同じく上記より抜粋
○北側委員 (抜粋)
それでは、法案の中身に入ってまいります。法案の目的は先物取引の委託者保護が趣旨であります。そのため、海外商品市場における先物取引の受託等を公正にして、先物取引の委託者が受ける損害の防止を図る、このようになっておるわけです。その先物取引についての定義、これが第二条に規定されております。現在まで被害が数多く発生している金の海外商品市場を舞台にした金の現物取引まがい商法というのがあるわけです。たとえば具体的な事例を紹介しますと、株式会社N金属というのがあります。これは本社が大阪にあり、支社、支店が東京、福岡、千葉、横浜、京都、姫路にあるわけです。どういう手口でやってくるかといいますと、まず女性が電話をしてくる。女性が電話してくるというのは、大体どこの業者も同じ手口らしいのです。電話の内容は、金を買いませんか、金は絶対的価値があり、インフレに強く目減りしない、また税金がかからない、いまが底値で買いどきだ、これから銀行、証券会社でも金を販売するようになれば、価格が急騰する、一年間で一・五倍になります、話だけでもどうでしょうかと、こうくるらしいのですね。もしここで興味を示すと、これはもう被害者になってしまう。興味はないと断りますと、たとえば神奈川県の主婦、これも実例です。仮名でAさんとしておきますが、電話で断ったにもかかわらず、セールスマンが押しかけてきて、奥さん、これはめったにないチャンスですよ、テレビ見たでしょう、いま金は売れているのです、いま買って二週間後に売れば、百万円が手数料を引いて百五十万円になりますよと言って、印刷された利益表を見せるらしいのです。金は会社が倉庫に入れておきます、短期間ですから御主人に話すこともないでしょう、御主人をびっくりさせてあげたらどうですか、こういうことを言うらしいのです。Aさんはこの話を聞いて、非常にうま過ぎる話だなと初めは思っておった。本当は三百万円なければ取引できないが、百万円でもいいからと言われて、そのまま、相手の話術のうまさと言いましょうか、ふとその気になって書類にサインをしたというのです。その書類は五枚ほどあったけれども、内容は相手の言うままに読まなかった、またなかなか読ませるような空気ではなかったというのです。その契約書は小さい字で書いてあって、内容は客にとってきわめて不利な内容になっておる。まず金を買った市場は香港の現物市場である、そして金を売買したことに同意し、またAさんは自分が支払った分の金を買ったと思っているが、実は総代金はその約四倍、四百万円の取引になっておるというのです。しかも、会社はいつでも好きなときにAさんが支払った百万円の中から倉庫料、運賃、保険料等を取ってよいことになっているというのです。二週間後に買っておいたはずの金を売ったときには、これらの料金や手数料がごそっと取られるというのですね。結局Aさんが支払った百万円はほぼそれで消えてしまうというのです。このように、私らが見ますと、なるほどかかる人も悪いでしょう。悪いですが、やはり相手は商売人ですから、片方は主婦です、やっぱり乗っていくということも考えられると思うのです。全く僕らが考えますと、詐欺ではないかという手口なんです。しかも、それが主婦とか退職金を持った人たち。これはもう統計でも出ているとおりです。実態はこのような実態なんです。この問題については、通産大臣ももう御承知と思いますが、これについて、通産大臣、どのようにお考えでしょうか。
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上記は、後に豊田商事事件などで有名となった、金の現物まがい商法について、当時の勧誘例に触れた内容です。
なぜ、当時、上記のような無茶苦茶な取引が可能だったかといえば、
行政の監視の目の届く国内商品取引所を通さずに、私設の商品取引市場を開き、そこで商品取引をした体裁を整えたり(ブラック市場)
あるいは、実際には取引をしなかったり、取引市場に顧客の注文を取り次がず、取引をした体裁を装って、顧客からの預かり金を自己の手元において管理し費消したり(のみ行為)
あるいは、日本の行政機関の監視が届きにくい香港などの海外先物取引市場で、自由に価格操作を行なって、顧客に故意に損失を与え、自己の利益確保を図るなど、(向い玉・無意味な反復取引・客殺し商法)
法規制の手薄なことをいいことに、顧客からの預かり金を、取引損失名目や、売買手数料名目で控除して自己の利益を図る、いわゆる客殺し商法が展開されていました。 |
その後、海外先物取引規制法が制定され、クーリングオフ類似制度(14日間の取引熟慮期間)や、書面交付義務、禁止行為などの規制がかけられることとなり、業者数は減少し、被害数も減少するに至りました。
しかし、海外先物取引業者はいまだ「許可制」「認可制」ではなく、開業規制は特にありません。
本法制定当時に、通産省担当官が「腐った盲腸を切除するような、最低限のものでしかない」と述べたことからもよくわかるように、規制は今もなお最低限のものにとどまっているのが現状です。
悪質な業者によるトラブルは、今後も絶えることはないでしょう。 |