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077回-衆議院-商工委員会-12号 1976/05/18 |
○安田委員長代理 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。質疑の際は、まず参考人の氏名をお示し願います。佐野進君。 ○佐野(進)委員 参考人には、お忙しいところ委員会に出席をしていただき、意見を開陳していただきまして、ありがとうございます。 私ども、訪問販売等に関する法律案につきましては、かねてこの必要性を認めまして、政府関係当局に対して、速やかに成案をもって提出するようにという要求を続けてまいりました。幸い今国会に提案され、審議をいたすことになりましたことを、私どもとしても大変喜んでおるわけであります。しかし、同時に、この法案が結果的に妥協の産物という形になり、参考人がお述べになりましたようにきわめて不十分な内容であるということに対して、私どもも同じように不満の気持ちを持って法案の審議に当たっておるわけであります。したがいまして、同じような立場に立ってなおこれから審議を続けるわけでございますので、実際にそれら諸問題を取り扱っておる立場に参考人の方々はお立ちになっておられる、こういうことで質問をしてみたいと思います。 まず第一に、竹内参考人にお尋ねをいたしたいと思うわけでありますが、竹内参考人は、不満である、その不満であることは不十分であるからだ、こういうように言われておるわけでございまして、その不十分の内容もそれぞれ具体的な例をお引きになってお話しになっておられます。私どもそれぞれの点については全く同感であります。特にこの法律全体を見まして不満だと感じますことは、訪問販売の面におきましては、第四条に「訪問販売における書面の交付」ということで一、二、三、四とそれぞれの条件が書かれておるわけでございますが、この中で、商品の性能または品質に関することが何ら明記されていない。品物はどうでも構わない、ただ価格であるとか、代金の支払いの時期及び方法であるとか、商品の引き渡しというようなことが明らかにされている程度では、購入する消費者においてはその内容を的確に判断することはできないのじゃないか、こういう点で、これだけは何としても明らかにする必要があるということを強硬に主張いたしておる立場に立つものでありますが、この点についてはお触れになっておられませんでしたので、参考人はどういうようにお考えになっておられるか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。 ○竹内(直)参考人 私が先ほど申しました趣旨は、契約をする前の段階で商品の性能、品質といったものが十分に消費者に知らされる必要があるという意味で、これはもう買うと決めた段階で、性能や品質について、それは教えられないよりも教えられた方がよろしいのですが、買うか買わないか判断をする、そのときに一番重要なこういう事柄をぜひ事前に書面でもってはっきりと示すようにしてほしいという趣旨です。口で言うとでたらめをいっぱい申します。これでは誤った判断をするしかないわけで、契約をすると消費者が申し込んでからそういうものを知らせても、後の祭りじゃないか。 よくテレビでも何でも、電気製品でわれわれが苦情を申しますと、それは品物の中に入れてある説明書にすべて書いてあります、こう業者は言うのですけれども、品物を買って、家に着いて箱をあけてから見たって、後の祭りなんですね。だから、それは不必要だとは申しませんが、実は消費者にとって必要なのは、判断をする材料として事前にはっきりとした書面で示す必要があるということでございます。 ○佐野(進)委員 次に、堺参考人にお尋ねをいたしたいと思います。 堺参考人は悪徳商法被害者対策委員会の会長という立場で意見の開陳をなされたわけでありますが、いわゆるマルチ商法ということがこの法律の主要なる柱でございまして、訪問販売あるいは通信販売等におけるところのいろいろな行き過ぎが消費者に対して被害を与えているということについて私どもも認識をいたしておりますが、それ以上に、マルチ商法の犠牲者になった方々の深刻な事態について、それぞれ報道を通じ、あるいはその他の機会を通じて知識を持っておるわけでございます。 いま参考人のお話では、幾つかのマルチ商法と認定せられる企業の存在についてはある程度確認できるけれども、多くの実態が不明なる企業の存在については関係方面等においてもそれぞれ全くと言っていいほど掌握されていない、こういう御意見であったわけです。このような社会的な問題になっているのにそういうことはないと私ども思うわけでありますが、しかし、参考人は悪徳商法被害者対策委員会会長としての立場でいまの意見を述べられておるわけですから間違いないと思うわけでございますけれども、いま少しくその実態等について内容をお述べいただいて参考にしたいと思いますので、お聞かせをいただきたいと思います。 ○堺参考人 昨年、公正取引委員会がマルチ企業の大手であるホリデイマジック、 エー・ピー・オー・ジャパン、この二社を摘発しております。ところが、このマルチ商法の企業といいますものはお互いがお互いを非難しておりまして、業界というものは絶対組めないような体質になっております。いまマルチ商法の企業はたくさんございますけれども、先ほども申しましたように、いまある企業はすべて、マルチ商法ではない、ホリデイマジック、エー・ピー・オー・ジャパン、あれはむちゃくちゃに悪いのだと言ってこきおろすわけです。そうしますと、相対的に自分のところの企業の地位が上がるわけです。 そのような企業がたくさんございますが、組織の特異性から、マルチ商法は組織が大きくなりますと、増殖作用といいますか、自己分裂を起こします。たとえば昨年公正取引委員会が摘発したエー・ピー・オー・ジャパンから、いま三十ぐらいの組織が分かれて、いままた名前を変えて動いております。そのような名前を例を挙げてみますと、株式会社白光、これは大阪で自動車用品を売っております。あるいは小田原の日本ブラザー、横浜の太陽、東京都内にあるライフ、ウィン、セレクトあるいはアンソーとかミリオンエンタープライズとか、いかがわしい名前がずいぶんあるのでございますが、切りがございません。あとベストライン、ゴールデンケミカル、これらはいずれも都内に本社がございまして、外資系で洗剤とか化粧品を売っております。これらは本当に氷山の一角でございます。 なぜ、現在三百から五百もあると言われている企業数であるのに私どもに入ってこないかと言いますと、被害者として名のりの上がる率が全体の加入者総数の一%なんです。ということは、五千人で五十人です。五千人ぐらいの組織にならないと、被害者があらわれているということが私どもにもわからないわけです。ですから、百人、二百人あるいは一千人ぐらいの組織というのがそこらあたりにごろごろ転がっている、そういう現状でございます。 ○佐野(進)委員 そうすると、いまの御意見を聞くと、私どもの周囲にはマルチ商法によって消費者をえじきにしようとする企業がごろごろしている、そういう印象になるわけであります、また、私どももそういう点については幾つかの実例があるということは知っておるわけでございますけれども、この法律ができれば、政府は当然その責任において実態を調査するということになろうと思うのであります。あなたのいまの御意見の中で、一%であるというお話がございました。いま被害者が全体的にどのくらいあるかということはわかりませんけれども、あなたの組織、あるいはあなたの組織でなくともよろしいのでありますが、直接的にこの商法による被害者として把握されている人数は一体どの程度あるか、おわかりになる範囲で結構ですからお聞かせをいただきたいと思います。 ○堺参考人 マルチ商法の被害者は、その企業に入った人々の約九割がこの被害者になるわけでございますが、現在私どもの方に手紙、手記を寄せてきております被害者の数は一千八百名でございます。しかし、実際はこれは本当に氷山の一角、一%だとするならば九割以上、相当あるわけです。 ○佐野(進)委員 その一千八百人で構成されている被害者が、その被害をなくするための具体的な運動をそれぞれおやりになっており、あるいはまた、そういうような立場に立った意見の開陳が行われておるようでございます。私の方にも被害の投書等もございますけれども、そういう中で、断じてこれは社会的に許すことができ得ないと考えられるような被害の実情があなたの組織の中にあるとするならば、どういうような点があるか、最も象徴的な件について二、三内容をお示しいただきたいと思います。 ○堺参考人 被害者は、昭和四十八年当時は、自分でお店を持っている人とか、あるいはお金もある程度ある方がずいぶん入っていたのでございますが、近ごろでは、新聞なども余り読まない方、あるいはまた体の不自由な方が電話一本で仕事ができるのだ、おまえ簡単にお金がもうかるのだから入れというようなことで入らされたり、いわゆる母子家庭のお母さんに、家にいるだけでいい、簡単にもうかるからあなたもというように言われて入っているとか、俗に社会的に弱者と言われるような方々が現在入っていることは、ゆゆしき問題だと思っております。事業者の知識経験がない層の方が大半でございまして、家庭の主婦あるいはサラリーマン、それからまた学生、昨年は大阪で高校生が自殺をするという痛ましい事件も起こっております。 単にお金の被害だけで済まないのがこのマルチ商法でございまして、精神的に、あるいはまた社会的に被害をこうむる。一家離散があり、夫婦の離婚があり、あるいはまた借金に追われて自殺をする。大阪の高校生の場合も、たった六万六千円のお金で自殺をしているわけでございます。そのような問題は、やはり断じて許すことができないと私ども考えております。 ○佐野(進)委員 この法律が成立することによって、その被害を具体的に食いとめるべき措置がそれぞれ図られていくと思うわけであります。これは午前中の審議の経過の中で、警察庁、あるいは法務省、あるいはその他の関係省庁の方々に対する質問等を通じて明らかにされつつあるわけでありまするが、やはり膨大なる企業数が存在しているということでございまするから、あらわれているのが氷山の一角であるとするならば、水面下にある実体というものは膨大なものであろうと思うわけであります。それがこの法律の網の目をくぐっていろいろな企業活動を行ってくる。そして、この法律に抵触しないで、すれすれのところでその所期の目的を達成しようとする。こういたしますると、被害者というものは絶えることなく続いていく。こういうことを、先ほどお話しになりました経過の中でわれわれも想像することができるわけであります。 あなたは参考人として、この被害者の会の会長として、この法律が成立した後において、法律というものは一つの網の目ですから幾ら厳しくしたって水は通るわけですが、そういう通っていく状態の中で現在の被害者が発生している状況の中において、これを食いとめるべき最もいい具体的な方法としてはどんな点があるとお考えになっておられるか、この法律の関連の中でお考えがあれば、ひとつお示しをいただきたいと思います。 ○堺参考人 皆さんよくマルチ商法の被害者の方を見るに際して、もうけようと思って入ったのだから、欲深な罰だということをおっしゃるわけでございます。しかし、これは大変な誤りでございまして、いつの間にかだまされているといった形容が最も正しいのです。やはり人間ですから、欲もあれば、ささやかな夢もあります。その夢を巧みにくすぐって、マルチ企業は名を変え形を変えして巧妙に動いているわけです。 昨年政府が、マルチ商法が問題になりましたときに、消費者に対してPRをやるのだということで、週刊誌、テレビを通じて確かにやっていただいたのでございますけれども、現在まだ被害者が一向に減らない。逆にいま再燃をしておるという現象から見るならば、昨年の政府のPRは余り効果がなかったのではなかろうかと思います。今回のこの法律を見ましても、マルチ商法という名前は法文のどこにも入っておりません。「連鎖販売取引」ということになっております。現在、マルチ商法の企業はマルチ商法という名前を使ってないわけです。それから考えるならば、消費者へのPRが最も大事だと思われるわけですが、国民のだれしもがわかるようにこれをPRをしていただきたいと思います。それがまず第一番だと考えます。 無論、消費者の方も、甘い話が転がっておるはずもなく、そういうところはよく考えなければならないことでございますが、これは突き詰めて言えば、世の中が金が万能であるという風潮があるわけですから、そこまで厳しく消費者の側を責めていいものかどうかということは疑問でございます。 警察庁に望みたいことは、被害者がいままで被害に遭っても、その被害に遭ったことをどこに持っていっていいかわからなかった、そういうことがあります。今度はこの法案で刑事罰が入ったわけですから、全国の警察のすみずみまでこの法文をよく知る担当官、お巡りさんがふえてほしいと思います。それこそ、被害に遭った際に交番に駆け込んだら処置してもらえた、こうなることを私は最も望んでおります。 ○佐野(進)委員 竹内参考人と堺参考人のお二人にお聞きしておきたいのでありますが、お二人共通して言われることは、この法律が不十分である、特に問題点として、この法律によっても、いま行われておる販売方法、訪問販売にしろ、あるいは通信販売にしろ、さらに特殊販売、連鎖販売方式、そういうマルチ商法等に対してなかなか食いとめることができないというような不満の意見の開陳があったわけであります。 そこで、不満であるけれども、その中で特にということでお二人とも共通してお話しになっておられるのが、クーリングオフの時間が短いということであります。竹内参考人は先ほど訪問販売の際においてお話がありましたが、連鎖販売取引の場合には原案では七日間となっております。堺参考人は最低一カ月なければだめだ、こういうようなお話でございますが、この七日間という形で法律が決定されたといたしますと、お二人の御見解とするとこの法律は全くその体をなさない、きわめて不十分なものになっていく、そういう印象が強いわけでありますが、それをカバーする何か特別の方法がないものか。クーリングオフの期間、訪問販売の場合における四日、連鎖販売取引における七日、これをカバーする具体的な方法は、期日の延長以外にないものかどうか、逐次お答えをいただきたいと思います。 ○竹内(直)参考人 これは被害が起こってからの処置についての議論なんですけれども、繰り返し申しますが、せっかくこの法律ができるならば、被害が起こらないようにしていただきたいということなんです。契約をする前の段階で書面でもって勧誘をする、そういうことによって被害がかなり防止できるはずだと私は思うわけです。そして、不当勧誘については厳しい罰則を設ける。 それでもなお被害が発生した、あるいは発生しそうになるという場合のクーリングオフの措置なんですけれども、これはやはりそういう規定がありますよということを勧誘の段階で念入りにさせるということも一つの方法だろうと思うのです。そういうことはなるたけ言いたくないから言わないだろうと思うのです。そういう意味において、判断をする前に、文書で、こういう措置もありますよということをはっきりさせる。書面で出す場合には、その部分は大事な事柄だから赤い活字で書くとか、あるいは赤枠で囲むということが必要ではないか。その上でなお契約をしてしまった、あるいは申し込みをしてしまったという場合のカバーの措置といえば、日にちを延ばす以外に方法はないのではないかというように思います。 ○堺参考人 私も竹内先生のおっしゃいますように、予防措置を講ずること、これが第一番だと考えます。たとえば高校生で大学へ行くために東京に出るとか、あるいは大都会へ出るとか、あるいは勤めに出るに際して田舎から出てくる、そのような方々が毎年ちょうどいまごろ、五月、六月ごろになりますとこのマルチ商法のえじきに大変かかりやすいわけです。そういうところから見ますと、たとえば高校の卒業式のときに、東京に行ったらこういうマルチ商法というものがあるんだというような、それこそたった十分でもいいからカリキュラムの中に入れて、そのような消費者に対する基本的な知識を教えていただきたいということをまず考えます。大学生に対しましても、大学に入った者はもう十八以上で、学校は何もタッチしないというのが基本だそうでございますが、やはりオリエンテーションなり入学式のときなどに、これこれこういうものがあるということをもっとやってもらえたらというように考えます。 それから、マルチ商法の連鎖販売取引の法案でございますけれども、先ほども申しましたが、この中で消費者に誤解を与えるような、あるいは暗示を与えるような言動、そういう勧誘方法を用いた場合に、これは罪であるというように規定すれば、これは相当にマルチ商法の害を抑えることができる、そう考えます。 ○佐野(進)委員 われわれはこの法律の中で、結果的に消費者が被害者にならないように、また消費者を被害者にするような商法が行われないように、こういう点で審議をいたしておるわけでありまするが、これは竹内参考人にお尋ねをしてみたいと思うのであります。 法律の第四章「雑則」の中に入ってくるわけですが、第十八条の原案では、いわゆる一方的に送られた品物について「六月を経過する日までに、その商品の送付を受けた者がその申込みにつき承諾をせず、かつ、販売業者がその商品の引取りをしないときは、その送付した商品の返還を請求することができない。」こういうように書かれておるわけです。ただ、その場合に、括弧、ただし書きのの中で、引き取りの意思がない、送った者に対してそれを引き取ってくれという請求を発した場合においては、一カ月ということになっておるわけであります。これは月日の問題、数字の問題ですから、私どもどうかとも思うのでございますけれども、この種商法というものがこのような形の中で許されることがどだい間違っているのじゃないか。 だれも売ってもらいたいとか欲しいとか言わないのに、突然品物が送り込まれてくる。その送り込まれたものを六カ月間保存しなければならない義務が送り込まれた人に発生する。その場合、それが不服だ、困るというなら、その送り込んできた人に対して引き取ってくれという手紙を書いて切手を張ってポストに入れてという、そういうようなことをした場合においても、一カ月間保管する義務がある、こういう考え方はどだいおかしいのじゃないかと私ども審議をしながら思うのでございます。