077回-衆議院-商工委員会-12号 1976/05/18

昭和五十一年五月十八日(火曜日)    午前十時三十四分開議



 出席委員
   委員長 稻村左近四郎君
   理事 橋口  隆君 理事 武藤 嘉文君
   理事 安田 貴六君 理事 渡部 恒三君
   理事 上坂  昇君 理事 佐野  進君
   理事 神崎 敏雄君
      天野 公義君    浦野 幸男君
      越智 通雄君    粕谷  茂君
      栗原 祐幸君    塩川正十郎君
      羽田野忠文君    萩原 幸雄君
      深谷 隆司君    山崎  拓君
      板川 正吾君    岡田 哲児君
      加藤 清政君    加藤 清二君
      竹村 幸雄君    中村 重光君
      渡辺 三郎君    野間 友一君
      米原  昶君    近江巳記夫君
      松尾 信人君    玉置 一徳君
      宮田 早苗君

 出席国務大臣
        通商産業大臣  河本 敏夫君
 出席政府委員
        公正取引委員会委員長     澤田  悌君
        公正取引委員会事務局取引部長 後藤 英輔君
        公正取引委員会事務局審査部長 野上 正人君
        経済企画庁国民生活局長    藤井 直樹君
        通商産業政務次官       綿貫 民輔君
        通商産業審議官 天谷 直弘君
        通商産業大臣官房審議官    藤原 一郎君
        通商産業省機械情報産業局長  熊谷 善二君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局保安部保安課長  柳館  栄君
        法務省刑事局参事官      山口 悠介君
        大蔵省銀行局総務課長     清水  汪君
        大蔵省国際金融局外資課長   垂水 公正君
        文部省初等中等教育局高等学校教育課長    倉地 克次君
        厚生省環境衛生局食品化学課長 宮沢  香君
        厚生省薬務局審査課長     山田 幸孝君
        通商産業省産業政策局商政課長 真砂 博成君
        通商産業省産業政策局消費経済課長      内田 禎夫君
        参  考  人
        (日本消費者連盟代表委員)  竹内 直一君
        参  考  人
        (悪徳商法被害者対策委員会会長)      堺  次夫君
        参  考  人
        (東京大学法学部教授)    竹内 昭夫君
        商工委員会調査
        室長      藤沼 六郎君
 
    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件
 訪問販売等に関する法律案(内閣提出第五九号)




     ――――◇―――――


○稻村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、訪問販売等に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹村幸雄君。


○竹村委員 昭和四十八年七月十三日、本委員会におきまして、マルチ商法が詐欺的商法であるその危険性に対して、実例を挙げながら指摘し、早急に適切な対策を講ずるよう、強く要請をいたしました。

    〔委員長退席、渡部(恒)委員長代理着席〕

それに対して中曽根通産大臣は、話を聞いて驚いている、早急に対策を講じなければ大変なことになるような気がする、早急に措置したいと約束されて本日に至りました。しかしながら、本日まで適切な対策がなかったために、当時私が警告いたしましたとおり、多くの犠牲者、被害者が続出し、ついには高校生が自殺までするという悲惨な犠牲者を出し、大きな社会問題となりました。被害者が百万人以上あるいは二百万人とも言われておるこのような事態を引き起こしたことは、適切な対策を怠った政府、行政当局の重大な責任だと思いますが、どのように考えておられますか。さらに対策がおくれた理由についてお伺いをいたしたいと思います。


○天谷政府委員 いま先生が御指摘なさいましたように、マルチ商法は四十七年ごろからわが国で次第に行われるようになりまして、四十八年ごろから本部と販売員との紛争が頻発するというような情勢になってまいりました。国会からも幾たびも御注意を受けておった次第でございますが、いま御指摘になりましたように、立法がおくれますとそれだけ日を追って被害者が拡大いたしたわけでございまして、私たちとしましては、立法がおくれたことにつきましては深く反省をいたしております。ともかくようやく法案を提出するまでにこぎつけたわけでございますが、この遅延した理由につきましては言いわけがましくなりますので余り申し上げたくないのでございますけれども、御質問でございますから、一応お答え申し上げます。

 まず第一番目に、マルチ商法を規制する場合に、このマルチ商法にはいわばいいマルチ商法と言うのもおかしいですが、普通のマルチ商法と、それから社会的に害悪を流す悪いマルチ商法というのがございます。このいいものと悪いものとを弁別いたしまして、悪いマルチ商法だけを規制の対象にしたいわけでございますけれども、マルチ商法の実態がきわめて複雑でございますために、この悪いマルチ商法を摘出してこれを法的に定義するということが非常に困難であったということが、第一の理由でございます。
 それから第二番目に、こういうマルチ商法その他商取引につきましては、言うまでもなく商民法等一般法の規定があるわけでございまして、マルチ商法を規制しょうとします場合には、この一般法に対する例外規定をつくるということになるわけでございます。したがいまして、この一般法との調整をやらなければならないわけでございますが、調整に当たりましては、審議会に諮る等、慎重な手続が必要であったわけでございます。

 それから、その次の理由といたしましては、独禁法との調整にかなり時間を費やしたということでございます。昭和四十八年ごろマルチ商法が社会問題としてクローズアップしてきましたときに、新しく法律をつくることも当然検討すべきであるけれども、そのとき現存しておった法律、すなわち独禁法によってこのマルチ商法の規制ができないであろうか、あるいはやるべきではないかという意見があったわけでございます。したがって、通産省の方でもそういう期待を抱いておったわけでございますが、昭和五十年に入りまして、公正取引委員会がマルチ商法について独禁法の運用による規制をお始めになったわけであります。したがいまして、この規制によって十分な効果が上がるかどうか、あるいは不十分であるとすればどの点が不十分であるかということを見定めた上でわれわれの立法の方針も決めたいというように考えましたので、この間の調整にも時間が要りまして、五十年の通常国会の法案の提出は見送ったというような経緯がございます。
 以上のような理由によりまして提案がおくれたわけでございますが、努力が不足であったというふうに反省をいたしておる次第でございます。


○竹村委員 いま対策がおくれたということで遺憾の意を表されたわけでありますけれども、対策がおくれたことで非常に被害者がふえた現状にかんがみ、本法施行に対しましてはその運用について格段の努力を払っていただいて、再びこのような被害者が出ないように十分注意をしていただきたいというふうに思います。
 続いて、現在まで代表的なマルチと言われているホリデイマジック社、エー・ピー・オー・ジャパン、ジェッカーチェーン、ベストラインについて、実態をどのように把握しておられるのか、また、その対策についてお聞かせ願いたいと思います。


○真砂説明員 お答え申し上げます。
 いま先生から、ホリデイマジック、エー・ピー・オー・ジャパン社、ベストライン、それからジェッカー・フンチャイズ・チェーンの概要を説明しろということでございます。
 まず、ホリデイマジックの方から申し上げますと、昭和四十八年の二月ぐらいから営業を開始しておりまして、資本金はそのときどきによって変更がございますが、現在七百五十万円程度でございまして、従業員につきましては約百名弱おるものと思います。主要な扱い商品につきましては、化粧品とか化粧用具、主として化粧品を中心にいたしておる次第でございます。このホリデイマジック社につきましては、公取の方からの勧告によりましてマルチ商法による販売はやめまして、現在、通常の状態で営業をいたしておるわけでございます。なお、ホリデイマジック社がこのマルチ商法をとっていた時代の既往の販売システムにつきましては、四段階に分けまして販売員を組織いたしていたわけでございます。

 それから、その次のエー・ピー・オー・ジャパンでございますけれども、これは四十五年ごろに米国法人APOインターナショナルとの合弁で、外資五〇%で設立されたのでございますが、四十九年からは日本法人に切りかわっておりまして、資本金は千六百万ほどでございます。それから、現在は組織が事実上解体をいたしておりますが、従来の組織を若干変更いたしまして、地方組織で独立して残っておるものが多少ございます。扱い商品は自動車の公害防止器具、この辺を中心にいたしておりまして、現在、公正取引委員会の方でも審査中と聞いております。このエー・ピー・オー・ジャパン社の販売システムにつきましては、やはり四段階ぐらいに分かれてやっております。

 それから、ベストライン社の概要でございますが、これは本社が香港にあるわけでございますけれども、四十八年十一月ぐらいから日本支店をつくりまして営業活動をやっておりまして、洗剤を扱っておるわけでございます。販売システムといたしましては、マネジャー、特約店と二段階でやっておるようでございます。

 それからジェッカー・フランチャイズ・チェーンにつきましては、三十八年ぐらいから日本電信工業という会社があったのでございますが、これの英語名の頭文字をとりまして四十六年からジェ、カーというふうに改称をいたしまして、扱い商品は空気、清浄器と申しますか、それからまたイオン源水器、いわゆるアイデア商品を中心に扱っておるわけでございまして、資本金は五千五百万というように聞いております。この販売機構につきましてはやはり四段階のような形をとっておりましたが、現在、この辺の機構も若干改めておるようであります。
 簡単でございますが、以上でございます。


○竹村委員 連鎖販売を行っている業者数はいま五百社とも言われておりますけれども、関係者の実態はどうなっているのか、その実態を把握しておられると思いますが、明らかにしていただきたいと思います。


○天谷政府委員 連鎖販売業という概念でございますけれども、これは今度の法案におきまして新しくつくられた概念でございます。それ以前にいわゆるマルチというものが言われておりまして、マルチの弊害が説かれており、その実態はどうであるかということもしばしば問われておるところでございますが、残念ながらわれわれの方ではこのマルチの実態を必ずしも十分に把握いたしておりません。

 なぜ把握しておらないのかということでございますが、このマルチを分けますと、先ほども申し上げましたようにいいマルチと悪いマルチがございます。悪いマルチといいますのは、具体的に申し上げますと苦情が頻発するようなマルチでございまして、さらに具体的に申し上げますれば、先生がただいま御指摘になりましたようなホリデイマジック、エー・ピー、オー・ジャパンあるいはベストライン、ジェッカーチェーン、こういうようなものがその典型的な苦情頻発の悪いマルチかと存じます。こういう悪いマルチにつきましては、いま商政課長も申し上げましたように、一応実情を調査をし、把握も必ずしも十分とは申せませんが、ある程度実情は把握しております。十分でないと申しますのは、何しろ相手が世界じゅうの法律を研究しまして、その法網をくぐるということにはきわめて習熟しておる企業でございますので、なかなかわれわれとしてもその実態を完全に把握するというまでには至っておりませんが、ともかくある程度の実情は調べておるわけでございます。

 これに対しまして、いいマルチと申しますか、ほとんどその弊害が社会的に表面化していないマルチにつきましては、われわれこれを取り調べる理由もございませんし、取り調べる権限も持っておりませんので、これはそのまま社会で平穏にそういうビジネスが行われているということかと存じます。
 その中間に、灰色のマルチと申しますか、こういうものがたくさんあるわけでございます。非常に大きく数えれば二百とかあるいは五百というような数え方も可能かと思いますが、どれくらいこういうものがあるかにつきましては、必ずしも明瞭ではございません。われわれが都道府県あるいは経済企画庁、通産省等で調べた数字によりますと、都道府県等に苦情が出てきておるような若干の苦情でもすべて数え上げますと、五十ぐらいのマルチが一応問題を起こしたことがあるというふうに考えられておりますが、それ以上詳しい実情はわかっていないのでございます。


○竹村委員 いま、いいマルチと悪いマルチというふうに答弁をいただいたわけでありますけれども、昭和四十九年七月に、国民生活審議会の消費者保護部会では、消費者救済特別研究委員会を設けて見解を発表いたしておりますけれども、マルチ販売は消費者利益を必然的に害することになり、社会的に無価値であり、直ちに禁止すべきものというふうに規定をいたしておりますけれども、その点についてもう一度お答えをいただきたいと思いますし、さらに天谷審議官は委員会の答弁で、マルチ商法は人間の体にたとえるならば潰瘍ができたようなものであって、この潰瘍部分を取り除かなければならないが、潰瘍の部分と健康な組織部分との判別が非常にむずかしい、患部を切り除くのに、切り過ぎますと正常な組織に切り込んでしまうという問題があり、切り足りなければ潰瘍が残りまして再び害毒を流すということがございますと答弁されておりますが、先ほども御答弁のありましたように、実態を十分把握することができなくてどうして適切な措置をとることができようかというふうに思うわけであります。今度の法案では、実態把握の面で具体的にどのように改善されておるのか、改善されておる点についてお答え願いたいと思います。



○天谷政府委員 国民生活審議会におきまして、マルチ商法は消費者に対して害悪を流すというふうに断定しておられるわけでございますが、この場合のマルチ商法は、これは定義がついておりませんのでどの範囲のマルチ商法を言っておられるのかよくわかりませんけれども、想像するに、その場合に念頭にあったマルチは、ホリデイマジック、エー・ピー・オー・ジャパン等のような典型的なマルチ商法のことで、そういうものは禁止すべきであるというふうに言っておられるのだとわれわれは解釈をいたしております。

 それから次に、今度の法案におきまして、マルチの実態を把握するためにどういうふうな手が打たれておるかという御質問でございますが、これにつきましては、まず十七条におきまして立入検査の権限が行政官庁に与えられておりますので、この権限を行使いたしまして、社会的に害悪を流すようなマルチがあらわれた場合には、まず実態をよく調査するということになろうかと存じます。
 それからまた、十二条におきましては不公正な勧誘方法に関する規制がございますし、十三条におきましては営業停止命令等の行政権限がございますので、こういう権限を背景といたしまして行政指導を行う、あるいは実情を調査するということも可能になるかと存じます。

 それからまた、今回の法案によりまして、社会的な規制の対象となるあしきマルチと申しますか、そういうものの概念が以前よりはるかに明確化いたしておりますし、それからまた、われわれはそういう法律のたてまえを一般国民に積極的にPRするつもりでおりますので、この法律が施行された後におきましては、一般国民からの情報の提供等もより広範かつ組織的に行われるようになるのではないかというふうに考えております。したがいまして、この法律が施行された後におきましては、実態の把握が以前よりもはるかに容易かつ確実になるものというふうに期待をいたしておるわけでございます。


○竹村委員 いま立入調査その他について御答弁をいただいたわけでありますけれども、これはどうしても後追い行政ということになろうかというふうに思うわけでありまして、マルチの被害者が出て問題になってくる、そこで初めてそうした活動がなされるというふうに思うわけでありまして、監視体制を完備するという立場から考えましたら、なぜ事前に届出の方式をとらなかったのかその点についてお伺いをいたしたいと思います。


○天谷政府委員 仰せのとおり、届け出制をとって実態をよく把握すべきであるという考え方につきまして、われわれもいろいろと検討をいたした次第でございます。しかし、これにつきましてはいろいろ困難なことがございますので断念するに至ったわけでございますが、困難な事情と申しますのは、届け出の義務を課する場合には、まず届け出義務者が法律上明確に要件が定められなければならないということが第一にございます。

 ところが、先ほど来申し上げておりますように、このマルチ的商法をやっておる、あるいは連鎖販売取引をやっておる者の業態はきわめて多種多様でございまして、一体だれを届け出義務者にすべきかということは一見するほど容易なことではございません。たとえば一つの連鎖販売取引組織の中におきまして、統轄者のみを届け出義務者にすべきなのか、それともその連鎖販売業をやっておる者を届け出義務者にすべきなのか、問題のあるところでございます。仮に統轄者を届け出義務者にしましても、ダミーをつくる等々の方法によりましていろいろ脱法することが可能であります。もともとあしきマルチ業者といいますのは、法律が定められればこれをくぐろうとすることの専門家でございますから、届け出義務というようなものをかけましても、果たしてその義務どおりにいい情報が集まってくるかどうか、必ずしも自信のないところでございます。

