[ 077回-衆議院-商工委員会-12号 1976/05/18 ]
 より抜粋



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○竹村委員 この法案立案の基本的な考え方についてお聞きしたいわけであります。

 訪問販売、通信販売について一定の規制を、設け、消費者の保護を図ることは、むしろ遅過ぎたきらいがあるが、当然の措置であろうというふうに思います。問題は、先ほどからも質問いたしております連鎖販売でありますけれども、そもそも連鎖販売、マルチ商法というのは、御存じのように、論理的には必ず行き詰まる性質を持っておるわけでありまして、少数の利益を受ける者が大多数の犠牲の上に成り立つ商法であり、好ましからざるものであることは明らかでありますが、政府はどのような評価に立ってこの法案を立案したのか。先ほどからも申しておりますように、連鎖販売、マルチ商法は禁止の方向で措置すべきではなかろうかというふうに思うわけであります。

 法案の中の定義にある内容におきましては、商品の再販売をする者を、特定利益、すなわち他の者が提供する取引料等を収受し得ることをもって誘引することは、少なくとも禁ずべきであろうというふうに思いますけれども、御答弁をいただいたいと思います。



○天谷政府委員 エー・ピー・オー・ジャパンであるとか、あるいはホリデイマジックとかいうような、社会的に大きな害悪を流したマルチにつきましては、だれしもこれを犯罪として禁止してしまうということは非常にわかりやすくて、われわれも実はそうしたいと考えたわけでございます。

 ただ、問題は、われわれもその方向で一たん考えたわけでございますけれども、法律的に禁止する、犯罪として禁止して刑罰をかけるということになりますと、罪刑法定主義のたてまえからいきましても、処罰の対象をきわめて明確に法律で定めるという必要が当然出てまいります。これは法治国としてあたりまえの考え方であろうかと存じます。そういたしますと、きわめて明瞭にあしきマルチの定義ができなければならないわけでございますが、そういうふうに定義しようといたしますと、かける網がきわめて小さい網ということになってしまうわけでございます。

 ところが、御承知のように、マルチの実体は変幻自在と申しますか、組織といたしましてきわめて不定型で、時間とともに形を変える組織でございますし、かつまた、先ほど来申し上げておりますように、各国の法的規制につきましては脱法に習熟しておる企業が多いわけでございます。したがいまして、小さい網をかけた場合には、なるほど網にかかった部分だけは犯罪として処罰できますけれども、多くの部分が網から逃げてしまう。先ほどの例で申し上げますならば、がんを半分しか摘出しなくて、残りのがんは全部転移してしまうというような危険性がございます。

 したがいまして、われわれとしては、法的規制、法的禁止ということは、非常にかっこうがよくて気持ちがいい処置ではあるけれども、反面、デメリットがある。それはかえって有効な取り締まりができないということであると考えまして、こういう方向での規制というものはやめたわけでございます。そして、法的規制、法的禁止よりも、むしろ実質的禁止の方がより有効な方法である、こういうふうに考えまして、現在の法律案ができているわけでざごいます。

 実質的禁止でございますと、犯罪として禁止するわけではなくて、マルチ商法の中で勧誘方法が不当であるような場合にこの行為を規制しよう、こういう考え方をとるわけでございます。したがいまして、今度はその対象となるマルチの範囲は犯罪として規制する場合よりはかなり広範囲になります。要するに、広い網を張ることが可能になるわけでございます。この広い網を張りますと、それの中にはあしきマルチ、いいマルチ、灰色のマルチ、みんな入ってくるということになるわけでございます。その入ってきたものの中で、勧誘方法が不公正である等のものを規制することによって、実質的にあしきマルチを禁止していこうというのが、今回の法規制の柱になっておるわけでございます。



○竹村委員 いま御答弁いただいて、連鎖販売の禁止など厳格な規制を行うとしたら、その対象が限定されて、脱法行為を誘発するという主張はわからぬでもないわけでありますけれども、しかし一方、法制の立て方を変えて、このような販売方式全部を禁止して、その中でその類似行為の不法性について独自の機関が判断をしていく、こういう逆な方法をとれば、厳格な規制は可能ではないかというふうに思うわけでありますけれども、その点について御答弁を願いたいと思います。


○天谷政府委員 いま仰せになりました独自の機関をして判定せしめるということになりますと、独自の機関とは何であるかというような問題が生じてくるかと存じます。常識的に考えられますのは、独自の機関というのは準司法的な機関というようなことになろうかと存じます。より具体的に言えば、いまの日本の政府機関の中におきまして、そういう準司法的機関に該当するものは公正引委員会ではなかろうかというふうな気がいたします。

 ところが、公正取引委員会のマルチに対する対策につきましては、先ほど御説明申し上げたとおりでございまして、現在までのところは、まだ一、二件しか取り締まりは行われていないというような実情でございいます。いままでの結果から見る限りにおいて、準司法的機関が判断したからといって、取り締まりの量が急速にふえるというようなことには必ずしもならないのではないかというふうに思っております。

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