消費者の立場に立ってこういうような処置について、このような形で処理しなければならぬのか、もっと適切ないい方法があるのじゃないかという気がしますが、その御見解をひとつお示しをいただきたいと思います。 ○竹内(直)参考人 これはレコードだとか本だとか、そういうことでよく学生生徒がひっかかるケースがございましたけれども、これについて法律的に民法上いろいろ問題があるようですけれども、そういうことは抜きにして、いまお話がありましたように、とにかく一方的に商品を押し込んできて、黙っていればそれで契約だということは、大体公序良俗に反する商法だという意味で無効だというように私どもは考えたいわけです。したがって、それについて一般の正規の取引であるかのような前提でこういう規定を設ける必要もないのではないかと思います。こういうような業者の方の取引の安全を保護するという観点から、余り業者の方の肩を持つような規定はつくらない方がいいのではないか、こういう商法が大体において公序良俗に反するという大前提で規定を設けた方がいいのではないか、私はそういうように思います。 ○佐野(進)委員 私も竹内参考人と全く同様な見解に立っておるわけでございますけれども、しかし、この法律によりますと、この行為を行った人が権利があるという形になるわけです。私どものところにも、何の意思表示もしないのに書籍がどんどん送られてくるわけですね。来たらつい封を切ってしまって読む。何カ月かたったら、この法律によると六カ月以内に請求をされる。もう読んでしまったわけだから、結局代金を払わなければならぬ。そういうようなことがこの十八条によると認められる。これはどうもおかしいじゃないか。 しかし、逆に考えると、六カ月間たってもそれに手をつけなかった場合においては送った人がまる損なんだよ、こういうことになると、六カ月間たってまる損なら、送ってきた品物にもよるけれども、いいじゃないか、こういうような考えもあるわけで、私は前者の方に立つわけでありますけれども、そうすると、この法律の十八条においてそのように規定しないですむ方法があるのかないのか、あるいはないとするならば、この六カ月というのは余りに長過ぎるから期間を短縮するということによらざるを得ないのではないか、このように考えているわけでございますが、これはあとの問題と関連をいたしますので、この点についていま一度竹内参考人と堺参考人のお二人から見解をお聞かせいただきたいと思います。 ○竹内(直)参考人 先ほどもちょっと申しましたけれども、こういう規定を設けることによって、こういうルールであれ式の販売をやればいいのだというように、逆にこういうことをやっている業者を保護することになりやしないかというように考えるわけですね。だから、さっきも申しましたけれども、こういうようなのは公序良俗に反するから無効だということで、そういう前提での規定をすればいいのではないか、少し乱暴な言い方かもしれませんけれども、こういうやり方は大体においてあってはいけないのだという考えに立つならば、そういう乱暴な規定を設けたっていいのではないかというように考えます。 大体これはいわゆる買い手危険持ち、全部一〇〇%買い手危険持ちではないけれども、やはりある程度買い手危険持ちということを認めた規定になっておりますので、消費者保護という観点からするなれば、こういった常識でないような商法をやった場合には、売り手が一〇〇%の危険持ちという売り手危険持ちの考えを貫く必要があるのじゃないか、そういうように考えます。 ○堺参考人 マルチ商法では売買契約に基づかないで商品を送ってくるということはほとんどないわけでございますが、通信販売ではそれがあるようで、これは相手方が勝手に送ってくるのですから、私も、それはプレゼントとみなして構わない、送ってきた人に対してお金を払う義務はないと思います。そこまで本当にやはり強い姿勢で臨んでおかないと、法律というものはすべてつくればそれをもぐるのが出てきますから、どんどんと許容基準もできてしまいますし、やはり強い姿勢が必要だと考えます。 ○佐野(進)委員 そこで、堺参考人にお尋ねしたいと思うのでありますが、マルチ商法ということと通信販売、訪問販売と三つの問題がこの一つの法案の中に示されておるのですが、マルチ商法と一言に出てきますと、通信販売、訪問販売の場合にも消費者が犠牲になるという印象、しかしその認識の度合いが非常に違うわけですね。品物を商取引として訪問して売る、通信行為をもって売る、そして代金を得るという前二者と、マルチ商法というものは品物をおとりに使ってその加盟している販売員から特別の仕組みによって金を吸い上げる、いわゆるリクルート料といいますか、その吸い上げたお金を、またそれぞれのところにプールするか回すという形の中において、新しい者を勧誘していく、こういうような形の中で犠牲者がネズミ算式にふえていくということになっていっておるわけです。したがって、この法案を審議する経過の中で私どもが一番心配し、これを根絶しなければならないといって重大な関心を持つのが、連鎖販売取引といいますか、マルチ商法と言われているその内容だと思うのであります。 したがって、この結果として犠牲者が商行為の中においては発生してくる。その犠牲者は、あなたから先ほど来お聞きしたように、泣き寝入りとなるか、あるいは自殺をするか、あるいはまたあなた方のようにその犠牲者の会として社会的公正を求める行為に立つか、いずれかの方法に変わっていくわけですね。成功したといわれる人たちはきわめて少ない。まさに氷山の一角と言ってもいいほどきわめて少ない数になるわけですね。そうすると、その被害者が存在することは隠れもない事実なんです。そして、あなた方の方に結集しているのは千八百名ときわめて少ない。そうすると残っている大多数の被害者に対してどういう救済の手を差し伸べるのか、もういままで発生したものはしようがないのだと言って放置するのか。 しかし、組織の中に入ってみずからの被害を救済しよう、みずからの行動によってみずからを助けようとする千八百名の人たちが、一体どういうような形の中で満足感を得ることができるのか、それらのことについて、法律として、法律の条文として全体を含めた形の中でどういうような救済措置を講じたらいいのか、救済措置が講ぜられるものなのかどうなのか、これは非常にこの審議の経過の中においては重要な問題点だと思うのですね。あなたはその点についてどうお考えになっておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。 ○堺参考人 この法案におきまして、クーリングオフを過ぎた後に気がついた場合、入った人が被害者となっていることに気がつき、それで契約解除を申し出ようと思います、その際に、この今回の法案ではこれは救われません。民法の一般規定に従えばいいじゃないかということを通産省は言うわけでございますが、やはり日本人としまして、一般大衆としまして、契約とか訴訟とかというものは大変縁遠いものでございまして、いざ民事訴訟ということになりますと、一千八百名のうちでも、現在訴訟を私どもの会の指導で起こしております者は四十名でございます。ということは、現在マルチ商法の被害に遭うと、その被害者が救われる道は、いまのところ話し合いかあるいは交渉ですね、交渉にしても団体交渉、あるいは訴訟しかないわけです。その訴訟も一人、二人ではらちが明かない。団体交渉、これしかない。 ですから、この法案では救い切れない。となりますと、その点、主務官庁あたりがそれこそ被害者がいると認定すれば、被害者を一堂に集め、あるいは同時に会社を呼んで、行政官庁が介入をして金を支払わせるというように、行政指導の面を強めてもらいたい。それ以外に恐らく救われようはない、そう考えます。 ○佐野(進)委員 そういたしますと、非常に行政指導を強めてくれということでございますから、この法律案が成立した後に、通産省なり関係省庁がそれに対する対策を立ててもらうということにわれわれも附帯決議なりあるいは要望なりを出していくような形で処理してまいらなければならぬと思うのでございます。 まあ具体的に言いますと、その四十四名の方が訴訟を起こした、あるいは告訴をする。そういうような行為が四十四名しか起こし得ない。千八百名なら千八百名が全員起こすことができればそれにこしたことはないわけでありますが、起こすことができ得ない、四十四名しかその行為に立ち上がることができ得ないという直接的な条件はどうなのか。告訴する、あるいは訴訟を提起するということについて条件が不足なのか、あるいはすれすれの段階の中でそうなっているのか、あるいはそれを提起したとしてもその問題について効果を上げることがむずかしいと判断してそうしているのか、あるいは金銭上の問題なのか、それらの点について、最も困難な事例について何点かあれば、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。 ○堺参考人 訴訟を起こそうと思いますと、やはり個人ではできませんので、弁護士さんを頼むということになります。そうすると、ここに訴訟費用というものがどうしてもかかってきます。被害者の方々は、そのほとんどが借金がらみでございます。これは実に異常なことでございますけれども、いままで私どものまとめたデータによりますと、大体被害者となっている方々のうち八〇%が借金をしている現状なんです。借金をしてそれでも入るという、そこに異常さがあるように思われるかもしれませんが、そこがまた逆に言うならばマルチ商法の巧妙なところです。その借金に追われている人々にとって、この上になおまだ訴訟費用を積むということはとうていできない相談なんです。 ですから、たとえばアメリカのようにクラスアクション、集団代表訴訟制度というものがもし日本にあるならば、たとえば一人の人が訴訟を代表して起こす、それに判決がおりる、そうするとそれは同じ条件下にある人々すべてに適用されるというような訴訟制度そのものが整わない限り、マルチ商法の被害者は救われないということになります。そういう現状でございます。 ○佐野(進)委員 時間があと五分しかございませんので、意見の開陳をまだなされておらない竹内参考人に質問することはどうかと思うわけでございますが、時間の関係もございますので、一点だけ見解をお聞きしておきたいと思うわけでございますが、竹内参考人は東京大学の法学部教授として、この問題に対して大変深い関心を持ってこの法律に対応しておられるとお聞きして、参考人として御意見を聞こうではないかということできようおいで願っているわけでございます。 私どもこの法律を成立させるべく、内容的にきわめて不満足であるが、今日置かれている消費者の利益を守り悪徳商法を追放するという形の中でこの法律の審議を進めようということで、いま審議をいたしておるわけでございますが、参考人として、この法律の内容等に対して特にお気づきの点、いまの私の質疑を若干の時間お聞きになっておられたと思うわけてございますが、関連いたしまして、特に消費者の被害をなくするという見地に立った御見解があれば、お示しをいただきたいと思います。 ○竹内(昭)参考人 後刻また私の意見そのものを申し上げる機会を与えていただけるのではないかと思いますけれども、私自身は、この法案について、お立場が違うにつれていろいろ御不満の点もあろうかと思いますが、万人が完全に意見の一致する法案などというものはある意味では期待する方が無理だということも言えるわけでございます。いろいろな意味で御不満をお持ちの方もあり得るかと思いますが、私自身消費者保護のために現在一番していただきたいことは何かと申しますと、これを早く通していただくことだと思います。これに御不満があるということで、それを練り直すということのためにまたこれが廃案になる、あるいは継続審議になるということになりますと、また一年これがおくれるということになります。その間被害者はどんどんふえる、マルチをやっている業者はそれによってほくそ笑むばかりでございまして、そういう事態を何とか防いでいただきたいということが一番申し上げたい点でございます。 ○佐野(進)委員 最後に、堺参考人に一点お伺いをしたいと思うわけであります。 私は、けさほど、いわゆるマルチ商法と言われている、これは役所の人たちも認められたわけでありますが、ベストラインないしジェッカー・フランチャイズ・チェーンの問題について質問いたしました。参考人はこの両社に対して、その実態から見て、その存続は被害者の会として全く困る、こういうようにお考えになっているかどうかということが一点です。 それから、マルチ商法の現状については先ほど来いろいろお話がありましたが、いままでこの商法に対して政府がそれぞれやってまいりましたことに対して不満があるかどうか、ベストラインとジェッカーの問題は別といたしまして、その効果について、政府の対策に誠意を感ずることができるか、その点が第二点。 第三番目といたしましては、特にこの法律が成立した後、政府機関はいっぱいありますが、それぞれの省庁に対する具体的な要望事項がもしおありならば、簡潔で結構でございますから、これからの審議の参考にいたしたいと思いますので、その要望事項をひとつ述べていただきたい。 以上三点をお聞きして、私の質問を終わります。 ○堺参考人 ベストラインにつきましては、現在当会に百二十名の被害者が集まっております。これも氷山の一角でございまして、会社側が一万八千ないし二万人入っていると言うところを見ますと、そのうち九〇%が被害者でございますから、午前中の審議でベストラインにつきましては独占禁止法違反であるという判断が出たのであるならば、速やかに摘発をすべきだと考えます。なまじっかジェッカーチェーンのように行政指導、行政指導という名前でいつまでたってもらちがあかないまま、まだまだ被害者がふえるということを大変恐れます。ベストラインにせよジェッカーにせよ、いずれ私ども許すことができない存在だと考えております。 次に、昨年の政府のマルチ対策についてでございますが、私はとにかくこの法案をまず通すことが先決だと思いますけれども、政府の対策は余りにも遅かったということができると思います。 具体的に言うならば、経済企画庁の昨年のPR、政府広報というのをやってくれたわけでございますが、読んでいる私たちにとってさっぱりわからないPRでございました。その一点を見てもそれが感じられます。 それから、昨年、ホリデイマジックの容疑が黒と定まったならば、公正取引委員会は日本に三百から五百あるというマルチ企業について一斉摘発を行うという示唆を独禁懇話会で発表されております。これをなぜやってもらえないかということを大変恨めしく思っております。やはり一番被害者をふやさない方法は、とにかくどんどんどんどん新聞紙上に載せて摘発していくことです。そうすれば、たとえその企業がマルチ商法という名前を使わなくても、人々はそれではっきりわかります。 それから、今後の具体的な対策でございますけれども、先ほどと重複いたしますが、主務官庁の通産省におきましては、毅然たる態度で厳しく臨んでもらいたい。特にこの法案におきまして細部が政省令にゆだねられておりますので、その政省令をきつくしてもらいたいということを考えます。 それから、公正取引委員会につきましては、昨年出されたマルチ商法のリクルート料は独占禁止法違反であるという立場を今後も持続して、もし同じような会社があるならば、これもどんどん摘発してもらいたい。 警察庁に対しましては、先ほどと同じでございまして、全国の末端の交番まで、それこそ稚内の、あるいは礼文島の、あるいは沖繩のすみずみの村のお巡りさんまでこの法案がわかるのだというくらいに勉強してもらいたいし、また対策を打ってもらいたいというようなことを考えます。 以上でございます。 ――――――――――――― ○安田委員長代理 竹内昭夫参考人には、御多用中のところ御出席いただき、まことにありがとうございました。 それでは、まず訪問販売等に関する法律案について御意見を十分以内に取りまとめてお述べいただき、次に委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。 竹内参考人、お願いいたします。 ○竹内(昭)参考人 私は、いわゆる特殊販売に関する法規制のあり方につきまして、二つの審議会における審議に加わりましたので、その立場からこの法案について簡単に意見を述べたいと思います。 一つは、国民生活審議会の消費者救済特別研究委員会というものでございまして、四十九年七月に「消費者被害の現状と対策」という中間覚書を発表しておりますが、その中で特殊販売につきまして早急に予防的規制を行う必要があるというふうに述べ、その基本的方向として、「消費者利益を必然的に害することになる販売方法、すなわち、マルチレベル販売、SF商法などは社会的に無価値であり直ちに禁止すべきであり」、これに対して訪問販売、通信販売は、「一方では消費者の便にもなるが」他方では「悪質な行為も横行しやすい」から、「その適正化のための規制を進めるべきである。」ということを提言しております。 第二の委員会は、本法案の基礎になりました産業構造審議会流通部会における審議であります。その答申は四十九年十二月に出ておりますが、その中でも基本的な考え方として、マルチ商法につきましては「その活動を実質的に禁止するよう厳しい規制を行うべきである。」しかし、訪問販売、通信販売には社会的メリットもある。しかしトラブルも生じている。そこで、弊害防止立法をせよということを述べておるわけであります。 そして、この法案は、大筋としてこれら二つの審議会の提言または答申の方向に沿ってつくられておる。したがって、私は、この法案の成立を強く希望するものであります。 次に、やや具体的に申しますと、まず訪問販売につきましては、この法案は、第一に、三条において、セールスマンに対し訪問目的の明示を要求しております。第二に、四条において、販売業者は購入者に対し、申し込みの内容、条件を明らかにする書面の交付義務を課しております。第三に、五条において、契約が成立したときは契約内容を明らかにする書面の交付義務を課しております。第四に、六条において、四日間は契約を無条件で解除する権利を保障しております。第五に、クーリングオフ期間経過後も、購入者が契約を解除する場合について違約金の最高限度を法定しております。これらはいずれも産業構造審議会の答申の提言に沿うものであります。 次に、通信販売につきましては、第一に、八条におきまして、販売条件の広告に記載すべき事項を法定しております。第二に、九条において、通信販売の申し込みを受けた業者は直ちに商品を発送するか、それとも申し込みを承諾するか否かの通知をしなければならないということにしております。