 他方、この法案の定義によりますところの連鎖販売業者の中には、いわゆるあしきマルチのみならず、サブフンチャイズ業者であるとか、あるいは特約店であるとか、代理店であるとか、いろいろなものが入ってくることになっておりますので、こういうものに対してまで広く届け出の義務を課するということも、これまた過大な負担をかけるということになるのではなかろうかというふうに恐れております。

 それから、第三番目に行政事務能力の問題でございますが、仮に何百社という対象者が全部まじめに報告をしたといたしましても、これをトレースいたしまして、一体どれが悪性腫瘍になるのかということを事前に予知するということは、事務的にもきわめて大変な作業でございます。
 それからまた、報告義務者がまじめに報告をしない、要するにうそをついたり事実を告げなかったりするような場合に、それを今度はトレースいたしまして、だれの報告が不正確であるか等々タチェックするということも、これまたきわめて大変な事務量を必要といたしまして、現行のスタッフで果たしてそういうことができるかどうかというような疑問もございまして、あれこれ考えあわせますと、届け出制というのは、それに要するところのコストとそれから上がってくるところの便益とが必ずしもバランスしないのではなかろうか、現在のように十二条、十三条、十七条のような規制を設ける、あるいはクーリングオフ等の規制を設けまして、やや大き目にとらえた連鎖販売取引業者のお行儀を規制するような、かなり厳しい規制のルールを決めまして、実質的にマルチの害悪を除去していくということで十分に社会的な目的は達成されるのではなかろうかというふうに考えまして、届け出制につきましては、ずいぶん考慮しましたけれども、取り入れるに至らなかった次第でございます。



○竹村委員 説明書や契約について省令がありますが、しかしながら、その省令が守られて契約ができておるのかどうかというのは、それではどうして調べるのですか。問題が起きて初めて調べるということになると思いますけれども……。


○真砂説明員 お答え申し上げます。
 先ほど審議官が御説明いたしましたように、いわゆるマルチ商法という観念が非常に漠然としておるのが世上一般に言われているマルチでございますけれども、それを規制する場合、この法案は、一定の要件のもとにやや緩い大きな定義を設けまして、その網で現在のマルチ商法、特に悪いマルチ商法を中心に網をかぶせるわけでございますが、その場合に、現在の世上言われておりますマルチの形態が多種多様であるとともに、非常に流動的、変幻自在でございますので、そういうものを規制する場合には、あくまでも先ほど申しましたようなたてまえで臨みまして、そして個々の行為、勧誘でございますとか、それから契約に際しての書面交付義務でございますとか、そういうようないろいろな中心的な行為に着目をいたしまして、この行為を規制するということで臨んでおるわけでございまして、しかも、この法律の規制の態様というのは、マルチに入って現実に被害が生する以前の勧誘の段階、この辺にも大きな重点を置いて規制をしておりますので、決して後追いばかりというような形にはなっていないわけでございます。



○竹村委員 この法案立案の基本的な考え方についてお聞きしたいわけであります。
 訪問販売、通信販売について一定の規制を、設け、消費者の保護を図ることは、むしろ遅過ぎたきらいがあるが、当然の措置であろうというふうに思います。問題は、先ほどからも質問いたしております連鎖販売でありますけれども、そもそも連鎖販売、マルチ商法というのは、御存じのように、論理的には必ず行き詰まる性質を持っておるわけでありまして、少数の利益を受ける者が大多数の犠牲の上に成り立つ商法であり、好ましからざるものであることは明らかでありますが、政府はどのような評価に立ってこの法案を立案したのか。先ほどからも申しておりますように、連鎖販売、マルチ商法は禁止の方向で措置すべきではなかろうかというふうに思うわけであります。
 法案の中の定義にある内容におきましては、商品の再販売をする者を、特定利益、すなわち他の者が提供する取引料等を収受し得ることをもって誘引することは、少なくとも禁ずべきであろうというふうに思いますけれども、御答弁をいただいたいと思います。



○天谷政府委員 エー・ピー・オー・ジャパンであるとか、あるいはホリデイマジックとかいうような、社会的に大きな害悪を流したマルチにつきましては、だれしもこれを犯罪として禁止してしまうということは非常にわかりやすくて、われわれも実はそうしたいと考えたわけでございます。
 ただ、問題は、われわれもその方向で一たん考えたわけでございますけれども、法律的に禁止する、犯罪として禁止して刑罰をかけるということになりますと、罪刑法定主義のたてまえからいきましても、処罰の対象をきわめて明確に法律で定めるという必要が当然出てまいります。これは法治国としてあたりまえの考え方であろうかと存じます。そういたしますと、きわめて明瞭にあしきマルチの定義ができなければならないわけでございますが、そういうふうに定義しようといたしますと、かける網がきわめて小さい網ということになってしまうわけでございます。

 ところが、御承知のように、マルチの実体は変幻自在と申しますか、組織といたしましてきわめて不定型で、時間とともに形を変える組織でございますし、かつまた、先ほど来申し上げておりますように、各国の法的規制につきましては脱法に習熟しておる企業が多いわけでございます。したがいまして、小さい網をかけた場合には、なるほど網にかかった部分だけは犯罪として処罰できますけれども、多くの部分が網から逃げてしまう。先ほどの例で申し上げますならば、がんを半分しか摘出しなくて、残りのがんは全部転移してしまうというような危険性がございます。

 したがいまして、われわれとしては、法的規制、法的禁止ということは、非常にかっこうがよくて気持ちがいい処置ではあるけれども、反面、デメリットがある。それはかえって有効な取り締まりができないということであると考えまして、こういう方向での規制というものはやめたわけでございます。そして、法的規制、法的禁止よりも、むしろ実質的禁止の方がより有効な方法である、こういうふうに考えまして、現在の法律案ができているわけでざごいます。
 実質的禁止でございますと、犯罪として禁止するわけではなくて、マルチ商法の中で勧誘方法が不当であるような場合にこの行為を規制しよう、こういう考え方をとるわけでございます。したがいまして、今度はその対象となるマルチの範囲は犯罪として規制する場合よりはかなり広範囲になります。要するに、広い網を張ることが可能になるわけでございます。この広い網を張りますと、それの中にはあしきマルチ、いいマルチ、灰色のマルチ、みんな入ってくるということになるわけでございます。その入ってきたものの中で、勧誘方法が不公正である等のものを規制することによって、実質的にあしきマルチを禁止していこうというのが、今回の法規制の柱になっておるわけでございます。



○竹村委員 いま御答弁いただいて、連鎖販売の禁止など厳格な規制を行うとしたら、その対象が限定されて、脱法行為を誘発するという主張はわからぬでもないわけでありますけれども、しかし一方、法制の立て方を変えて、このような販売方式全部を禁止して、その中でその類似行為の不法性について独自の機関が判断をしていく、こういう逆な方法をとれば、厳格な規制は可能ではないかというふうに思うわけでありますけれども、その点について御答弁を願いたいと思います。


○天谷政府委員 いま仰せになりました独自の機関をして判定せしめるということになりますと、独自の機関とは何であるかというような問題が生じてくるかと存じます。常識的に考えられますのは、独自の機関というのは準司法的な機関というようなことになろうかと存じます。より具体的に言えば、いまの日本の政府機関の中におきまして、そういう準司法的機関に該当するものは公正引委員会ではなかろうかというふうな気がいたします。
 ところが、公正取引委員会のマルチに対する対策につきましては、先ほど御説明申し上げたとおりでございまして、現在までのところは、まだ一、二件しか取り締まりは行われていないというような実情でございいます。いままでの結果から見る限りにおいて、準司法的機関が判断したからといって、取り締まりの量が急速にふえるというようなことには必ずしもならないのではないかというふうに思っております。


○竹村委員 それでは、時間の都合で先に参りたいと思いますが、この法案の対象範囲は訪問販売と通信販売と連鎖販売の三つになっておりますが、問題のある商法としてはほかにもたくさんあろうかというふうに思います。たとえばSF商法というのがありますが、通産省はなぜこのSF商法を対象としなかったのか。先ごろ消費者保護部会でもSF商法は禁止すべき商法であるというふうに提起をいたしておりますけれども、その点についてお答えを願いたいと思います。


○天谷政府委員 世間でSF商法と言われておりますのは、新製品普及会という企業でしようか、そういう団体がございまして、その新製品普及の頭文字をとってSF商法と言っておるようでございます。国民生活審議会の中間答申でございますか、報告にありましたSF商法、これは定義も何も書かれていない、ただSF商法というのは一般的に悪いものだという観念が世間に通用いたしておるわけでございますが、その観念に乗ってSF商法を禁止すべきであるというふうに言っておられるのではないかと存じます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、SF商法を悪として禁止するということになりますと、当然にSF商法とは何であるかという法的構成が必要になってまいろうかと存じます。ところが、SF商法なるものは、ホテルの一室等に購入者を催眠術にかけるようないろいろな仕掛けをつくりまして、そこで舌先三寸の力によって消費者に買わなくてもいいものを買わしめる、こういうような商法であろうかと存じます。こういう商法というのは、確かにその現場にでも臨めばよくわかるかと思うのですが、法的に一体それではどういうのがSF商法であるかということを客観的に規定することは非常にむずかしいと思います。

 それからまた、現行法で考えますと、景表法第四条というのがございまして、これによって過大不当表示等につきましては現行法でも法的な規制ができることになっておるわけでございますから、その条文を活用すればよろしいではないか。それからまた、そのSF商法が余りにも行き過ぎて詐欺的な行為である場合には、これは刑法なりあるいは民法の規定があるわけでございますから、そういう一般法の規定によりまして消費者の保護を図ればよろしいのではなかろうか、こういうふうに考えまして、今回の法案の中には取り入れていないわけでございます。


○竹村委員 消費者保護の立場から、現行法の範囲で何とかやれるということでありますので、問題が拡大しないうちにひとつ的確に対処していただきたいというふうに思います。
 また、この法案で問題になるのは、商品そのものではなくして、販売行為のあり方が問題であるわけでありまして、したがって、指定商品という方式を導入し、商品を限定することによって対象をしぼるのは、事の性質からおかしいのではないかと思うわけであります。むしろ行為、商法に注目をして、商法そのものに網をかけ、不都合なものを例外として、商品によってしぼるのは改めるべきではないかと思っておるところであります。そういう考え方を持っておりますけれども、指定商品制度を導入するということであれば、どのような基準で、どの程度の指定を行うつもりか、お聞かせをいただきたい。また、これまで問題となった商品はどのようなものがあったのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。


○天谷政府委員 われわれとしては、消費者保護のためには、いろいろいま先生が御指摘になりましたような規制もすべきかと考えたわけでございます。しかしながら、他方では、民間の取引に対する規制というのはできることならば過剰にならない方がいいことも、きわめて明瞭な原理かと存じます。
 本法の目的は言うまでもなく消費者利益の保護ということでございますから、その線に沿って考えますならば、訪問販売、通信販売等がほとんど行われないような商品を何も規制する必要はないのではなかろうか。消費者の日常生活にきわめて関係の深い商品でございまして、現に訪問販売や通信販売が行われておる、訪問販売、通信販売に適当な商品と不適当な商品がございますが、適当な商品で消費者に関係の深いものについてその商法を取り締まるということをすれば、過剰規制にもならず、消費者の保護という目的も達成できるのではなかろうか、こういうふうに考えた次第でございます。一般的に網をかけまして例外だけ除いていくということになりますと、どうしても不必要に広範囲の規制をかけるという結果になることをわれわれとしては恐れまして、現在のような指定商品制で法律の目的は達成せられるのではないか、こういうふうに考えます。
 なお、具体的な商品の指定方針につきましては、消費経済課長が御説明申し上げます。


○内田説明員 お答え申し上げます。本法におきまして指定商品として考えておりますのは、「主として日常生活の用に供される物品のうち、定型的な条件で販売するのに適する物品」というような法律の規定がございまして、こういったものの中から、現実の取引の実態、それから消費者の要望等を考慮いたしまして、できるだけ幅広く指定するつもりでございます。
 一例を挙げますと、現在割賦販売法におきましても指定商品制がとられておりますけれども、割賦販売法でかなり多くの商品が指定商品となっております。ただ、この中に、たとえば農業用の機械であるとか、林業用の機械であるとか、そういった消費財以外のものも含まれておりますので、こういったものは除きまして、それ以外の大部分の割賦販売法の指定商品。それから、割賦販売法におきましては耐久性を有する商品が指定されておりますので、今回の訪問販売、通信販売につきましては、非耐久性の消耗品も広く指定する予定であります。たとえばいろいろな台所用品のようなもの、あるいは化粧品、あるいはガス漏れ警報器、消火器といったようないろいろ問題を起こしておりますものを、かなり幅広く指定する予定でございます。
 以上であります。


○竹村委員 いま十分幅広く指定するという答弁を得たわけでありますけれども、指定につきましては、御答弁にありましたように法運用の障害にならないように十分幅広く指定をしていただきたいというふうに希望いたすところでございます。
 それでは次に、第三条の訪問販売における氏名等の明示の規定でございますけれども、これは規定があってもどうしてもルーズになりやすいわけでありまして、違反した場合に罰則の適用等何らかの制裁を設けるべきではないかと思うのであります。産構審中間答申にも、この法律の「実効性を確保するため、罰則担保とすることが必要である。」というふうに指摘もいたしておるところでありまして、また、相手方すなわち訪問を受けた消費者の要請、たとえばもう帰ってほしいという要請に対して速やかに応ずるなどの義務規定も必要ではなかろうかというふうに考えております。その点について御答弁願います。


○天谷政府委員 産構審の答申にも、いま先生から御指摘のありました罰則担保とすべきではないかという御意見もございますので、その点につきましても検討をいたしたわけでありますが、やはり罰則を設けるということになりますと、法制当局あるいは法務省当局等といろいろな非常に慎重な検討が必要になるわけでございます。
 本件の場合に、対象行為の構成要件の確定、違反事実の確認等が非常に困難でございまして、罰則担保とするには法的安定性及び実効性の両面におきまして問題があるというのが第一でございます。第二番目に、担保されるべき相手方の保護法益が必ずしも明確ではないというような法制上困難な問題がありましたために、罰則担保は見送った次第でございます。

 しかしながら、この規定は販売業者が訪問販売を行う際の基本的なルールを規定したものでございまして、訪問販売が健全に行われるためには必要不可欠であると考えております。したがいまして、罰則担保とはいたしておりませんが、このような基本的な行為が販売姿勢として確立されるように関係業界に対して指導を徹底させていきたいと考えております。
 それから、先生御指摘の他人の住居で退去を求められたのに退去しないというような問題、これはいわば刑事的な問題でございまして、現行刑法においても第百三十条におきまして刑罰の対象とされております。したがいまして、当事者間の民事取引関係についてのことを規定している本法律案におきましては、かかる場合についての規定を設けることは適切でないと考えまして、その規定は入れなかったわけでございます。


○竹村委員 現刑法に規制をしておるにもかかわらず、いまいろんな面で問題が起きておるわけでありまして、そうした点についてセールスマンの教育研修等につきましても特に十分配慮をしていただきたいというふうに思うわけであります。
 次に、第六条の売買契約の解除は、商品を受箱し代金を支払ってしまった場合はどのような扱いになりますか。


