃればあいている限りの時間受け付けるわけでございますけれども、ポストに投函でも今のように大体できるということでございます。
○小澤(克)委員 クーリングオフは、今御説明があったとおり発信主義なんです。ですから、理屈としては今おっしゃったとおりになるのです。弁護士なんか相談を受けて、内容証明でクーリングオフの意思表示をするというような場合は、まさに今言ったようになされるわけです。ところが、実態はそうじゃないのですよ。まず大騒ぎになります。若い方やお年寄りが訪販にひっかかった場合に周りで大騒ぎになって、それでもうきょうがクーリングオフ最終日だ、何はともあれ一体どこの業者から何を買ってどうなっているのだ、契約内容はどうなっているのだと電話で問い合わせます。ところが、幾ら鳴らしてもだれも出ない、わからない、もたもたしている間にクーリングオフの期間が徒過してしまう。こういう実態から考えてみますと、まずその業者のところに電話をかけて相談してみようと思うのは、一般の消費者からすればある意味で当然のことでございますので、発信主義云々という理論的なところはともかくといたしまして、次の営業日に発信したものをもってクーリングオフ成立というふうにするのがむしろ実態に適していると思うわけでございますので、先ほどから言っているわけです。この点についても御一考を願いたいと思うわけでございます。
時間がもうほとんどなくなりましたので、残された問題を若干伺っていきます。
今回いわゆるマルチまがい商法ですか、これをも規制の対象としたわけでございます。これはこれで大変結構なことだろうと思うわけでございますが、今回の法改正の政府提案が成立した場合に、マルチまがいについて十分な禁圧ができるというふうにお考えなのかどうか、そこを開陳していただきたいと思います。
○末木政府委員 今回改正案で、いわゆるマルチまがいでございますけれども、マルチの定義に加えまして、いわゆる再販売を行う人の募集以外に、販売の委託販売あるいはあっせん等も全部対象に加えたわけでございます。対象を広げますと同時に、さらに取り締まり規定も強化をいたしております。あるいは業務改善等の指示の制度等、行政監督規定も強化いたしております。したがいまして、この法律によりましてマルチを抑圧してまいりましたのと同様に、マルチまがいについてもさらに従来の法律よりも強化された法律で網を広げるわけでございますから、一生懸命運用いたしまして、マルチと同様に実質的に抑えていけると思っております。
○小澤(克)委員 実は、最初にこの法律ができたとき、昭和五十一年の議事録を拝見させていただいたのですけれども、そのときにこのマルチ商法禁止の法律によってマルチを禁圧できるのかどうかという議論がありまして、実はこの法律ではマルチそれ自体を禁止はしていないわけですね、強い規制をしているわけですけれども。それで、そのとき答弁された方が、これは天谷さんとおっしゃるのでしょうか、制限する法律ではあるけれども実質的には禁止的な効果を持つ法律である、このように答弁されておられるわけでございます。そういたしますと、このマルチまがいについても本法は同様の効果を持つもの、すなわち実質禁止の効果を持つもの、またそのように運用をするというお考えなのかどうか、伺いたいと思います。
と申しますのは、時間が来ましたからこれでやめますけれども、現在マルチ商法を行っている会社エム・ビー・シーが依然として活動を続けているわけです。そういたしますと、実質禁止ということは必ずしも言えないのではないかという感じがするものですので、この点も含めまして答弁願いまして、時間が来ましたからこれで終わらせていただきます。
○末木政府委員 マルチにつきましては、直接的な禁止ではないけれども実質的に禁止に近い効果をもたらすでありましょうという御答弁を当時、天谷審議官が言いましたというお話でございますけれども、結果といたしましては、いわゆるマルチ企業はほとんど整理をされまして、おっしゃった一社存在しているわけでございます。この一社につきましても、もちろん私どもは、当省に苦情相談が寄せられておりますので特に関心を持って注目をしておりますが、マルチまがいにつきましても、このような運用実績にかんがみ、私どもの決意としては、この法律を有効に使いまして、同様に実質的に禁止の効果を生むようにやっていきたいと思っております。
○小澤(克)委員 終わります。
○渡辺委員長 残余の質疑は後日に譲ることといたします。
次回は、来る十五日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時四十二分散会
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