第三に、十八条では、いわゆるネガティブオプションつきの通信販売の申し込みの場合について規定しております。八条及び十八条は答申をほぼそのまま取り入れたものであります。九条は答申を若干変容したものではありますけれども、代金は送ったけれどもナシのつぶてだという状態を防ごうというねらいにおいては共通であります。 以上のように、通信販売、訪問販売に関する法案の規定は答申の線に沿ったものでありますが、法律の運用について一、二つけ加えますと、第一に、訪問販売も通信販売も、政令指定商品の販売ということで、指定商品制によってその適用範囲を画するという考え方をとっております。これは訪問販売、通信販売というものがいわばその態様においても事業の規模においても千差万別であるというところから、立法技術的にやむを得ないことであると私は考えておりますけれども、しかしながら、消費者保護の見地からすれば、指定すべき商品の範囲はできるだけ広くすることが望ましい。さらに、いままで指定されていなかったものについて消費者保護上問題が出てきたという場合には、直ちにこれを追加指定するという形でこの法律の運用がなされることを期待したいと思います。 第二に、表示事項及びその表示方法につきまして省令に任されているところが多いわけでございますが、これにつきましては割賦販売法の省令の例などもございますので、これを参考にして十分に実効性のあるディスクローズ、開示を強制するような省令をつくっていただきたいというふうに思います。 さらに、これは業界ベースの問題でありますけれども、一部業者の不心得な行動が訪問販売、通信販売全体の信用を失墜させるということになるわけでありますし、千差万別で、しかも無数の業者のすべての行動について通産省が全責任を負って監視するなどということは、人手の点だけから考えましても、これは期待してもとうてい実現できないのではないかというふうに考えます。したがって、業界全体として、行政による監督を受ける前に、むしろ自主的にその信用を向上するような努力をすべきが当然であります。それこそが、ある意味で言えば消費者の期待に沿うゆえんでもあり、そのような努力を業界に期待したいというふうに考えます。 次に、マルチにつきましては、第一に、十二条で、勧誘の際に重要事実を告げず、また不実のことを告げてはならないというふうに定めまして、これにつきましては直罰を用意しております。第二に、十三条は、不当勧誘が繰り返されるときは、主務大臣が停止命令を出すことによって、その違反に対しましてはやはり罰則を用意しております。第三に、十四条では、広告記載事項を法定し、第四に、十五条で、マルチに参加しようとする者に対して、どういう事業であるかを示す書面や、またどういう条件で参加するかを記載した書面を交付する義務を課しております。第五に、十六条では、マルチに加入する契約をした者に対しては、訪問販売の四日間よりも長い七日間のクーリングオフを認めております。いわば集団催眠状態の中で勧誘された者も、七日あれば目が覚めるだろうという考え方であります。 これらはほぼ答申の線に沿った、ものですが、ただ、答申では、クーリングオフ期間経過後も、マルチの参加者がもうやめたいと思ったときには、仕入れた商品を一定の割合以上の値段で買い戻す義務を課そうということにしていたわけでありまして、この点がこの法案では落ちております。イギリスの公正取引法やアメリカのマサチューセッツ州法などは、仕入れ値の九掛けで買い戻させるということにしておるわけでありまして、こういう規定がありますと、ともかくマルチの参加者にたくさんの商品を仕入れさせてしまえば、そこで勝負あったというようなことはなくなるわけでございますから、私はこういう規定があった方がよくはないかと思っております。 しかしながら、そのかわりと申しましてはあれですが、この法案では、十二条の重要事項の不告知、不実告知に対する罰則などについては、この答申より強くなっているわけであります。その意味で、十二条、十三条を活用してマルチに対処しようとするのがこの法案の基本的な考え方ではないかと考えております。したがって、答申が申しておりますような実質禁止という目的を達し得るかどうかということは、十二条、十三条の運用に大きくかかっているわけでありまして、その意味で私はこの条文の活用を大いに期待したい、このように考えるわけでございます。 これと関連しまして、一条の「目的」のところを見ますと、連鎖販売取引、つまりマルチ取引を公正にするということが書いてあります。訪問販売、通信販売につきましては、これを公正にするということはよくわかるのでありますけれども、公正なマルチ商法というものは一体あるのだろうか。それは安全な。ペスト、無害なコレラと言うに等しいものではないかと思われるわけであります。ある程度の規模に達しますと、もう参加者を募るということは不可能になるわけでございますから、わが社の商売はある程度発展していくとデッドロックに乗り上げてもはや発展しなくなります、そのときには非常に多くの人が泣くことになりますということを告げませんと、十二条にいう重要な事実を告げないということになるのではないかと私は考えるわけであります。そうだといたしますと、マルチを公正なものにして残すという考え方ではなしに、マルチに対して公正であることを求めればマルチは必ずなくなるはずだという考え方に立っているのが、この法律の考え方であります。そういう精神に従ってこの法律の運用をしていただきたいというふうに思うわけであります。 それから、マルチのような伝染性の強い取引は、一刻も早く手を打つべきであります。本来この法案は昨年国会に提出されるはずだと私は考えていたわけでありますけれども、それが諸般の事情でことしになりました。この法案も、先ほど申したように、いろいろ御意見があるかもしれませんが、これがことしまた成立しないということになりますと、喜ぶのは業者だけであります。したがって、私はともかくこの法案を早く通して、マルチの絶滅を期するということにしていただきたいと思うわけであります。 最後に、一言つけ加えさせていただきますと、マルチを規制する以上、当然規制しなければならないのはネズミ講であります。ネズミ講は、いわゆる送金ごっこを繰り返しておればお金がふえてくるというわけでありますから、もしこれが本当なら、政府が先頭に立ってやったらいいわけであります。その意味では、これは一〇〇%うそであります。それに比べればマルチというのは、他人を組織に引っ張り込むことによって得る利益だけではなしに、商品販売による利益もあるという意味で、まだましなある要素を持っております。まだましな要素を持っているからひっかかるという面もあるわけでありますが、このまだましなマルチに対してこういう規制をするというのならば、ネズミ講に対して規制をするのは当然のことでありまして、私は、ネズミ講を野放しにしておくごときことは、政府としても国会としても許されることではないのではないかというふうに考えるわけであります。われわれがこのマルチ販売について規制をしようとする場合に、ネズミ講について厳しい規制があれば非常に楽だったということを痛感しておるものでございますから、この点につきましてもしかるべき御処置をぜひお願いしたいというふうに考えております。 ○安田委員長代理 以上で竹内昭夫参考人の意見の開陳は終わりました。 ――――――――――――― ○安田委員長代理 引き続き、参考人に対する質疑を続行いたします。神崎敏雄君。 ○神崎委員 参考人の方には、非常にお忙しい中、御苦労さまでございまして、お礼を申し上げます。 初めに申しますことは、消費者とは、生きるために取引社会の一員とならざるを得ない、こういうものであります。しかし、企業は営利追求を至上命令として取引を行うのである、ここに両者の大きな違いがあるのであります。消費者は生きるために良質であって低廉な商品を得ようとするが、企業はその商品が良質低廉であるかどうかは問題でなく、どのようにすれば利益が得られるか、ここにあると思うのです。言いかえれば、どのようにすれば安上がりの商品をどれだけ高く売りつけるかであります。私は、ここに消費者保護行政の必要性があるのだと思うのでありますが、この点でまず竹内昭夫参考人からお伺いいたします。時間は二十分しかございませんので、一括して質問させていただきますので、どうかひとつよろしくお願いいたしたいと思います。 そこで、まず第一は、そのような企業のもうけ方、商法にもやっていいことと悪いことがあって、その悪い商法を規制することも消費者保護の一環となり得ると思うのであります。そういう意味で、いわゆるマルチ商法と言われるものは人間の弱みにつけ込んだ商法で、これは百害あって一利なし、こういうふうに言われております。これについて禁止すべきだという声もあるわけです。また、外国においては厳しく禁止されている国もあるように聞いておりますが、このような点について竹内さんはどういうふうにお考えになっているか、御意見をお伺いしたい。 第二点は、先ほども参考人みずからお話がございました産構審流通部会の中間答申では、クーリングオフの後の処置として、一つは商品の相当価額での買い戻し、いま一つは出資金の相当価額の返還等の措置をとるべきだと言われております。あなたはこの流通部会の委員としてこれらの措置をとるべきだと主張されたと思うのですが、いまでもこれが必要だとお考えでおられるかどうか。 第三点は、また国民生活審議会の委員もしておられますが、昨年審議会で消費者被害の救済について中間的な取りまとめをされているようであります。そこで、消費者保護または被害の救済についての御意見を伺いたいと思います。さらに、審議会で検討されている内容と、今後の方向はどのような方向でいかれようとしているのか、この点を簡単にひとつ三つに分けてお答えを願いたい、このように思います。よろしくお願いします。 ○竹内(昭)参考人 マルチが百害あって一利なしということはそのとおりでございますし、それを禁止すべきだということもそのとおりでございます。私自身は、この法案はまさにそれを禁止するための法案だというふうに考えておるわけでございます。したがって、先ほども申しましたように、この第一条の「目的」のところの文言が少しわれわれの気持ちと離れているように思う。したがって、マルチに対して公正であることを求めることによって、日光消毒、つまりマルチという日陰のものを日光のもとに出してしまえばそれは消えてしまうはずだというのが、われわれの申しました実質禁止ということであり、この法案もまさにそういう線でできているのではないかと考えております。 したがって、この法案を施行しました結果、向こうの方がさらに知恵が上手で、これをさらにくぐって生き延びるということになりますと、この法案の中で用意されている薬が弱過ぎるということでございますから、その場合には直ちにまた新しい薬をつけ加えてそれに対処するということが必要だろうと思います。 おっしゃるように、その禁止というのは刑事罰でもって禁止するということだけではないわけでございまして、こういうようないろいろな方法を組み合わせてとにかく実際に行えないようにするということが、われわれの答申のねらいでございます。 二番目に、買い戻し、出資金相当額の返還ということでございます。これは私は、まさにそういう実質的に禁止する、行えなくなるようにするための一つの方法として有効ではないかということを主張しましたし、現在でもそのように考えております。しかしながら、それではこういうのがないとこの法案は全然意味を持たないかと言えば、それはそうではないだろう。十二条、十三条という規定が入っておりますし、そうして警察の方でも相当の決意を持ってこれに取り組もうとしておられるということであれば、これでもってともかく実質禁止の目的を達し得るというのならば、それに多くこだわることはないのではないか。 〔安田委員長代理退席、委員長着席〕 と申しますのは、そういう規定が仮にあったところで、過去の被害者をそれによって直ちに救済できるわけのものではないという点から、いずれにしても、これから先、被害者がふえないようにするためにはどうしたらいいかということでございますから、要するに実質禁止の目的を達するための一つの手段として位置づけている、それとしては有効であろうけれども、しかし、なかったら絶対いかぬかという点ではそのようには考えないということでございます。 それから、消費者被害の救済についての意見でございますが、この国民生活審議会では非常に多面的に消費者被害の問題にアプローチしております。実体法的には業者にどういう責任を負ってもらうべきか、それから、おっしゃいましたように、インチキ商売に対してどういう予防的な立法をすべきか、それから、不幸にして被害を受けた人がその被害を取り戻すためにどういう訴訟のやり方を考えるべきか、さらに行政ベースであれば、各地のセンター等がどのような活躍をすべきか、このような問題についてきわめて多面的な調査、かつ提言をしておるのであります。それはそれぞれの関係省庁において今後真剣に受けとめていただくべき問題だというふうに考えております。 希望いたしますことは、われわれの行いました作業について反対の意見ももちろんございましょうし、提言の中に批判をされるべき点ももちろんございましょうが、要するに、野ざらしのまま放置されるということは、われわれ自身が単にむだ働きであったということだけではなしに、わが国の消費者保護のために私ははなはだ残念なことだというふうに考えておるということを申し上げておきたいと思います。 ○神崎委員 よくわかりました。どうもありがとうございました。 次に、堺参考人にお尋ねいたしますが、これも三点を一括してお尋ねいたします。 先ほど堺さんもおっしゃっていたのですが、実は私、大阪出身なんでございまして、たまたまあなたの方からさっきお話があったように、昨年大阪ではマルチ商法によって自殺するという痛ましい事件が起こっております。先ほどあなたは、六万六千円で自殺した、こういうふうにおっしゃっておりましたが、あなたの会の方へ訴えてこられた人たちにはいろいろな人たちがおられると私は思うのです。こういう人たちの中で、階層、年齢、性別では、被害の一番大きな人たちはどういう方々でしょうかというのがまず第一点。 第二点は、本法案で言う「特定負担」、出資金のことですが、これは政令で定めるということになっておりますけれども、そういった高校生などの若年層の人たちでも簡単に出資できる額を政令に定めなければならないと思うのか、実態的に見ましてどのくらいが適当と思われるのかという点であります。 第三は、マルチ商法によって起きますところのトラブルにはどのようなものがあるのか、その特徴的なものの二、三の実例を挙げて教えていただきたい。 以上、三点でございます。 ○堺参考人 まず、マルチ商法の被害者の階層、年齢、性別でございますが、手っ取り早く年齢から申し上げたいと思います。 年齢は、下は十七歳から、上は何と八十一歳のおじいさんまでが被害に遭っております。その中でやはり一番多いのは、十八、十九の未成年層が一グループと、それから二十代後半から三十代前半の脱サラを志向するような方々、そしてまた、お子さんができ、ある程度家庭に余裕ができ、また逆に言えばお金がたくさんかかるようになってきたというような三十五歳あたりから四十歳前後の家庭の主婦、こういう方々が被害者として多いようでございます。 階層的に見るならば、このマルチ商法にかかる人々というのは、やはり余りお金がない方、これはマルチ商法といいますのはお金があり余っている方は絶対入らないわけでございます。お金がない層をお金でつるわけですから、お金のない層、社会的に弱者と言われるような存在の方々が多いようでございます。 それから、特定負担の額の設定でございますが、なるほど大阪の高校生の場合、たった六万六千円で自殺しているわけでございます。そしてまた、学生相手のネズミ講というものが現在またはやっております。これは毎年ちょうど春先になりますとはやってくるのですが、この額は二万八千円でございます。そうしますと、額だけでは決められないのじゃなかろうかと私ども思います。 それから、特定負担の名称につきましても、リクルート料、いわゆる紹介料という名目の金が、近ごろは商品の仕入れ差額リベート、たとえば私が商品を五十円で仕入れることができる、私の下は七十円である、そうしますとこの差額が二十円ございますが、この二十円の差額を、商品をたくさん買わせることによって額をつり上げるわけです。たとえば一万個買わせますとここに二十万円生まれます。その額は商品の差額のリベートだ、商品の売買によるリベートだというようなことで現在動いている企業が多いようです。これはオーバーライド方式と申しまして、アメリカのFTCあたりでは禁止しているのでございます。ですから、単に商品のほかにお金を出すのはそれが悪いのだというようなことではないみたいでございますので、この辺、やはり主務官庁で十二分な調査をしていただいてから政省令をつくってもらいたいというように考えます。 それから、トラブルの特徴でございますけれども、やはり何と申しましても金に絡むトラブルでございますので、このマルチ商法に入る場合、入る場合はまだ被害者ではないわけですが、入った後被害者となる、その際にほとんどの方が借金をして入ります。まるまる全額借金をして入った人もあります。田畑を売って、家まで売って突っ込んだ人もおります。それからお姉さんの結婚資金を借りてきたといいますか、半ば強制的に取ってきた弟というような例もあります。そうしますと、これは話どおりにうまくいかないわけですから、ここでお金の貸し借りに伴うトラブルが起こるわけです。これがまず一点。 それから、マルチ商法の場合、自分が一番信用している人から誘われるわけです。自分の友人、知人、あるいは親戚の人、あるいはまた職場の上司、それから職場の同僚などから誘われます。このような方々から誘われるために、それが実際には話が違っていた、あるいはこれがマルチ商法であるとわかったときには、その人間関係がこわれます。こういうような、お金の貸し借りに一つの問題がある例、それからまた信用関係の失墜というような例が大半でございます。 それからまた、商品につきましても、マルチ商法で扱う商品といいますものは、第三者が公平に見て大変すばらしい商品ということはあり得ないのです。すばらしい商品であるならば、別にマルチ商法を使わなくても売れるわけですから、やはり一般的に見てまがいもの、無価値商品、価値が不明なもの、こういうものが多いわけです。そういう商品を大量に抱え込まされる。全然役に立たない。それが家に山ほど積まれる。