○天谷政府委員 第六条のいわゆるクーリングオフの制度は、契約の申し込みをした場合には申し込みの徹回、それから契約を締結した場合にあってはその契約の解除を無条件に認める制度でございます。したがって、契約の両当事者が商品の引き渡し及び代金の支払いを完了する等契約に基づく双方の義務を完全に履行してしまえば、その時点で契約は完結してしまいますために、契約の解除ということは行えないというふうに考えております。

 なお、こういう場合についても解約するようにすべきではないかという立法政策上の議論につきましては、われわれとしましては次のような問題点があるというふうに考えております。
 すなわち、第一に、両当事者の履行が完結した後に、履行自体には何の瑕疵もない、にもかかわらずその契約の効力を覆すといったような制度を設けますことは、余りにも一般原則に対する大きな例外となり過ぎますために、法制上の問題がある。
 第二番目に、悪質でない販売行為についても解約が行われるということになりまして、法的安定性を著しく害することになるのではないかというふうに恐れられるわけであります。
 なお、この商品の品質が粗悪であるというような場合などにおきましては、これは債務の完全履行が行われていない、要するに債務不履行ということになりますから、この場合には、現行法上も債務不履行の場合には十分に責任が追及できるかと存ずる次第であります。
 このように、履行完了後のクーリングオフを認めることにつきましては問題が多い。また、正当な原因があれば現行法上も責任追及を行うことができるかと存じますので、御指摘のような規定は設けなかった次第でございます。


○竹村委員 現在まで消費者センターなどに寄せられておる多くの苦情の中では、そう高くない品物、たとえば一万円以内ぐらいの商品で、余りしつこく言われるのでつい買って金を払ってしまった、その後で気がついてみたら必要でないのを押し売りされたというふうなケースが一番多く苦情として寄せられておる現状から見ましても、先ほどの説明は説明としてわかるわけでありますけれども、何らかの積極的な指導というものが図られる必要があろうというふうに思うわけであります。もう一度そうした点についての御答弁をいただきたいと思います。


○内田説明員 お答え申し上げます。
 私どももいろいろ消費者からの苦情相談を受け付けておりまして、確かに先生御指摘のようなことが間々あることは事実でございます。その点は私ども重々承知いたしておりまして、業者の方にそういう売り方をしないようにということを常に指導もいたしておるわけでございます。
 御指摘のような問題に対処いたしますために、現金販売の場合にもクーリングオフ制度を適用しろという御意見かと思うわけでございますけれども、これはやはり一般的な訪問販売で現金、即金で売られているもののむしろ大部分は、確かにそういうことではなくて、健全に売られているものが多いわけでございます。やはりそちらの一般的に健全に売られている訪問販売に対する影響ということも私ども十分考えなければいけないかと思っておりますので、先生御指摘の点は、十分その業者の側にも、また消費者の側にも注意されてお買いになるようにということを積極的にPRし、また啓発をしていくということで対処してまいりたいと考えております。


○竹村委員 第四条、第八条の訪問、通信販売の広告記載事項に、商品の品質や性能などの規定を明示すべきであろうというふうに思うわけであります。消費者には商品について正しい理解をさせて販売する必要がどうしてもあろうというふうに思いますので、この点についてお答えをいただきたいと思います。


○天谷政府委員 商品の品質、性能と申しましても、これは商品によりまして著しく異なっておるわけでございます。したがいまして、あらゆる商品に共通するような広告事項を法的に決めるということは、これはまず不可能かと存じます。他方、たとえ省令ベースにいたしましても、個々の商品については一体どの程度の品質、性能を記載することが消費者にとって必要であるかということも、これまた技術的にきわめて判定が困難な問題かと存じます。そういたしますと、品質、性能のようなものにつきましては、広告のスペースということも考えなければいけませんので、よく薬の広告等にありますように、使用上の注意書きを読んでくださいというようなことは当然必要だろうと思いますけれども、効能を全部新聞なりテレビなりの広告に書けということになりますと、これは実行上きわめて問題も多いというふうに考えましたので、そういう規定は入れなかった次第でございます。


○竹村委員 第十一条の統括者の定義のうちで、四条件が示されておりますけれども、この条件の一部分が欠けている場合はどういう扱いになりますか。


○真砂説明員 お答え申し上げます。
 法案におきまして統括者の定義規定といたしまして、連鎖販売業に係る商品に自己の商標を付すること、それからさらに、連鎖販売業に関する広告を自己の名で行うこと、三番目に、連鎖販売取引に関する約款を定めること、それから、連鎖販売業の経営に関し継続的に指導を行うこと等を例示的に書いてあるわけでございます。

 連鎖販売業を有効に規定するためには、やはりその組織の中心となりまして企画、推進をする人に対しまして不当勧誘の禁止等々の義務を課する必要があるわけでございますが、連鎖販売業の形態には、先ほども申し上げましたとおり非常に多種多様なものが存在をいたしておりまして、こうした組織を統括する者の要件というものを定型的に決定をすることは非常に困難なことでございます。したがいまして、統括者というものは先ほど申し上げました例示された四つの条件を一応の判断基準としつつも、その組織体の実態に即して決定さるべきものであると考えます。この条件の一部が欠けたからといって統括者でないと言うのではなくして、むしろ実質的判断によって統括をしていると認められるときには統括者となるものと私どもも思っております。


○竹村委員 本当の中心人物が網の目を逃れるおそれがないように、十分配慮してやっていただきたいというふうに思います。
 それから次に、第十二条の「重要な事項」はどのような内容で、だれがその内容を決めるのか、お答え願いたいと思います。


○真砂説明員 お答え申し上げます。
 第十二条の「重要な事項」というのはどういう内容かという御質問でございます。「重要な事項」というのは、具体的には個々の事例に即して判断をすべき問題でございますが、総括的に申し上げますと、取引するための意思決定の要素になるような事項でございます。つまり、故意に事実を告げない行為につきまして問題となる重要な事項といたしましては、告げることが販売業者にとって不利益な事項、たとえば特定負担という規定が出てくるわけでございますが、特定負担に関する事項でございますとか、場合によっては商品の性能、品質に関する事項、これが該当することに相なります。
 また、不実のことを告げる行為について問題となる重要な事項といたしましては、より広い意思決定に係る事項、たとえば商品の性能、品質、それから商品の販売条件、特定負担、特定利益、それから契約の解除等々に関する事項がこれに該当することになろうかと思います。
 それからまた、そういうような内容につきましては、たとえば第十五条の第二項の各号に書いてありますような事項から推察をすることもできるわけでございまして、こういう例は他の法律にもいろいろございます。


○竹村委員 第十三条の「勧誘が適正を欠くものとして政令で定める基準」はどのような内容か、御答弁いただきたい。

○真砂説明員 お答え申し上げます。
 第十三条の「勧誘が適正を欠くものとして政令で定める基準」、それはどういうような内容かという御質問でございますが、政令の内容につきましては現在検討を続けておる段階でございますが、たとえば私ども現時点では次のような事項を考えておるわけでございます。一つは、十二条にもございますが、重要な事項について故意に事実を告げなかったり、不実のことを言ったりすること、それから第二に、重要な事項につきまして誤解を生ぜしめることを告げること、それから、特定負担につきまして、その場で貸し付けを行ったり信用を供与するということによって契約の締結を誘引するというようなことを現在考えておるわけでございます。


○竹村委員 誤解を生ぜしめるという判断については非常にむずかしいのではないのですか、個人個人の差異があるということで。

○真砂説明員 この規定につきましては、ほかの法律も参考にいたしまして、類似の規定がございますので、それらを参考にして現在考えておるわけでございます。


○竹村委員 時間が参りましたので、あと一問質問させていただいて、残余の質問は留保して、終わりたいと思いますけれども、第十五条の書面の交付についてお伺いをいたしたいと思います。
 第一項で、契約を締結するまでに連鎖販売業の概要を記載した書面を交付し、第二項では、契約を締結した場合に詳しい契約を書面で交付するということになっておりますけれども、なぜ二段階に分けてする必要があるのかというふうに思うわけであります。契約を締結するまでに、第二項各号に相当する十分な内容の書面を勧誘者に交付させるようにすべきではなかろうかというふうに思います。さらに概要には、その販売がこの法律の規定する連鎖販売であること、さらにこの販売は、その仕組み上の問題点、弱点などについて明記をさせるべきであろうというふうに思いますけれども、その点についてどのようにお考えですか。


○真砂説明員 お答え申し上げます。
 御質問の趣旨は、第十五条の書面の交付について、一項と二項で二段構えで書類交付を義務づけているというような点が主な点ではないかと思います。この二段階に分けました理由でございますけれども、十五条の一項なり二項は、いずれも書面交付ということによりまして商業経験の乏しい個人の方々を保護しようという規定でございますが、この二つの書面につきましてはそれぞれ異なった目的を持っておるわけでございます。

 第一項の書面、これは特定負担に関する契約の締結以前に交付をされるものでございますが、組織の実態でございますとか、契約した場合の負担の程度というものを明らかにすることによりまして、商業経験の乏しい個人が認識不足のままに契約の締結に走るということを防止しようとするものでございます。

 これに対しまして第二項書面は、連鎖販売取引についての契約締結後、これは「遅滞なく」速やかなることを期待しておりまして、同時であることが最も望ましいわけでございますが、この契約内容を明確にすることによりまして、契約の重要な事項が文書化されることによりまして、逆に文書化されない場合相手方が不利益をこうむるということのないように防止するとともに、いわゆるクーリングオフの可能な期間内に十分契約の内容が再検討できるようにしようというようなものでございます。
 それで、連鎖販売業の概要を記載した書面につきましては、契約を締結しようとする者に組織の実態等につき明確な認識を与えるような内容のものにしなければならないことは当然でございまして、この辺につきましては省令で十分配慮をいたしていきたい、かように存じます。


○竹村委員 いま連鎖販売の内容等については十分省令で決めるということでありますけれども、これは業者に勝手に任しておく、業者任せということでなしに、通産省の責任で内容をチェックしていかれるというお考えはないですか。

○真砂説明員 私どもといたしましては、省令でその記載事項を初め必要なことはすべてちゃんと厳格に決めるということによって運用をいたしてまいりたいと思っております。

○竹村委員 終わります。






○渡部(恒)委員長代理 佐野進君。

○佐野(進)委員 訪問販売等に関する法律案の審議が始まったわけでありますが、私どもは、この法律が一日も早く提案されるよう政府に対して強い要望を続けてまいりました立場に立ちまして、大変喜ぶものであります。しかし、この法律の内容を見ますと、今日惹起されつつある諸問題に対応するには余りにも微温的ではないか、いわゆる構造的規制をという立場から見るならば、至るところに骨抜き的な要素が多分にあるということに対しては、われわれはこの法案そのものに満足をするという立場で審議をするわけにはいかないと思うのであります。しかし、今日置かれている情勢の中で、関係当局があらゆる努力を続ける中でこの法律が提案されるに至ったその努力については、敬意を払うにやぶさかではないわけであります。
 きょうは通産大臣が参議院の方に行って、来ておりません。したがって、通産大臣の本委員会への出席が午後になるということでございますから、この機会に私は通産大臣に対して、通産省の立場に立って本問題に対してどのように考えておられるかということについて具体的に質問してみたいと思うのでありますが、直接担当の天谷審議官もおられますので、まず原則的な意味における質問を一、二して、主として公正取引委員会並びに各省庁に対する質問をきょう午前中の質問の段階においてはいたし、通産大臣が参りましてから、さらにまた原則的な質問をしてみたいと思います。

 そこで、天谷審議官に冒頭質問してみたいと思うのでありますが、この法律の内容が、いわゆる「訪問販売及び通信販売」「連鎖販売取引」ということになっておるわけであります。そして、当面最重要な問題といたしまして、連鎖販売取引、いわゆるマルチ商法と一言で言われる、これに対する規制がこの法律において十分行われ得るのであるかというところに問題点があろうかと思うわけであります。そして、それを行うについて、この法律の内容が国民にどのように正しく理解され、そして理解されたその内容をもとにして、国民がその権利を守ることができるような措置を行政としてどのように行うことができるか、そしてまた、その行うことができるかという形の中において、結果的にその犠牲になりつつある、あるいはなった人たちに対してどのようにこれを収拾するかということが、本法律の原則的な立場に立っての最大の課題ではないかと思います。これは大臣が当然答えるべき点でございますが、諸問題に対する質問をする冒頭、立案者としての天谷審議官に、この三点に対する原則的な見解をまず聞いておきたいと思います。


○天谷政府委員 マルチ商法を初め訪問販売あるいは通信販売、これらの商法を通じまして消費者の利益を保護するための基本は、やはり何と申しましても消費者がこういう商法の実体を熟知し、みずからを守る、賢い消費者になるということが基本的に必要なことであろうかと存じます。消費者が賢くならなければ、いかにこういう法律をつくりましても、屋上屋を重ねるような法制をつくりましても、有効な消費者保護は行われないものというふうに考えております。
 したがいまして、消費者保護につきましては、通産省のみならず、政府全体といたしましても、総理府あるいは経済企画庁その他各省におきまして、いろいろの消費者教育の予算もとり、事業も行っておる次第でございます。たとえばこのマルチ商法について申し上げますならば、通産省におきましても、全国紙あるいは週刊誌等にしばしば広告を出しまして、マルチ商法の弊害あるいは落とし穴というようなものに対しまして消費者の注意を促しておるところでございますので、今後ともこういうPRの努力を通産省においても続けますし、それから、関係の政府各省におきましても一層PRの努力を重ねていきたいと考えております。

 今回の法律によりまして、マルチ商法についてはあるべからざる姿、それから訪問販売、通信販売につきましてはあるべき姿、こういうものが一応法的に明確にされましたので、われわれとしましてもPRの根拠を得たことになりますから、こういう方向に沿いまして周知徹底を図りたい。そして、そういうPRが進んでいきますとこの法律の規制が生きてまいりまして、いま先生からいろいろ骨抜きの点等もあるという御指摘もございましたけれども、われわれとしましては、消費者の関心の向上、それから行政庁の努力等々によりまして、現行法の運用により相当の効果を上げるということが可能ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。


○佐野(進)委員 犠牲者の救済の面については答弁が落ちておるようでありますが、これは質問を続ける中でひとつ明らかにしてもらいたいと思うわけでございます。
 そこで、いま竹村委員の方から本法律の内容について逐条的にその疑問点をただしてまいりましたので、私は本法律の中における重点を連鎖販売取引にしぼりまして訪問販売あるいは通信販売が関連して出てまいりますけれども、主として連鎖販売取引の項にしぼりまして、具体的に公正取引委員会並びに通産その他の省庁に質問をしてみたいと思います。
 今日、この問題が法制化されるということになりまして、その作業が進められる経過の中で、関係各方面においては非常に高い関心を示しておるわけであります。そういうような高い関心を示されている中においても、やはりこの連鎖販売取引に類する、あるいはより巧妙化した形の中でこの種の商法がいま国のすみずみにまで進められているという実態が、幾つか明らかにされておるわけであります。
 私はその中で二つの点、ベストライン・プロダクツ・リミテッドに関係する問題、ジェッカー・フランチャイズ・チェーンに関係する問題、この二つの問題を具体的に取り上げて見解をただしてみたいと思うわけでございます。

 いま私の手元に、小学校四年生になる女の子から被害者同盟の方へ出された手紙がある。私の手元にこのような形の中でたくさん来ておるわけでありますが、その中で、九つになる女の子が、何とかして自分たちの家庭を守ってもらいたい、こういう手紙を見ました。私はこの手紙を見て、このようないたいけな幼い子供がこの商法の犠牲になり、このように小さな胸を痛めておるというようなこと、これは単にこの子供一人だけの問題ではなく、これに類する多くの家庭の子供たち、あるいは未成年の人たちがそのためにどんな悲惨な状況に陥っているかということを、はだをもって感ずることができたわけであります。
 多少長くなりますが、この審議に当たり冒頭に読んで、皆さん方関係当局としてもよくひとつ認識してもらいたいと思うわけであります。


