○竹内(昭)参考人 〜略〜 次に、マルチにつきましては、第一に、十二条で、勧誘の際に重要事実を告げず、また不実のことを告げてはならないというふうに定めまして、これにつきましては直罰を用意しております。第二に、十三条は、不当勧誘が繰り返されるときは、主務大臣が停止命令を出すことによって、その違反に対しましてはやはり罰則を用意しております。第三に、十四条では、広告記載事項を法定し、第四に、十五条で、マルチに参加しようとする者に対して、どういう事業であるかを示す書面や、またどういう条件で参加するかを記載した書面を交付する義務を課しております。第五に、十六条では、マルチに加入する契約をした者に対しては、訪問販売の四日間よりも長い七日間のクーリングオフを認めております。いわば集団催眠状態の中で勧誘された者も、七日あれば目が覚めるだろうという考え方であります。 これらはほぼ答申の線に沿った、ものですが、ただ、答申では、クーリングオフ期間経過後も、マルチの参加者がもうやめたいと思ったときには、仕入れた商品を一定の割合以上の値段で買い戻す義務を課そうということにしていたわけでありまして、この点がこの法案では落ちております。イギリスの公正取引法やアメリカのマサチューセッツ州法などは、仕入れ値の九掛けで買い戻させるということにしておるわけでありまして、こういう規定がありますと、ともかくマルチの参加者にたくさんの商品を仕入れさせてしまえば、そこで勝負あったというようなことはなくなるわけでございますから、私はこういう規定があった方がよくはないかと思っております。 しかしながら、そのかわりと申しましてはあれですが、この法案では、十二条の重要事項の不告知、不実告知に対する罰則などについては、この答申より強くなっているわけであります。その意味で、十二条、十三条を活用してマルチに対処しようとするのがこの法案の基本的な考え方ではないかと考えております。したがって、答申が申しておりますような実質禁止という目的を達し得るかどうかということは、十二条、十三条の運用に大きくかかっているわけでありまして、その意味で私はこの条文の活用を大いに期待したい、このように考えるわけでございます。 これと関連しまして、一条の「目的」のところを見ますと、連鎖販売取引、つまりマルチ取引を公正にするということが書いてあります。訪問販売、通信販売につきましては、これを公正にするということはよくわかるのでありますけれども、公正なマルチ商法というものは一体あるのだろうか。それは安全なペスト、無害なコレラと言うに等しいものではないかと思われるわけであります。ある程度の規模に達しますと、もう参加者を募るということは不可能になるわけでございますから、わが社の商売はある程度発展していくとデッドロックに乗り上げてもはや発展しなくなります、そのときには非常に多くの人が泣くことになりますということを告げませんと、十二条にいう重要な事実を告げないということになるのではないかと私は考えるわけであります。そうだといたしますと、マルチを公正なものにして残すという考え方ではなしに、マルチに対して公正であることを求めればマルチは必ずなくなるはずだという考え方に立っているのが、この法律の考え方であります。そういう精神に従ってこの法律の運用をしていただきたいというふうに思うわけであります。 それから、マルチのような伝染性の強い取引は、一刻も早く手を打つべきであります。本来この法案は昨年国会に提出されるはずだと私は考えていたわけでありますけれども、それが諸般の事情でことしになりました。この法案も、先ほど申したように、いろいろ御意見があるかもしれませんが、これがことしまた成立しないということになりますと、喜ぶのは業者だけであります。したがって、私はともかくこの法案を早く通して、マルチの絶滅を期するということにしていただきたいと思うわけであります。 〜略〜 |