部屋が狭いのでわざわざ部屋代を出して倉庫がわりにしたというような被害者もいるぐらいです。この商品によるトラブル、こういう三つの例ぐらいが大きく考えられるようでございます。 ○神崎委員 堺さん、えらいごめんどうですが、いまの中で、性別の問題で、男性の方は学生、脱サラは大体わかったのですが、女性の場合も学生あるいは家庭の主婦がおられると思うのですが、どちら側の方がたくさん被害者になっておられますか。 ○堺参考人 被害に遭った場合、ほとんどの方が泣き寝入りをしてしまいます。やはり恥ずかしいという気持ちもありますし、それ以上に、たとえ被害を訴えたところで自分のお金が返ってくるものじゃないというあきらめがあります。そうしますと、やはり女性の方は大半があきらめてしまうわけです。ですから、私どもの会を組織しております性別を見ますならば男性が大半でございますが、家庭の主婦がいっぱい入っている。特に扱う商品が洗剤とか化粧品という企業が近ごろふえておりますので、主婦は、女性は相当いるはずなんです。しかし、余り名のりが上がっておりません。そういう状況です。 ○神崎委員 最後に、消費者連盟の竹内さんにお願いいたしますが、これも二点を一括してお尋ねいたします。 訪問販売において、セールスマンが訪問先でなかなか帰らず、きわめて執拗に購入を迫ってくる、こういった場合、家庭の主婦など仕方なく買うといったことがよくあると聞いておりますが、こういったことをなくするためにはどうしたらいいのか。先ほどから堺さんも東京大学の竹内さんもきわめて厳しいこれに対する対応策、御意見を発表しておられますので、その方はよくわかりますが、何かひとつ合理的といいますか、合法的な、そういう場合にどうしたら一番いいとお考えになっておられるかということを端的に聞きたい。 もう一つは、通信販売について本法案では余り規定がないわけですが、どのような規制の方法が考えられるか、あなたの御意見はどういうふうにしたらいいとお考えなのか、この二点についてお伺いしたいと思います。 ○竹内(直)参考人 第一点の訪問販売の被害から消費者をどうして守ったらいいかということですけれども、私たち消費者がお互いに戒め合っている事柄は、とにかく見知らぬ者がやってきてもドアを絶対にあけないということですね。ドアのかぎをあけない状態で話し合う。あければ絶対に、一歩入ってしまえばもうどかないです。だけれども、不幸にもドアをあけて中へ入り込まれた場合は、用向きを聞いて、そういうものは要りませんと言って、出てくださいと言う。それでも出ない場合は一一〇番する。これしか方法がないということを、これはわれわれ消費者仲間で戒め合っていますし、それからアメリカの政府は、消費者に対してパンフレットを配りまして、同じようなことを言っております。非常に原始的な方法であるかもしれないけれども、それしかないだろうと思うのです。 現に、これは外資系の百科事典のセールスマンですけれども、座敷へ上がって、床柱の前へ座って明け方の四時まで粘るというものすごいのがおりますから、座敷で上座へ座ってしまうともう断れないですね。それは会社もセールスマンに、絶対くつを脱いで上へ上がれということを指示しております。そういうような不法侵入を目的とした商法がまかり通っているのですから、こうなったらもうドアをあけないということが水際作戦として一番的確であるというように思います。 それから、第二番目の通信販売なんですけれども、よく子供の雑誌に、いいかげんな商品を載せて子供の夢をかき立てて通信販売させる、子供は最近かなり小遣いを持っておりますから、親に隠して黙ってお金を送ってだまされるということが多いです。しかも、その被害は親に告げられないですね。こういった形の被害はかなり多いと思うのです。ですから、これは広告に問題があると思いますね。だから、これはどういう法律で取り締まればいいか、景表法による取り締まりもやらなくてはいけないでしょうし、とにかく子供向けの雑誌でいいかげんな広告がなされておると、これはやはり厳重な取り締まりの対象にすべきではないかというように考えます。 ○神崎委員 どうもありがとうございました。 ○稻村委員長 松尾信人君。 ○松尾委員 最初に、竹内教授にお伺いいたします。 マルチ商法は公正でない、マルチ商法に公正を望めばマルチは成り立たないのだというお説、まことにそのとおりだと思います。問題は、十二条、十三条の規定をそれで考えた。それで、規定はあるけれども、結局は運用が一番大事なところであろう、この御指摘があったわけでございます。 そこで、この運用ですけれども、これはどういうふうにしていくべきであるか。これは私の考えでありますが、問題を次々と摘発する、大なり小なりもう起こったものを早く触覚を働かせて握って、それをどんどんやっていく、これが法の運用に一番通じていくと思うのでありますけれども、先生の御意見はいかがでございますか。 ○竹内(昭)参考人 全くお説のとおりだろうと思います。 ○松尾委員 政府の方にも、私はその趣旨でけさほどもこの法案の審議で強くその点は要望いたしておきました。主管は今回は通産になりますけれども、公取も、それから関係の省庁も、それぞれ力いっぱいやる、これが一番大事であろう、このように思います。これも政府の方に、あわせてこの機会を通じて強く要請を重ねていきたいと私は思うのであります。 それから、堺参考人の方からは、この被害者を救済する機関が必要だ、そのためには政府が真ん中に立って、被害者と加害者の間に立って調停する必要があるのじゃないか、このような御意見が出まして、まことに私も調停機関が必要であろうと思うのでありますけれども、これは先生はどのようにお考えになるか、そしてどのようにそれは運用していったらいいのか、この点はいかがでございましょう。 ○竹内(昭)参考人 消費者被害一般につきまして、問題を訴訟で解決しろというふうに申しましても、先ほど来お話がございましたように、訴訟についてはお金もかかる。なかなか弁護士の先生を見つけ出すことも困難だ。それから、裁判自身が時間がかかるということもございます。したがって、訴訟制度それ自体を合理化すると同時に、一種のバイパスとして調停のような制度を消費者被害一般について設けること、これは私どもも先ほど申しました国民生活審議会の中でも申しておりますし、将来も十分検討されてしかるべきもの、だというふうに考えております。 ただ、この今回の被害について通産省が直ちに行政指導によってお金を返させるというふうなことをするのが適当であるか、また、事実できるかということになりますと、私はその点は若干意見を異にしておるわけでございまして、去年の五月でしたか、物価問題特別委員会でこの問題が審議されましたときにも、マルチ商法の代表の方は、それは良心の問題ではなしに法律の問題である、法律には従う、したがって、文句があるのなら法律をつくってくれというふうに居直られたわけでございました。そういう立場からすると、法律のない段階で行った取引について通産省が乗り出したとして、素直に応ずるような人であろうかという疑問を持っておりますが、一般論としてはおっしゃるとおりだろうと思います。 ○松尾委員 それから、もう一点でございますけれども、何としても消費者を守ってあげたい、被害を取り戻したい、こういう気持ちでありますが、諸外国では、製造物責任と申しますか、メーカーに対する責任と申しますか、こういう対策を法律的に実施、検討しておるということも聞いておるわけでありますが、こういう点で、今回のこの法案に欠除しております買い戻しの問題、クーリングオフ期間を経た、そしていろいろ問題を起こした、被害が起こったという商品に対する買い戻しの制度は本当に必要だと思うのであります。そこで、もう少し先生の御研究がございますれば、この製造物責任というものについてお話を承って、今後の日本政府の施策に早く実現していきたいというように思います。 ○竹内(昭)参考人 製造物責任と申しますのは、普通、現在の民法、商法が規定しております責任は、小売店、売り主の責任でございます。物をつくったメーカーの責任というものははっきりしない。そこで、小売店を飛び越してメーカーの責任を追及できるようにしよう、あるいは小売店と同時にメーカーの責任も追及できるようにしようというのが製造物責任でございまして、これはお説のように各国でその立法化が進んでおり、また条約の起草も始まっております。わが国におきましても、私はこのような立法について検討する必要があるというふうに考えております。 ただ、ここでわれわれが答申しました買い戻しというのは、その製造物責任の問題としてではございません。と申しますのは、先ほど堺さんは、マルチでやる商品の中にはインチキな商品が多いというふうにおっしゃいました。事実そうであろうと私も思います。しかしながら、マルチがいけないのはインチキ商品を売るからではないのでありまして、たとえりっぱな商品を売ってもマルチはいけない。われわれが買い戻し条項ということを入れたのはなぜかと申しますと、それは商品を独立の商人として仕入れたのではなしに、いわば手数料で売ってかせぐセールスマンというものとして位置づけたい。手数料式で、売り上げに応じて歩合をもらうセールスマンなら、残ったものは返せるのがあたりまえのことでありますから、そういうことにすれば、先ほど堺さんのおっしゃったように、狭い部屋にしこたま洗剤を積んで泣いているというようなことはなくなるであろうというふうに考えたわけで、これまたマルチをやめさせる一つの手段ということでございます。 ○松尾委員 それで、先生、これは少し問題が飛躍いたしますけれども、流通マージンの問題であります。工場原価がわかりますね。それから運賃だとか、手数料だとか、輸送料だとか、いろいろのものが加算されまして、卸、小売の段階に入っていくわけでありますけれども、いまこれが非常にめちゃくちゃと申しますか、原価五、六百円のワイシャツが大体三千円で売られているということなんです。これは実態ははっきりしておりまして、こういう流通段階がたとえ幾らあろうとも、それぞれの段階において追跡していけば、そこに適正のマージンというものがあるはすであろうと考えられるわけです。そうすると、流通段階における適正販売価格というものも理論的には押さえられるのじゃなかろうかと思うのですが、こういう問題にもう一回真剣に取り組んで、そうしてそういうところから、消費者が不当に総体的に困っているという問題をどのようにしていったらいいのか、これを先生からお聞かせ願いたい。私は前前から、何か機会があったら聞きたいと思っていたのです。 ○竹内(昭)参考人 私は流通問題の専門家というよりは、一介の法律屋でございますから、非常にむずかしい問題だとは思いますけれども、私自身も、客観的に公正なマージンの限界というものがあるであろうというお話、これはそうだろうと思います。 ただ、問題は、客観的にあるはずの公正なマージンというものをだれがどうやって決めるのかということになりますと、これを行政ベースで決めるということになりますと戦時中の統制経済ということになってしまう。それが多くの弊害を生んだことはわれわれの記憶しているところでございます。 したがって、客観的にあるはずの公正なマージンに落ちつくような施策をとるにはどうしたらいいかということになりますと、私は、それは現在では、業者間の公正な競争を推進することによって経済的なむだが省かれ、したがって合理的なマージンの線に落ちつくということになるのが、現在の経済秩序についての法律の基本的な考え方ではないかというふうに考えているわけでございます。したがって、また、そういう公正な競争を阻害するような独占禁止法の審議ということも昨年来問題になっていることは、御承知のとおりであります。私はその方向でお考えいただくのが基本的には正しいのではないかというふうに考えております。 ○松尾委員 これは竹内参考人にお伺いいたしますけれども、先ほどセールスマンと会社の関係で、セールスマンのすべての言動を会社が責任を持て、こういうことであります。これは、法案にはそういうことは全然盛れもしないかもしれないのですが、非常に大事な基本的な問題と思います。それで、何か問題が起こると、会社はセールスマンに責任転嫁しまして、逆にセールスマンをいじめているわけですね。会社が責任を持つどころではなくて、セールスマンに全部責任を転嫁しているというような面がございます。法案にそういうことは盛ってもありませんので、これは行政指導でセールスマンの言動に対する会社の責任というものがいけるかどうか、どういうお考えですか。 ○竹内(直)参考人 この問題は、民法上では、業務に関しては使用者は責任を負うということになっておりまして、業務に関してという範囲を判例でもってだんだん広げて、使用主の責任を重くしていることは事実なんですけれども、しかし、いまのような訪問販売を業としているのは、これを最初から意識しております。セールスマンにこういうことを言えということを教育をして、そうして最後は、苦情を言ってきたら、自分の会社はそういう指導はしておりません、セールスマンが勝手に言ったことですから、当社は責任を負いませんという逃げ口上をやる。その道を封じる一つの方法として、先ほど来私が申しているように、業者の方が、セールスマンが商品の売り込みをやる段階でチラシを見せる、あるいは契約書の中に、この契約についてセールスマンが原因でもってトラブルが起こった場合の責任は一切当社が負いますということを契約条項でうたうことは自由なんですから、それをこの法律に基づいて、これは政令になるのか省令になるのか知りませんけれども、書面を交付する、その内容にそれをはっきりうたわせれば、目的を達するのではないかというように考えます。 ○松尾委員 それでは、時間がありませんので、最後の質問になりますけれども、先ほど堺参考人が、マルチ商法がますます悪質化してくる、ところが資料がないから全然実態がつかめない、無理てある――私も午前中質問しましたけれども、マルチ商法をやっている企業がどのくらいあるかということは政府もわかりません。実態がわからなければ、なかなか究明も行われがたいし、漏れる部分が多いわけであります。この実態を掌握するためにはどういうことが一番決め手になるのか、お考えがありましたらお聞かせ願いたい。たとえば届け出制にするとか、届け出をしない商社はこのような商法をやることはできぬとかなんとかあるかもしれないと思うのですけれども、この点についてお聞かせ願いたいと思います。 ○堺参考人 マルチ商法の企業はいまたくさんございますけれども、そのほとんどが地にもぐっているといいますか、潜在化しているわけでございまして、被害者の電話とか手紙が一番参っているのは当会であろうと思います。当会ではつかんでいないということは、それを取り締まる、それを知るためには届け出制をとったら一番いいのじゃないか、おっしゃるとおりでありまして、私どもの会といたしましても、マルチ商法という定義をもう少しはっきりさせて、それこそ許認可制にすればいい、これが本当は一番望むところでございます。それはなかなかむずかしいということならば、やはりここで主務大臣がマルチ商法をする企業から一定の書式の届け出をとる、公正取引委員会は、独占禁止法違反の要綱といいますか、これは今後も持続するということを言っておりますけれども、これもデータがなければやはり被害が起きてから動くことになりかねません。だから、少なくとも通産省、公正取引委員会、それから警察庁は、事前にデータを押さえておくべきであろうというように考えます。ですから、主務大臣への届け出義務規定、これは絶対必要であろうということは考えております。 ○稻村委員長 宮田早苗君。 ○宮田委員 時間の関係もございますので、お三人の参考人の方々に一問ずつ質問をいたします。 まず、竹内消費者連盟代表委員の御意見を承りたいと思いますが、訪問販売、マルチ商法の意見はお聞きいたしましたが、審議の参考のために、消費者連盟という立場から、通信販売についても、御意見がございましたらひとつお述べ願いたいと思います。 ○竹内(直)参考人 御承知のように、アメリカあたりでは通信販売が非常に発達をしておりますが、なぜあのように発達しているかと言えば、これはやはり通信販売に対する消費者の信用が高い。それなりの企業としての対応を十分にしているから、消費者が通信販売を安心してやるという素地があるのだろうと思いますけれども、日本の場合は残念ながら目下のところ、そういうこと上りも、逆に消費者をだますという意図を持った通信販売がまだまだ多いという実態でありますし、これはやはり消費者を守る立場からするならば、一般の対面販売の何倍にも及ぶような細かい義務づけを企業側、売り手の側にさせる必要があるのじゃないか、一般的にそういうように申したいわけですけれども、そういうことによって通信販売に対する消費者の信用度を逐次高めていく、非常に気の長い話になるのかもしれませんけれども、それ以外にオーソドックスな方法はないのじゃないかというように思うわけです。 ですから、そんなことをするといま行われている通信販売が大半だめになるのじゃないかという御意見に対しては、結局通信販売を本来の形で伸ばしたいならば、回りくどくてもそういう手でやっていくしかないじゃないか、いま日本の通信販売というのは大半はいかがわしいのが多いのではないかというように考えております。 ○宮田委員 堺参考人にお聞きいたしますが、被害者の対策に実際に取り組んでおられるということで、特に運用の問題については、その趣旨徹底について具体的な意見が述べられたわけでございます。そこで、堺参考人がいま掌握されております千数百人の方々は、お聞きいたしますとマルチ商法の被害者というふうに判断をいたしますが、通信販売、訪問販売についての被害者という方々はこの中においでにならないかどうか。 そうして、あなたがいま掌握されております千数百人の方々は、ほんの氷山の一角というふうにおっしゃっておりました。もちろんそうでございましょうが、やはり組織を広げていかなければならぬ。そこで、被害者が自発的にあなたの方に参加される場合等、あなたの方でどういうような方法でその被害者をあなたの方の組織に結集をされるような方法をとられておるか、この点、お聞きをいたします。 ○堺参考人 まず、被害者の対策についてでございますが、先に、被害者を私どもどのような形で集めているかということについて答えたいと思います。 マルチ商法の被害者の場合、その組織が一点集中型の縦組織になっておりまして、会社側からの情報は末端にまで行き届くけれども、末端の被害者同士の横の連絡はとれないような仕組みになっております。