  私はずっと前お父さんがいた生活は、とても楽しかったです。いろいろのところへ、つくしをつみに行ったり、りょこうや海水よくへお父さんやお母さんと三人で行ったり、楽しい毎日でした。
  でも、もうそんな生活はきえていました。
  お父さんがベストラインの仕事をしてからは、四時三十分ごろから夜おそくまで一人でるすばんをしたり、とてもさびしい毎日で、日よう日もさいじつも、いつもお父さんはお仕事ばかりして、夜もおそく、やさしいお父さんはいなくなったみたいです。
  私も、学校のおやすみの時せつめい会についていったことが何回もありました。大ぜいの人たちの前でせつめいするお父さんは、とてもりっぱにみえました。
  お話の中みは、庸子たちのせいかつとはちがっていると思いました。なぜって、とても気らくにお仕事ができ、だれにでもお金がかんたんにもうかるお話をやっているのに、庸子の家のお金はどんどんへっていっているんですもの。
 何かかってといっても、おかあさんは、今、お金がないのよ、といいます。
  おとうさんは、今少しのしんぼうでこれからすごいよといっています。でも二年もたつのに、ぜんぜんもうからないし、お母さんも、そんする人が多すぎる、といってはんたいをはじめました。家の中は、前とちがってお父さんとお母さんのケンカでくらい気持ちになってしまいました。
  あんまりお母さんが反対するので、お父さんは家を出てお仕事をやっています。そして、お母さんは、これから庸子やお母さんみたいなこまる人たちが大ぜい出ないようにと、それからごめいわくをかけた人たちのためにひがいしゃどうめいというのをてつだっています。
  お父さんは、おじさんや会社のめいれいで、とってもとおい四国という所にいってしまったそうです。そして、おうちへは、いっせんもお金をおくってくれません。お電話をかけるところが私もお母さんもわかりません。
  お母さんは、お父さんは今病気なのよ、早くよくなるといいね、といって夜おそくまでお仕事をしてがんばっているけど、足も悪いから心配です。私と二人になると、お母さんは、お話をしているときもなみだを流している時がおおいです。そんな時、私もなきたいけれどもがまんします。私もないたらお母さんがかわいそうだからです。そして二人でベストラインをはじめるまえのたのしかったお話をします。
  こんなにまっている庸子の気持を知って、お父さんもうそのお話をするお仕事をやめてかえってきて、一生けんめいはたらいて三人でたのしいりょこうに行けたらと思います。
  それに、ベストラインのせんざいで家ではごきぶりをころすのにつかっていたのに、お父さんはおふろやヒゲソリにつかっていたので、今もやっていたらと心配でたまりません。
  お母さんも「お父さんとってもやせたよ。」と言って心配していました。やっぱり心の病気なのかと思います。
  早くおうちにかえってもらって、お母さんや庸子で病気をなおしてあげたいと思います。


〜略〜

 これをお聞きになった関係者当局の皆さん方は、この事件の及ぼす影響の深刻性について、いささかなりとも心が動かされておると思うのであります。
 私ども法律を立法する立場に立つ者といたしまして、冒頭天谷審議官に質問いたしましたけれども、立法の作業が遅くなった、そしてできた法律も十分でない、しかし、この法律を一日も早く成立することを願う多くの被害者の方たち、あるいはこれからこの法律によって救われるであろうと予想される多くの人たちのために、この法律の審議をできるだけ早く進めたい、こういう願いを込めて、これから具体的に質問をしてみたいと思います。

 まず、これだけ新聞、テレビあるいはそれぞれ世論の中に盛り上がっておるにもかかわらず、そして幾つかの問題については公取がその手入れをし、これの被害を食いとめるために措置を講じておるにもかかわらず、なおそれが減らないということは、この企業がいかにうまみがあり、いかにぼろもうけができるかという、特定の人にとってはやめることのでき得ない魅力があるからだと思うのであります。
 そして、行政の取り締まりが強くなればなるほど企業側は巧妙になって、何とかかんとか表現を変えてこの企業をつくり、存続させ、そしてだめになればまた新しい企業をつくる、こういうような形になっておると思うのであります。すなわち、ペストラインなどもそういうようなものの一つではないかと思うのであります。そして、いままで挙げられておりますホリディやあるいはエー・ピー・オーというようなものに対しては、あれは悪いのだ、しかしこのベストラインはいいのだ、ああいうようなものではないのだというような形の中で、悪かったものを事例に挙げ、この企業のやり方はそういう悪いものではないのだということの正当づけにむしろ使われている、こういうような形を私どもとしては見ることができるわけであります。
 そして、やり方は、結局商品を売るということよりも、人狩り、いわゆる会員を募るというか、販売員を募るという形の中で特定の利益を上げていく、こういうような人狩り商法以外の何物でもないと私どもは認識をせざるを得ないと思うのであります。

 そこで、まず第一に公正取引委員会にお伺いをいたします。
 公正取引委員会は、このベストラインというものはいわゆるマルチ商法と認識をされておられるかどうか、この点について原則的なお答えをいたきだたいと思います。


○澤田政府委員 いわゆるマルチ商法に対するお考え、全く同感なのでございますが、御質問の点、具体的なことでございますし、従来の考え方もございますので、取引部長の方からお答え申すことをお許し願いたいと思います。


○後藤(英)政府委員 お答えいたします。
 ベストライン社につきましては、被害者からの陳情等もございまして、私の方で呼びましていろいろ事情を聞いて、内容についてある程度の指導等もいたしておりますけれども、先生御指摘のようなベストラインの内容につきましては、私どもの方では、ただいまの法案で挙げられておりますマルチ商法という意味においてベストラインはそれに当たるのではないか、つまり、マルチ商法を行っている会社である、マルチ商法の定義はいろいろございますけれども、現在の法案で規定されておりますようなマルチ商法であろう、そのように考えております。


○佐野(進)委員 通産省はどう判断しておられますか。

○天谷政府委員 私どもの承知いたしておりますところでは、ベストライン社の販売組織の場合、組織への加盟または昇進に際しまして、商品購入義務という形で相当額の負担を課せられております。相当額、一番大きい場合には六十万円の商品購入義務を課せられているというふうに承知いたしております。その代価の一部が系列上位のものに配分されることになっておりますので、この法律案に言いますところの連鎖販売取引に該当する、したがって規制の対象になるというふうに考えております。


○佐野(進)委員 次に、公取にお尋ねいたします。具体的な問題でありまするから、もし必要がありましたら部長で結構でございます。昨年ホリデイマジックに下した独禁法違反審決はどのような結果になったのか、簡単でよろしゅうございますから、その結論だけをお示しいただきたい。

○野上政府委員 お答えいたします。
 昨年の二月に審査を始めまして、それで勧告を六月にしておりまして、審決は六月十三日に、違反するという審決を出しております。
 その内容は、ホリデイマジック社が販売員をピラミッド方式の四段階に分けまして、上に上ればその販売実績にかかわりなく報奨金的なものが非常に多額に入るという制度をとりまして、それをまた盛んに宣伝いたしまして販売員を勧誘した、これが不公正な取引方法の六に該当するということで審決をしております。


○佐野(進)委員 不公正取引の六に該当するということで審決が出たということであります。そういたしますると、その六に該当することは、いわゆる紹介料、上に行くに従って金を取る、こういうような形の中におけるところが違反になったといわれておるわけでございまするが、それぞれ上に行くに従って仕入れ金額が違う、商品をまとめればその額もリクルート料になるくらいですから、その差額リベートによる勧誘を、ベストラインはこのホリデイマジックと同じような形の中でやっていると思うわけであります。

 そういたしますと、普通特約店は五十七万五千円を払い込み商品を購入するとなれる。そのうち一五%が差額ベースで自分の上の地位に行くことができる。特約店ではうまみがないから、上のマネジャーになろうとすると、このためには自分の後任として二人を連れてきて二十七万五千円の講習料を払うとなれる。こういうような形で、商品を売ることによって利益を得るよりも、人を紹介することによってその中からリベートをもらう、こういう形で人狩り商法が行われるようになってきていると思うのでありますが、ホリデイマジックに対する審決と絡み合わせて、このベストラインについて見ましても、具体的にその内容が、表現上は違うとしても、結果的に同じような形になろうと思うのであります。


    〔渡部(恒)委員長代理退席、安田委員長代理着席〕


 こうやって見てまいりますと、差額のリベートはオーバーライド方式であり、実質的には紹介料として使われるわけでありますが、先ほどの審決の内容とにらみ合わせて、この方式も独禁法違反になるのではないか、私としてはこう判断するわけですが、公取の見解を承りたいと思います。


○後藤(英)政府委員 ベストライン社のとっております方法は、ホリデイマジックのようなずばりリベート、紹介料というような方式ではございませんので、直ちにホリデイマジックと同じように正常な商慣習に照らして不当な利益と言えるかどうか、その点については問題でございます。
 形の上では、商品の売買に伴いましてマージンとして得られる利益というのは、どの業界でも通常の取引にある問題でございますので、これは問題ではございませんけれども、このベストライン社におけるマージンというものは、実は卸売機能に対する対価というようなものではないのじゃないか、何ら卸売機能を果たしていないのにそれが与えられているというのが実態ではなかろうかというふうに見られておりまして、そのように見ますとこれもやはり紹介料と申しますか、リクルート料的なものではなかろうかという意味で、やはり独禁法の正常な商慣習に照らしての不当な利益に該当するのではなかろうかというふうに見られております。


○佐野(進)委員 そういたしますと、直接ではないけれども、商品という形に名をかりているけれども、同じように見られている、こういうぐあいにいま判断をされておるわけでございまするが、このベストラインの制度の中に恩給制度というのがあるわけですね。リクルート料だけではなくして、多くの人を紹介することで一定の成績が上がった場合においては恩給を出す。自分の子が孫、孫はひ孫、ひ孫はその次というぐあいに、それぞれをつくっていくことによって、彼らの出資金額の二%が永久にもらえるのだということを一つのキャッチフレーズにしている。実際上そのようなことになるのかならないのかということは大変疑問だと思うのであります。少なくともそういう形の中で多くの人たちを紹介していけば、一生安楽に、ただそのことだけで生活をしていくことができるのだということをキャッチフレーズにしておるわけでありますが、これはスリーピングコミッションであり、独禁法上の問題になると私は思うのでありますが、どうですか。


○後藤(英)政府委員 二%のコミッションがただ単に恩給として与えられるというのでありますれば、やはり正常な商慣習に照らした不当な利益ではなかろうかというふうに見られます。ただ、これが会社にかわって行うサービスの対価、たとえば会社にかわって特約店等のトレーニングをしたり、あるいは新しく販売店になる人たちにノーハウを教えるとかというようなことであれば、必ずしも違法とは申せませんけれども、単に恩給として与えられるというのでありますれば、これはやはり法律上問題があろうかと思います。


○佐野(進)委員 いま質問してみても、私の質問と公取の見解とが非常にかみ合うわけでありますけれども、それだけいわゆるベストラインという企業そのものがいま行いつつあることが、公取の制度に対して一つの挑戦である。公正取引という形の中におけるこの種不正なる行為を正さんとする立場に立つ取引委員会としては、この種事業を計画し実行するということについては相当悪知恵の働く人たちでなければできないというような点が、いまの答弁の中からうかがうことができるわけであります。
 特にそういう面から見ますと、私は、いろいろなパンフレットやリーフレットその他を出しながら宣伝をしておるこのベストライン社の商法というものに対して、多くの疑問を感ぜざるを得ないわけであります。物を売るのだ、物を売るための事業者だ、こう言っていながら、実際上はその物を売ることよりも、物を押しつけられ、それを処理するという形の中で、これを紹介すれば多くの安定した報酬が得られるということで、余り知識のない善良な人たちを勧誘するという形の中でその人たちを被害者に変えていく、こういうような結果になろうと思うのであります。

 そこで、次の質問は、このベストラインに入会する者は事業者だと言われて入るわけでありますが、結果的に会社との契約関係はなく、商品を購入することによってその特約店となり、マネジャーに任命されるというシステムになっている。そうすると、おまえさんはこのベストラインの中における一つの役割りを担うのですよ、こう言いながら、会社の社員ではない。事業者であるという形をとりながら、しかも特定の商店を持ちながら販売するのでなく、個人で単に自己の居住所というのですか、普通の家庭におって、ただ事業者として加入をして品物を送り届けられる。しかし、それではメリットが得られない。結局その品物を送り届けることによって、上に行けば行くほど多くの人たちを持ち、それによって利益を得ることができる、こういうシステムになっていると思うのです。
 そうすると、これはあなたのさっきの説明にあったように何段階かあるわけですが、最末端の品物を送り届けられた人は事業者ではなく消費者である、いわゆる物を買った人の立場になる。それを売ることができなければ結局それを引き取らなければならない、そういう形の人だと判断して差し支えないように思うわけですが、この点はどうか、ひとつ見解を示していただきたい。


○後藤(英)政府委員 実情におきましては確かに先生のおっしゃるような実情かと思いますけれども、ただ、契約上ではやはり単独の販売業者というふうに明確に位置づけられておりますので、これを法律的に問題にいたします場合に消費者と考えるというのは、法律的に、厳格な法の適用、規制をやろうとする場合においては非常に問題が残るのではないか、そう思っております。


○佐野(進)委員 法律的に消費者として片づけることについては若干問題がある、実態はそのような形だ、こういう答弁でありますが、しかし、事業者というのは、特定の五段階なら五段階、四段段なら四段階あって、次から次へと品物がおりてきて最末端の事業者としてそれを販売する、これが事業者の形態ですけれども、実際上の問題としては、そういうような商品を販売することができ得ない家庭の実情にある人たち、たとえば家庭の主婦とかサラリーマン、あるいは未成年者、身体障害者、こういうような人たちを対象にして、事業者であると言って一定の割合における多量の物品をそこの家庭に送り込む。多量の物品をそこの家庭に送り込まれれば、そういう身体障害者であるとか、未成年者であるとか、一般的な家庭の主婦であるとかいう方々は、なかなか消化でき得ないという現状が出てくると思うのです。このような人たちがそのような現状にありながら、なおかつそれは下の人たちを連れてくればいいんだよという形でさらに意欲をわき立たせる、そしてさらに多くの犠牲者を生み出していく、これがベストナインのシステムだと思うのです。

 そういうような物を送り込まれて困っている人たちに対して、さらに励みを持たせようということに対しては、一カ月に四人以上連れてくればダイヤモンドのバッジを贈りますよ、あるいはコンテストというようなことでハワイ旅行や台湾旅行へ連れていってやりますよ、こういうような形の中でその人たちを勧誘する。物を送り込まれて困っている人たちに、さらに人を連れてくればそういうような特典を与えますよという形でつなぎとめていく役割りを果たさせる。そういうことを身体障害者や一般の家庭の主婦や未成年者にやらせて、何名かを探して連れてくればダイヤモンドをやるとか、あるいは海外旅行に連れていくとかいうようなことは、不当表示あるいは景品表示法違反、こういうものになるのじゃないか、こう考えるわけですが、これはどうですか。