ということは、被害者が自分だけでとどまっている例、あるいは自分の上の人、自分を誘った人も大体被害者になっている例が多いわけですが、二人、三人ぐらいしかつかめないというような状況が多いわけです。そうしますと、私どもも、まさかそのマルチ企業に行きまして名簿をよこせと言ってもくれるわけがございませんので、やはりもっぱらマスコミに訴える形をとり、マスコミを見た方々が自発的に参加してくるのを待つ以外にない現状でございます。 それから、この被害者の中には、訪問販売の被害者、通信販売の被害者は含まれておりません。私どもの存在基盤といいますか、存在理由といいますか、それは、従来の消費者運動で取り上げてもらえなかった方々、すなわち、マルチ商法の被害者のように、外から見ると商売をやろうと思って入ったいわゆる事業者とみなされる、しかし実際は前の形が主婦とか、サラリーマンとか、学生とか、あるいは未成年とかといったように、事業者の知識経験がなく、入っても三カ月ぐらいすればまた同じような立場に返る。いわゆる事業者として入っても実際は一般消費者なんだというような方々を取りまとめているわけでございます。 ○宮田委員 竹内先生にお聞きをいたしますが、この法案を早く決めること、全く同感でございます。問題は、お三人とも強調されました運用の問題について、いままでも各委員からいろいろ質問がございましたが、やはり法をつくりましても消費者がこれをより徹底して知ることがまず一つ、もう一つは、取り締まる側がこの法律の解釈を十分にわきまえて指導することではないか、こう思っておりますが、その両方についてへ先生は幸いなことに審議会の委員という立場でもございますだけに、何かお考えがございましたら具体的に御意見をひとつおっしゃっていただければ幸いと思います。 ○竹内(昭)参考人 大した知恵もございませんが、運用が大事だということは先ほども申しましたし、また、お説のとおりでございます。たとえばマルチにつきまして勧誘する場合に、「重要な事項につき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない。」という十二条がございます。そこで、これの運用の仕方として、マルチというのはどんどんふえていけば最後には大ぜいが泣くという性質のものでございますから、したがって、あなたが泣くか、それともあなたのお友達が泣くか、さらにもっと多くの人が泣くか、どちらかになりますよということを最初に言わなければ十二条がひっかかるというぐらいのつもりでやれば、それでもなお飛びつくなどという人はあり得ないのではないか。したがって、いまはよくても、いまはよいとするとますます将来は大ぜいの人が泣きますよ、将来泣かせないと思えばいまあなたが泣くしかありませんということを告げる必要があるというぐらいのつもりで私は運用をしていただきたい。 それからもう一つは、これはPRでございまして、法律がいかにそういうふうにできましたところで、やはり欲に絡んでこれにひっかかるということを絶滅するのははなはだむずかしいのではないかということも感じます。したがって、そういう意味ではこれのPRが必要でありまして、各国民生活センター等を通ずるPRにおいても、それから各消費者団体を通ずるPRにおきましても、世の中にそんなにうまい話なんというものがあるはずがない。うまい話があったらそれは怪しいと思ってそれにはひっかからないようにというような、ごく初歩的な、プリミティブなことから周知徹底していくということが必要ではないかというふうに思っております。 ○宮田委員 終わります。 ○稻村委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。(拍手) ――――――――――――― ○稻村委員長 引き続き、政府に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹村幸雄君。 ○竹村委員 午前中留保いたしておりました事項につきまして、若干質疑を続行したいと思います。 第十六条の解約についてでございますけれども、これは現在まで各委員からいろいろと質疑がありまして、答弁をいただいているわけでありますが、七日間のクーリングオフ期間はどう考えてもやはり短か過ぎる。改善すべき事項であろうというふうに思うわけであります。先ほどの参考人の話にもありましたが、エー・ピー・オー・ジャパンの場合、クーリングオフ期間が四日であったが、二十万人の被害者が出ました。さらにホリデイマジックの場合は七十二時間、三日のクーリングオフの期間がありましたけれども、十万人の被害が出たというふうに言われております。 ただ、本法の場合、発生主義をとっておりますので、三日と七日、四日と七日をストレートに比べて、わずか三日、四日の延長だというふうには言えないと思いますけれども、先ほどの話にもありましたように、洗脳されて催眠的な状態から覚めるのが平均三カ月である。あるいは最低でも一カ月かかるというふうな話がありました。常識的に考えてみましても、これはある程度の品物が着いてから一週間という説明でありますけれども、ある程度の品物が着いて、それから商業活動を始めるわけであります。素人が商品を販売するわけでありますから、最初はやはり兄弟とか、親戚とか、あるいは知人とか、近所とか、そうした近いところに商品を売り歩くということになろうかと思います。そうした場合、一般的に十日間ぐらい、あるいは半月ぐらいは商品がそこそこ売れるというふうに私の調べではなっております。それ以後、本当に商売をやっていくというときに、初めてこの商法が大変な商法であるというふうに気がつくわけであります。 しかも、産構審の答申にも、クーリングオフ一週間後の措置についても考えるように指摘されておりましたにもかかわらず、その項が削除されておる。こういうことを考えましても、このクーリングオフの期間を一週間でなしに、十五日とか二週間とか、あるいは一カ月とか、いずれの時期が最も正しいかということにつきましてはお考え願ったらいいわけでありますけれども、一週間というのは非常に短いというふうに考えますので、再度御答弁を願いたいと思います。 ○天谷政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、クーリングオフの期間はどの程度がよろしいかというのは、きわめて議論の多いところかと存じます。消費者保護と申しますか、加盟者保護という見地からいたしますと、長ければ長いほどいい。さきの堺参考人は、一月というようなことを言っておられましたが、長ければ長いほどいいというようなことが言えるだろうと思います。しかし、他方、法的安定性あるいは民商法の一般的な原則とのバランスというようなことも考える必要があろうかと存じます。 われわれは、原案作成の過程におきまして、いろいろな方面と折衝をいたしました結果、その辺の均衡点といたしまして、七日程度がいろいろな意見の落ちつくところでございましたので、事務的に七日が正しいというふうに信じておるわけでございますが、この辺の考え方につきましては、いろいろな考え方が可能であろうかと存じます。 ○竹村委員 大臣は、一週間のクーリングオフの期間についてどう思われますか。 ○河本国務大臣 いま政府委員が答弁をいたしましたように、いろいろな意見はあったのですけれども、いろいろ議論をした結果、七日という原案が出てきたわけでございます。 ○竹村委員 次に、第十二条、第十三条に違反した業者については、契約者の解約について特別の規定を設けて、全額返還をすべきであろうというふうに思いますけれども、その点についてはどうお考えですか。 ○天谷政府委員 産構審の答申におきましても、クーリングオフ期間経過後におきましてその商品の九掛け程度で返還することを認めるべきであるという御意見をいただいておるわけでございます。 この規定につきまして、われわれいろいろ考えたわけでございますが、結局この法律案の中に入るに至らなかった理由は、この規定を置きますと、契約を長期にわたって効果不確定の状態に置くということになりまして、法的安定性を害するということ、それから第二番目に、連鎖販売取引におきましては組織がきわめて多段階でありますために、契約から派生する効果、すなわち俗に言えば取引料を収受いたしますと、これを関係者の問で山分けするわけでございますが、山分けするということは実はいろいろな人が芋づる的にこの関係者になっておるということを意味しておるわけでございますので、そういう場合におきましてこの商品の引き取りとか返還請求権を多数の人が自由に行使するということになりますと、この権利義務関係が混乱しまして解きほぐすことができないような状態に陥ってしまうのではないか、したがいまして、そういう請求権を認めるということは、一見、だれか一人にだけ認めればその人は救われるということになるであろうかと思いますが、多くの人にそういう請求権の自由な行使を認めることになりますと、これは大変な交通混乱状態になるであろう、だんご状になってしまいまして、これはどうにももつれが解けないことになるのではなかろうかということを心配したわけであります。 こういう難点を軽減するためには、統括者か何かから請求するということにすればいいではないかというような意見もございますけれども、統括者が関係しない、直接に契約当事者とならなかった、そういう取引につきましてまで統括者に責任を負わすということは、これは法律上問題があるというようなことがございまして、こういう難点がありましたために、法律案に入れることは見送ったわけでございます。しかしながら、先ほど竹内東大教授も言っておられましたように、そういうところのマイナスの方は十二条、十三条等の取り締まりを強化することによってカバーしていきたい、こういうふうに考えまして、現在のような規定になった次第でございます。 〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕 ○竹村委員 第十八条の売買契約に基づかない商品の引き取りの場合、引き取りの費用は当然業者負担となるべきであると思うが、どうですか。また、六カ月経過し販売業者がその商品の引き取りをしないときはその送付した商品の返還を請求することができないとなっておりますけれども、消費者に商品の保存義務はないと思うし、また、いつ引き取りに来るかわからない精神的な負担、あるいはまた転宅等、いろいろな条件を考えたときに、六カ月は非常に長いというふうに思います。また、仮に間違いで送付してきたというふうなことであれば、二カ月もあれば十分であるというふうに思いますし、また一方、先ほどからるる述べられておりますように、一方的に商品を送付する商法は好ましくないということでありますので、この六カ月たったら商品の返還権がないというのは少し長過ぎるというふうに考えるわけですけれども、その点についてお考えを承りたい。 ○天谷政府委員 非常にわかりやすい御議論でございまして、われわれの中でもそういう意見がいろいろあったのでございますけれども、法案成立の際には各方面と折衝する必要がございまして、その過程におきまして、たとえば遺失物法とのバランスであるとか、あるいはイギリスの立法例であるとか、そういうところから考えまして、六カ月という線が一応出たわけでございます。 ○竹村委員 公正取引委員会にお伺いしたいわけでありますけれども、公正取引委員会は公正取引委員会の立場から今後も違反行為に対し十分な措置を講ずるべきであるというふうに考えますけれども、先ほどからいろいろと答弁をいただいておりますが、再度御答弁をいただきたいと思います。 ○後藤(英)政府委員 マルチ商法につきましては、私どもの方といたしましては、マルチ商法によりまして販売等の会員として募集する際に、非常に過大な利益がたちまちにして入るとかいうことをもって勧誘しておるというようなことは、やはり独禁法の不公正な取引方法、つまり正常な商慣習に照らしまして不当な利益を与えるということでもって勧誘しているという点が問題になります。それが具体的にリクルート料とかいうような形で問題になりますので、こういう事態がございますれば、厳正に法を運用いたしまして、ホリデイマジックにやりましたような形でもって今後も厳しく取り締まってまいりたい。 ただ、マルチ商法につきましては、いろいろな巧妙な方法をとられますので、簡単にリクルート料とかあるいは報奨金とかいった不労所得的なものを与えるというような形をとらず、いかにも売買という形をとりながらそういう過大な利益を安易に得られるようなことをいたしますので、そういう問題につきましては指導を通じてでも厳正に指導して、被害者の発生することのないように運用してまいりたい、そう思っております。 ○竹村委員 経済企画庁にお伺いしたいわけでありますけれども、経済企画庁は、この法律を、消費者保護の立場から、また再び被害者、犠牲者を出すことのないよう、国民に対して十分なPRが必要であるということは先ほどからも言われておりますし、マルチ商法を根絶していくその最も適切な方法というのは、やはり利口な消費者、そうしたことに理解ある国民大衆を多くつくっていくことが一番早道であるというふうにも言われておるわけでありますので、十分なPRが必要だと思います。そこで、どのような方法で全国に対して広く知らしめていこうというふうに考えておられるのか、お聞きをいたしたいわけであります。考え方といたしまして、直接の広報活動と同時に、たとえば地方自治体に委託するとか、あるいは関係する団体に委託をして十分PRをする考え方等がないか、あわせてお伺いをしたいと思います。 ○藤井(直)政府委員 マルチ商法に対応していくためには、何と申しましてもその被害にかからないように、十分消費者に情報を提供する必要があると思います。そこで、昨年の六月にもマルチ商法に対して総合対策をつくったわけでございますけれども、その重要な柱としてPRの問題を取り上げておりまして、現在までいろいろ努力してきたわけでございます。 今回この法律が成立いたしますれば、先ほど通産省の答弁がありましたように、通産省とされても集中的にPRをするということでございますし、企画庁といたしましても、たとえば企画庁の特殊法人として国民生活センターというのがございますが、国民生活センターが行っております消費者啓発事業の中で、ラジオとか、テレビとか、センターが発行する各種の刊行物等におきまして、十分その内容等の紹介をしてまいりたいと思っております。 さらには、現在、地方消費者生活センターとのネットワークも組まれておりますので、そちらの方にも十分お話をいたしまして、消費者へのPRというものについて従来以上にやっていただきたいということを要望するつもりでございます。その場合、そのPRの内容等につきましてもできるだけわかりやすいものにして、周知徹底していくという方向をとってまいりたいと思っております。 ○竹村委員 大蔵省においでいただいていると思いますので、お伺いしたいわけですけれども、このマルチ商法はアメリカ式ネズミ講商法とも言われ、また、商品をくっつけたネズミ講だとも言われておりますけれども、そのネズミ講そのものが再び活発化しておるわけでありまして、そのことをどのように把握しておられるか、また、そのことについてどう考えておられるか、お伺いしたいと思います。 ○清水説明員 お尋ねのネズミ講につきましては、私どもの立場におきましても、出先の財務局あるいは財務部を通じます情報というような形で把握することができるわけでございますが、最近におきまして、たとえば沖繩においてその種の問題が起きたというようなことがあるわけでございます。この問題につきましては、かなり以前から、いろいろと検討しなければならないという問題意識は持っております。しかしながら、最近におきましてはそういう続発をしているというふうには見受けられませんけれども、むしろやり方が非常に巧妙なものになってきているのではなかろうか。それで、出資法という法律の関係で見ましても、直接出資法の規定に抵触するような形を避けるような工夫をしたものがどうも出てきているような気がいたします。 そういったものに対しまして、これは単に大蔵省の金融行政の立場からどういうふうに考えるかというような問題というよりは、むしろもう少し幅の広いと申しますか、あるいはある意味でより根本的な社会的な現象のような気がいたすわけでございまして、この点につきましては、他の関係官庁とやはりいろいろ御相談をしなければならない問題だろうと思っております。 沖繩の件につきましては、すでに新聞にも報じられてございますけれども、わりあい出資法の関係の疑いも濃かった、あるいは別の法律の違反の疑いが濃かった、という観点もあったかと思いますけれども、敏速な警察当局の御処置もあったように記憶しております。 ○竹村委員 マルチ商法が不当であり、禁止されるべきだというのは、商品販売とネズミ講が同居しているのが問題になっているのであって、本法の成立によってネズミ講の部分を規制し、禁止していこうというのが、本法立法の精神であろうというふうに思います。通産省においてネズミ講を規制する対策が図られているのに、大蔵省においては、いまの答弁を聞いておりましても、余りそうした規制について熱意がないように感ぜられます。このことは行政の一貫性を欠くことになるし、大蔵省の方が大衆保護については何らの熱意もないし、考えておらないということになるわけであります。早急にネズミ講について立法措置を講ずるなり関係法律を整備するなりして取り締まる必要があるというふうに考えるわけですけれども、再度御答弁を願いたいと思います。 ○清水説明員 大変恐縮なお答えを申し上げることになるかもしれませんが、問題が単なる金融という問題よりは、もう少し範囲の広い問題のような、あるいは一般的な社会的現象のような感じもあるように私どもには思えるわけでございます。そういう意味におきまして、これは関係各省と十分連絡をとらせていただきたい、さように思います。いずれにいたしましても、大衆が迷惑を受けるという問題に対して、これはもちろん十分熱意を持って研究しなければいけないという御指摘に対しましては、同感に存ずる次第でございます。 ○竹村委員 産構審の中間答申によっても、ネズミ講のようにマルチ商法と同様の論理に立つ類似行為の規制についても早急な対策が望まれるということを強く指摘をいたしておりますし、先ほどの竹内参考人の話を聞きましても、マルチ商法の規制よりもネズミ講の規制をするということの方がより重大であるというふうな発言もあったわけでありますけれども、そうした発言、またそうした産構審の中間答申についてどう考えられますか。 ○天谷政府委員 産構審の中間答申は、通産省の諮問でございますので、商品販売を伴っておるいわゆるマルチ商法に関する規制を中心とした答申になっておる次第でございます。しかしながら、マルチを取り締まって、他方、マルチとほぼ同じような社会的悪を引き起こす可能性を持っておるネズミについては放任されるということはアンバランスであるという見地から、あのような答申の文言が入ったのであろうというふうに推察をいたしております。 ○清水説明員 御指摘の産構審の中間答申の趣旨につきましては、十分研究をさせていただきたいと思います。 ○竹村委員 最後に、大臣に御質問申し上げたいわけでありますけれども、本法案の細部はすべて政令、省令で定められることになっておるわけでありまして、通産省は本法律の運営に当たってどういう基本姿勢で臨まれるのかお伺いをいたしたい。 また、この法律の施行は、先ほども話がありましたように、成立後六カ月以内となっておりますけれども、巧妙化したマルチ商法が再燃している現状にかんがみ、いますぐにでも施行させるくらいの配慮が必要であるというふうにも言われております。できる限り早期に施行すべきであると思いますけれども、決意についてお伺いをいたしたいと思います。 ○河本国務大臣 まず、この法律を通していただきましたならば、私どもの考えておりますことは、消費者保護という法の精神を徹底したい、こういうことが第一でございます。 第二には、新しくつくった法律でございますので、関係方面、特に消費者に対して徹底的なPRをしたい。PRにつきましては、いろいろな方法を考えておりますが、十分な周知徹底を図りたいということが第二点でございます。 第三点といたしましては、関係する役所が非常に多いものですから、この関係方面と十分連絡をとって、運営について万遺漏ないようにしたい、こういうことを法の運営について考えておるわけでございます。 六カ月よりももっと早くやったらどうかというお話でございますが、その間には十分PRを徹底いたしまして、法の精神を普及させたい、かように考えておる次第でございます。 ○竹村委員 終わります。 ○武藤(嘉)委員長代理 佐野進君。 ○佐野(進)委員 通産大臣に質問をいたします。 けさ、あなたが参議院の委員会に出られるということで、この訪問販売等に関する法律は初めての審議であるから、大臣の出席の上で審議したいとわれわれは思ったわけですけれども、会期末のことでもあり、参議院における審議のいままでの経過等もあって、われわれはあなたがいない中で審議をしたわけであります。しかし、この審議の内容等についてはいずれ担当官から聞いていただくことになろうと思うのでありまするけれども、私どもはこの訪問販売等に関する法律の内容の中における不十分な面について指摘をし、これを補強しながら実施してもらいたい、そういう願いを込めて質問をしてきたわけであります。 われわれは、この法律については、そういう意味で不十分であるけれども賛成していこう、賛成していくその上で幾らかでも不十分さを補強したい、こういう意味で修正案の提出をいたしながら審議に当たっておるわけです。いまここでそれらの点について質問を繰り返すということになりますると、時間も大変経過をいたしておりますので、省略をいたしまして、残された二、三の点について質問をしてまいりたいと思います。 私がけさ質問をいたしましたことは、具体的な問題といたしまして、いまマルチ商法、あるいは最も巧妙にマルチでないという形の中でその商法を行っておると言われておるベストラインの問題、これを中心にして質問したわけです。その結果、これが独禁法にも違反するし、新法にももちろん抵触する疑いが十分である、こういうような判断をいただいておるわけであります。 そういうような判断の中で、これから法律が成立した場合、それぞれ行政当局が対応していくわけでありまするが、一番問題なのは、先ほど来参考人の意見開陳の中にもありましたし、私どもの質問に対する答えもありましたが、結局被害者が当初それぞれの企業の勧誘にひっかかるといいまするか、入っていく、そういう最大の問題は、もちろん個人が欲があるとか、あるいは何か仕事を欲しいとかということがあるけれども、勧誘の仕方がきわめて巧妙だということなんですね。要すれば催眠術的に、いまテレビなんかでよくやっておるけれども、一、二、三と言ったら寝てしまう。どんなきれいな女性でも、醜い男性でも寝てしまうと言われるほど、まあテレビでやっておりますが、あんなことは本当なのか、われわれは疑うわけですが、結局これに類するような行為が、この加入者を募る経過の中で行われておると言っていいと思うのであります。 そういう形の中で加入していった人たちは、幾らわれわれが、あるいはこの成立した法律を基礎にして関係当局が、あるいはまた被害者の会が、声を大にして、それは違うぞ、こう言ってみても、一度魅入られたというか、説明の魔力に取りつかれた人は、そういうようなことについては、違うのだと言ってもなかなか理解できない。結果的に裸にされて初めて、あるいは一家離散して初めて、あるいはみずからがどうにもならない状態に陥って初めて、その事実に気がつく、こういうことになろうと思うのであります。 そういうような状況の場合、いわゆる事実誤認を平然として行わせるようなそういう行為に対して、この法律がどういうような役割りを果たすかということについては、きわめて不十分であろうと思うのであります。いろいろの面において説明があり、不十分さの中においてもいろいろあるけれども、一定の役割りを果たした、こう言われていながら、最大の障害は、そういうところに問題の本質がある、こう思うわけです。 こういうことについて、今回のこの法律で取り締まることができるのかどうか。あるいはそういう面についてPRをいたしますと言っても、そのPRの面についての効力よりもむしろ勧誘の効力の方が強い。催眠術には私はかからないのだと言いながらかかっていく人が非常に多いという現状の中において、そういう点については大変心配をされるわけであります。したがって、この点については何らかの法的な措置が当然とられなければならないと思うわけでありまするが、それをとる意思がおありになるかどうか。あるいはその意思があるとするならば、この法律が具体的には第十二条の中において処置をされてくると思うのでありまするけれども、そのいわゆる連鎖販売取引についての勧誘の項についてどのような措置がとられるような形になるのか、まず私が冒頭この法律を審議する経過の中で明らかにしてきたこういう点について、通産大臣がいなかったので、あなたはどうお考えになるかということと、この特定の勧誘事項、いわゆる事実誤認を与える勧誘を防ぐためにこの法律の中にどのような措置を考えられておるか、この点について質問をいたしたいと思います。 ○河本国務大臣 本日午前中の御質疑につきましては、速記録等を十分読み、かつまた御質疑の内容等について係官から聴取いたしまして、御趣旨のあるところを掌握いたしてまいります。 なお、いまお尋ねの問題につきましては、先に政府委員から答弁をさせまして、私から後ほどお答え申し上げます。 ○天谷政府委員 いまお尋ねの件は、マルチ商法を取り締まるに当たりまして基本的な問題である、こういうふうに考えております。 今回の法律案におきましては、マルチ取り締まりの根幹をなしておるものは第十二条及び第十三条でございます。このうち第十二条は、警察による取り締まりの根拠規定になるものでございます。これがどういうように運用されるかということにつきましては、類似の法律、すなわち宅地建物取引業法第四十七条、それから商品取引所法八十八条、証券取引法百二十五条、こういうような規定がございまして、これにつきましては運用の従来の実績があることでございましょうから、警察の方でこういう従来の経験、法解釈等の積み上げの上に十二条を運営されていくものというふうに考えております。 次に、十三条でございますが、十三条におきましては、「勧誘が適正を欠くものとして政令で定める基準に該当し、かつ、当該勧誘が引き続き行われるおそれがあると認めるときは」営業停止命令等の行政命令をかけることができる、こういうふうになっておるわけでございます。 それでは、その政令の内容とは一体何であるかということでございますが、まだ十分案が練れておりませんので、たとえばの程度でございますけれども、たとえば、一、重要事項につき、故意に事実を告げず、または不実のことを告げること、二、重要事項につき、誤解を生ぜしめることを告げること、三、特定負担につき、貸し付けその他信用を供与することにより契約の締結を誘引すること、こういうようなことを一応いまのところ案として考えておる次第でございます。このうちの第二番目の、重要事項につき、誤解を生ぜしめることを告げること、というようなことが、いまの御質問との関連において重要であろうかと存ずる次第であります。 先ほど竹内教授からも御指摘がございましたように、たとえばマルチ的あるいはネズミ講的な、利潤が無限に拡大していくということは、論理的にあり得べからざることでございます。しかるに、それがあり得るかのごとき印象を素人に植えつける、そしてそれによって多額の負担を引き出さす、このプロセスを見ますと、客観的にはあり得ないようなもうけがあたかもあり得るかのごとく印象づけることによって射幸心を過度に刺激する、そして誤認を生ぜしめるというような行為であろうかと存じますので、これは重要事項につき誤解を生ぜしめることであるというふうに解することが可能であろうかと存ずる次第でございます。 この勧誘関係のいろいろな文書等をチェックし、あるいは説明会場等におきましては多数の人間が集まるわけでございますから、どのような勧誘がなされたかについて証言をとる等のことも可能であろうかと存じますので、そういうことをよく調査いたしまして、重要事項につき誤解を生ぜしめるようなことを告げておったといたしますならば、第十三条を適用することによって取り締まることが可能であろうかと存じております。 ○河本国務大臣 いま政府委員がるる説明したしおりでございまして、その方針に従って取り締まります。 ○佐野(進)委員 大臣、この問題は非常に専門的ですから、あなたもあちらこちらと忙しいからなかなか研究をされておるひまもない思うのであります。しかし、通産当局としては、最も表に出ない、日の当たらないというか、そういう形の中において運用に当たらなければならない法律の一つであります。したがって、要するにスポンサーのいない法律、しかしこの商法によって犠牲を強いられている、いままさに受けようとしている何十万、何百万という多数の人たちがいまあるわけであります。したがって、この法律の持つ意味は私はきわめて重要であると認識しております。大臣も恐らくそうであろう。しかし、なかなか時間がないから、私がいま質問を申し上げているようなことについてはなかなかその内容を御理解がいただき得ない面もあろうと思うのでありますけれども、経済問題の中においてこの種被害者を出すということがあることは断じて許すべき状態ではないのでありますから、一応いまの答弁で了解いたしまするけれども、より積極的に対処してくださることを要望しておきたいと思います。 そこで、天谷審議官に続いて質問をいたしまするが、そうなりますると、いま、政令で決める、こうお話しになっております。私もそうあらねばならぬと思うのでありますが、それでは、政令のほか、いわゆる省令としていま少しく具体的に問題を掘り下げて検討し、これを防ぐ手段を講ずる、単にいまの十二条、十三条に関連した事項だけでなく、多くの条文の中における不備を政省令で補強する、これは当然の措置でございますが、特にこの面についてそのような措置を講ずるお気持ちがあるかどうか、この際明らかにしておいていただきたい。 ○天谷政府委員 この法律を有効適切に運用してまいりますためには、マルチ関係だけとってみましても、十数本の政令、省令をつくる必要があるわけでございます。したがいまして、この政令、省令が適切にできておるかどうかということによりましてこの法律の切れ味が決まってくるということになろうかと存じますので、この内容につきましては全力を挙げて検討して、有効な法の運用ができるようにしたいと考えております。 ○佐野(進)委員 そこで、私はこの法律をずっと審議してまいりまして感ずることは、結果的に利益を得たい、利益を得るためにはいろいろなことを考える、そのいろいろなことを考える考え方の一つとして、他人の迷惑ということについて考慮しない、みずからの利益を守るために他人が犠牲になること、その犠牲がより累積された形の中において深刻化すること、その深刻化する状態が存在することを知っていること、知っているけれどもそれらのことを全然考慮しないで利益を得ることにきゅうきゅうとしている人間の姿をこの法律の中に見ることができると思うのであります。 訪問販売という言葉、この言葉の持つ意味は、通産当局の説明、関係者の説明はきわめてきれいな表現の中で行われております。しかし、言葉をかえて言えば、われわれが最も忌み嫌う一つの状態として、いわゆる暴力団等によるところの押し売り、この形態もやはり訪問販売だと思うのであります。あるいはわれわれが最も忌み嫌う形の中において不愉快な現象を生む通信販売という名のもとに、たとえばという形の中で当局は、あるいはレコードとか、あるいは写真であるとか、書籍であるとかと言うけれども、それ以上にわれわれの人間の良心に対してきわめて悪い影響を与えるようなものも、通信販売という形の中において、本人の意識するしないにかかわらず送り込まれてくる。そのことによって家庭生活が、あるいは個人の生活が破壊される条件も存在するわけです。もう連鎖販売については、先ほど来申し上げたとおり、言わずもがなのことだと思うのであります。 したがって、そういうような形の中で私が望みたいことは、こういうようなことがこの法律によって今度はできなくなるということでなくて、少なくとも大きな網をかけるその網の目を小さくすればいいけれども、なかなか小さくなり切れない形の中において、ああこれならばこうすればこうなるんだと、より以上悪い知恵を働かせる、もうけるためには手段を選ばない人たちが発生することは当然予測されるわけであります。これはもう浜の真砂と何とやらで尽きることがないと言ってしまえばそれまでであります。しかし、その尽きることのない状態を法律ができ上がったという形の中において想定しながらその対策をとらざる限り、犠牲はもっと深刻化していく、そういうようなことが考えられるわけであります。 たとえばベストラインの問題、あるいはフランチャイズへ逃げる等の問題、けさほどから私が質問している問題等はその一つの具体的なあらわれであろうと思うのであります。この具体的なあらわれであるこれらをどう防ぎとめるかということが、この法律が成立した後における最大の課題の一つになっていくのではないか。したがって、大臣にこの点について、それらの状態、より巧妙に法の裏をかく、そういう商法に対して厳重なる態度をもって望むという決意をこの際明らかにしていただきたいし、審議官からは、それに対応する対策としていま政省令をつくるというお話がございましたけれども、そのお話の内容についてさらに一段と決意を込めてその見解を明らかにしていただきたいと思います。 最後に、時間も大分経過いたしましたので、まだまだ質問する事項がたくさんございますが、公正取引委員会に一緒にひとつ答弁をいただいて質問を終わりたいと思うわけでございます。 委員長はけさほどから出席をされまして、私どもの審議の内容についてよく御理解になったと思うのであります。まだ就任日浅くして、この種問題についてそれほど深い理解がおありになるとは私どもも判断いたしません。ただ、私が委員長にきょうぜひ出席をしてもらいたいと強い要望を理事会において出しましたのも、この種問題が、公正取引委員会におけるその独占禁止法の立場において、あるいは不公正なる取引方法という形の中において非常に大きなウエートを占めておる。このことは、朝の質問の大部分の時間を公正取引委員会に対する質問に充てたことをもってしても御理解いただけると思うのであります。先ほど来申し上げました、通産当局がこの問題について積極的に対応するとともに、具体的に指導されるのは公正取引委員会になる場合も相当多いと思うのであります。そういう場合において、本法律の運用に当たって、公正取引委員会としては重大な決意を持って対処していただきたい、こう考えるわけでありますが、あなたがきょう審議に参加されてわれわれの質問に答えていただいた経過の中で感ぜられたこと等を含めてその見解をお示しいただくことをもって、私の質問を終わりたいと思います。 ○河本国務大臣 いまお述べになりました諸問題につきましては、厳正なる態度をもって処理に当たります。 ○澤田政府委員 午前中からいろいろ大事な点で御質問をいただきまして、この問題の重要性を一段と痛感した次第でございます。 〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕 いままで独禁法がいわば一手に引き受けておったような感じでございますが、こういう法律ができまして枠をはめる、規制をするということは、大変時宜に適したことと感じております。と同時に、なお独禁法の分野において今後ともゆるがせにせず、厳重に見てまいらなければならない部面が多々あるやに存じておりますが、そういう点につきましては、この法律の運用と相まちまして厳正な態度を堅持してまいりたい、かように考えておる次第でございます。 ○天谷政府委員 先生御指摘のとおり、脱法の問題はわれわれが一番心配をしておるところでございます。この脱法をどうして防ごうかということのために、この法律をつくるに当たりましてわれわれは二つの基本的な考え方の選択に迫られたわけでございます。一つの考え方は、小さいがしかし網目の細かい網をつくるという考え方でございます。それからもう一つの考え方は、大きくてしかし網目はやや粗い網をつくるという考え方でございます。この法案は後者の考え方をとっておる次第でございます。定義としてはかなり広い定義になっておるわけでございます。したがいまして、定義が広くなっておりますために、取り締まりの方では、たとえばこれを全面的に禁止するというような考え方はとらない、行為を規制するという考えに立っておるわけでございます。そうすることによりまして、やや大きな網にかかってくるものの中で行為が適正なもの、不適正なものをより分けまして、不適正なものをどしどし取り締まっていく。 マルチ業者等がいろいろ脱法を考えます場合には、法律が弾力的にこれに対処し得ることが必要でございまして、その要請にこたえるために、この法律におきましては政省令への委任がかなり大幅になっております。余り政省令に委任することは、一般的に言えば好ましくないことかと存じますが、マルチ商法のような弾力的な実態に対処するためには、そういうふうな方法もやむを得ないことではなかろうかと存ずる次第でございます。また、そういう政省令に委任する体系になっておりますために、実態に応じまして機動的に物事を処理していくことも可能であろうかと存じております。 ○佐野(進)委員 終わります。 ○稻村委員長 近江巳記夫君。 ○近江委員 私が質問の最後であります。非常に遅くなっておりますし、皆さんもお疲れかと思います。私も簡潔に聞きますから、御答弁も簡潔にひとつお答えをいただきたい、このように思います。 まず初めに、訪問販売及び通信販売について若干お伺いしたいと思っておりますが、第三条の訪問販売におきます氏名等の明示規定につきまして、明示方法をどのようにお考えになっているか、また、この規定を設けることによりどういうような効果が期待できるか、また、全国数多くのセールスマンに対しましてどう徹底させ、どう責任を持たせるかということにつきましてお伺いしたいと思います。 ○内田説明員 お答え申し上げます。 第三条におきまして、セールスマンが訪問販売を行いますときに、まず氏名、それから販売しようとする商品の名称等を明示しろということになっておりまして、これは第三条は特に書面ということを規定してございません。したがいまして、口頭でもよく、もちろん書面でもよろしいというふうに考えております。ただ、これの実効性という問題でございますけれども、やはりこの問題につきましては、およそ訪問販売を行います業者及びそのセールスマンとしてまず第一に心がけねばならない重要事項というふうに考えておりますので、これを各関連業界等に周知徹底させることによりまして、また強く指導してまいることによりまして、まず訪問販売の姿勢を基本的に正すという考え方でございます。その点につきましては、私ども最大限に指導強化を図ってまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○近江委員 それからさらに、この交付書の記載内容につきましては省令で定める事項となっておるわけですが、これはどういうようなことをお考えになっているか。また、書面の様式、用語、記載方法等についてどういうようになさるか、その辺の考え方につきましてお伺いしたいと思います。 ○内田説明員 お答え申し上げます。 省令におきまして定める事項につきましては、法律に記載されております事項のほかに、当然のことながら、販売業者の住所等細目にわたりまして記載をさせたいというふうに考えております。また、これにつきましては、単に事項だけではなくて、その書き方と申しますか、活字の大きさ、あるいは特定の事項につきましては特に目立つような方法で書くというような、書き方の細目についても省令で規定していきたいというふうに考えております。 ○近江委員 それから、クーリングオフ以降の契約の解助に伴う損害賠償につきましては、これは第七条関係になろうかと思いますが、具体的にどういうようになるのか、事例を挙げて簡単に説明してください。 ○内田説明員 クーリングオフ期間が経過いたしました後の契約の解除という問題につきましては、販売業者の側の売りましたものに瑕疵があったりして契約の解除という場合には、これは当然に相手側の責任でございますので、本条で考えておりますのはそうではなくて、買い手の方がこれは何らかの理由で欲しくないから解約をしたいというような形、あるいは買い手の方が代金が支払えなくなったために解約をしたいというような場合が想定されるわけでございます。この場合におきまして往々にしてございますことは、法外な損害賠償を要求されるというようなことで、大変消費者が痛い目に遭わされるというような場合があるようでございまして、そうしたトラブルが私どもの方にも間々上がってきております。これに対処いたしますために、この損害賠償の額を合理的な一定の額に制限をしようというのがこの趣旨でございます。 したがいまして、これは、たとえば商品が返還された場合には一定の期間商品をとどめ置いたということで、一定の方法によりまして計算いたしました商品の合理的な使用料の額というようなものがその上限になりますし、商品を返還しない場合には、当然のことながらその商品の販売価格でございます。それから、契約に至ります前に契約解除ということになりました場合には、一定の合理的な計算方法によりまして、その契約の締結あるいは履行に至るまでに販売業者が負担している合理的なコスト、この合理的なコストというのは一般的なコストでございますので、特定のある購入者のところに出向いていくのが、たとえば遠いところで車賃が非常にかかったとか、あるいはセールスマンの日当がよけいかかったというようなことは当然考慮さるべきではないと考えております。一般的な、合理的なコストというものがその上限になる、そういった形で細かく規定してまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○近江委員 通信販売についての広告、これは第八条ですが、この表示の違反につきましては不当表示防止法を適用することになるのか、マルチの広告表示違反は罰則がある、通信販売の広告表示違反には罰則がないわけですが、その理由についてお伺いしたいと思うのです。この辺、どうですか。 ○天谷政府委員 本条を罰則を担保としていない理由の御質問でございますが、その理由は、第一に、実態上通常の一般広告と通信販売の広告を区別するということが非常に困難でございます。それから第二番目に、通信販売の広告でもその広告スペース等が千差万別でございまして、罰則担保で一律の表示義務を強制いたしますと、いろいろな混乱を起こすおそれが出てまいりまして、現実的ではないと考えたわけでございます。したがいまして、本条の規定はガイドライン的な性格を有するにとどまるわけでございます。たとえば送料に関する事項等が表示されていなければ、送料は販売価格に含まれるというような推定がなし得るといった効果が考えられます。また、本条に基づく適正な広告が広く行われるようになりますと、これらに従わない広告を行う販売業者は消費者の選択から排除されることになりまして、間接的に適正化が推進されるということになろうかと存じます。 ○近江委員 この前払い式の通信販売につきましては、特に子供を相手にした悪質なものがあるように聞いておるわけですが、そういう事例がありましたらどういうように把握なさっているか。 それから、前払い式の通信販売の問題点としまして、商品が届かないとか、あるいは到着が著しくおくれたとか、予期していたものと異なったとか、商品が非常に粗悪品であった等が挙げられるわけですが、こういった問題につきまして、本法によってどのように解決されるわけですか。 ○天谷政府委員 通信販売において取り扱われるところの商品はきわめて多種多様でございますため、われわれはその実態を必ずしも十分に把握しているわけではございません。われわれの知る限りにおきましては、子供を対象とする通信販売は子供向けの雑誌等を主な媒体としてかなり広く行われており、その取り扱い商品としては、切手、コイン、玩具、これはカメラ、ボールペン、ラジオ等々の玩具でございますが、そういう玩具等が多く見られるようでございます。商品の単価につきましては数百円程度のものが多いようでございますが、場合によると一万円を超えるものまでありまして、さまざまでございます。また、支払い条件としては一括前払いの方式が多いようでございます。 それから、次の御質問、すなわち前払い式通信販売において商品の到着が遅いとか、到着しないとか、いろいろな問題があるわけでございますが、この法律で一体どのように解決されるのかという点についてお答え申し上げます。前払い式通信販売において商品が到着しない場合には、言うまでもなく消費者は著しく不安定な立場に立たされることになります。このために、この法律におきましては広告の中に商品の引き渡し予定時期を明記させることになっております。第八条でございます。同時に、販売業者は代金の全部または一部を受領後、遅滞なく法律関係を確定し、商品の発送時期等を明記した通知をすべきことを、第九条において義務づけております。そういうことによりまして、商品到着の時期があらかじめ明らかになるように措置をいたしておるわけであります。 したがいまして、商品の引き渡し予定時期を過ぎてもなお商品が到着しない場合、上述の通知が届かない場合等におきましては、消費者は民商法の規定によって申し込みの取り消し、代金の返還請求等をすることができるようになっております。 ○近江委員 先ほどお聞きしましたように、予期していたものと異なった商品あるいは粗悪品であった場合、これはどのようになるのですか。 ○内田説明員 もし粗悪品あるいは初めに広告に明示されておりましたものと違う商品が送り届けられてきたという場合には、これは当然のことながら販売業者の方は正確に債務を履行しておらないことになるわけでございます。したがいまして、購入者、買い手の方はこれに対して損害賠償の請求ができる、これは一般原則に戻ってそういうことが可能になると考えております。 ○近江委員 訪問販売の適用除外として、どういうような形態の訪問販売を考えておられるのですか。 ○内田説明員 本法案の第十条におきまして、訪問販売につきましての適用除外の規定を設けております。 その第一項は、これは通常いろいろな法律にも設けられております他の法律で設立された団体等が行う訪問販売といったようなものでございまして、これは常識的なものでございますが、その第二項におきましては、割賦販売法とのダブりを防ぐという趣旨で、割賦販売法の適用を受けますものは訪問販売法からは外すということになっております。 次の第三項がこの法案に特有の規定でございまして、この訪問販売の規制を行いますのはまず消費者保護ということでございますけれども、消費者の方が見ず知らずのセールスマンに突然訪問を受けまして、余り買う気が起こらないうちに、売り手の側の一方的なイニシアチブの上で商談が進められてしまう、そういうことからくる消費者の被害を防止しようというのが趣旨でございますので、この規制が過度にかかることによりまして、日常生活で支障なく行われております訪問販売までやりにくくするというのは本法の趣旨ではないわけでございます。 そういう趣旨から、この第三項におきましては二つのケースを想定しておるわけでございまして、まず第一号におきまして買い手の側から販売業者の来訪を依頼して訪問販売に来てもらった場合、これは通常の場合、売り手と買い手との間に恒常的な取引関係がございまして顔見知りの業者に来てもらうということでございますので、そもそも本法の対象といたします消費者被害を引き起こす余地がないというふうに考えられるわけでございます。 それから第二号の方は、日常生活に支障なく定着している形態の訪問販売形態というのがいろいろございます。たとえば御用聞きのようなもの、あるいはこの法律で訪問販売は単に家庭訪問販売だけではなくて、路上販売も含めておりますけれども、たとえば夜店の屋台でいろいろ売るようなもの、こういったものにつきましては、日常生活に定着して行われております。売り手の方もかなり零細な企業が行っている訪問販売でございますので、こういうものは政令で定めることによりまして適用除外にしていこう、そういう考え方でございます。 ○近江委員 次に、マルチについてお聞きしたいと思いますが、本法の成立によりましてマルチ商法の取り締まりが完全なものとなるかどうか、形を変えまして新たな問題を起こすようなものも本法におきまして規制が可能であるかどうか、これについて見通しをお伺いしたいと思います。 ○天谷政府委員 マルチ商法をやっておる企業の中には、少なからず法網をくぐって不公正な利益を得ようというふうな意図のもとに行動しておるものが多いわけでございます。したがいまして、これの取り締まりということはなかなか困難でございますが、しかし、われわれは今回の立法によりまして相当程度の効果を上げることができるというふうに考えておるわけであります。 なぜかと申しますと、今回の法律は、まず法の規制の対象となる連鎖販売取引につきましてかなり広い定義を加えておるわけでございます。その定義の中におきまして、サブフランチャイズシステムであるとか、あるいは特約店であるとか、必ずしもいわゆる悪いマルチではないようなものも定義上は入ってまいりますけれども、ある程度広い規制にいたしませんと、細かい定義でございますと脱法してしまいますので、かなり広い定義にいたしまして、容易にその網の外に逃げ出せないような定義の仕方をいたしたわけでございます。 次に、そういう網の中に入ってくる対象の活動につきましては、第十二条、第十三条を中心とする警察当局の取り締まり及び行政当局の取り締まりの二つを併用するたてまえをとっております。これによりまして、悪いマルチの活動につきまして相当有効な規制を与えることができるのではなかろうかというふうに考えております。 なお、申し忘れましたが、取り締まり対象の確定の仕方におきまして、無店舗販売をする個人というふうなしぼりをかけております。有店舗の販売をするような者は、連鎖販売取引の中に巻き込まれましても、十分な知識と自己防衛能力を持っているというふうに考えられますので、これらにつきましては過剰規制とならないよう規制の対象から外しまして、無店舗の個人を主たる保護の対象として考えておるわけでございます。 以上の十二、十三条等の規定のほかに、クーリングオフの規定、あるいは広告の規制に関する規定等を入れ、さらにまた、この法第三章の施行に当たって、必要な限度におきまして報告聴収あるいは立入検査等の権限も主務官庁に付与いたしておりますので、これらの各規定を運用することによりまして、われわれはマルチに対しまして実質的に禁止に近いような効果を与えることができるというふうに考えております。 ○近江委員 ちょっとここで一例を出したいと思いますが、こういうのを新宿とかそういうところでまいているのです。これはどういうものかと言いますと、ジャパンツーケークラブ、JTCというのですね。これに入りますと、最初に二万五千円プラス維持費として三千円、二万八千円払うわけです。そして一人が一枚三円のこのカードを千枚買わされるわけです。一人を勧誘しますと、勧誘した者に一万円、その親の親に五千円が返るわけです。これは何をしておるかと言いますと、この会員になった者は、家庭電化製品二〇%引きをします。事務機器二〇%引き以上、スチール家具三〇%引き以上、時計が二五%引き以上、カメラが一一%引き以上、こういうように品物を買うときは引きます。あるいは海外旅行に幾らで行ける。そうした値引きの特典があるというのです。商品が入ってない。サービスというか、割引の特典なんです。これは本法で取り締まりできますか。 ○真砂説明員 お答え申し上げます。 いまお示しいただきましたやり方というのは、一つの卸売販売の契約の連続であるいわゆるマルチ商法には入らずに、どうも私、実態がまだよくわかりませんけれども、消費者に対する一つの販売方法でございまして、いわゆる私どもが考えておる連鎖販売取引の範疇には入らないような商法ではないかと思われます。 ○近江委員 これは学生が非常にかかっているのです。田舎から東京へ来まして、東京の町を大分覚えた。うろうろし出す。親から小遺いをもらって、二万八千円ぐらい、下宿代とかいろいろ持って、ちょうどポケットにあるわということで入るわけです。これは商品は売ってないのです。要するに買う場合はそういう特典がある。これは非常にたくさんの数が入っているのですよ。そうすると、二万八千円払って、しかもこれは千枚三千円で買うわけでしょう。二万八千円のうち、先ほど言ったように勧誘すれば一万円入ってくるわけです。その親の親は五千円です。そうすると、その本部というのは一人入れたらまるっきり一万三千円入るわけです。こういうのが取り締まれるような法律をつくらぬとだめじゃないですか。幾らでも考えていきますよ。公正取引委員長、こういうのをどう取り締まりますか。 ○澤田政府委員 ただいま初めて伺いましたので、直ちに何ともお答え申し上げる用意がないのでありますが、よく検討いたしてみたいと思います。 ○近江委員 警察庁はどうしますか。 ○柳館説明員 ただいまの御質問の件でございますけれども、法令の内容となる「特定負担」あるいは「特定利益」等々の意味がまだはっきりいたしておりませんので、そういう点がはっきりしてまいりましたら、その段階におきまして積極的な検討を加えていきたい、こう思っております。 ○近江委員 値引きで物を買うのは、たとえば問屋なんかへ行けば電気製品でもこのぐらいだったら引いてくれますよ。そうでしょう。海外旅行だって、いろいろなツアーで行けば個人で行くのの何割引き、極端に言えば半額ぐらいのもあるらしいですね。幾らでもあるわけですよ、そういうのは。そういうことを一つのてこにして、二万八千円でどんどん入れていく。これはいますぐと言うても、政府の皆さん方はいい知恵もちょっと急には無理だと思いますけれども、これは警察を交えて十分ひとつよく検討してもらいたいですね。そうしないと、上京してきた田舎出の学生が皆入っているわけですよ。こういうようにいろいろなことを考えてくるわけですね。政府としては、法案を出しました、それで何とか取り締まれると思っておったらだめですよ。幾らでも新手新手が来ますよ。その新手に対抗してどうするかと、四六時中こういうことを考えてもらわないと、これは一例を出したわけですが、法律をいまお出しになって、それが成立しようとする段階において、この法律にはひっかからぬということを何ぼでもしますよ。これからまだまだ、全国的に広がるかわからぬですよ。十分ひとつこれは検討してください。いま結論が出せなければしようがないですから、きょうは時間も少ないわけですから問題提起をしておきます。 それから、公正取引委員会は、ホリデイマジック社を初めエー・ピー・オー・ジャパン社等マルチ企業に対しまして、独禁法十九条の一般指定第六項によりまして摘発をなさってきたわけですが、摘発した企業のその後の経過についてお伺いしたいと思います。 ○後藤(英)政府委員 ホリデイマジック社につきましては、昨年の六月に勧告しまして審決いたしました。現在これは監査という手続でもってその後の実態を審査部の方で監査しておりまして、その実態につきましては承知いたしておりませんけれども、現在監査中でございます。 