○後藤(英)政府委員 ベストラインの入会者に対しまして、同社の製品の販売についてダイヤモンドを与えたり、あるいはまた海外旅行に招待するような行為は、これを消費者と見るかあるいは事業者と見るかということにつきまして、法律的には消費者と見ることは困難であるということで事業者と見ましても、やはり事業者に対する景品類の提供について景表法上の規制がございますので、事業者制限告示とかあるいは懸賞制限告示によって規制されるようになります。先ほどの御指摘のような例につきまして、年間に提供されるそのダイヤモンドの額が十万円を超える額であればこれは違反ということになりますし、もしもコンテストとかいうような懸賞制限告示の問題となりますれば、最高で五万円までの一等賞しか与えられないという制限がございます。


○佐野(進)委員 公取に対しては質問が大変具体的になり過ぎてあるいは迷惑かもしれませんが、もうちょっと質問を続けさせてもらいたいと思うのです、これは原則的な問題ですから。いわゆるベストラインに対する措置をどう行うかということによって、今後この法律が施行された際、この種マルチ商法は絶滅することもでき得るのではないか、その絶滅することのでき得る問題点をとらえながらいま質問しているわけですから、そういう観点に立って答弁をいただきたいと思うわけです。
 いま言ったように、一カ月に四人以上連れてくればこれこれこういう賞品を出しますよという勧誘をしております。しかし、同時にまた、先ほど来お話がありました何人かを連れてくる形の中においてリクルート料がそれぞれ支払われるというような形になっておるわけでありまするが、同じように一人を連れてくれば六十万円の売り上げと見て、六人を連れてくれば三百六十万円で結果的に十三万五千円、九人連れてくれば二十一万円、こういうようなことで、人を連れてくることによって最高は三百万円のボーナスを与えるというようなことをこのベストラインは言っておるわけであります。

 昭和五十年の調査では、これらのボーナスをもらった人数は七百三十九人だと言っておるわけでありまするが、一方、会社側は全加入者は二万人と言っており、そのうち設立から五十年度までに入会した者は約一万五千人で、この七百三十九人という人の概数は結果的に一万五千人に対して四・九%にすぎないということになるわけであります。そして、一万五千人のうちの七百三十九人という特定の人に対してのみこのような多額なボーナスを出した。いわゆるボーナスを出すだけの役割りを果たさせた。こういうようなことは、全加入者一万五千人に対して非常に大きな差別が存在したということになるのじゃないかと思うのでありますが、公取としてはこの種ボーナスの出し方というものについてはどのような見解をお持ちになっているか、この際明らかにしていただきたいと思うのです。


○後藤(英)政府委員 独禁法の不公正な取引方法の一つといたしまして、不当な差別的取り扱いということを禁止しておりますけれども、非常に行き過ぎたボーナス提供、あるいはもっと一般的に申し上げますといわゆるリベート提供というのは、やはり問題であるということになっております。ただ、どういう程度に累進度が高くなった場合に違反であるかということは大変むずかしい判断を要するところでございまして、一般的にこのような程度を超えればという基準はいまのところはっきりしておりませんけれども、抽象的に申しますと、やはり現在、先生の御指摘のようなものもあるいはそういう問題を含んでいるのではなかろうかと思われます。


○佐野(進)委員 公取に対しては後でまた質問もありますけれども、一応締めくくり的に最後の質問をしてみたいと思うのです。
 いま私はずっと質問を三十分近く公取に対して行ってまいりました。結果的に、ベストラインと称する企業がいま審議を行っているこの法律の規定に触れる要件をきわめて多く持ち、かつ多くの被害者を発生する条件にあるということが質疑の経過の中で明らかにされたと思うのであります。そこで、私は、このベストラインなるものがもし法律に触れるとするならば、これにまた別の方法をもって手を加える。さっきのホリデイとかその他の形の中において触れたので、このベストライン方式をとりつつあると言われるような形の中において処置をされる懸念を持つわけです。

 特にこの種宣伝の内容がきわめて人の気持ちに食い入り、さらにこの文章だけでなく、話術等が催眠的手法をもって人の心の中に食い込んでいくというような形の中で犠牲者を続出していくということに対して、いま私どもとしては厳粛に反省をするとともに、そういう状態の起き得ないような措置を具体的に講じていかなければならぬと思うのです。それは公正取引委員会としてはこれからもやらなければならぬし、特にこの法律を審議する際に十分ひとつ認識していただきたいと思うわけであります。
 特に勧誘される立場にある人たちの心に触れることは、この宣伝文の中で、世界的企業である、すばらしい商品で、洗剤は植物性、無公害である、さっき言ったとおりボーナスがもらえる、一生涯恩給がもらえる、簡単にお金がもうかる、そういうような形の中で宣伝がずっと行われてきているわけですね。それに乗っているわけです。
 そういうような形の中で進んでいけば、常識ある人はそうでないのじゃないかという疑問点が出てくるわけですが、一種の催眠術にかかったとするとなかなか出てこないという形で、こういうような宣伝をそのままさせておくということは、そういう善良なる消費者に対して大変な迷惑になると思うのでありますが、裏づけのないこの種の宣伝に対して不当表示としての措置を講ずべきではないか、その措置を講ずる形の中で犠牲を未然に防ぐべきではないかと考えるわけですが、その見解をお伺いしたい。


○後藤(英)政府委員 ベストライン社の勧誘に当たって、あるいはまた商品の販売に当たっていろいろな宣伝をいたしておりまして、その中には事実の裏づけが果たしてどうかなと思われるようなものもございます。
 これが一般消費者にその商品を買ってもらうためにする広告でございますれば、これは不当景品類及び不当表示防止法の不当表示ということで問題にできる筋でございます。たとえばその洗剤が非常に優秀である、品質が優良であるというようなことを一般消費者に宣伝したが、実は粗悪品であったとすれば、これは問題でございますけれども、ただ、特約店とかあるいは小売店となるようなディストリビューターを勧誘する際に、たとえば自分のところの企業は世界的な企業で、世界じゅうで商売を華々しくやっているのだというようなことを申しますれば、これは商売の取引をする人同士の間で、自分のところの信用を相手方に誤認をさせるというような問題になるわけであります。ここにまいりますと景表法の不当表示の問題の限界からやや外れるというようなところがございまして、その辺について法律的にきちんと違反として取り上げるかということにつきましては、やや法律的には疑問がある。
 ただ、指導面といたしまして、好ましくないというようなことは十分言い得ると思うような点もございますので、そういうような点については十分行きすぎのないような形で指導の際には当たってまいりたいと思います。


○佐野(進)委員 それは先ほどの質問と関連をするわけですが、消費者であるのかあるいは事業者であるのかという判定、それから、後で厚生省に聞きますが、この品物が果たして消費者の利益に合致するものであるのかどうかということについても関連します。いずれにせよ、この種の問題については、公正取引委員会としては厳重なる立場に立って法律の解釈あるいは運用等に当たってもらいたいということを要望しておきたいと思います。
 それでは次に、これに関連して大蔵省に二、三質問してみたいと思います。
 このベストラインの本社は香港ですね。日本には支店開設ということで、外資法による許可制度の対象になりません。しかし、支店の場合でも届け出を出すようになっていると思いますが、届け出が出ているかどうか、その点をお伺いします。


○垂水説明員 ただいま御質問のありました中で、いわゆる非居住者の支店の設置というのは外資法による認許可の対象でないとおっしゃいましたのは、先生のおっしゃるとおりでございます。しかして、当該ベストラインの支店の設置につきましては、四十八年の十月に所定の支店設置報告が通産省と当方とに提出されております。


○佐野(進)委員 そういたしますと、その中に業務内容として化粧品販売の項が入っておりますか。

○垂水説明員 先ほど申し上げました設置報告によりますと、当該支店の事業内容は、洗剤及び洗浄剤を香港から輸入してまいりまして日本の販売業者に販売をするということになっておりまして、したがいまして、この支店の事業内容には御質問の化粧品の販売は含まれておりません。


○佐野(進)委員 そのとおり、入っていないと思いますね。しかし、ここに登記簿があるわけですが、その登記簿の中には化粧品が入っておるわけです。「目的」として「洗剤、洗じょう剤(粉石鹸等を含む)化粧品、化学品、医薬品その他すべての製品の製造輸入販売。」こういうようになっているわけですが、いまの大蔵省の説明によると入っていない。登記簿においては入っている。最初から化粧品も売るつもりであったわけです。その化粧品をその中に入れていない。この化粧品、特に化粧水によって皮膚の被害を訴える人が実際多いわけです。その届け出をしていないにもかかわらず、その品物を売っている。そして被害を受けている人からここにこんなに手紙が来ているわけですが、この化粧品を使ったために皮膚の被害を訴えている、これはベストラインという会社の性格を判断する上においても大変問題じゃないかと思うわけです。

 ホリデイマジックの場合も、こういう問題についてはフリーパスでした。その結果は十万人という被害者が出たわけでありますが、外資チェックはそういう意味においても厳重にすべきではないかと思いますし、支店開設というような問題についても許認可の対象にならないというのは、どだいこういうような面から言ってもおかしいのではないか。もっと厳格なる処置をする中で国益、国民の健康を守るという役割りを果たすべきじゃないかと考えるわけですが、大蔵省の見解をこの際聞いておきたいと思います。


○垂水説明員 お答えいたします。
 先ほど佐野先生から御指摘がありました登記簿謄本の中身につきましては、私もチェックをしてみまして、確かにかなり広範な事業内容が書いてあることを承知いたしました。しかし、一般には登記簿謄本に記載されている事業内容といいますのは、単に支店だけではなくて、この場合でございますと香港にある本店の行う事業内容を記載するというのが通常のようでございますし、それに対しまして私どもに提出されております支店の設置報告は、支店の行う業務という意味で報告を求めておるので、その間にやや整合しない面があるのではないかと思います。しかしながら、いずれにいたしましても、支店の設置は外為法体系では単に当事者からの届け出事項になっていることを御理解いただきたいと思います。
 なおまた、ただいま佐野先生から、販売を行っている化粧品は人体に有害な面があるというようなお話もございましたけれども、それが悪質かどうかについては、私の感じを申し上げれば、直接外為法の問題というよりは、むしろ別途の国内の行政規制という観点から検討されてしかるべき問題ではないかと考えております。

 なお、一般論として外資系企業に対するチェックを一段と強化してはどうかという御所見でございます。それにつきましては、先生に申し上げるのは大変恐縮でございますけれども、国際間の資本移動でございますとか、あるいは国際間の経済活動はでき得る限り自由にすることが、経済の発展なり国際協調という面から必要ではないかと存じます。そういう意味で、現在におきましては、外為法体系においては先ほど来の支店設置が届け出制になっておることはもとより、外資法体系での認許可の対象になっております子会社の設置につきましても、現在はどうなっておるかと申しますと、例外的な四業種、農林業、鉱業、石油業、皮革製造業の四業種を例外といたしまして、現在は自由に許可を与えることになっておるわけでございます。
 そういう実情からいたしましても、肝要なことは、支店であれ子会社であれ、本邦内で事業活動をいたします場合には、当事者が日本の法令なり諸規制を十分尊重、遵守していただくということではないかと思っておるわけであります。したがって仮に国内企業であれ外資企業であれ、いまのような行政上の面からする諸規制から見て問題があるというような場合には、そういう面から当然是正が図られてしかるべきではなかろうか、かように考えておるわけでございます。


○佐野(進)委員 大蔵省には検討してもらいたいということでありますから、そう考えて善処を要望しておきます。

 次に、厚生省に質問をいたします。
  いま大蔵省に質問いたしております化粧品の問題でありますが、このペストラインの化粧品あるいは洗剤は厚生省の許可を受けておるかどうか、その点、ひとつ質問してみます。

○山田説明員 お答え申し上げます。
 化粧品につきましては、昭和五十年三月十七日付で薬事法の規定によります化粧品輸入販売業の許可を与えております。


○佐野(進)委員 そうすると――これがその化粧品ですね、これはいま言われた薬事法におけるところの許可をとっておる品物と判断してよろしゅうございますか。

○山田説明員 先生のいまお挙げになりました品物が具体的に許可を与えた品目であるかどうか、ちょっと確認できませんが、このベストライン・プロダクツ・リミテッドに対しましては、先ほどもお答え申し上げましたように、昨年の三月十七日付で化粧品輸入販売業の許可を与えておりますが、品目としては化粧水など七品目につきまして輸入の許可を与えております。


○佐野(進)委員 時間がありませんから、余り突っ込んでこの問題だけを質問するわけにいきませんが、そうすると、この品物を使うことによって皮膚障害を起こす、あるいはその他いろいろな苦情等が出ていることをあなたは御存じですか。

○山田説明員 私ども厚生省の関係各課に、この会社の化粧品を使用したことによる皮膚障害の報告は聞いておりません。


○佐野(進)委員 それでは、聞いていないというのでは仕方がございませんので、後でひとつ資料として差し上げますから、検討を願いたいと思います。
 洗剤についても同様の許可を与えているということでございまするから、この洗剤についてはこの種カタログなり宣伝文等に、あるいは保証書等を出しまして、良質で一〇〇%保証できる、子供にも安全、無公害等、こういうようなことが書かれてあり、よく落ちない、はだが荒れる、このカタログと全く違う、そういういわゆる消費者の声というものは、この化粧品と同様、あなた方の方では耳に入っておりませんかどうか、その点、ひとつ見解を聞いておきたいと思います。

○宮沢説明員 お答え申し上げます。
 洗浄剤につきましては、食品衛生法で昭和四十七年に一部改正がございまして、そのときに食品とか食器を洗いますいわゆる台所用の洗浄剤についてその内容を規制することができるようになりました。そこで、四十八年にその規格基準と使用基準というものを定めておりまして、特にただいま先生御指摘の手荒れ等の問題に対処するため、それが合成された界面活性剤である場合には使用する濃度は〇・一%以下とするように定めております。したがいまして、こういった規格基準とか使用基準を満たすものであれば、そういう洗浄剤を供給する者は法律上特に拘束はございません。概括的に許可品目として販売することができるようになっております。


○佐野(進)委員 課長、これを見たことはありますか。

○宮沢説明員 見たことはございません。


○佐野(進)委員 この種物品については、あなたの方で許可することになるのですね。

○宮沢説明員 先ほど申し上げましたように、要するに、食品とか食器を洗いますいわゆる台所用洗剤につきましては、厚生省でその基準を定めております。その基準に合格するものであれば、特に法律上個別の許可はございません。どなたが供給してもいいことになっております。


○佐野(進)委員 基準に該当するということはどこで判断するのか。
 私の手元に、日本食品分析センターというところで、この分析を依頼した人に対して、ベストラインのこれに対して不適であるという総合的な判断を出したようなことが出ておりまして、これは厚生省告示第九十八号による百五十倍希釈の結果云々という、こういう分析表が出ているわけですが、これはまだ見ておりませんか。これに関連して、そういうような訴えはまだございませんか。

○宮沢説明員 お答え申し上げます。
 そういった食品に関するいろいろの監視は、各都道府県に食品監視員というものがございまして、そちらの方でその監視業務はやっております。私どもは、ただいま先生の言われた分析センターの分析結果等については聞いておりません。


○佐野(進)委員 マルチ商法に基づくところの被害者がこの種物品を購入した形の中で、あるいは事業者と称する名のもとに押しつけられ、販売不可能の形の中でこれを多量に使用する、その使用した過程で、この手紙にも出されているような幾つかの発病状況が検出されておる。国民の健康を守る立場に立つ厚生省が、この種洗剤については、かねて国内石けん、洗剤の問題等につきましてもいろいろないわゆる催奇形性の問題等々たくさんの議論がある中で、外国から輸入された物品に対してその品質の調査もしないということは、少し職務的に怠慢ではないか、こういうぐあいに私は判断をするわけです。
 しかし、いまここでその問題一つ一つについて具体的に質問をしておる時間的余裕もございませんので、質問は打ち切りますけれども、至急この種化粧品ないし洗剤については調査をしていただいて、その結果、その内容が不適当であるならばその内容を公表し、あるいはこれらについての回収をしてもらうことを強く要望しておきたいと思います。

 次に、経済企画庁に質問いたします。
 経済企画庁は昨年の六月、各省庁との相談による対マルチ対策十項目の中で、マルチ企業の扱う商品について早急に分析すると言っておりますが、いま私が申し上げましたとおり、個人によるところの分析結果の報告等を私どもは受けておりますが、政府がこの種手段に対して対策を立てたということは、私は遺憾ながらまだ聞いておらないわけでありますが、これに対してどのような措置を講ぜられたか、また、その結果として新たに欠陥品が出ているというような形がもしあったとするならば、どのような措置を講ぜられておるか。
 こういうようなマルチ商法に使用される商品というものは、ここで見てもわかるように、大体何となく疑問を持たざるを得ないような、いかがわしいという言葉が適切であるかどうかわかりませんが、そういう感じを持つような品物が多いわけでありますけれども、この種物品について、経済企画庁としては、当然国民に対してその実態を明らかにする義務を持つ立場に立つ庁としてどのような措置を講ぜられているか、この際聞いておきたいと思います。


○藤井(直)政府委員 ただいま御指摘になりましたように、マルチ商法にかかわります商品につきましては、欠陥商品の販売というようなことに結びつくケースがかなりございます。それで、昨年六月のマルチレベル商法についての十省庁の総合対策についての申し合わせ事項がございますが、その中におきまして、商品の点検というのを重要な項目として取り上げているわけでございます。その申し合わせ等もございまして、その後厚生省におきましては、ホリデイマジック社の化粧品について検査をいたしまして、不良品につきましては廃棄処分をするというようなことをいたしております。また、ジェッカーチェーンの医療用具についても、しかるべき指導をするようにということで措置をしたように伺っております。さらに、通産省におきましてもエー・ピー・オー・ジャパンのベーパーインジェクター等についての検査もされたというふうに伺っておるわけでございます。
 私どもといたしましては、この総合対策に述べておりますように、全部この商品についての検討をするということはなかなか数も多くて大変でございますが、やはり安全に非常に影響のあるもの、それから品質が不良で多くの人に迷惑を及ぼすというようなものに限りまして、重点的に商品の検査をしていくということが必要ではないかと考えておるわけでございます。ただいま御指摘がございましたような点もございますので、この十項目の申し合わせをさらに推進するというようなことで、関係省庁とよく話し合っていきたいと思っております。


○佐野(進)委員 経企庁は朝日新聞の家庭欄に「くらしの相談」というコーナーを設けておるというように聞いておるわけですが、このコーナーがあって、国民生活センターがときどき欠陥商品等について発表しておりますけれども、こういうようなところに、この種欠陥商品が明らかになった際に発表する気持ちがあるかどうかということが一つ。
 それから、これからこれらのマルチ商法に対する規制が行われるということで、マルチ企業ではないのだという印象を受けるように、ベストラインはダイレクトセールスと言っており、あるいはジェッカーはフランチャイズ企業というふうに言っておるわけですが、こういうようなものが今後ますます出ることが考えられます。そういう点に対して、経済企画庁として国民に対するPRを積極的に行う必要があろうと思うのでありますが、見解を込めてその決意をひとつこの際明らかにしておいていただきたい。


○藤井(直)政府委員 マルチ商法につきましては、その商法の危険性等を十分一般の方々に知っていただくことが一番大事なことではないかと思っております。今回この法案が成立いたしますれば、この法案の内容、マルチ商法の危険性等につきまして、従来以上にその広報に努力をしてまいりたいと思っております。具体的には、政府部内におきまして行っておりますテレビ、ラジオ、さらには週刊誌、新聞等への広報、それから国民生活センターで独自にやっております消費者啓発事業、これもラジオ、テレビ、各種の刊行物等がございますけれども、そういうような手段を使いまして一層の周知の徹底方を図っていきたい、このように考えております。


○佐野(進)委員 通産省に対してこのベストラインについて質問がございますが、時間がございませんので、これは後の質問の時間に譲るとして保留をいたしておきまして、きょうおいでを願っている警察庁、法務省に対して、ジェッカー・フランチャイズの問題についてこの際質問をしてみたいと思います。
 ジェッカー・フランチャイズの問題につきましては、すでにそれぞれ問題点として取り上げられ、各省庁それぞれの指導を行っておるようでございまするけれども、この中で警察庁と法務省にお伺いする前に、まず、具体的に公正取引委員会がどのような処置をとっているかということを一応質問しまして、それに対する答弁を伺ってから、警察庁と法務省に質問してみたいと思うわけであります。

 昨年、独占禁止法違反容疑でホリデイマジック、引き続いてエー・ピー・オー・ジャパンを摘発したわけであります。その結果、この二つの企業はマルチをやめておるようでございますが、三大マルチと言われているうちの一つであるジェッカーにつきましては、これは巧妙というか何というか、公正取引委員会の指導を受けるという形の中でその摘発を免れているような状態でございまするけれども、このジェッカー・フランチャイズに対してどのような処置をしておるのか、この際、簡単にひとつ内容を説明していただきたい。


○後藤(英)政府委員 ジェッカーチェーンにつきましては、被害者からの申し出もたくさんございますし、また国会においてもお取り上げになりまして大きな問題になりました。そういうようないきさつもあって、この会社から私どもの方に、現在とっている販売方法が問題があろうと思われるので、これをフランチャイズ制に移行したい、そこで独禁法の問題となるような点を指導して教えてほしいというような申し出がございました。

 ジェッカーチェーンの販売方法と申しますのは、これもホリデイマジックのようなずばりと独禁法の取り上げたような形ではございませんで、いろいろむずかしいと申しますか、巧妙な方法がとられておりますので、指導といたしましては非常に厳しい形で、独禁法上これはと思われるような点、たとえば指導料だとか、あるいは再販の維持じゃなかろうかとか、そのほかいろいろな拘束条件つきの問題点など、指導段階でございますので相当厳しい注文ができますから、いろいろ問題点を指摘いたしまして、会社側の方からはこれについて契約書を改めてつくってまいりまして、その契約書の内容におきますれば独禁法上直ちに問題にできるというような形にはなっておりませんので、会社側といたしましては、ことしの三月一日から加盟店の問で逐次この新しい契約にかえるということをやっております。
 新契約の内容によりますと、加盟店の地位が大幅に変わるのでございます。したがって、それに伴って解約をしたいという希望者も当然出てくると予想されましたので、新契約に定められておりますところの契約解除規定、これは当事者の利益を相当保護するような規定になっております。この規定を現在の契約の解除を希望している者に対しても適用するというような形で、この契約更改についての指導をいたしております。


○佐野(進)委員 この内容については、時間がございませんから、後で午後の時間にさらに詳しく質問をしてみたいと思うのでありますが、警察庁か法務省に伺う前に、もう一つ公取にその見解を明らかにしていただきたいと思いますのは、ジェッカーはいま言われたような指導を受けるかたわら、この指導を受けているという形の中でその事業を進めている。言うなれば役所の公認という、指導を受けたという形で公認されたのだという形の中でその事業を進めている。結果的に公正取引委員会は利用されている、なめられている、こう言ってもいいのじゃないかと思われるような状態にあると思うわけでありますが、こういう状態に対して今後どう対応していくのかということをお伺いしたいことが一点。
 それからもう一つは、こういうような状態に対して、被害者は刑事訴訟法に基づいて告訴をしておるわけです。したがって、その告訴に基づくところの一定の措置がいま行われようとしておるわけでありますけれども、こういう問題に対して公正取引委員会はどのように対応しておるのか、この点を明らかにしていただきたいと思うわけであります。


○後藤(英)政府委員 今回、ジェッカー社が従来の契約内容を改めて新しい契約にいたしたいというのは、これは先方からの申し出に基づいたものでございますので、もしもその内容が現在でもそのように行われておらないというようなことがあるといたしますれば、私どもの方といたしましても、指導した立場としてまことに遺憾であると思っております。この指導の際に、やはり将来被害者が出ないように、将来の被害者の未然の防止ということを考えていろいろ問題点を指摘して直させたわけでございますけれども、これは法律で規制するよりも、むしろ指導という立場をとりました方が疑わしいところは全部直させることができるというので、私どもの方としては、当然やるべき指導として厳重にやったつもりでございます。


    〔安田委員長代理退席、委員長着席〕


 また同時に、過去の被害者の救済にもこれは当然役立つということで指導したものでございまして、現在、三月一日から契約の更新に入っておりますけれども、前に被害をこうむったりなんかしてその契約をやめたいというような人たちの契約更改は、六十日以前に予告期限を置かなければならぬということになっておりますので、五月以降にそういう新しい契約が本当に行われているかどうかということについては厳重に見守っていきたいと思っておりますけれども、私どもの方としては、決してこれによって利用されたというふうには思っておりませんし、厳重に見守ってまいりたい、そう思っております。
 それから、先ほど先生の御指摘のありましたのは、詐欺罪というような形でもって、役所がそういうことの事実について接したならば、これはむしろ役所が告発してはいかがというような御趣旨かと思いますけれども、詐欺罪の構成要件といいますのは法律的にも専門的な技術的な判断を要するものでございますので、これは警察なりあるいは司法当局の判断を当然待つべきものだと思いまして、私どもの方としては現在告発というような点は考えておりません。


○佐野(進)委員 それでは、警察庁と法務省に、大変長い時間お待たせして恐縮でしたが、最後にお伺いし、あと質問を留保して、午後の時間でさらにジェッカーの問題あるいは法律の基本的な問題等について質問を続けてみたいと思います。
 そこで、警察庁と法務省にお伺いします。一括してお伺いしますから、一括してそれぞれお答えをいただきたい。

 まず、警察庁に対してでありまするが、この連鎖販売取引、いわゆるマルチ商法は、社会的には有害であり禁止すべきであるという立場から、立法の精神を尊重して、再び被害者、犠牲者を出すことがないよう運用面で厳しくすべきだと思うわけでありますが、これについての考えを聞いておきたいことが一つ。
 二つ目は、いままで被害者が各警察を訪ねても動けなかったわけですが、今後はこの法律によって各警察署において被害者の訴えを聞く窓口が必要になってくると思いますが、それはどうお考えになっておられるか。
 さらにまた、現在マルチの被害者は大都市よりも周辺都市及び地方でふえておるわけでありまするが、警察庁はこの事態をよく考慮の上、全国の警察に、問題が起きたらすぐ対応できるよう、本法律の運用について積極的に措置を講じておくべきだと思いますが、その見解をお伺いしたいと思います。

 もう一つは、これも警察庁でありまするが、警視庁内には特別防犯捜査隊を設置し、今後も悪徳商法を摘発していくそうですか、これは大変結構なことです。今後全国的にこれと同じような問題に対処していく必要があると思いまするが、この点、どう考えられるか。
 また、いままで問題を起こした企業についても、ただいままで起こしたのだということだけでなく、積極的にこれらに対する今後の予防を講ずる意味においても対処さるべきだと思いまするが、その点について見解を聞いておきたいと思います。

 法務省には、ジェッカーの告訴、被告人としては山口隆祥個人以下四名の調べがどうなっているか、この点について、もし時間がなければ後で書面等でも結構ですが、ひとつお答えをいただくと同時に、厳正なる調査を早急に行っていただきたい。
 この質問をいたしまして、あとの質問は留保し、質問を終わりたいと思います。それぞれ簡単に答弁してください。


○柳館説明員 第一点は、この法律が制定された場合の私どもの考え方でございますけれども、この法律の趣旨に従いまして、本当に厳正に、かつ積極的に取り締まりを進めてまいりたい、こう考えております。
 それから、第二番目の体制の問題でございますけれども、これは現在、警察署の末端に至るまで、大きな警察署は防犯課、小さなところは防犯係というものがございますので、この法律の趣旨あるいは取り締まりの重点等々につきまして徹底した指導をしてまいりたい、こう考えております。
 また、特別防犯捜査隊というものが現在警視庁にできておりますけれども、これは防犯保安関係の犯罪全体に対する機動的な捜査を実施していくということから設置されたものでございます。これは当然今回のマルチ等も扱っていくということになってまいります。各都道府県にもこのくらいの規模のものは、人員等の関係もございますので、ここで直ちにお約束するというわけにはまいりませんけれども、先ほど申し上げましたようなことで体制を整えてまいりたい、こう考えております。
 また、こういう不健全な企業等に対しまして、捜査というのはどうしても後追いになります。しかし、なりますけれども、それをできるだけ積極的に捜査に着手するということを通じて、実質的な被害が拡大されていくことを防止する、そのことに寄与してまいりたい、こう存じております。よろしくお願いいたしたいと思います。


○山口説明員 お答えいたします。
 去る三月九日に東京地方検察庁で、五人の告訴人から、ジェッカー・フランチャイズチェーン株式会社代表取締役山口隆祥あての詐欺罪の告訴状を確かに受理いたしました。そこで、現在は、この事件につきましてはこの告訴状の内容をしさいに点検しまして、ジェッカー社に対する情報の収集に当たるなど、これからどういうふうな捜査方針で臨むかを検討中でございます。今後東京地検におきましては、迅速適切に捜査処理を行うべく鋭意努力するつもりでございます。
 それからなお、今後警察からこの事件でいろいろ送致を受けました場合に備えまして、法務省としましても、今度新しく設けられます刑事罰則に即応できますような捜査体制を各検察庁にもとりたいと考えております。
 以上でございます。


○佐野(進)委員 終わります。

○稻村委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。






    午後零時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時十分開議






○稻村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。米原昶君。

○米原委員 訪問販売等に関する法律案について質問いたします。
 まず最初に、四十九年十二月に出された産構審流通部会の「特殊販売の適正化について」の中間答申、その中の最初のところに、「近年、通信販売、訪問販売等の特殊販売が急速に拡大しつつある。」そして、その中から「種々のトラブルを惹起しておる」このように指摘されておりますが、この中の「近年」とはいつごろのことを指すのか、また、トラブルが盛んに起こり出したのはいつごろからなのか、そういう点を最初にお尋ねします。


○天谷政府委員 わが国におけるマルチ商法が次第に広がり始めましたのは、大体昭和四十七年ぐらいからでございます。アメリカにおきましてマルチの規制が厳しくなりましたことが一つの原因となりまして、そういう企業がアメリカではもうけの口が狭くなったものでございますから、アメリカから各国に流出するという現象が起きまして、四十七年ごろから日本で次第にはびこり始め、四十八年ごろから被害が目立ったというような状況でございます。


○米原委員 確かにそのころからこういった問題が起こり出してきております。そして、最近では被害者もますます増加しようとしておる。たとえば東京都の消費者センターの訪問販売についての調べでは、昭和四十九年には四百十六件の苦情、相談があり、それが五十年になると四八%ふえて六百十五件と激増しております。また、マルチ商法におけるトラブル、苦情などは、昭和四十九年四月から五十年九月までに四百四十三件あった。これは経企庁の調べであって、潜在的な被害者を含めると百万人とも二百万人とも言われております。私も、このような事態が頻繁に起こっていることに対し、大変憂慮しているわけでございます。
 このようにたくさんの被害者が出てから、ようやく今回の法案を提出されたわけですが、少し遅過ぎるのではないか、こういうふうに感じますが、いかがでしょうか。


    〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕


○天谷政府委員 取り締まりのための立法がおくれますと日に日に被害者がふえるということにつきましては、われわれも非常に心配をしておった点でございます。できるだけ早く立法するために努力をいたした次第でございますが、努力が十分でなかったために立法がおくれたことにつきましては、反省をいたしておるところでございます。
 なぜ一体おくれたのかという理由でございますけれども、まあ言いわけがましくなりますので余り言いたくはないわけでございますが、一応事実を明らかにするために申し述べますと、おおむね三つぐらい事情がございます。

 第一点は、マルチ商法そのものが非常に複雑でございまして、したがいまして、法的規制の対象をいかに法的に構成するかということに非常に手間取ったという点でございます。ともかく規制の対象を法的に明確に把握するということがなければ、法律をつくりましてもざる法になってしまいますので、そこをいかにうまくつかまえるかということに苦心を要したということでございます。

 第二点といたしましては、マルチ規制ということを考えますと、これは民法、商法等の一般法に対する多くの例外規定をつくることになるわけでございます。こういう一般法に対する例外というのはきわめて慎重に考える必要がございますので、審議会等を開きまして、法律の専門家あるいは消費者その他いろいろな方の御意見等を伺う手続も必要でございました。

 それから第三番目には、独禁法との調整に時間を要したという点でございます。昭和四十八年ごろこの問題が起こったときには、このマルチ商法を取り締まる法律としましては、独禁法がいわば唯一の法律だったわけでございます。もちろん刑法等はございますが、そういうものは別にいたしますと、独禁法が唯一の取り締まり法規であったわけでございます。したがいまして、独禁法でマルチの取り締まりがどの程度有効にできるのであろうか、独禁法とオーバーラップするような法制をつくることは無意味でございますので、その辺をよく見定める必要があったわけでございます。ところが、昭和五十年に公正取引委員会ではホリディマジック社に対する手入れを行われましたので、われわれとしましてはその行方をよく見守りながら、独禁法と調整しながら、独禁法で不足であれば新しい法制を考えるというような方針をとっておりましたために、昭和五十年度の通常国会には法案を提出するタイミングに至らなかった。

 大体以上申し上げましたような理由によりまして、本法案の提出が遅くなった次第でございます。努力が足りなかった点もあろうかと思いますが、ひとつ御了承をお願いいたしたいと存じます。


○米原委員 いろいろむずかしい点があったことはわかるのですが、諸外国と比べましてもおくれているのじゃないか。さっきもアメリカの話がちょっとありました。諸外国ではいつごろから、どのような規制をやってきたか、そうした関連法の制定状況について簡単に教えていただきたい。


○真砂説明員 諸外国におけるマルチ商法の規制ぶりはどうかという御質問でございます。
 米国におきましては、複数の州で州法の形で規制をいたしておりますが、現在のところ、連邦法で特別のマルチ商法規制法はまだできておりません。
 それから、カナダでございますが、最近入った情報では連邦法ができた由でございますけれども、内容はまだ在東京カナダ大使館を通じて入手をしておりません。要求はしております。
 イギリスでございますけれども、イギリスは七三年に公正取引法の中にピラミッド式販売機構に関する規定を挿入いたしまして、マルチ商法を規制しております。
 それから、フランスではわりあい早うございまして、五三年と聞いておりますけれども、雪だるま式販売方法に関する規制の法律ができております。
 それから、シンガポールでは七三年にマルチ販売禁止法といった規制法をつくっております。


○米原委員 いまちょっと伺っただけですが、それらの国では、少なくともわが国より早く消費者行政について機敏に対応したという印象を受けますし、それらの国でやっている以上、そういう点も早くつかんで研究すべきであったのじゃないか。わが国でも昨年、公取などが立入調査や勧告を発しておりますが、一向に被害者がなくならない。こんなに問題が大きくなってから、やっと今回の法提出であります。もっと機敏に対応すべきであったと思いますが、大臣、いかがに考えられますか。


○河本国務大臣 先ほど来政府委員が答弁をいたしましたように、少し法律の制定がおくれましたけれども、今般ようやく関係方面と意見がまとまりまして、審議をお願いしておるわけでございます。やはりこの法律を通していただきまして、そうして消費者の保護を徹底する、これをぜひ図りたい、かように考えております。


○米原委員 とにかく、現実にはこの法律の制定がおくれたために被害者がどんどんふえているわけです。施策のおくれによって被害者がたくさん出ている。結局、この人たちは、法的にも何ら守られずに泣き寝入りするだけになっているわけであります。いままで出たこれらの被害者に対して、何らかの救済措置を講ずべきだと思いますが、これに対して通産省はいかがお考えでしょう。


○天谷政府委員 先生の御指摘の問題につきましてはわれわれも重々承知いたしておるわけでございますが、ただ、法制の基本的なたてまえから申しまして、法律の効果を遡及させるということは困難でございますので、すでにこれまでに発生してしまいました被害の問題につきましては、一般法による処置、すなわち民法等による損害賠償の問題であるとか、あるいはもし刑法の詐欺罪等が適用されるものでありますならば、そういう法制による追及であるとか、そういう一般法の規定による救済ということでやっていくほかには道はないというふうに存じております。ひとつ新しい法律の制定によりまして、将来こういう被害が起こらないようにいろいろ措置を講じていきたいというふうに考えております。


○米原委員 現在の日本の社会、いわゆる資本主義社会と言われますが、商品売買が基礎になって流通が行われている社会でありますから、消費者は好むと好まざるとにかかわらず、生きていくためには商品を買わざるを得ないし、その場合、消費者は低廉で良質な商品を望むわけであります。一方、企業の方は、営利追求のために取引するのであって、必ずしも低廉良質な商品でなくとも、もうければよいわけであります。そのため、いかに商品を良質で安いなどと思わせ消費者に買わせるか、これが商売の世界ではないかと思うのです。そうしてその中の矛盾が企業と消費者の間のトラブルとして起こって、多くの場合、消費者がだまされて泣き寝入りするというのが世の常ではないかと思うのであります。そこで、消費者保護行政が必要となるわけですが、その場合、まず消費者がだまされないようにすることが肝心であり、万一だまされてもそれを救済するように保護をしなければならないわけであります。
 経済企画庁は、このような消費者被害の救済についていろいろ研究を重ねておられるようですが、いま私が述べてきたようなことについてどのようにお考えか、また、現実に政府の施策のおくれによって生じた被害についてどうすべきだと考えておられますか、この点を聞きたいと思います。


○藤井(直)政府委員 お答え申し上げます。
 現在の消費者保護行政の基本となりますのは、先ほどちょっと御指摘になりましたように、現在、大量生産、大量販売、大量消費というような構造になっておりますが、その間におきまして生産者と消費者との間のギャップがいろいろな面で非常に大きくなっているというところに消費者問題が出てくる根源があるというように考えまして、消費者保護の行政の方向もそういう点に重点を置いていろいろな施策を行っているわけでございます。
 そこで、最初の問題といたしましては、消費者が被害を受けないようにという観点が一番重要でございますので、現在、消費者保護会議の場等を通じまして、安全の問題、品質の問題、それから規格の問題、表示の問題、それから販売方法の問題等についての規制をいろいろしているという状況でございまして、今回、その商法に関しましては、マルチ商法に対しての規制措置がとられるということになったわけでございます。

 実際に今度被害者が出てまいりまして、その救済の問題ということになりますと、現実には相対の交渉、さらには国民生活センターとか消費生活センターのあっせん等による苦情処理等が主体になっておりますが、今後の問題といたしましては、現在、生活審議会の消費者保護部会におきまして被害者救済のあり方についていろいろ検討いたしております。昨年の四月に研究委員会の方で、消費者の被害の救済についての問題を取り上げまして、報告書が出ております。そういう報告書を中心にいたしまして、今回は保護部会の方でいろいろ検討するということになっておるわけでございます。

 それから、マルチ商法につきましてこの法律施行前の被害はどうかというお話でございますが、今回の法律自体は予防的なものでございますので過去の被害には及ばないということは、ただいま通産省から御答弁があったとおりでございますが、私どもといたしましては、従来から地方の消費者生活センター等におきましてこの関係の苦情を受けておりまして、その過程で事業者との間で話し合いをして解決を見ている例もあるわけでございます。また、行政指導も公取、通産省等で行われておりますけれども、公取におきまして、一部契約の更改とか加盟料の返還とかいうようなことで解決を見ておる点もあるわけでございますので、そういう形でこれからも対処していきたい。
 それから、今回の法律ができますれば、現在相対でやっておりますものとか、行政指導でやっておりますものとか、いろいろケースがあるわけですけれども、この法案に違反するような事実が過去自体においても出てまいりますれば、かなりそういう実際の交渉面で有利に働くのではないかと考えておる次第でございます。


○米原委員 それでは、法案の中身についてお聞きします。
 この法案の目玉とも言われているクーリングオフに関して、まず、連鎖販売取引におけるトラブルは、これまでの実情で見て、契約締結後何日ぐらいたってから起こるのが通常であるか。私が聞いている限りでは一カ月、二カ月と長期間にわたってからと聞いておりますが、この点、どうでしょうか。また、七日間にしなければならないという根拠は何ですか、この点を聞きたいと思います。


○真砂説明員 お答え申し上げます。
 私の方で五十年の二月に主要な都道府県の消費生活センター等に苦情相談を寄せられました方々に対しまして、実際にマルチ商法の組織に加盟された方々を対象に調査をいたしました。それによりますと、いま先生から御質問がございましたクーリングオフに関係をする調査事項でございますが、加盟後あなたはどのくらいたってから脱退したいと思いましたかという質問に対しまして、これが一番多いのでございますが、三五%が一週間以内にそのように感ぜられたという調査結果がございます。


○米原委員 私がこれまで聞いたところでは、被害者の多くが、一カ月以上たって初めて、だまされたとか、契約するのではなかったとかいうように後悔している、そういう実情を見ても、この法案の七日間というのは少し実情にそぐわないのではないか。
 特にマルチ商法の場合、その勧誘の方法、説明会に特徴があって、たとえばここに被害者の手記がありますので少し読んでみますと、「照明や異常な程の拍手、映写に出て来た米元副大統領の演説、地球を汚染より救い、且つ、大もうけ出来る商法とのことで、病弱な子供のため、医療費さえ満足に支払う事の出来なかった私は、この説明会に心から感謝して、使命感に燃えてサインして帰宅し、主人に入会の旨を話すと、今どきそんな甘い話があるものか! 危いからヤメロ! 自分は乗らないぞと叱られましたが、説明会の雰囲気に酔いしれていた私は、主人や親の注意を無視して、無理矢理主人を説き伏せ、殆んどを借金して出資しました。」これはある若い奥さんの話であります。

 このように、一たん加入した者はなかなかその興奮から目が覚めない。この人の場合でも、一カ月後になって初めて後悔するわけです。
 このような実情から見て、通産省は七日間でどれほどの被害者をなくすることができると思っているのか。いま、統計上三五%が一番多い、それが一週間だという話ですが、この点、確かにそういう統計が出ているかもしれません。それ以上になってから、一週間後じゃなくて、もっとたってから気がついたというのも相当いるようですが、この点についてどうされるのか、率直な意見を述べていただきたいと思います。


○天谷政府委員 クーリングオフの期間が一体何日ぐらいが適切であるかということは、非常にむずかしい問題かと存じます。余り短くてはクーリングオフの役割りを果たしませんわけでございますし、他方、長ければ長いほどいいのかといいますと、これはマルチ商法なるものを基本的に禁止するという政策をこの法案ではとっておりませんので、一応合法的なものとして認めております以上は、その取引における法的安定性ということをどうしても考える必要があるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。

 そこで、なぜ七日にしたのかということでございますけれども、この法律案が法律として施行されるということになりますと、不当、不適正な勧誘は禁止される。それから事業概要及び契約内容を明示する文書が加盟志願者に交付されるというような措置が講ぜられることになるわけでございます。したがいまして、契約の相手方は現在と異なりまして、自己の負担あるいは自己がどの程度の利益を上げ得るかどうか等につきまして、これまでよりははるかに正確な資料、情報を入手し得る状態に置かれることになりますので、七日間という日数は相当の適当な日数ではないだろうかというふうに考えた次第であります。

 第二番目に、マルチの契約の中では、加盟するに当たりまして相当量の商品の購入を義務づける契約をさせるものがございますけれども、こういう契約につきましては、商品が自分のうちへどっさり運び込まれたときに初めて催眠から目覚めるというようなこともありますので、こういう契約につきましては、七日間の起算日を商品の一定量の引き渡しがあった日というふうに定めまして、実際に商品を見てから再検討する機会を与える措置を講ずることにいたしております。

 また、外国の例を徴しますと、この外国の例もどこまで参考にすべきかどうかいろいろ問題のあるところでございますが、外国の例を徴しますと、イギリスにおきましてはマルチ商法のクーリングオフの期間を七日間というふうに定めておるわけであります。したがいまして、七日間がわれわれとしては相当の期間であるというふうに思っております。しかし、最初に申し上げましたように、これについては七日が絶対であるというような証明をすることはできるわけではございませんけれども、諸般の法的安定性とか、消費者の保護とか、諸外国の例とか、いろいろあわせ考えまして、七日程度が妥当ではないかと考えた次第でございます。
 もちろん、七日にすればすべて問題が解決するかというと、決してそういうことはないと思いますが、七日で、消費者教育等も行われれば、相当の改善、救済が行われる、こういうふうに考えておる次第でございます。


○米原委員 この法律の十二条、十三条は、そのようなSF商法とか催眠商法を規制するための規定だとすれば、被害者を出さないためにもこの条項の運用を厳しくする必要があると思いますが、この点はどうでしょうか。


○天谷政府委員 マルチ商法が反社会的になる非常に有力な原因の一つが、その勧誘方法が不適当である、妥当性を欠いておるというところにあることは明瞭でございます。そこで、十二条におきましては、不適正な勧誘方法に対しては直罰をもって臨むということにいたしておるわけでございます。
 こういうような罰則規定は、商品取引所法であるとか、証券取引所法であるとか、あるいは宅地建物取引業法であるとか等々に類似の規定がございますので、警察当局としてもこういう取り締まりには習熟しておられるところでございますから、警察当局がこの法律の目的に従いまして、十二条につき有効な運用をしていただくことをわれわれもしばしばお願い申し上げておる次第でございます。

 ところが、警察による取り締まりだけではその消費者保護の目的なりあるいはその不公正な勧誘を取り締まるということが必ずしも十分ではございません。と申しますのは、マルチ企業の中には、少々の罰金を食らうならば、払って、また明くる日からその不適正なことを始めるというようなこともございますので、行政面からもマルチ商法を取り締まる必要があるということで、十三条におきましては行政罰を加えることができるような規定を設けたわけでございます。したがいまして、通産省その他関係各省におきましては、警察当局とよく協力いたしまして、それからまた独禁法を運用される公正取引委員会ともよく協力をいたしまして、あらゆる面からこのマルチの取り締まりに万遣漏なきを期したいと考えておる次第でございます。


○米原委員 次に質問を進めます。
 悪徳商法被害者対策委員会の皆さんも望んでおられ、また産構審流通部会の中間答申にも指摘されているクーリングオフ後の措置についてであります。
 産構審流通部会では、クーリングオフ後においても、一、「購入した物品を相当の価額以上で引取らせる」二、「物品の対価以外に支払った金銭につき、その相当割合を返還させる」等であります。たとえばイギリスでは九〇%以上、アメリカのマサチューセッツ州も九〇%以上の商品の買い戻しがやられているというように聞いておりますが、このような措置が今回の法案の中では生かされておりません。この点について、当然審議会の意見を尊重して加えるべきだと私は考えますが、どうでしょう。