それから、エー・ピー・オー・ジャパンにつきましては、昨年の七月に立入検査をいたしましたが、その後八月と、さらに本年に入りまして、二回にわたって問題点と思われる点を直しまして、何か新しい組織をつくってやっているということで、その新しい組織が触れるかどうかということを現在審査部の方でもって監視しているというふうに聞いております。 ○近江委員 先ほどの質問にちょっと戻りたいと思いますが、ネズミの問題につきましても質問が出たかと思いますが、このネズミの問題はどうするのですか。どこが責任を持ってやるのですか。柱は通産省であって、警察庁とか公取さんはもたれかかって今後取り締まっていく、こういうことですか。どこが主体になるのですか。 ○天谷政府委員 純粋のネズミ講につきましては、どこの所管であるか、通産省が申し上げる立場にはないわけでございます。通産省といたしましては、マルチ商法なるものが・ネズミ講的な性格と、その上に商品販売事業が重なり合ったものであるというふうに理解をいたしております。この商品販売の事業の大部分は通産省の所管の事業でございますので、商品販売事業を所管する官庁としてマルチ商法を規制するということで、今回の法律案を提案した次第でございます。ところが、商品販売的な性格がどんどん薄くなりましてネズミ的な性格がふえていく、それから、先ほど御指摘がございましたように、もはや商品販売ではなくて、役務、ハワイに行くというような一種のサービスとネズミが結びついておる、あるいは商品の割引という、これも一種のサービスとネズミが結びついておる、こういうような場合には、通産省としてはこれを規制する設置法上の根拠を見出すことはむずかしいと思っております。したがいまして、この種の好ましからざる反社会的な行為につきましては、ネズミ講一般を、しかるべきところにおきましてどこが所管するか判断した上で、複数か単数かわかりませんが、そこが中心となってしかるべき規制立法をつくるということが望ましいと思っております。 ○近江委員 大蔵省は、それじゃ今後柱になるのですか。どうなんですか、これは。 ○清水説明員 はなはだ答弁しにくい御質問でございますので、私ども銀行局の立場から公式にお答えすることは非常に困難かと思います。したがいまして、大変恐縮な申し上げようになるかと思いますが、このいわゆるネズミという現象につきましてその実態というものをどういうふうにとらえるかということ、あるいはそれを社会秩序というような観点からどういうふうに考えるかというところに問題のポイントがあるような気はいたしますけれども、この席で先生の御質問にお答えする用意がございませんことを御了承いただきたいと思います。 ○近江委員 結局どこの省も逃げ回っておる。それこそネゼミと一緒ですよ。逃げ回っているという感じですね。そんなことばかり言っておったらどうしますか、本当に。こんなことじゃだめですよ。きょうは、少なくとも閣僚の中の非常に力のある通産大臣も来られておるわけです。公正取引委員長も来られているのですね。この問題は小さい問題と違いますよ。これはひとつ関係大臣で早速相談して、どうするかということを今後早急に対策を立てるべきだと思うのです。大臣の決意をひとつお伺いしたいと思うのです。 ○河本国務大臣 関係方面と至急に相談をいたします。 ○近江委員 ひとつ早急に相談して、要するに役所はもっと国民の立場に立って、こういうのを抱え込んだら困るとか、そういう気持ちが働いたらだめですよ。困難なことを引き受けていくという前向きな気持ちで、各省それぞれが、わが省にさしてもらいたいという気持ちがなくてはだめですよ。先ほどからのお話を聞いていますと、全体で逃げ回っているという感じがしますね。いま、関係閣僚と相談してやるということをおっしゃっておりますから、できるだけ早くそれを詰めて対策をとってもらうようにしていただきたいということを申し上げておきます。 それから、エー・ピー・オー・ジャパン社は勧告以前にマルチ商法の形態を若干改めたということを聞いておるわけですが、このエー・ピー・オー・ジャパン社の傘下にありました日本ブラザー株式会社、これは本社が小田原であります。株式会社白光、本社は大阪であります。株式会社太陽、これは横浜市。ライフ、これは渋谷区。ウィン、世田谷区。これらは依然としてマルチ商法を継続しておるようであります。公正取引委員会といたしましては、これら傘下の企業は調査なさったのですか。 ○後藤(英)政府委員 エー・ピー・オー・ジャパンにつきましては、現在審査部でもって審査中でございまして、その過程におきまして、先ほど申し上げましたような、組織を変える、と同時に分裂して幾つかの組織が下にできて、それがまたマルチ商法的な行動をとっているということで、これをどうするかということは、現在審査部の方でもって相談中というふうに聞いております。 ○近江委員 これは公正取引委員会で厳重に調査をすべきであると思いますし、調査をやっていただきたいと思うのです。 それから、第十一条ににつきましての総括者は法人であるのか、あるいは法人の代表者を含むものであるのかどうか、これについてお伺いしたいと思います。 ○真砂説明員 いま先生から御質問のございました総括者というのは、十一条の二項に定義規定が置いてございまして、連鎖販売業に係る商品に自己の商標を付する、また連鎖販売業に関する広告を自分の名で行う、また連鎖販売取引に関する約款を定める、また連鎖販売業を行う者の経営に関し継続的に指導を行う等、こういうような四つの事項を例示として挙げておりまして、その一連の連鎖販売業を実質的に統括する者を言うのだという意味でございまして、この四つの事項というのはあくまでも一つの例示でございまして、実質的にその組織の中心になり、その組織の企画を推進するという統括者という形でとらえておりまして、個人であろうと法人であろうと問いません。 ○近江委員 昨年摘発されましたエー・ピー・オー・ジャパン社の場合、株式会社エー・ピー・オー・ジャパン社が所定のシステムをつくりまして、運営は入会した販売店の任意団体である協会がやっているわけですが、その場合、この協会は統括者であるのか、あるいは十二条におきます勧誘者であるのか、これはどうなんですか。 ○真砂説明員 この十一条の連鎖販売業という定義においてとらえておりますのは、物品の販売の事業者であって、いわゆる連鎖販売取引を行う者というように定義をいたしておるわけでございますが、その連鎖販売取引というものの中身と申しますのは、要素を申し上げますと、取引料、この辺を中心にいたしまして特定利益というものの収受をし得ることをもって誘引するということが第一点でございます。そして第二点は、その者に特定負担をさせるという要素がございます。そういう二つの要素を前提にいたしまして行うところのその商品の販売に係る取引、こういうものを要素にいたしまして一連の連鎖販売取引といったものをとらえておるわけでございまして、それぞれの鎖と申しますか、そういうものが連鎖販売の一環になっておるわけでございます。 そして、その一連の連鎖販売取引というのは、統括者を異にする場合には、それぞれ独立の一連の連鎖販売取引を構成するわけでございまして、たとえばでございますが、初めにある大きな組織があって、その組織が何らかの事情で分裂をしまして、またそれぞれ分裂をいたしました組織の頂点にある者が実質的にその配下にある一連の連鎖販売取引を推進し、企画し、その中心になるということになりますと、それぞれの者が統括者というような構成に相なるわけでございます。 ○近江委員 時間もありませんので、各省に来てもらっておりますので各省に順番に聞いていきたいと思います。 まず、経企庁にお伺いしますが、昨年からマルチ商法に関する政府広報をやっておられるわけですが、この効果を見てまいりますと、現在でも被害者が増大しておるわけでございまして、そういう点からいくとさしたる効果は上げていないと見なければいかぬと思うのです。今後本法案が成立した場合、この施行に当たりましては広く国民に知らせる必要があるのではないかと思うわけであります。特に、現在ではマルチ商法を行っておる企業はマルチ商法の名前を使っておらないわけですね。自分からマルチ商法であるなんと言う企業はないわけです。そういう点で特に注意をしなければならぬわけですが、この点についてよりよいアピールの方法、いかなる広報活動を考えておられるのかお伺いしたいと思うのです。たとえば白光というのはFDS、フランチャイズ・ダイレクト・セールス、こういうように、マルチなんということは言ってないわけですね。この点について経企庁はどういうアイデア、対策を考えていますか。 ○藤井(直)政府委員 この法律によりましてマルチ商法の規制が行われます場合に、その実効を上げるためには、やはり消費者にマルチ商法の持っております危険性を十分知ってもらい、そしてまた、この法律の内容等を理解してもらうことが重要なポイントではないかと思います。そういう意味で、従来以上にマルチ商法についてのPRを積極的にやっていきたいと考えているわけでございますが、通産省におきましても十分積極的な活動をされるように伺っておりますし、企画庁といたしましては、国民生活に対する情報の提供を主たる役割りとしております国民生活センターの消費者啓発事業の中で、各種の手段によりましてその広報を行っていきたいと思っております。さらに、地方公共団体並びに地方消費生活センター等に対しましても協力をお願いしていきまして、万遺憾なきを期待したいと考えておる次第でございます。 また、PRの内容等につきましては、ただいま御指摘もありましたように非常に複雑な問題でございますので、十分工夫をしてPRの実を上げたいと考えているわけでございます。 ○近江委員 あと二問で終わりますが、この法律が施行された場合、当然警察署等に訴えが増大するということは容易に想定できるわけでございますが、いままで見ておりますと、たらい回しにされているケースがたくさんあるわけです。そこで、敏速な措置を図らなければならぬわけですが、警察庁は窓口一本化で全部引き受けるのですか、これはどうなっておるのですか。 ○柳館説明員 取り締まりの体制でございますけれども、これは全警察署に防犯課あるいは防犯係というものがございます。そこで一本で全体を処理してまいりたい、こう考えております。また、それに必要な指示その他についても徹底してやってまいりたいと考えております。 ○近江委員 この種の商法は、最近大都会から地方に非常に拡大していっておる。こういう点で、ひとつ十分各地方県警等にも徹底をしていただいて、対策をとっていただきたいと思います。 それから、昨年の三月二十八日、本商工委員会で、私は青少年、特に学生がマルチ商法の犠牲になっていることを指摘したわけですが、そこで文部当局に対策を求めたわけです。しかしながら、効果が出ず、昨年の九月にはついに高校生が痛ましい自殺をするというような事件が起きているわけです。そういう点におきまして、文部省当局の責任は重大である、このように思うわけです。先ほど私が新たな手口を明らかにいたしましたが、そういうことも兼ね合わせ、こういう事態に対しまして、文部省としてはどう反省なさって、今後の対策をどのようになさろうとしているか、この点についてお伺いしたいと思います。 ○倉地説明員 私ども昨年の四月十二日に、いわゆるマルチ商法による被害の防止について、各都道府県教育委員会、それから私学を担当します都道府県担当部局に通知を出しまして、そうした被害に高校生が遭わないよう指導しているところでございます。その後、各種の会議などにおきましても指導しておるわけでありますが、いま先生のお話しのような点もございますので、今後とも十分指導してまいりたいと思っておる次第でございます。 また、新しい手口の問題でございますが、これは先ほど各関係省庁の方からお話もございましたけれども、いろいろ問題もあるようでございますので、関係省庁と十分連絡をとりまして今後とも十分指導してまいりたい、そういうふうに考えております。 ○近江委員 きょうはこうした非常に遅い時間でありますから、一応これで終わりますが、先ほど申し上げましたように、この法律が制定されたとしても、まだまだその取り締まりもできないような新たな手口をそれぞれ考えてくるわけでありますから、政府としては、関係閣僚十分相談していただいて、対処ができるように措置をとっていただきたい、この点を重ねて申し上げておきまして、私の質問を終わりたいと思います。 ○稻村委員長 以上で本安に対する質疑は終了いたしました。 次回は、明十九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時十三分散会 |
077回-衆-商工委員会-13号 1976/05/19 昭和五十一年五月十九日(水曜日) 午前十時三十八分開議 ――――――――――――― 本日の会議に付した案件 参考人出頭要求に関する件 訪問販売等に関する法律案(内閣提出第五九号) 揮発油販売業法案(内閣提出第六五号) 石油開発公団法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号) ――――◇――――― ○稻村委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、訪問販売等に関する法律案を議題といたします。 本案に対する質疑は、昨十八日に終了しております。 本案に対し、安田貴六君外四名より、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党五党共同提案に係る修正案が提出されております。 この際、修正案について、提出者より趣旨の説明を求めます。佐野進君。 ――――――――――――― 訪問販売等に関する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 ――――――――――――― ○佐野(進)委員 ただいま提案いたしました修正案につきまして、提案者を代表して、私からその趣旨を御説明申し上げます。 修正案はお手元に配付されているとおりでございます。 修正点の第一は、連鎖販売取引につきまして、連鎖販売業者と契約を諦結した者がその契約の解除を行うことができる期間を七日から十四日に延長すること。 第二は、販売業者が売買契約に基づかないで送付した商品の返還を請求することができなくなる時期を商品送付後六カ月から三カ月に短縮することでありまして、いずれも消費者等の利益をより一層保護する見地から提案したものであります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。 ○稻村委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。 ――――――――――――― ○稻村委員長 これより本案並びにこれに対する修正案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 まず、安田貴六君外四名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○稻村委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。 修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○稻村委員長 起立総員。よって、本案は安田貴六君外四名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。 ――――――――――――― ○稻村委員長 次に、本法律案に対して、安田貴六君外四名より、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党五党共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 まず、提出者より趣旨の説明を求めます。竹村幸雄君。 ○竹村委員 ただいま提出いたしました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、私からその趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 訪問販売等に関する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一 訪問販売、通信販売及び連鎖販売取引の実態を把握し、本法の趣旨の周知徹底を図るとともに、事業者に対する指導・監督体制を強化すること。 二 訪問販売、通信販売及び連鎖販売取引による購入者等の被害を未然に防止するため、消費者に対する必要な情報の提供と適切な啓発活動の推進を図ること。 三 訪問販売業者の交付書面及び通信販売業者の広告における商品の性能又は品質の表示について検討するとともに、連鎖販売業者の取引契約締結前に交付する書面について、連鎖販売業者である旨を明示するほか、商品の種類、性能、品質、販売条件等の表示を検討すること。 四 訪問販売業者、通信販売業者のアフターサービス体制の整備、セールスマンの資質の向上等について強力に指導するとともに、連鎖販売取引及び訪問販売におけるクーリングオフ期間経過後の契約解除の際の商品の引取り問題等契約内容についても紛争の未然防止のための適切な指導を行うこと。 以上であります。 各項目の内容につきましては、案文により十分御理解いただけると存じますので、その詳細の説明は省略させていただきます。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。 ○稻村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 直ちに採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○稻村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。河本通商産業大臣。 ○河本国務大臣 ただいま議決をいただきました法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、万全を期する所存でございます。 ――――――――――――― ○稻村委員長 お諮りいたします。 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○稻村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ――――◇――――― |