○天谷政府委員 いま御指摘のございました産構審の答申につきましては、われわれもそれを実現する方向でいろいろ考えてみた次第でございますけれども、以下に申し上げるような理由によりまして、この法案に盛り込むには至らなかった次第でございます。

 理由は、まず第一番目に、こういう規定を置きますと、契約を長期にわたり不確定な状態に置くことになりまして、法的安定性を著しく害するということが一つでございます。先ほど申し上げましたように、マルチそのものを基本的に犯罪として取り締まらない方針をこの法律はとっておりますので、そういう方針をとる以上は、法的安定性の問題はやはり慎重に考慮する必要があるということが言えるわけでございます。

 第二番目に、連鎖販売取引におきましては、組織がきわめて多段階でございますために、契約から派生する効果が多数の当事者に及びまして、そのために引き取りあるいは返還請求権が行使された場合の影響がきわめて大きく、かつ複雑であるということになります。この権利義務関係が非常に錯雑をしておりますために、安易に返還請求権、引き取り請求権等の行使を認めますと、いわば暴走族の乱闘みたいにわけがわからなくなってしまいまして、法的に権利義務関係を解きほごすということがほとんど実行不可能ではないだろうかというふうに考えられる次第でございます。

 第三番目に、こういう難点を軽減するために、一つの考え方として、引き取り、返還請求権の行使先を統括者に限定するということも考えられるわけでございますが、ところが統括者は自己の支配できない独立の営業主体である個々の連鎖販売業者の行為についても責任を負うということになりまして、これは契約自由あるいは過失責任等の現在の民事法の原則に対しまして余りにも大きな例外をつくることになりますので、妥当性を欠くというような法制当局の難点がございます。

 以上のような理由によりまして、商品の引き取り等の規定は設けなかったわけでございますが、答申のその他の部分はすべて規定されております。特に不当な勧誘についての行政命令、これは十三条でございますが、それから十四条の広告規制、それから、大量の商品の購入義務を負わせる場合は、クーリングオフの起算日を一定量の商品引き渡しがあった日とするというような、答申よりもさらに一歩進んだような規制もいたしておるわけでございます。こういう措置によりまして不当な勧誘行為が排除され、契約者は事業の概要及び契約内容につきまして明確な認識を与えられ、さらに七日間の再検討期間を与えられるわけでございますので、詐欺的な悪徳連鎖販売業が残存していく余地はほとんどなくなるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。


○米原委員 次に、訪問販売についてお聞きしますが、この中で言う「指定商品」については先ほどの質問の中で答弁がありましたが、訪問販売における現金取引の場合にはクーリングオフが設けられていないのはどういうわけでしょうか。そういった場合のトラブルは生じない、こういうふうに思われているのでしょうか。


○天谷政府委員 訪問販売におきましては、セールスマンの舌先三寸によりまして購入者の方の意思決定が冷静でないまま行われるというようなことがございますので、これに対しましてはクーリングオフというような権利を認めようという趣旨でその規定を設けておるわけでございます。しかし、クーリングオフの場合の基本的な考え方は、まだ契約が完結していないという場合のクーリングだろうと思うのでございますが、現金の授受が行われた場合には、契約が完全履行されておるということになるわけでございます。
 もちろん完全履行じゃなくて不完全履行である、すなわち品物等に欠陥があるというようなことでございますれば、これは不完全履行に対する民法、商法等の救済規定がございますので、そちらで救済されるわけでございますが、完全履行されている、契約の履行に何らの瑕疵もない場合において、さらにそれにクーリングオフを認めるということになりますと、やはりこれは一般法に対する著しく大きな例外ということになり、法的安定性を害するということにもなりますので、完結してしまった行為につきましてまでクーリングオフを設けるのはどうかというような観点から設けなかった次第でございます。


○米原委員 その場合に、たとえば東京都の物価局のモニター調査を見ますと、強引に座り込んでなかなか帰りそうもないので買った、こういうのが一三・六%ございます。こういった人たちのためにも、現金払いのときも解除期間を設けるなりすべきだ、こういうふうに思いますが、どうでしょう。


○天谷政府委員 セールスマン等が玄関に入り込みまして、非常にしつこく押しつけ販売みたいなことをいたしましてなかなか退去しないというようなことは、われわれも経験する非常に不愉快な事実でございますが、この問題は刑法百三十条に該当する行為でございまして、こういう行為がもしありますれば、これを取り締まる直接の根拠は刑法百三十条である、こういうふうに考えております。
 今度つくります法律は、そういうようなことではなくて、訪問販売あるいは通信販売等、一応正常な商取引をさらに適正にするための規制を設けようという趣旨でございますので、その住居に入って不退去というような問題については本法の対象ではないというふうに考えております。


○米原委員 次に、通信販売について聞きますが、ここの項目では非常に規定が少ない。しかもその少ない一つの広告表示を見ましても、商品の品質、性能など肝心なことが抜けておりますが、これは省令で定める用意があるのか、どうでしょうか。


○内田説明員 お答え申し上げます。
 通信販売に関しましては、私どももいろいろ消費者からのトラブル、苦情なども聞いておるわけでございますけれども、一般的に申しまして、一つは、提供された情報が非常に不十分であるとか、誇大であるとか、そういう広告に関連する問題それからもう一つは、申し込みをしてもなかなか送ってこなかったり、物が着かなかったりということで、消費者が非常に不安定な立場に置かれるという面からくる消費者被害、大別いたしますと、この二つが大きな被害じゃないかということで、私ども今回の立案に際しましては、第八条の広告規制、それから第九条の前払い式の通信販売におきます販売業者の承諾の通知義務という二つを規定として設けた次第でございます。

 それから、先生の御指摘のございました、広告規制の中に品質、性能等、大事なことが抜けているではないかというお話でございますが、確かにそういった品質、性能等が十分知らされていない場合に、消費者がその広告を見て購入の動機を持つわけでございますので、不十分な情報ということになるわけでございますけれども、今回、広告規制の中に法律に定めまして盛り込むことを決めました条項につきましては、これはどういう商品であってもはっきり広告に書くべきことが一般的に規定できる事項、つまり販売条件を中心にそこに記載させるということにいたしたわけでございまして、品質、性能につきましての情報は確かに非常に重要ではございますが、これは個々の商品によってどういったところまで品質、性能を書くかということが非常に違ってまいりますので、一律の規定を設けることは非常にむずかしいわけでございます。したがいまして、今回、検討事項ではございましたけれども、そういうふうに一律に規定できないということもございまして、この規定の中には盛り込んでおりません。

 省令で定めるつもりかどうかという御質問でございますけれども、私ども現在いろいろ検討はしておるわけでございますが、省令で基準を定めます場合にも、商品にかかわらず一律に規定できるものは省令で細かく定めることができますが、商品によりまして千差万別ということになりますと、省令が大変複雑になりまして、一々商品ごとに定めなければならないという面もございますので、引き続き検討させていただきたいというふうに考えております。


○米原委員 最後に、大臣にお伺いします。
 とにかく手おくれではあるけれども前進だと私たちも思っております。そこで、このような消費者保護施策がつくられても、消費者には余りこういう法律があるということも知られないというのがいままでの実情です。そういうふうになりますと、こういう新しい法律ができても、実際にはなきに等しいことになってしまう。特に家庭の主婦など、このような情報が得られにくいのが実情であります。ですから、これは徹底して消費者がよく心得ていないとこの法律が役に立たないので、普及に相当力を入れなければならない、私はこういうふうに考えるのです。そういう意味で、こういう施策が行われることを一般に普及する必要がある、その点についてどのように手だてを考えられておるかということを聞きたいのです。


○河本国務大臣 今度の法律の場合、消費者にこれを周知徹底させるということが一つの大きなキーポイントであろうかと思います。いま政府の方で考えております方法は幾つかございますが、たとえばパンフレットとかリーフレットというような文書の配布、あるいはラジオ、テレビによります啓蒙運動、新聞による広告、あらゆるものを動員いたしまして、約六カ月間、集中的にこれをPRする予定でございます。

○米原委員 以上で終わります。






○橋口委員長代理 松尾信人君。

○松尾委員 最初に、大臣に二、三の問題を質問いたしたいと思います。
 この商品の売買に伴いまして、非常にトラブルが続発しておるわけであります。常にその被害者は消費者である、欠陥商品もしかり、また商品取引における不当な損害、また割賦販売でもいろいろの問題がございます。そして、政府も次々に対策を立てていくわけでありますけれども、常に後追いであって、おくれておる。結局は消費者を保護していこうという点に対して熱意がほとんどないのじゃないかと感じられるほど、いままでも対応がおくれておるわけであります。
 この法案におきましても、そのような感を強く持つものであります。なぜいろいろの被害が起こってそれを承知したならば、その対策を早く立てぬのか、早急に消費者を保護する対策が立てられないで、延び延びになっておくれていっておる、この点についてどのように反省をしておられるのか、いままでも結構早かったのだ、このように思っておられるかどうか、そういう基本的なことをまず聞いておきたいと思うのです。これは審議官から最初に答えてそして次に大臣のお答えを伺いたいと思います。


○天谷政府委員 消費者保護のための立法がおくれますと、その間に被害者が日を追って増加をするということにつきましては、われわれも非常に心痛をいたしておったところでございます。御指摘のように、できればもっと早く法律をつくるべきであったというふうに考えておりますけれども、いろいろな事情がございまして、ようやくのことで法律案の提出にこぎつくことができたというような実情でございます。
 いろいろな事情と申しますのは、大略三つほどあるわけでございます。

 第一番目に、法律をつくる以上、その法律が規制に当たって有効な法律でなければならないというふうに考えております。有効な法律であるためには、基本的にまず規制対象が何であるかということの把握が必要でございます。マルチ商法と言われておりますけれども、言葉が先にあると申しますか、マルチ商法という言葉はしばしば使われるのでございますが、その明確な概念規定というのはないというような実情でございます。諸外国の法制もあるのでございますが、調べてみますとできが非常に粗雑でございまして、厳密な意味では余り参考になるような法律がないわけでございます。したがいまして、われわれとしましては、このマルチの非常に複雑な実態に合わせまして、これを有効に取り締まれるように、そのマルチの定義をどうやってするかということで非常に苦心をいたしたわけでございます。これが第一点でございます。

 第二点といたしましては、マルチ商法を規制しようといたしますと、その場合には民法、商法等の一般法に対する例外を多数つくることが必要となり、したがいまして、この一般法とのすり合わせをどう行うかということが問題になるわけであります。このすり合わせのためには、役所が独断で行うというのも問題が多うございますので、各方面の専門家を集めた審議会をつくりまして、そこでいろいろ御審議をいただく。それからまた、法務当局、法制当局ともいろいろ意見のすり合わせを要したわけでございます。これが第二点であります。

 それから第三番目には、独禁法との調整という問題がございます。昭和四十七、八年ごろからマルチ商法の弊害が目立ってきたわけでございますが、その当時、現存する取り締まり法規としては独禁法が唯一の法規であったわけでございます。したがいまして、その独禁法がどれくらい有効にこのマルチを取り締まれるのかどうかということが当時まだ明らかでございませんでした。われわれとしましては公正取引委員会当局の意見を求めておったわけでございますが、昭和五十年に至りまして、公正取引委員会当局がホリデイマジックの取り締まりに踏み切られたわけでございます。したがいまして、われわれはその成り行きを見守って、独禁法によって十分に対処できるならばわれわれの新規立法は必要がなくなりますし、また、独禁法では及ばないところがあるということであれば、その及ばないところをカバーできるような法律をつくらなければいけない、こういうふうに考えまして、独禁法の公正取引委員会当局により取り締まりの成り行きを見守っておった次第でございます。
 こういういろいろな事情がございまして、法案の作成は御期待に沿えないと申しますか、おくれてしまったわけでございますが、しかし、でき上がった法律は、われわれとしましては諸外国に比べてはるかにりっぱな法律であるという自信を持っておりますので、今後この運用に万遺漏なきを期していきたいと思っております。


○河本国務大臣 いま政府委員が申し述べましたような理由で時間がかかったわけでありますが、しかしようやく関係方面との意見の調整もできまして、今般審議をお願いしておるわけでございますが、特に最近におきまして、訪問販売あるいは通信販売、マルチ商法と称せられる特殊販売、こういうものが非常に激増いたしまして、それに伴ってトラブルが多発しておる、こういう状態でございますので、ぜひとも一刻も早く成立をさしていただきまして消費者の保護を図りたい、かように存じておる次第でございます。


○松尾委員 いま政府委員の方からるると三点にわたって、非常にこの法案の作成がおくれたということについて説明があったわけであります。ある程度わかりますけれども、やはりいま述べられた三点につきましては、三年も四年もかかるような問題じゃなかろう、もう少し熱意をもって真剣に取り組むならば、早く消費者を保護することができたであろう、このようなことを私は非常に残念に思うものであります。過去の例からもそのようなことが一つ一つ指摘されていくわけであります。
 端的に聞きますけれども、このマルチ商法は端的に言って消費者にどのような利益がありますか。


○天谷政府委員 マルチ商法の場合の消費者という言葉の意味でございますが、厳密に言いますと、消費者とは、マルチの最末端にありまして、もはや再販売をせず、自分で消費してしまう人が消費者でございます。この消費者は、マルチ販売によりましてそれほど大きな被害を受けておるという実態はないと思っております。なぜかといいますと、一番最終の消費者はただ商品を買うだけのことでございますから、彼らは特に多額の取引料とかそういう種類の金品を納めておるわけではございませんので、その商品が粗悪品であるとか、そういう場合には何がしかの被害を受けることになりますが、社会的にびっくりするほどの被害を受けるというわけではございません。
 問題は、連鎖販売取引の途中にありまして、要するに再販売をする目的をもって上位の者から商品を購入し、これをまた下の方におろしておる、こういう人たちが一番問題なわけでございます。こういう人たちは取引料その他の名目をもって特定負担をする。この特定負担というのは十万あるいは数十万の単位になることがあるわけでございまして、こういう多額の金を納めて、そして特定利益を収受し得るであろうという期待のもとにそういう特定負担をいたしておるわけでございますけれども、現実にはこの特定負担を回収できるような特定利益が上がらないことが多々ございますので、そのために非常に多くの被害をこうむっておるというのが実情でございます。


○松尾委員 商売が商売で、法律の網をもぐってやっていこうということでありますので、末端の消費者と被害を受けている実態の階層というものとがずれたような、またある程度ダブっていますけれども、そういう実態でありますので、これはよくよく運営は気をつけてやらぬとむずかしい問題がある、このように私は認識をいたします。
 次に聞きますが、訪問販売を受けたというこちら側の経験の問題でありますけれども、約九〇%の人々が訪問販売を受けておるわけですね。そういう経験がある。これは今後ともにふえていくのじゃなかろうかと思うのであります。この訪問販売における指定商品の問題で、この範囲の問題ですが、これは消費者という立場からながめてみれば、可能な限り実情に即して指定する必要があるだろう、他面、クーリングオフの除外商品というものは最小限にとどめていく必要があるのであろう、このように基本的に考えるわけでありますが、この指定商品の範囲及び除外商品の範囲は具体的にどのように考えておりますか。


○内田説明員 消費経済課長でございます。お答え申し上げます。
 指定商品の範囲でございますが、本法におきましては、指定商品といたしましては、通常、日常生活の用に供する物品であって定型的な条件で販売するのに適したものということになっております。これはわれわれが普通使っております消費財一般が含まれるかと思うわけでございますけれども、できるだけ実際の訪問販売、通信、販売の取引の実態、それから消費者の要望等を聞きまして、幅広く指定し